次は、記述力の練習方法です。
問題集などから、一つの問題文を選び、その感想を書く練習をします。
1文の平均は約50字と考え、指定した字数でまとめるようにします。
この感想の書き方で大事なところは、ある考えともう一つの考えを対比して書くことです。
しかし、それが難しいようであれば、ただ字数を指定して書くだけでもかまいません。
字数は、50字にまとめるとか100字にまとめるとかを自分で決めて、その字数の感覚をつかめるように練習します。
この場合、決めた子数ぴったりにまとめるということを心がけると、細部の表現を工夫する力がついていきます。
記述のコツは、対比して書くことです。
対比して書くとは、「Aだと思う」とだけ書くのではなく、「BではなくAだと思う」とか、「確かにBという考えもあるが、Aだと思う」というように、自分が書こうと思うことと対比する考えや事実がわかるようにするということです。
記述の問題の多くは、この対比が重要なポイントとなるところで出されています。
対比の仕方には、ほかに、「Bではなく、Aになった」とか、「Bでありつつ、Aであった」とかいうものもあります。
この対比を自覚して書いていくと、輪郭のはっきりした記述になってきます。
この記述の練習も、毎日やるためには、親が簡単に評価する仕組みを作っておく必要があります。
そのためには、元の問題文と照合して内容が合っているかどうかまで見る必要はなく、ただ書かれた記述の文章を見て、それが意味の通ったものであるかどうかだけを見ておけばよいのです。
というのは、もし内容とずれている記述であっても、それは注意して直るものではないからです。
読む力と書く力がつけば、自然に内容に合った記述になってきます。
国語の勉強は、繰り返しているうちに、次第に中身が伴ってくるという特徴があります。
だから、何度も練習するという基礎力をつけておくことが大事なのです。
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算数・数学の勉強は、ただ繰り返しているだけではできるようになりません。
理屈を理解するのが勉強の基本です。
国語の勉強とは、これとは反対です。
理屈を理解するより以前に、何しろ繰り返すことが大事なのです。
繰り返しているうちに、自然に読む力、書く力がついてきます。
理屈による理解は、そのあとの最後の仕上げになるのです。
「読書百遍意自ずから通ず」という言葉があるように、国語の勉強は繰り返しているうちに、自然にできるようになる面があります。
これは、国語だけでなく、英語など語学の勉強にも共通するものだと思います。
理屈により理解は、まず繰り返して慣れたあとにしていくものです。
理屈による説明を先にすると、かえって難しくなるのです。
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国語力には、読む力のほかに書く力もあります。
例えば、要約の問題、記述の問題、作文や小論文の問題などです。
読む力の基本が、難しい文章を読みなれることだったのと同じように、書く力の基本は、書き慣れることです。
その書き慣れるという基礎力の上に、書き方のテクニックがあります。
大事なことは、テクニックよりも時間のかかる基礎力を早めにつけておくことです。
書く基礎力をつけるためには、週に1回や2回、国語の教室に通って勉強をするのでは間に合いません。
短時間でよいので、家庭で毎日書く練習をすることが大切です。
では、書く練習はどのようにするのでしょうか。
まず、要約の練習です。
要約の練習で大事なことは、素早くまとめる力をつけることです。
時間のかかる練習方法では、子供が飽きてしまいます。
簡単にできるやり方で、毎日続けていくのです。
まず、要約のもとになる文章を読みながら、自分なりによくわかったところ、大事そうだと思うところに、線を引いていきます。
この場合、中心になるのは、よくわかったというところです。
よくわかったところが、大事なところだと思えなくてもかまいません。
自分なりに、なるほどと思ったところに線を引いていくのです。
一通り読み終えたら、自分が線を引いたところだけを選んで飛ばし読みをします。
その飛ばし読みを何度か続けると、文章の全体の流れが頭に入ります。
そこで改めて大事なところを選ぶようにします。
1文の平均の長さを50字と考えると、150字の要約であれば3文です。
最初は3文にまとめるぐらいを目標に、大事だと思うところを3か所選びます。
そして、その3か所の文をつなげれば要約の出来上がりです。
これを言葉の森では、三文抜き書きという呼び方で練習しています。
最初は、文章の中心とずれたところで三文抜き書きになってもかまいません。
要約らしい形ができていれば、練習を続けるうちに、あとから内容が伴ってくるようになります。
