受験生の保護者が、子供と一緒に受験に取り組む際の大事なポイントは3つあります。
第一は、保護者が受験の合否に対する耐性をつけておくことです。
合否はその後の人生に大きな影響を及ぼすように思われがちですが、そういうことはありません。
合格不合格にかかわらず、その子のその後の生き方がすべてです。
合格してよかった子もいれば悪かった子もいるし、不合格になってよかった子も悪かった子もいます。大事なのは、その後なのです。
そういう大きな視野を保護者が持っていることが大切です。
だから、合否が決まっ翌日には、もう合否に関係なく新しい取り組みを始めていくことです。
第二は、大きな視野を持つことと反対のように見えるかもしれませんが、親が全面的に子供の受験に協力する体制を作ることです。
勝負の目的は勝つことですから、勝つという目的に徹することが大切です。
塾に任せるだけでなく、親が志望校の傾向を分析したり、子供の勉強の重点を決めたりすることが大切です。
受験作文については、事前に作文課題に関する材料を親子で集め、話し合い、作文が返却されたらそれを親子でよりよく書き直しておくことです。
こういう形で10問ぐらい志望校に合った練習しておけば、どういう課題が出ても、それまでに練習した作文の題材と表現と主題を組み合わせて構成を考えることができます。
第三は、その志望校についてですが、受験する学校の過去問を独自に分析しておくことです。
学習塾によっては合格可能性を測定するために、受験の直前になるまで過去問をさせないところがありますが、これは本末転倒です。
過去問の研究は、受験の1年前から始めていくのが原則です。
これは、高校入試でも、大学入試ても同じです。
大学入試の場合は、高2から高3になるときの春休みに、志望校の過去問を答えを書き写しながらでいいので、全部解いておくことです。
それでこそ、1年間の受験勉強の作戦が立てられるのです。
先に過去問を研究して、自分の弱点を補強するという対策を取るのが、最も効率がよい勉強の仕方です。
しかし、実は、以上の三つと正反対のことをしている保護者がとても多いのです。
それでも、合否はある確率で決まりますから、正反対の勉強の仕方をして合格する人はたくさんいます。
だから、いまだに、合否は人生の岐路、受験は塾や予備校にすべてお任せ、過去問は最後の仕上げと考えている人も多いのですが、それはよい勉強法とは正反対の勉強法なのです。
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受験の合否は、ほんの第一歩で、その後の取り組み次第でよくも悪くも変わるものです。
合否は当面の目的ですが、本当の目的はその後の人生なのです。
「人間万事塞翁が馬」というのは、その場ではそうは思えませんが、時間がたってみるとそうなっていることが多いのです。
だから、今悪くてもそれでおしまいだと思わないこと、今よくてもそれで完璧だと思わないこと、そして、今がよくても悪くてもいつも明るく前向きに生きていくことです。
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小学1年生は、その後の小学校生活の勉強のスタイルの基本が作られる大切な時期です。
しかし、このころは勉強もやさしいし子供も言うことをよく聞くので、あまり先のことを考えずに子育てをしてしまうことがあります。
よくあるのが、親が教えたり指示したりしすぎることです。
小学1年生のときに親に言われたとおりに勉強をしていると、その後、自主的に自分でやる工夫ができなくなることがあります。
よく言うことを聞くからといって、それで聞かせて済ませるのではなく、子供が自分で考えて行動するようにしていくといいのです。
作文に関しては、逆に、子供に自分ひとりの力で書かせようとして、かえって親子の勉強がうまくいかなくなってしまうことがあります。
この場合は、親がどんどん手助けして、楽に書かせるようにするといいのです。
また、勉強の方法で大事なことは同じものを繰り返し身につけることですが、小学1年生のときに、子供が喜ぶからといって、新しい教材を次々にさせてしまうようなことがあります。
すると、学年が上がったときに、同じものを繰り返すという勉強の基本がかえってできにくくなることがあります。
このような勉強の仕方のアドバイスをお話しし、そのあと、保護者からの質問と相談の時間をたっぷりとっていく予定です。
お申し込みは、言葉の森のホームページの
小1オンライン相談会 のページからお願いします。
小1の保護者以外の方も参加できます。
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小1のころの勉強でよくあるのが、やり過ぎとやらなさ過ぎです。
このころの子供は、素直で親に言われたとおりにやるので、どちらかに偏ることが多いのです。
ところで、やらさな過ぎが大きな問題になることはまずありませんが、やり過ぎがあとで問題になることは結構あります。
子供との距離を適度に置いて、できるだけ子供の自主性を尊重してやっていくといいのです。
小学1年生の生活で大事なことは、勉強をできるようにさせることではなく、幸福に生きるようにさせることです。
このころは、何しろ楽しくやっていくことが大事で、それさえできていれば、子供はのびのびと成長します。
暗い気持ちで勉強するよりも、明るい気持ちで遊んでいる方が、頭脳は何倍も活性化するのです。
