先日の小1~小3の保護者の懇談会で、次のような質問がありました。
「作文の構想図を子供がまだ書けないので、親が書いてやっているが、それでいいのか」ということでした。
小学1年生から3年生ぐらいの子は、まだ自分で要領よく構想図が描けない方が多いものです。
そのときは、親が子供と話をしながら構想図を書いてあげ、それを参考に子供が作文を書くということでいいのです。
しかし、その質問のお母さんは、「子供がこれまで曲がりなりにも自分で作文を書いていたのに、親が構想図を書いてやるようになってから、親の書いたものをそのまま写すようになっている」ということを問題にしているのでした。
けれども、私の答えはそれでいいということです。
「それでいい」という理由は、二つあります。
第一は、子供は学年が上がれば必ず自立するようになるからです。
親は、その子が自立するときの手本を教えていると考えるとよいのです。
勉強に限らずどんなことでも、誰でも最初の自信がないうちは、見ているだけのことが多いものです。
見ているうちに自分でもできそうだという自信がつくと、自然にやってみたくなるという流れがあるのです。
第二の理由は、勉強というものの考え方がこれから変わってくるからです。
それは、いい手本を見ることが勉強になるという考え方です。
例えば、算数数学の難問を解く場合、自分で何時間も考えるという方法と、すぐに解法を見て解き方を理解するという方法があります。
自分で考えるというのは、一見正道のように見えますが、難点は時間がかかることです。
ノーベル賞級の最先端の数学の世界であれば、自分で何ヶ月も何年も考えるというのは価値があることでしょう。
しかし、入試問題のレベルの算数数学で、自分で何時間も考えるという無駄な勉強だと考えた方がいいのです。
勉強は、答えや解法を見て理解して、すぐにできるようになることで基礎力がつきます。
その基礎力の土台の上に、自分で考える実力がついたところで、その子にとって答えのない世界で考える機会が出てきます。
その答えのない世界とは、遊びであったり、勉強であったり、又は将来の仕事であったりするのです。
したがって、親が子供の勉強や作文の手助けをするときは、親自身がそれを不本意な手助けだと思ってやるのではなく、逆に親が楽しめるくらい積極的にやっていくといいのです。
それは例えば、構造図を書くときに、ダジャレを使ったり、たとえを入れたり、親の感動的な体験実例を教えてあげたりすることです。
それを、子供に対する押し付けではなく、親が楽しむような余裕を持って行っていくのです。
余裕を持つということは、ほとんどアドリブで手助けをするということです。
もちろん余裕があれば、下準備をして手助けをしてあげることもいいのです。
しかし、準備しすぎるとつい子供にもそれに対応した努力を要求するようになりがちです。
それは、子供の自主性にとっては逆効果です。
子供が小学1年生や2年生のときは、親の子供に対する見方を次のように変えていく必要があります。
「今ここで親の最良の手本を見せておけば、その土台の上に、子供が高校生になったときにやがて親の今のレベルを超えるような考え方をするようになるはずだ」という見方です。
できるだけ視野を遠くに置いて、子供の成長を見ていくとよいのです。
小6の思考発表クラブの懇談会で、次のような質問がありました。
ひとつは、「子供が物語文の本ばかり読んで、説明文の本を読まないので、図書館の物語のコーナー以外のところから本を探すようにアドバイスしたがどうか」というものです。
「図書館を利用して」「子供が自主的に選ぶようにする」というのは、とてもいい方法だと思います。
小学校高学年になると、子供自身に向上心が出てくるので、親が的確な方向を示してあげると、自分なりに工夫してやっていくようになります。
もうひとつは、「子供が読解の問題を解くときに、元の文章に何も書かずに読んでいる。もっと接続詞を囲むとか、同じ言葉が出てきたところに線を引くとかしたらいいのではないか」という質問でした。
このことに関しては、以前記事を書いたことがあります。
「問題文の接続詞を四角で囲む子――国語の勉強法は他の勉強法とは異なる」
https://www.mori7.com/as/2507.html
「国語は問題文に線を引いて読む」
https://www.mori7.com/as/2434.html
難関校の国語問題ほど長い文章を読ませることが多いので、普段から問題の文章には線を引いて読む習慣をつけておくといいです。
しかし、あまり詳しく線を引いたり記号をつけたりする必要はありません。
本当は、説明的な本をよむ場合には、本にも線を引いて読む習慣にするといいのですが、そうすると、ほかの人が読めなくなってしまいます。
将来は、kindleなどを子供に与えて、そこで自由に線を引いたりメモをしたりして読むようにするといいと思います。
そして、いずれkindleも、メモに音声入力機能がつくようになると思います。