この、形を先にする練習であれば、どの子も要約の練習ができるようになります。
この練習を毎日するのです。
元にする文章は、国語問題集の問題文から選びます。
ところで、要約のあと、その文章を見てあげる人がいなければ、子供にとってはやはり張り合いがありません。
そこで、お父さんやお母さんが、その要約の文章をチェックします。
このときに大事なことは、その要約が元の文章の内容と合っているかどうかということではありません。
そこまで考えると、要約のチェック自体が負担になるので、親の都合で要約の練習が毎日はできないということになりかねません。
要約の練習は、要約に慣れることが目的ですから、チェックはもっと簡単でいいのです。
要約した文章が分かりやすく書かれているかどうかがチェックの基準です。
この練習を繰り返していると、誰でも楽に要約ができるようになります。
そして、要約の仕方に慣れてきたら、次は、字数を指定して150字なら150字ぴったりに1文字の過不足もなくまとめる練習をします。
それができたら、時間制限をして、その時間内にまとめる練習をします。
こういう目標があると、要約の練習は楽しくなってくるからです。
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書く力の練習には、テクニックを覚えるより前に、書き慣れるという基礎力をつけておくことが大事です。
基礎力をつける練習には、家庭での毎日の自習が必要です。
そして、家庭での自習でいちばん大切なのが、できるだけ簡単なやり方で続けることなのです。
簡単なやり方で、短時間で、毎日欠かさず、そしていつも褒める、というのが勉強の基本です。
勉強を教えることに慣れていない人ほど、難しい複雑なやり方で完璧に理屈どおりに勉強を教えようとします。
そういう勉強のさせ方は、2、3回はうまく行きますが、やがて子供が負担になり、叱る回数が増えてきて、そのうちに続かなくなります。
できるだけ手を抜いて、楽にできる方法で、毎日続けていくのがいいのです。
昔、ケセラセラという言葉がありましたが、ちょうどそんな感じでやっていくといいのです。
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自主学習クラスでは、国語の問題集読書を中心に、家庭学習のチェックをしています。
これは、特に国語の勉強が家庭学習だけでは続けにくいからです。
普通、国語の家庭での勉強というと、問題集を解くような形の勉強になります。
しかし、これでは国語力はほとんどつきません。
それは、かける時間のわりに読む量が少なすぎるからです。
国語力の基礎は、難しい文章を数多く読み慣れることです。
その基礎力の上に問題を解くテクニックがあります。
その勉強法として最も役に立つものが問題集読書です。
問題集読書で深く読む力をつける一方、普通の読書で読むスピードをつけ、更に高度な読書で考える力をつけていくというのが国語力を育て王道です。
ところで、この自主学習クラスでは、国語以外の他の教科の勉強もチェックできるようにしています。
特に、今後役に立つのが、スタディサプリを使った算数数学の1年間先取り勉強です。
なぜ、算数数学を先取りしておくといいかというと、受験期の1年間は受験用の算数数学の勉強をすることができるからです。
特に、日本の入試問題は算数数学の成績で差がつくようになるので、受験期には受験に特化した算数数学の勉強をしていけるといいのです。
家庭学習を基本にして、家庭だけでは続けにくくなる勉強を、オンラインで先生がチェックするという勉強法は、今後いろいろなところで取り組まれてくると思います。
特に、長文音読や、読書や、問題集読書のような形の残らない勉強には、この「家庭学習」プラス「オンラインチェック」というのは有効な勉強法になると思います。
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今回はちょっと話を変えて、スタディサプリの先取り勉強についてです。
特に、算数数学の1年間先取り学習が、日本の受験体制の中では有利になります。
本当は、先取りの勉強などをする必要はありません。
しかし、大学入試の数学においては、先取りの有無で大きな差がついてしまいます。
だから、小中学生のうちから、学校の勉強に頼らない先取りの勉強法を身につけておくといいのです。
勉強は家庭での独学が一番です。
昔は独学用の教材が限られていましたが、今は豊富にあります。
本当は、学校の教科書が独学できるように作られていればいちばんいいのですが、今はその代わりにスタディサプリなどの利用ができるようになっています。
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垂直統合から水平分業へということで、コンピュータ産業が構造転換したときの様子を図解でわかりやすく説明しているページがありました。