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うちの子供が保育園に通っていたころ、毎朝、子供の様子をノートに書いて先生に渡すという決まりがありました。
せっかく書くのだからと、毎朝必ず何か面白い笑える話を入れて書くようにしました。
朝の慌ただしい時間帯ですから、毎日、面白い話を見つけて書くのは大変です。
しかし、何年か経ってそのノートを読み返してみると、その時の情景がありありと思い浮かび、大変だった子育てがその大変さの分だけいい思い出になっていると気がついたのです。
今、言葉の森で作文を書くために、お母さんやお父さんが子供の話に付き合ったり、また、思考発表クラブで構想図を書くのを手伝ったりアップロードしたりするのは、お母さんやお父さんにとっては結構大変なことだと思います。
しかし、それが何年か経ってみると、その大変さに比例していい思い出になっているのです。
だから、大事なことは時々手を抜いて、あまり真面目にやろうとしすぎないことです。
子供時代というのは、振り返るとあっという間に過ぎてしまうような時期です。
この時期を楽しみながら取り組んでいくといいと思います。
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子供が言うことを聞いてくれないとイライラするときは、ちょっと遠くを見るのです。
10年後とか。
そして、やがてこんなことがいい思い出になるだろうと思うのです。
子供時代は、ふりかえると一瞬の出来事です。
ときどき手を抜いて、できるだけ楽しくやっていくことです。
子供を見ていると、いろいろなことが心配になります。
しかし、困った子も、みんな立派な社会人になっていきます。
そして、どちらかというと、困った子ほどたくましく生きていくようなのです。
だから、困ったことは起こらないと考えておくといいのです。
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勉強も仕事も、やらなけれがならないと言われているものは、もともとあまり面白くないものが多いものです。
集中してやれば短時間でできることなのに、なかなか始められなかったり、ついだらだらやってしまったりすることがよくあります。
しかし、集中力がないということはある意味で人間的なことです。
機械であれば、同じ作業を集中して延々と続けます。
もし、人間でもそういうことができる人がいたとすれば、その人は仕事も勉強もよくできるようになるかもしれませんが、あまり人間味があるとは言えません。
人間味には、いろいろな要素がありますが、そのひとつが創造性です。
創造性のある人は、やり方の決められたことに長時間集中するのが苦手なのです。
そこで、退屈なことにも集中力をつけて取り組むコツが必要になります。
まず子供に集中力をつける前提として、無理に長時間勉強をさせないということがあります。
小学校低学年で、なかなか勉強にとりかからなかったり、すぐに飽きたりするという子の場合、勉強のしすぎという背景があることがかなり多いです。
親がちょうどいいと思うぐらいの時間は、子供には大体長すぎます。
親が、これでは短いというぐらいの時間が、子供には適度な時間なのです。
勉強が適度な時間であるのに、集中できないという場合は、目標を作ることが集中力をつけるコツになります。
そのひとつが、タイマーを使うことです。
やらなければならない勉強を始めるのに、それが何分で仕上げられるかという見積りをあらかじめ立ててみるのです。
この見積りを親が決めるのではなく、子供が自分で決められるようにします。
例えば、長文の音読暗唱をやるとした場合、5分でやりきれると思えばタイマーを5分にして取り組みます。
すると、取り組むきっかけができ、目標ができるので、退屈な勉強もすぐに取り掛かれます。
また、タイマーで時間を見積もるときに、自分の好きな占いの方法で時間を決めると、更に目標が絞りやすくなります。
人間は、自分の自由意思で決めるよりも、他から決めるきっかけを与えられた方が迷わずに取り組めるのです。
このタイマーによる方法は、勉強だけでなく遊びにも使うことができます。
退屈な勉強をしていると、途中でしばらく息抜きをしたくなることがあります。
息抜きで、インターネットを見たり、漫画を見たりするということは誰でもあります。
その息抜きに、「では、5分だけ漫画を見てからまた始めよう」などというふうに使うのです。
子供の勉強や遊びの時間を親が指図しすぎると、子供が自分自身で工夫する力が育ちません。
小さいころから、自分で時間をコントロールする仕方を身につけておくと、高校生や大学生になり自分の自由意志で勉強をするようになったときにそのコツが役立ってくるのです。
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集中力を持たせるには、第一に長時間やらせないことです。
第二に、予定より早く終わったからと言って、勉強を追加させないことです。(やる人が多い(笑))
第三は、タイマーをうまく活用することです。
そして、第四は、退屈な勉強には集中できないのがむしろ人間の本来の姿だと思うことです。
集中力のある子を育てるには、子供が何かに熱中していたらそれを途中で止めないことです。
食事の時間になったとしても、「ご飯だから、もう片付けなさい」などと途中で水を差すようなことはせずに、本人が満足して自然に終えるまで気長に待っていてあげるのです。
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