思考発表クラブの子供たちの勉強の様子を見ていると、どの子もとても熱心なことに驚きます。
勉強内容の画像のアップロードなどで、お母さんの協力があるので、そういう親子のやりとりが励みになっている面もあると思います。
また、参加している同じくらいの学年の友達とのいやりとりが楽しいということもあると思います。
どの子も、よく準備したことを自分なりに深く考えて発表しているので、それらの発表を聞いているだけでも勉強になるぐらいです。
そこで、三つのことを考えました。
第一は、思考発表クラブの発表が毎週だと負担が大きいかもしれないので、月に1回程度は、それまでに最もよかったと思う発表をコピーして、全体会で発表し直すということです。
今の思考発表クラブは、曜日と時間が決まっているので、他の曜日や他の時間の生徒の発表を見学する機会がありません。
そこで、新しい発表を休む代わりに、他の曜日や時間の発表も見学できるというような機会を作るといいかと思っています。
第二は、オンライン作文の生徒も、ただ作文を書くだけでなく、月に1回程度は、自分の作文を発表する機会を設けてもいいのではないかと思いました。
プレゼン作文発表会という企画のミニ版のようなものを定期的に行い、それを刺激にして毎週の作文に意欲的に取り組めるようにしたいと思います。
第三は、自主学習クラスの生徒も、やはりただ自学自習をして先生にチェックしてもらうだけでなく、月に1回程度、参加者どうしで互いの勉強の報告会を行い、そこで、自分が勉強したことをもとに、似た問題を作り発表するというような場を設けたいと思いました。
こういうオンラインの小発表会を定期的に行い、また年に1,2回は、もっと参加者の規模を大きくした文化祭のようなものを開きたいと思っています。
作文や勉強は、何かの手段として行うだけでなく、それ自体を一つの目的のように行うようになるのが理想です。
言わば、作文の文化や勉強の文化を作るというような形で、取り組んでいきたいと思っています。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
手段としての勉強とは、何かのために苦しくても頑張るという勉強です。
目的としての勉強とは、それ自体が楽しいからやるという勉強です。
目的としての勉強にも苦しいときがあるかもしれませんが、それは楽しいから苦しくても頑張るという苦しさです。
作文も同じです。
作文が好きな子は、書くことを楽しんで書いています。
そういうそれ自体が楽しい勉強に取り組んでいきたいと思っています。
子供たちの発表とそのあとの相互の感想を聞いていると、みんな相手のいいところをよく見て、とても好意的に感想を述べています。
こういう安心できる場というのも、楽しい勉強というのには大切だと思いました。
私は、日本人にはディベートとか、批判とか、論争とかいうのは、向いていないのではないかと思います。
論争をすると、お互いにどんどん萎縮して、そのうち揚げ足取りのようになることが多いのです。
それよりも、互いのいいとろこを見つけようとすると、そこから自分なりの創造的な気づきが生まれてきます。
だから、違いを批判し合うよりも、違いを認め合う方が建設的になることが多いのです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。言葉の森のビジョン(51)
今回のプレゼン作文発表会は、これまでのgoogleハングアウトではなく、別のウェブ会議サービズ「Zoom(ズーム)」を使います。
操作方法はかなりわかりやすいと思いますが、事前にアクセスして使い方を確認しておいてください。
パソコンからでも、スマホからでも、タブレットからでもアクセスできます。
▽発表の仕方、リハーサルの仕方
発表会の当日は、カメラの前で直接発表しても、あらかじめyoutubeにアップロードした動画を発表してもどちらでも結構です。
直接発表する場合は、カメラの前で原稿を読みながら、その作文に関連した絵や写真や物を見せていってください。
必要に応じて、バックに音楽などを流してもいいです。
youtubeにアップロードする場合も同じです。アップロードした場合は、その動画のURLを事前に保護者掲示板からお知らせください。
▽マニュアル
http://zoom-japan.net/manual/
・「ZOOM革命」の田原さんのページです。Zoomは変化が速いので最新の情報とは限りません。
・マニュアルは、全部読む必要はありません。基本操作の「ルームに入室する」から「ルームから抜ける」までを読んでおいてください。
▽プレゼン作文発表会の会場(事前の練習用の会場)
https://zoom.us/j/615473587
・このURLは、プレゼン作文発表会、及び、事前の練習、リハーサルに使います。
・発表会の本番前に、一度はアクセスしておいてください。最初だけ、アプリのインストールがあります。
・練習、リハーサルでアクセスできる時間帯は、11月13日(月)~11月18日(土)の平日16:00~18:00、土曜10:00~12:00の間です。
・ミーティングのIDを尋ねられた場合は、上記のURLの末尾と同じ「615 473 587」と入れてください。
