世の中には、いろいろな習い事があります。
勉強的な習い事は、やっている子とやっていない子の差が大きく出ます。
しかし、そのほとんどは、誰でもやればすぐにできるようになるものです
生活の中で行う読書や対話は、差があまり出ません。
しかし、子供の本当の学力を考えたとき、この生活の中で行う読書や対話が実は最も大きな差になっているのです。
▽参考記事
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「もとになる勉強、枝葉の勉強――作文と結びつけて読む力をつける」
https://www.mori7.com/as/2789.html
教育に関する情報が豊富にあると、かえってその中で、何が重要で何が重要でないかを見失ってしまうことがあります。
親も子供も熱心にやっているように見えても、その方向が脇道にそれている場合も多いのです。
勉強の中心は、家庭で毎日取り組むと決めたことを繰り返す勉強です。生活の中で毎日当然のように行う平凡な勉強の積み重ねが、もとになる勉強のです。
これに対して、学校や塾から宿題で出されるような勉強は、枝葉の勉強です。宿題のプリントをもらってきて、それをやるような勉強は、繰り返して身につけるというようなことがしにくいので、結局一回きりの勉強にになってしまうことが多いからです。
子供が小さいときは、そういうばらばらのプリントをこなすような勉強も、親がファイルをして整理してやらせることができます。
しかし、子供がひとりでそういうプリント類の管理をすることは難しいので、学年が上がると、与えられた勉強を次々とこなすだけの勉強になりがちです。
宿題というと、やることが義務のように思うので、その勉強を第一に考えてしまう人が多いのですが、自分のペースでやると決めた勉強がもとになる勉強で、人から与えられた勉強は枝葉の勉強だという区別をしておくことが大切です。
勉強の内容として大事なものは、第一に読む力をつけることです。小学生時代は特に、速く、楽に、和多く読む力をつけておくことが勉強の中心になります。
第二に大事なものは、計算する力です。これも、速く、楽に、正確に計算する力をつけておくことです。
それは、計算が苦手だと、その延長で算数や数学が苦手だと思ってしまうことがあるからです。
ただし、計算力はあくまでも第二です。
計算は電卓に代わってやってもらうことができますが、読書は機械に代わってやってもらうことはできません。
計算力に比べると、読書力の差は表面には出ませんが、実はこの読書力の差がいちばん大きいのです。
読む力を更に発展させるものとして、音読、暗唱、親子の対話などの勉強もあります。これらは単独で取り組むよりも、作文の勉強の中で取り組むようにすると定着します。
習い事の中には、子供の個性にあったさまざまなものがあります。英語、プログラミング、スポーツ、音楽など、今は多様な学習の機会がありますが、それらは、読む力、計算する力の勉強に比べると、あくまでも枝葉の勉強と考えておくことが大切です。
子供の好きな分野で個性を伸ばすことは大事ですが、その個性も、もとになる土台の勉強ができて初めて生きてくるのです。
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先日、賢い子は理科が好きだという話を書いたら、何人かの方から賛同をいただきました。
人間にはもともと、知的好奇心があるので、自然界の不思議な現象の背景にある理屈などを知ると嬉しくります。
それは、子供も同じです。
今は、勉強というと、そういう知的好奇心の必要がない、忍耐力だけが必要なことをやらされている子が多いので、子供が本来勉強好きだということを信じられない人もいると思います。
しかし、本当はどの子も勉強は好きなのです。
だから、大人の役割は、そういう子供の知識欲に応えられるような環境を用意することです。
その最も手軽な方法が、科学の本を読む機会を作ることです。
これは、子供だけでなく、大人にとっても面白いので、親子でその科学の話題をもとに話がはずむこともあります。
また、その話のついでに、では実際に確かめてみようとなって、親子で実験が始まる場合もあります。
言葉の森の作文指導は、作文と言っても、文学的な面だけでなく科学的な面も重視しているので、そういう科学の話題とは相性が合います。
言葉の森が、自動採点ソフトの「森リン」を開発した動機も、子供が自分の書いた作文を自分で客観的に評価できるようにするためでした。
科学に関心のある子は、学年が上がるにつれて作文が上手になる傾向があります。
それは、作文の性格が、小学生時代の生活作文から、説明文、意見文、論説文へと次第に変化していくからです。
▽参考になる過去の記事
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「賢い子を育てる、お母さんの科学的関心」
https://www.mori7.com/as/2794.html
子供が、最初に接するのは、両親、特にお母さん、そしてお父さんです。
子供は両親を通して、社会に接していきます。だから、親の関心が子供の関心に結びつくのです。
親が科学的なものの見方に関心を持っていれば、子供もそのような関心を通して世の中を見るようになります。
これが、賢い子を育てる出発点です。
本を読んだり、勉強をしたりする以前に、子供が親の関心に自分の関心を重ね合わせることが大事なのです。
しかし、もとから科学好きな親ならまだしも、多くのお母さんは科学的なことにはあまり関心がないと思います。
そこで、使えるのが、子供向けの科学の本です。
子供と一緒に科学の本を読んでいると、「へえ、そうなんだ」と、世の中や自然の現象についての新しい理解に感心することがあります。
特に、自然界は、科学的な考え方の宝庫です。
自然の中にあるものは、どれもそれなりに必要な科学的裏付けを持って成り立っているからです。
これに対して、人間社会の現象は、にぎやかな話題が多い割に、科学的な裏付けを通して理解するということはあまりありません。
また、一般に勉強と言われるものも、科学的なものの見方にはあまり結びつかないものがかなりあるのです。
特に、成績にすぐに結びつくような勉強は、知識と手続きの理解でなりたっているので、それはそれでとても必要なことなのですが、子供を賢い子にするということにはあまり結びつきません。
むしろ、勉強の時間が多すぎると、勉強以外の読書や遊びや対話の時間が減る場合もあり、その方が子供の成長にとってマイナスになることもあるのです。
最近出た科学の本として面白いと思ったものは、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社)です。
390ページもあり、結構重たいので、読み聞かせに使うとしたらお母さんはかなり大変です。
しかし、ルビがふってあるので、ある程度お母さんが読み聞かせをして、子供が興味を持てば、続きを自分で読むようになると思います。
科学の本の選び方として大事なことは、ただ知識が書いてあるだけでなく、因果関係のような構造が書いてあることです。
科学の本とは少し違いますが、時事問題などでも、事実の経過が重要なのではなく、その背後にある因果関係の解説が大切です。しかし、世の中にある時事問題に関する本でそういう観点で書かれているものはあまり多くありまぜん。
知識が大事なのではなく、その知識の背後にある科学的な関係を知ることで、知的な好奇心が刺激されることが大事なのです。
以上のような科学的関心について考えたのは、ドクター・中松さんの「私は死んでる暇がない」を読んだのがきっかけです。
これも、とてもいい本ですから、子供向けではありませんが、ぜひ多くの方におすすめしたいと思います。
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