パラノイアだけが生き残る
(池田信夫氏のブログより)
この記事の趣旨は、自動車産業においても、EV化が水平分業の形で進むということです。
しかし、私は、ここから連想して、教育産業にも同じことがあてはまると思いました。
今の教育の本流は、垂直統合です。
学校という場が、教材も先生も教室も用意して、垂直統合的に子供の教育を行っています。
部分的に、学校とは別の習い事に行ったり、学習塾に行ったりする面はありますが、それは本流ではありません。
しかし、インターネットの活用が、今後、教育においても、水平分業を進めていくと考えられます。
そのひとつの象徴が、年々増加する不登校という現象です。
平成27年度の調査によると、小学生の生徒数は654万人と、前年度よりも6万人減っています。
しかし、不登校の数は2万6千人と2千人も増えています。
中学生の場合は、347万人と前年度よりも4万人減っています。
しかし、不登校の数は9万7千人と2千人も増えています。
平成27年度学校基本調査(確定値)の公表について
ありえないことですが、このグラフをずっとそのまま延長していけば、やがて生徒数よりも不登校の数の方が多くなる時期が来るということです。
不登校というと、まるで学校に登校することが当然のことで、登校しないことが例外的なことのように思われがちですが、そういうことはありません。
私自身の子供時代をふりかえっても、学校の勉強は本当に退屈でした。
いつも、窓から外を見ては、スズメなどの小鳥は自由でいいなあと思っていたものです。
ただ、当時は不登校という選択肢があるとは知らなかったので、つまらなくても我慢して学校には行くものだと思って行っていただけです。
そのときに自分を励ます言葉が、「○○ちゃんに会うために行くんだ」ということでした。
もちろん、中には学校が好きでたまらないという人もいると思いますが、私は自分の経験から、不登校というのはごく普通のことのように思っています。
ところが、昔は、学校の垂直統合度が今よりも高かったので、学校に行かないと勉強がわからなくなるという心配がありました。
学校以外の選択肢というものが、あまりなかったのです。
しかし、今は、学校以外の選択肢はかなりあります。
それにも増して重要なことは、フリースクールなどのやはり垂直統合型の学習の場を選ぶ以外に、水平分業型の勉強もできるようになっていることです。
それを可能にしたのは、やはりインターネットによる情報流通と交流機会の増加です。
今は、家庭でいながらにして、教材と先生と教室を水平分業的に選べるようになっているのです。
この水平分業的な選択がこれから増えてくると思われるのは、勉強の目的がこれまでの単線型の受験中心から、それぞれの生徒の関心や希望に応じたものになっていくからです。
ここでコンピュータ産業が、水平分業型に移行した際、主要なプレーヤーがIBMからマイクロソフトに移ったのと同じようなことが、教育産業においても起きてくると思われます。
それを私は、教材でも、先生でも、教室でもなく、一緒に勉強する友達ではないかと考えています。
人間にとって、最も重要な選択の基準は、居心地のいい仲間と一緒にいることです。
それは、勉強のような、それ自体は友達との交流が不可欠ではない分野についても言えることです。
言葉の森も、そういう友達との交流ができるような学習機会を通信教育の中で作っていきたいと思っています。
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今はまだ、学校のような勉強全体を見てくれるところに頼らなければ、家庭だけで子供を教育するのは難しいと感じている人が多いと思います。
しかし、条件としては、家庭学習だけで、学校と同じ勉強をすることは十分に可能になっています。
と考えてみると、最後に残る重要な要素は、友達の存在ではないかと思いました。
コンピュータ産業においては、グローバル化が進みました。
それは、IT技術が基本的にコピーが可能なものを対象にしていたからです。
しかし、これからの教育文化産業においては、対象はコピーできない個々の人間になります。
だから、これからの産業は、ネット上のローカル化が進んでいくのです。
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問題集読書は、飽きて続けにくくなることが多いので、家庭でどう続けるかということが大事になります。
その問題集読書を続ける方法はあとで書くことにして、まず問題集読書の意義にについて説明していきます。
国語の問題集は問題を解くものではなく、問題文を読むために使うものと考えることです。
それはなぜかというと、問題を解くと、答えが合っていたかどうかということに終始してしまうからです。
こういう勉強の仕方では、国語の問題をいくら解いても、国語の力はつきません。