・参加する名前は自分で決められます。また決めたあとも随時変更できます。名前はペンネームにして結構ですが、その際生徒コードもひらがなでわかるように入れておいてください。(例:山ちゃん(ああさ)など)
生徒コードがない方、又はわからない方はご連絡ください。
・近くにある複数の端末から同時に入ると、端末どうしがハレーションを起こす場合があります。その際は、それぞれの端末をスピーカーではなくイヤホンで聞くようにしてください。
・ご不明の点は、言葉の森の教室までお電話ください。(電話0120-22-3987)
▽発表会の当日
・プレゼン作文発表会は11月25日(土)13:30~15:00です。(終了時間は多少前後するいことがあります。)
・発表会の会場(URL)には、13:15から入れます。
・発表する生徒本人以外の方も自由に参加できます。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
25日のプレゼン作文発表会のリハーサル会場ができました。
今度のウェブ会議システムは、googleハングアウトではなく、Zoomです。
初めての人でも参加しやすいと思います。
接続の練習は、平日16:00~18:00で受け付けています。
この3日間は、このZoomを使ったオンライン企画をずっと考えていて、昨日と一昨日はホームページの記事も更新できませんでした。
Zoomでできてgoogleハングアウトできないことや、googleハングアウトでできてZoomでできないことなどがあり、いちいち細かくチェックしていたのです。
しかし、そのかわり面白いアイデアがたくさん出ました。
とりあえず、初回は、プレゼン作文発表会にZoomを使いますが、今後、思考発表クラブも、自学自習クラスも、オンライン作文も、このZoomとこれまでのgoogleハングアウトをうまく使い分けて進めていきたいと思っています。
自学自習クラスとオンライン作文は、これまで生徒と講師のやりとりだけでしたが、今後は生徒どうしの発表会のようなものも毎月できるようにしたいと思います。・
生徒どうしの交流の場は、「中庭」という名称にします。
生徒は、時間のあるとき、いつでも中庭に来ることができて、そこで友達と会ったり、ミニ発表会を行ったりするのです。
いろいろ面白いことをやっていきたいと思います。
プレゼン作文発表会は、急遽googleハングアウトではなくZoomにしました。
いつものように泥縄式で、こういうのでよくみんなから怒られるんです(笑)。
しかし、これからも、迷ったらとりあえず先に進むということでやっていきたいと思います。
Zoomという選択肢はあることは知っていたのですが、インターネットの世界はナンバーワンになるものを使っていないと、あとで乗り換えることになると思ったので、googleハングアウトにしたのです。
今、GAFAということが言われていますが、私はこの中で総合力という点でgoogleがいちばん可能性があると思っていました。
しかし、インターネットの世界もだんだん成熟してくると、専門店化してくるのかもしれません。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。発表交流会(20)
【前回までの記事】
「葦編三絶」という言葉は、孔子が「易経」という書物をとじ紐(ひも)が三度も切れるほど繰り返し読んだという故事から来ています。
なぜ三度も繰り返し読んだかというと、その内容が理解できなかったからではなく、理解が浅かったと思ったからです。
一般に、難しい本を読む場合の理解は、何層にも分けて考えることができます。
1回目に読む場合、理解するところは、自分が既に何らかの形で理解しているものに近いところに限られます。
2回目に読むと、自分の理解が1回目より進んでいるために、もう一段深く新しいことを理解することができます。
3度目に読むと、さらにもう一段深く理解ができるようになります。
このように繰り返し読めば、それだけその本の内容の理解が深まります。
しかし、1回目に呼んだだけでも一応自分なりに理解したつもりにはなっているので、自分の理解が浅い理解だという自覚がないのが普通です。
本を繰り返し読むことが大切なのは、繰り返し読むことによって理解を深めることができるからです。
子供が同じ本を繰り返して読むときも、同じような理解の深化があります。
だから、本をたくさん読む子よりも、同じ本を繰り返して読む子の方が、理解力も語彙力も増えてくるのです。
次は、私(森川林)が繰り返し読む場合の具体的なやり方です。
参考になるかどうかわかりませんが、こういうやり方もあるということで見ていただければいいと思います。
私の場合、1回目は、本に傍線を引きながら読みます。
借りた本の場合は、小さい付箋をつけながら読みます。
付箋として使っているのは、「コクヨ タックメモ 付箋超ミニサイズ 25x7.2mm 100枚x4本 ミックス メ-1097N コクヨ(KOKUYO) ¥258」です。
長さが2.5cmだから、かなり小さく使いやすいと思います。
最近は、kindleも線を引けるようになり、それがクリップに残されるようになっています。
しかし、クリップはいい機能なのですが、私の場合は線を引くところが多すぎるのでクリップに入りきらずあまり役には立っていません。
