子供の作文を見て、よく「もっと字をていねいに書かなきゃ」と言うお母さんがいます。
子供の作文を見て、よく「もっと字をていねいに書かなきゃ」と言うお母さんがいます。
そう言いたい気持ちはわかりますが、問題は子供の字にあるのではなく、つい先に欠点を見て指摘しまうお母さんの方にあるのです。
そう考えれば、世の中は簡単です。
悪いことがあるのではなく、もちろんあることにはあるのですが、その悪い方を先に見てしまう心の姿勢の方にあるのです。
このことで思い出すのは、中村天風の話です。
あるとき、師のカリアッパ氏が天風に質問をしました。
後ろから虎が追いかけてくる。やっと木に登ったら、その木の上から大蛇が近づいてくる。急いで枝から出ている蔦(つた)につかまったら、その蔦の根元をリスがかじっている。下は千尋(せんじん)の谷だ。どうする。
天風は、すかさず答えました。なあに、落ちてから考えりゃいい。
困ったことは、困ったことが起きてから考えればいいという姿勢でいれば、どんなときでもたくましく生きていけます。
困ったことを先回りして考えれば考えるほど、人間は小さくなっていくのです。
真面目な人ほど、「○○しなかったら、○○しなくなるよ」というような言い方をします。
強調するために、二重に否定語を使ってしまうのです。
同じことを、「○○したら、○○するよ」と言うだけで、子供の受け取る感じは全く違ってきます。
聞いていて明るくなるのです。
あれも直して、これも直してと、直すだけで一生終わってしまうような生き方をするのではなく、まず最初に今あるいいところを生かしてそれを伸ばす工夫をすることです。
よいところを伸ばしているうちに、直すつもりだったところは単なる小さなエピソードになってしまうことがほとんどなのです。
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字が下手なのは直らないというのが基本的な考え方ですが、本当は他の人の目に触れることによって少しずつ読みやすい字になっていきます。
また、練習方法によっては、ごく短期間に上手な字を書けるようになることもあります。
その方法は、手本となる字を、超スローモーでいいのでその手本のとおりに書き写すという方法です。
このやり方で1時間も練習すると、自分の書く字が見違えるほどを上手になってきます。
わずか1時間でと思うかもしれませんが、これは本当です。
コツは、よく見てゆっくり書き写すことです。カタツムリの動くスピードよりもずっと遅いぐらいの速さで書いていきます。
子供たちで、漫画の好きな子がよくキャラクターをそっくりに描き写すことをしますが、ちょうどそのような感じです。
私も、学生時代、この方法で字が一時期とても上手になったことがあります。自分でも驚いたぐらいです(笑)。
しかし、普段の字を書く生活は、それほどゆっくりやることはできないので、日常生活の中で文字を書いているうちに、またすぐもとの自分の字の癖に戻ってしまいます。
江戸時代の寺子屋における文字の練習は、手本となる文字を半紙が真っ黒になるまで書き写すという方法でした。
これは、字を覚えるというよりも、上手な字の書き方を手に覚えさせるという方法だったと思います。
子供時代のまだ字を書く量が少ない時期に、このように繰り返し手に覚えさせる練習をしていたのです。
漢字の書き方についても、形や意味から覚えるという方法がありますが、私は手に書き方を覚えさせるという方法が、誰にも単純にできるよりよいやり方ではないかと思っています。
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上手な字を書く練習も、漢字を覚える練習も、単純に同じ動作を繰り返すということが基本です。
意味を説明したり理屈で理解したりする方法は、教えている人が楽しいだけで、教わっている方は退屈だからです。
只管打坐という言葉がありますが、只管音読とか只管筆写などというやり方が小学生時代の子供にとってはいちばんいいのです。
こういうやり方を物足りなく思わないことが大事です。
字の下手な子で、絵は上手に描けるという子がいます。
それは漫画のキャラクターなどの手本をよく見て描いているうちに、手が描き方を覚えてしまったからです。
だから、字が下手なのは、ただ手本を見ていないからだけなのです。
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作文試験では、手書きの作文を人間が読んで評価をしていますから、印象点がかなり大きな差になります。
近い将来、作文試験は手書きOCRまたはキーボード入力でテキスト化される形で行われるようになり、それを人工知能が採点し、その人工知能の採点で上位に入ったものを人間が読んで評価するというやり方になると思います。
この方法は、既に言葉の森が作文検定試験で何年も前にやっていたことですから、やる気さえあれば明日からでも実施できるぐらいのものです。
ところが教育の世界は保守的なところがありますから、まだしばらくは手書きの作文を人間が読んで評価するという形が続くと思います。
さて、そのときに作文小論文の評価の重要な要素となるものが、字数と漢字力なのです。
それは、読む人の印象点を左右するものだからです。
この印象点というのが、人間の採点と機械の採点との最も大きな違いです。
その漢字力とはどういうものかというと、第一は難しい語彙や難しい漢字を書けるという力です。
第二は、間違った字を書かないこと、つまり誤字がないという漢字力です。
例えば、中学入試の作文で、その文章の中に普通の小学生ではあまり知らないような語彙が漢字で正しく書けているとそれだけで印象点が上がります。
また逆に、普通は間違えないと思われる漢字が間違って書かれていると、それだけで印象点は大幅に下がります。
だから、現在の作文試験では、この漢字力をつけておくことが合格の第一の条件になります。
では、文字の上手下手は、印象点に影響するかというと、そういうことはほとんどありません。
漢字の間違いがあると、その生徒はあまり文章を書いたことがないし、学校の勉強をきちんとしていないだろうという予測が成り立ちます。
しかし、字が下手であるというのは、その生徒の学力の予測にはなりません。