国語の読解問題で大切なことは、正しい答えがわかることではありません。
正しくない答えがなぜ正しくないかわかることです。
易しい国語の問題であれば、正しい答えがわかる程度でも正解になります。
しかし、入試問題レベルのテストになると、正しくない答えがなぜ正しくないかがわからなければ、正解にはなりません。
国語の点数にムラがある子の多くは、正しい答えがわかるという勉強の仕方をしています。
正しくない答えがわかるためには、問題文をじっくり読む必要があります。
問題文をじっくり読むためには、問題文の文章に書かれている内容や語句に慣れている必要があります。
特に、難関校の国語の問題の文章は長いものが多いので、難しい文章を読み慣れていることが国語力をつける大前提になるのです。
問題集読書では、問題を解くのではなく、問題集にあらかじめ答えを書き込んでおき、その問題でなぜそういう答えになるのかを読むようにしていきます。
最初は、ただ問題文と設問と答えを読むだけでかまいません。
慣れてきたら、正しくない答えがなぜ正しくないかも考えながら読んでいきます。
それを1冊の問題集について、5回繰り返します。
同じものを繰り返すということが大事で、これは国語の勉強に限らずすべての教科について言えることです。
この繰り返しの勉強を形骸化させないために、問題集読書は音読が基本です。
子供は音読を嫌がり、黙読で済ませようとしますが、黙読では繰り返しているうちに斜め読みになり、やがて表面だけの読み方になります。
子供が音読を嫌がらないようにするためには、親がその音読の仕方を絶対に注意しないことです。
子供の音読というものは、近くで聞いていると、必ず何かひとこと言いたくなるものです。
それをじっと我慢して、音読したことを褒めてあげるだけにするのです。
問題を解くとか、書いて覚えるとかいうやり方よりも、ただ読むだけでというやり方がなぜよいかというと、読む勉強は、解く勉強や書く勉強に比べて何倍も能率がよいからです。
国語の問題を1問解く時間があれば、その同じ時間でその問題と答えを5回以上読むことができます。
これが読む勉強を優先させる理由です。
ところが、この長文の音読をしたり問題集の読書をしたりというのは、実は子供にとってはかなり張り合いのない勉強なのです。
また、そばで見ている親にとっても、ただ読むだけ勉強は、それがどういう力になるのかあてのない気がするものです。
鉛筆を動かしているような勉強の方が、子供も親も、勉強しているという実感がわくからです。
このため、長文音読や問題集読書を始めてはみたものの、じきに飽きてやめてしまうという人が圧倒的に多いのです。
そこで、言葉の森が行っているのが、自主学習クラスで問題集読書に取り組むという勉強方法です。
これは、国語の問題集読書を中心として、その他の教科の勉強や読書もオプションで付け加えられるようにして、その日の国語問題集読書を先生がオンラインでチェックするというものです。
この自主学習クラスを受講をして、毎日の問題集読書をしている子は、確実に国語の成績が上がっていきます。
家庭だけでは続けにくい問題集読書を、家庭と先生との連携で、オンラインで子供の勉強をチェックしながら続けていくというのが、これからの国語の勉強の新しいやり方になると思います。
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勉強のやり方というものは、誰でもわかっています。
しかし、それが続かないことが多いのです。
特に、国語の勉強ではやり方はかなり単純です。
ただ難しい文章を読み慣れておけばいいのです。
ところが、それがなかなか続かないのです。
簡単で無駄のない勉強法は、問題と答えをただ読むという勉強です。
それを繰り返していれば確実に力がつきます。
特に国語ではこれが当てはまります。
しかし、それが惰性に流れないようにするためにはやはり工夫が必要です。
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国語力というものは、一般につけにくいものだと思われています。
国語の問題集をいくら解いても、国語力がつくようになるとは思えません。 学校や塾で国語の授業をいくら熱心に聞いても、国語ができるようになるとは思えません。
国語というのは、目標も手段もあてのない教科だと思われているのです。
確かに、国語の点数を上げるコツというものはあります。
それは読解のコツ、記述のコツを身につけることです。
作文のコツというものもあります。
しかし、そのコツ、つまりテクニックでできる部分は、氷山で言えば水面の上に出ているところに限られています。
水面に沈んでいるところの国語力は、どうやって伸ばしたらよいか分からないというのが、多くの人の正直な感想だと思います。
この水面下に沈んでいる国語力というものは、一言で言うとその学年相当よりも少し難しい文章を読み取る力です。