また、kindleには、線を引いた箇所にメモを取ることもできるます。
これは、特に優れた機能だと思いますが、Kindle Paperwhiteではまだ音声入力に対応していないので、この機能は今のところ使っていません。
スマホのkindleアプリなら使えるのでしょうが、スマホの場合、表の明るいところで読むには画面が見にくいので、読むのはもっぱらKindle Paperwhiteです。
音声入力をするようになったら、Lineも、携帯メールも、すべて音声で書くようになってしまったのでキーボード以外に指で打つことはほとんどなくなってしまいました。
さて、繰り返し読む話の続きです。
傍線を引いた本は、2回目にはその傍線を引いた箇所だけを読み直します。
そして、そのときに、さらにもう一度傍線を引きたくなる場合は二重に線を引いておきます。
kindleの場合は、二重の傍線機能がないのでこれは使えません。
スマホのkindleアプリの場合は、色を変えて引くことができると思います。
2回目に読むと言っても、最初から最後まで全部読むわけではなく、自分が1回目に傍線を引いた箇所だけを読むということです。
ですから、かかる時間はせいぜい15分程度です。
2回目に読むために、1回目に傍線を引いておくということです。
普通は、2回読んで終わりですが、参考になると思った本は3回以上読みます。
3回目には、1回目と2回目に線を引いた箇所を中心にノートに書き出します。
ノートに書き出している間に、いろいろなことを考えつくので、それも一緒に書いていきます。
ノートに書くときのやり方は、ちょうど構想図を書くときのように、散らし書きでA4のノートのおもて面がいっぱいになるように書き出します。
普通、横書きノートには、上から下にというひとつの方向で書いていくことが多いと思います。
しかし、この書き方だと、余白ができて無駄があるので、複数ページにわたって書くようになる場合が出てきます。
ノートに書き出す意義は、書いたものが一覧できることですから、できるだけノートの1ページの中にすべてが盛り込めるように書けるといいのです。
一覧できるのがなぜいいかというと、最初の方に書いたことと、最後の方に書いたことが同時に目に入るので、全体像がつかめるからです。
以前は、私も上から下にという一方向で書いていましたが、ノート1ページに収める書き方を考えているうちに、矢印を使って四方八方に書くような書き方になりました。
これは、マインドマップの書き方に似ていますが、マインドマップの場合は中央から周辺に一方向に広がる形なので、その形に制約されて自由に話を広げることができないと自分では思っています。
3度繰り返し読み、さらに書き写した本であっても、4度目、5度目に読めば必ずまた新しい発見があります。
しかし、そこまでやると時間がなくなるので、よほどの本でないかぎり繰り返し読むようなことはありません。
このように、何度でも繰り返して読むような本は、座右の書というものになります。
こういう座右の書を見つけることが、読書の一つの到達点ではないかと思います。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
大人になって、座右の書と言われるようなものがある人は幸福だと思います。
私はまだ、それに近いものはありますが、そういう本はありません。
本は、いくらたくさん読んでも、自分がわかることしか読んでいないので、あまり考えが深まることはありません。
繰り返し読むことによって、初めて自分がわからないことも読むようになり、そこで考えが深まっていくのだと思います。
と、ちょうどそんなことを考えていたとき、「にんげんクラブ」2017年12月号に出ていたKan.さんの記事を読んだら、本物がわかるようになるためには、専門書を読むといいと書いてありました。
ここで言う専門書とは、難解で1ページや2ページ読むのにも苦労するような本で、それを最後まで読む経験をするということです。
繰り返し読む本に出合うということと、難しい本を読むということは、自分を超える読書という点で同じだと思いました。
ちなみに、私が20代のころ初めて読んだ難しいと思った本は、サルトルの「存在と無」でした。
そして、それよりも難しいと思ったのは、ヘーゲルの「精神現象学」でした。
一応読み終えたものの、99パーセントぐらい理解できませんでした(笑)。
そのあと、イポリットの「精神現象学の生成と構造」を読んだら、やっとヘーゲルの言っていることがおぼろげながらわかってきました。
これ以上難しい本には、その後会っていません。
会っても読まないと思いますが。
うちの子2人が、熱中して繰り返し読んでいたのが、漫画の「スラムダンク」でした。
漫画は一度読んだら目につかないところにしまうとしていたのですが、「スラムダンク」だけは例外でいつでも読めるところに置いておくことにしたからです。
どのくらい繰り返し読んだかというと、ひとつのシーンの背景の観客席の人の表情まで覚えていて話してくれるぐらい深く読んでいたのです。
勉強では、こういうことはありませでしたが。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。読書(95)