算数数学の勉強で、答えが出れば結果が出たことになります。
しかし、その勉強で本当に大事なことは算数数学的な考え方が身につくことです。
物事を見たときに、理詰めで考えれば正しい答えが出るということに対する確信が湧いてくるのです。
答えを出すだけであれば、短期間にできるようになります。
しかし、考え方が身につくようになるまでには長い時間がかかります。
作文も同じです。
文章として書かれたものは結果で、それはそれなりによく書けたり書けなかったりします。
しかし、その結果とは別に、作文を書く過程で作文を書く力が育っているのです。
長い時間をかけて作文の勉強をしてきた生徒は、何を書いてよいいか分からないときでも、一応何かしらは書けるという確信を持っています。
こういう確信を持てるようになることが、作文の勉強が身につくことなのです。
暗唱も似ています。
ある文章を暗唱できるということは結果です。
しかし、本当にできるようになるとは、その文章がいつでもどんなときでも、ふと頭の中に浮かんでくるようになることです。
そして、その暗唱の練習の中で、どんな文章でも繰り返せば暗唱できると言う確信が持てるようになるのです。
◆小学1年生から高校3年生・社会人まで作文の一貫指導◆
言葉の森は、今後次のような方向で教室を運営していきたいと思っています。
まず第一は、作文指導を創造教育として発展させていくということです。
言葉の森が作文教室を始めたころ、作文の入学試験というようなものはありませんでした。
ところが近年入試に作文や小論文の試験が出るようになってから、塾や予備校でも作文指導を行うようになってきました。
言葉の森の作文指導は、受験対策にも対応しているので勉強の内容は似ているように見えます。
しかし、言葉の森の作文の目的は、思考力と創造力と感受性を育てることで、その結果として作文試験の合格もあるという考え方です。
そのため、言葉の森の作文指導は、単に受験技術の指導で終わらせずに、プレゼン作文発表会や作文検定のような形で作文の勉強そのものが目的となるような方向で進めていきたいと思っています。
第二に、思考発表クラブで行っているような、子供たちが自分でいろいろなことを考え体験し実験し発表し交流するという勉強の機会を作ることです。
これからの学力は、受け身で知識を覚えるようなものではなく、自分から進んで物事を考え発表する面を要求されるようになります。
それを子供の興味や個性に合わせて対応できる学習機会を作っていきたいと思っています。
第三は、自主学習クラスの運営です。
子供たちは学校の勉強で間に合わない場合は、学習塾で学校と同じように人に教わるような形の勉強をしています。
間に合わない場合というのは、学校のレベルより先に進みたい場合と、学校のレベルより前に戻ってやりたい場合です。
しかし、本来勉強は自分で立てた計画に基づいて自主的に進めた方がずっと能率がよく、しかもやりがいのあるものです。
ただし、自主的な学習は、全体の見通しが立てにくかったり、チェックしてくれる人がいなかったり、励まし合う友達はいなかったりという理由で、受験直前の熱意のある生徒以外は続けることが難しかった面があります。
それを、オンラインの指導によって、家庭で自学自習が意欲的に続けられるような仕組みとして作っていきたいと思っています。
第四は、自然寺子屋合宿の運営です。
子供たちの勉強内容のほとんどはオンラインの授業や学習で対応できます。
しかし、自然の中で様々な経験をしたり、友達とリアルな交流をしたりする機会は、実際に自然の中で直接に友達と関わるようなやり方でなければ実現できません。
そこで、自然の豊かな場所で学校が休みの時期に合宿を行い、勉強と遊びを両立させるような機会を作っていきたいと思っています。
また、この自然寺子屋合宿は、日本の各地に合宿所を広げるとともに海外の子供たちも参加できるようなワールドワイドな合宿教室として運営していきたいと思っています。
以上、創造する作文、思考発表クラブ、自主学習クラス、自然寺子屋合宿の四つの方向で、今後の言葉の森の運営をしていく予定です。
そして、この幅広い企画の担い手になるのが、森林プロジェクトです。
森林プロジェクトの企画の中心は、作文の指導ですが、教室の運営の中に思考発表クラブや自主学習クラスや自然寺子屋合宿の取り組みも入れられるようにしたいと思っています。
今の日本の社会は、様々なところで行き詰まっているように見えます。
それは古い権益に依存している人が多いため、社会全体が停滞しているからです。
この古くなった社会を直接変えようとするのではなく、未来の社会を担う子どもたちを育てることによって、自然に新しいよりよい日本の社会を作るということに結びつけていきたいと思っています。