国語の勉強を何もしていないのに、最初から国語の成績のよい子がいます。
そういう子に共通しているのは、小さいころから本をよく読んでいることです。
しかも、その本は、その学年の子にとってはやや難しい文章のものも含まれていて、それを自分から進んで読んでいるのです。
したがって、国語力をつけるためには、少し難しい文章を読む時間を増やすことです。
その一つのポイントは、作文感想文の勉強をする中で、感想文のもとになる長文を読み取る練習をすることです。
感想文を書くために元の長文を何度も読み、両親に関連する話などを取材していくと、その文章を読み取る力がついてきます。
それを繰り返すことで、難しい文章も読み取れる国語力がついてきます。
言葉の森の作文で、課題の長文の音読と、似た話の身近な人への取材をすすめているのは、作文を書く準備とともに、国語力をつけるためでもあるのです。
もう一つは、その学年にとって少し難しい文章、つまり国語の問題集に出てくるような文章を毎日読むようにすることです。
これを、言葉の森では、問題集読書という名前で呼んでいます。
しかし、この問題集読書を続けるには、少し工夫が必要なのです。
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国語力というものは、短時間でもいいので毎日続けることでついてきます。 何を続けるかというと、読書や長文音読や問題集読書です。
国語は、音楽やスポーツのような、体に覚えさせることで力がつく科目です。
これが、理屈がわかれば力がつくほかの教科の勉強と違うところです。
毎日続ける勉強で大事なのは、家庭学習を基本とすることです。
国語は塾や学校で行う勉強ではなく、家庭で行う勉強なのです。
国語の問題集は、解くものではなく読むものです。
問題を解く勉強をすると、結局、合っていた、間違っていたという確認で終わってしまいます。
読む勉強であれば、解く勉強にかける時間の5倍以上の勉強ができます。
そして、問題と答えを読んで、どうしてその答えになるかを理解していけばよいのです。
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「作文が全然書けないんです」という相談を、小学校1、2年生の子のお母さんからよく受けます。
学校から宿題で出された作文が、全然書けないと言うのです。
なぜ書けないかというと、いちばんの原因はこれまでに作文を書いたあと、たくさん直されたり注意されたりしたことがあったからです。
子供はもともと無邪気なものですから、間違っていようが正しくなかろうが何でも自分の力でやりたいと思っています。
それが作文の場合にそうならないのは、かつて作文を書いたことがあり、それを自分が予想もしていなかったところで、たくさん注意されるようなことがあったからです。
小学校1、2年生で本をたくさん読んでいる子であれば、比較的正しい作文はかけます。
しかし、ほとんどの子は、書けば、必ず間違ったところやおかしいところが出てきます。
では、作文が書けない子に対してどうしたらよいかというと、まず作文が書けないという状態を続けてはいけないのです。
子供が作文用紙を前にして途方に暮れている様子を、近くにいるお母さんが見ているだけで、そのままにしておけば、作文に対する苦手はその途方に暮れている時間に比例して大きくなっていきます。
子供が作文が書けないときは、すぐに手助けをしてあげるのです。
その手助けは、例えば、近くにいるお母さんが口頭で書くことを言ってあげることです。
そして、言ったとおりに書けたら褒めてあげるというやり方でよいのです。
何しろ書くという作業をに入ることが大切で、それを自分でやらせるということはそのあとの問題です。
これは、自分が子供の立場になってみればわかることです。
何かができないで困っているとき、その状態を続けるのは苦痛です。
手助けをしてくれる人がいれば、心からうれしく思い、やがて自分の力でできるようになりたいと思います。
手助けしてくれる人がいるから、自分はこれからもできなくていいやと思うような子はいません(笑)。
それは、子供は、というよりも人間は、誰でも自分の中に向上心を持っているからです。
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勉強を教えるときに大事な姿勢は、子供は成長する存在だということです。
その成長を促すためには、できないことを叱るのではなく、できたことを褒めることです。
人間は、褒めて励まされれば、もっとがんばろうと思うものです。
外に出れば、子供はいろいろな困難に遭遇しています。
家の中では、そういう困難なしに安心して甘えられる環境を作っておくといいのです。
低学年の子のお母さんで、「作文が苦手で……」という相談が多いのは、学校や塾で作文を直す指導ばかりしているからです。
