受験で作文や小論文を使うという場合、そのための練習はなかなか難しいものです。
(以下、作文・小論文をまとめて作文と書きます。※)
英語や数学であれば、すべて答えがある問題ですから、どういう問題が出されるか過去問を分析してその問題に合うような練習に取り組めばそれで成績は確保できます。
ところが、作文の勉強は、過去問の模範解答を見ても、実際の試験で出る問題は全く違います。
同じように、国語の問題も、過去問を解いたからといって、試験の成績がよくなるというあてはありません。
では、どうしたらよいかと言うと、どういう問題が出されても得点できるだけの国語力、いい文章を書けるだけの作文力を作っておけばいいのです。
とは言っても、作文の実力向上を実感するのは、受験作文に本気で取り組んでから約1年かかりますから、ほとんどの受験生は練習時間が足りません。
そこで言葉の森では、短期間に合格する作文力をつける方法を作っています。
それは、過去問に類似するようなテーマを何本か書いてみるという練習です。
過去問をそのまま書くということもありますが、基本は、過去問に類似した傾向の問題を書くということです。
そこで大事なことは、その傾向に沿って価値ある体験実例、社会実例、光る表現、深められた主題を準備してくることです。
作文の書き方という構成の部分は、言葉の森の考案した独自の構成法でアドバイスします。
生徒が準備するのは、構成以外の、題材と表現と主題です。
(つづく)
★言葉の森の受験作文コースを受講している保護者の方向けに、のオンライン個人面談を行っています。(生徒の同席も可です。)
個人面談を希望される方は、面談予定表のページからお申し込みください。
※
作文と小論文を区別して考える人がいますが、上手な文章を書くが目標ということであれば、作文も小論文も同じです。
強いて区別を言えば、題材が中心になるのが作文で、主題が中心になるのが小論文です。
中心になるとは、その部分の分量が多いということではなく、文章全体の重点がどちらになっているかということです。
しかし、その区別は黒白はっきり分かれるわけではなく灰色の範囲もかなりあります。
そこで、言葉の森では、作文も小論文もひとまとめにして作文と使うことが多いのです。
前回の記事に引き続き、小1オンライン相談会で出された質問に関して、こちらからお答えした内容を載せておきます。
7.
課題の音読を嫌がるという質問がありました。
特に長い長文は嫌がって、短い長文ばかりを読みたがるということです。
これは、行数を区切って例えば10行だけ読むとか、「。」(句点)3つ分だけ読むとかというふうにしておくといいです。
要は、毎日読むという習慣をつけることが大事ですから、量は少なくてもいいのです。
ただしその代わり、早く読めるようになったからといって途中で追加させないことです。
決めた分量が早くできたら、褒めるだけにして、追加しないことが大事です。
追加をさせる勉強になると、子供はやがてだらだら勉強するようになります。
そのだらだら勉強の弊害はあとあとまで残ります。
8.
勉強のタイミングについて質問がありました。
学校から帰ってすぐという習慣ができるといいです。
しかし、それができていない場合、今から習慣を作るのは難しいかもしれません。
朝ご飯の前の時間が、毎日確実にできる時間帯ですから、朝ご飯前に勉強をする習慣を作るのが理想的です。
また、夕ご飯の場合などもよい勉強時間です。
ご飯のあとは、基本的に勉強しない方がよく、特に作文は書かない方がいいです。
食後に頭を使う勉強をするのは、かなり無理があります。
特に、高学年の作文は、食後は避けることです。
食後は、頭を使わない読書をする時間にあてるといいと思います。
9.
私立の小学校で、算数や国語の問題が難しく、平均点が30点から40点のテストがよく出されるが、どうしたらよいかという質問がありました。
学校の先生は、よく趣味的に難しい問題を出します。
教育ということをあまり考えていないからです。
だから、学校のペースに合わせずに、親が点数ではなくその試験の内容を見て、それが子供にとって必要かどうかを判断して重点を決めておくといいです。
必要ではないと思う場合は、できなくてもいいと割り切ることが大切です。
家庭で予習をする場合、教科書をもとに教えるのは無理があります。
教科書は、学校の先生が教える仕組みで作られているからです。
「これでわかる○○」シリーズの参考書兼問題集のように、解説が詳しく書いてある市販の教材をもとに、親の自己流の教え方ではなく、その参考書に書いてある教え方で教えていくとわかりやすくなります。
10.
国語の読解問題ができないという相談がありました。
学校のテストや市販の難しい問題集のテストの場合、できなくてもよいものもかなりあります。
点数ではなく内容を見て、解けるべき問題かどうかを親が判断することが大事です。
できるべき問題ができていない場合、市販の問題集などをやる必要はありません。
国語力は、国語的な生活時間の長さによって決まってきます。
問題集を解くような勉強は、その問題集の勉強が終わったらおしまいです。
面白いから、空き時間にときどき問題集を開いて問題を解という子はまずいません。
これに対して、読書は、興味の持てる本だと少しの空き時間にも続きを読むようになります。
国語力は、国語の勉強をさせることではなく、読書の楽しさを味合わせる方向でつけていくことです。
国語の成績のよい子は、国語の問題集を解くような勉強はまずしていません。
ただし、学年が上がった場合は、読書だけでは易しい文章ばかりになる可能性があるので、問題集読書を並行していくといいです。
11.
暗唱の文章を、正しく読まずに自分なりに読んでしまうという質問がありました。
暗唱をするときは、最初の読み方だけはゆっくり正確にすることが大事です。
最初に間違って読んだものを、あとから直すことはまずできないと考えておくことです。
それぐらい、最初の数回の読み方は大事なのです。
ゆっくり正しく読めるようになったら、そのあとはできるだけ速く読むようにします。
速く読むときは、歩きながら読むなど体を動かしながら読むようにするのがコツです。
こういうコツがわかるためにも、子供に暗唱をさせる前に、親が暗唱の練習を実際にしてみるといいと思います。
12.
暗唱検定は内容が難しいので、いつからやったらいいかという質問がありました。
幼児や小学校1~3年生は、意味がわからなくても読み方さえわかれば暗唱ができます。。
だから、暗唱検定の取り組みは、なるべく早くやっておくといいです。
小学4年生以降になると、暗唱の文章を覚えようという気持ちが出てくるので、かえって暗唱が難しくなります。
繰り返し音読すれば自然に身につくという感覚をつかめるのは、小学校低学年のころです。
その感覚をつかんでおくことが大事です。