書かせて直すという指導は、大人の添削の場合はありますが、初めて作文を書くような子については、まず正しい文章を読み慣れることが必要なのです。
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作文力のいちばんの基礎になるものは読書力です。
その読書力をどのように発展させるかについて述べていきます。
まず第一は、幼児期からの読み聞かせです。読み聞かせは、耳から入る読書です。
本は目で読むだけではなく、耳で聞くことによって、その文章を理解し考える力が育ちます。
聞くことで読む力を育て、それがその後の自分で読む力のもとになっていくのです。
この読み聞かせを、親がするだけでなくオンラインの読み聞かせサークルのようなものを作って進めていくこともできます。
以前、読書実験クラブという企画で、科学の本の読み聞かせをしていましたが、子供たちは皆熱心に聞いていました。
これを今後、森林プロジェクトの企画などで広げていきたいと思っています。
第二は、自分で本を読めるようになった時期の子供の読書の習慣作りです。
子供たちの中には、家庭で読書をする習慣のあまりない子もいます。
読書は学校でするものではなく、家庭で本を読む時間を確保しなければ、読書力は育ちません。
ところが、自分で読むことにまだ慣れていない時期の最初の習慣作りがなかなかできない子もいるのです。
以前、やはり本をほとんど読まない小学2年生の子がいました。家庭の中に、本自体がないのです。
その子に、自主学習クラスで、勉強のあとに読書というやり方をしたところ、それまで全く本を読む習慣のなかった子が、少しずつ本を読むようになり、やがて何も言わなくても勉強のあとに本を読むという習慣ができていったことがあります。
親でなくても、誰かが見ていてくれれば、本を読むようになり、それが毎日続けば習慣ができるのです。
この自主学習クラスによる読書も習慣作りも、今後、森林プロジェクトの企画として取り組んでいきたいと思っています。
第三は、読書の内容やジャンルを発展させる方法で、これは現在思考発表クラブでやっているような子供たちによる読書の紹介が役に立ちます。
小学校中学年以上の子供たちは、同じ学年のほかの子がどんな本を読んでいるかということに関心を持ちます。
この子供どうしの関心を利用して、読者のジャンルを広げていくのです。
これも、今後広げていきたいと思っている企画です。
第四は、難しい文章を読む力をつける読書で、具体的には入試問題レベルの本も楽しく読めるようになることです。
これは、小学校高学年以上の感想文課題の長文の音頭や、問題集読書の音読を続けることで基本的な力をつけていくことができます。
子供たちがなぜ難しい本をなかなか読まないかというと、意味のわからない初めて見る言葉が次々と出てくるからです。
こういう言葉に慣れることが、難しい文章を読む力をつけます。
この難しい文章を読む力は、小学校高学年から、中学生、高校生へと段階的に発展させていく必要があります。
第五は、実際に難しい本を読む機会を作ることで、これは主に高校生大学生の読書教育になります。
具体的な例で言うと、中公新書や岩波新書のような本で、自分の関心のあるテーマについての理解を深めることと、岩波文庫の青帯や白帯のような古典と言われる本を読む力をつけていくことです。
特に、古典を読む力は、学生時代につけなければ、その後読む機会はまずありません。
学生時代は、易しい本を10冊読むよりも難しい本を1冊読むという時期で、これがその後の教養の土台になっていきます。
このように、幼児期の読み聞かせから高校生大学生の古典読書まで、長期間の読書と作文の教育によって読む力と書く力をつけていく展望でこれからの教室運営していきたいと思っています。
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幼児期によく読み聞かせをしていたのに、小学生になったら本を読まなくなったり、小学生のころはよく読んでいたのに中学生になったら読まなくなったり、中学生のころはよく読んでいたのに……という例は、よくあります。
読書力は、その年齢に応じて発展していくものだからです。
それは作文力も同じです。
小学生の読書率は上がっているのに、高校生の読書率が低下しているのは、小中学生のころに読む本が発展していないからです。
だから、高校生になって勉強が忙しくなると、本など読んでいられないとなるのです。
つまり、読んでいられないと思うような本しか読んでいなかったということなのです。
もちろん、娯楽の読書はそれはそれでいいのです。
大事なことは、娯楽以外の知的な本を読む楽しさも身につけておくことです
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