これまで見てきた生徒の学力と字の上手さの関係について考えると、字の上手下手と学力とは全く相関がないと言えると思います。
逆に、字の下手な子は、ユニークな考えをする、どちらかというと学力の伸びしろのある子に多いという印象さえあります。
それはなぜかと言うと、字の下手な子は、幼児のころに知的な関心が高く見よう見まねで文字を書き、その自己流の書き方が定着してしまったとも考えられるからです。
つまり、簡単に言えば、知的好奇心が高く頭のいい子は、字が下手になりがちだということなのです。
字の上手な子は、その子が文字に関心を持ち始める時期と同時に、字の練習をする機会があったということになると思います。
だから、文字の練習は小学1年生になってから一律に行うのではなく、子供それぞれの成長に合わせて文字に関心を持つようになった時期と同時に始めるのが最もよいやり方だと思います。
(つづく)
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子供の作文を見たお母さんが、まず言うことは、「もっと漢字を使いなさい」と「もっと字を上手に書きなさい」だと思います。
それぐらい、漢字と字の上手さは、作文の印象を左右するのです。
しかし、本当はどちらもその子の作文の実力とは関係がありません。
漢字力を決めるのは、漢字の書き取りの勉強をきちんとした子かどうかということだけです。
字の上手下手は、文字に興味を持ち始めた時期に文字の練習をしたかどうかというだけです。
けれども、作文試験は人間が読んで評価するものなので、作文の実力以前に、この印象点に対する対策も必要になってくるのです。
文字の下手さに関して言うと、自慢ではありませんが、私は小学生時代クラスでいちばん下手だったと思います。テストでも、先生から、「答えは合っているけど字が下手だから×にしておいたね」と言われたこともあります(笑)。就職試験のときも、「君は字が下手だねえ」と言われたぐらいです。
母からは、よく小野道風の話を聞かされました。
だから、字の下手な子の考えていることはよくわかります。
字の下手な子は、ひとことで言うと、そのことを気にしていないのです。
そして、上手に書くことをあきらめているのです。
だから、お母さんも、子供の字の下手さを気にしないのがいちばんです。いくら言っても上手に書くようにはまずなりません。
ただし、直すとしたら、せめてひらがなだけ書写の教科書体の文字を見本としてていねいに書く練習をするといいと思います。
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保護者懇談会を2月22日(木)~28日(水)にかけて行います。
平日は20:15~21:00、土曜は10:15~11:00に時間設定で、自宅のパソコン又はスマホから参加できます。
カメラはオフにしてご参加ください。
2月の保護者懇談会では、最初にオンライン学習の企画の簡単な説明を10分ほど行い、そのあとは勉強全般に関する質問・相談を受け付けます。
今回は、全体会だけですが、今後参加者が多くなればカフェ方式の分科会でやっていく予定です。
▽参加受け付けフォーム
https://www.mori7.com/kform_pre.php?k=hog201802
※生徒の保護者以外の方も参加できます。
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春はいろいろ相談事の多い季節だと思います。
私の基本路線は、「何でもすべて大丈夫」ですから、困ったことがあったらどんどん相談してください。
この保護者懇談会には、言葉の森の生徒の保護者以外の方も参加できます。
今日は、一日パソコンの前にいた。
明日も、一日パソコンの前にいるだろう。
たまには、パソコンの後ろに行ってみたい。
そして、やっほーと呼んでみたい。
なんか、詩みたいだなあ。ロマンチック。
あ、資料作りに時間を取られて、ただ仕事をしていたというだけの話ね。
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2月4週に発表交流会を行います。
毎週の思考発表クラブなどの発表が力作ぞろいなので、いろいろな人が見る機会があるといいと思い、毎月発表交流会を行うことにしました。
見学だけで参加しても結構です。ただし、その際は、今読んでいる本をみんなに紹介してください。
寺子屋オンラインの案内を作りながら、保護者懇談会の準備をしながら、発表交流会を行うことにしたので、受付がぎりぎりになってしまいました。
さて、3月からはオンラインの少人数クラスが始まります。
また、海外クラスの生徒募集も始まります。
春は、いろいろな企画が盛り沢山です。
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今度スタートするオンライン学習は、画期的なものになると思います。
子供たちは、優秀な子ほど、やがて人工知能に取って代わられるような知識を詰め込む勉強に飽き飽きしています。
それは大人も同じです。なぜ、仕事がつまらないかというと、これもやがて人工知能に取って代わられることが予感できるからです。
人間は、もっと人間でなければできない勉強や仕事をする必要があるのです。
子供たちは何のために勉強しているのかというと、明日の日本を支えるために勉強しているのです。
他人との競争に勝つために勉強しているわけではないのです。
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言葉の森では、構成を重視した書き方の作文指導をしています。
小学校高学年から中学生高校生まで、すべて同じ大きな四段落の構成でいろいろな形の書き方を学びます。
なぜ四段落かというと、四段落は三段落に縮めることもできるし、段落の中を分けて更に多い段落にすることもできるので、短い字数にも長い字数にも対応しやすいからです。
四段落の内訳は、書き出しの説明又は意見、展開1、展開2、まとめの意見という形です。
展開の部分には、実例、理由、意見、方法、原因、対策などが入ります。
この四段落のそれぞれの段落を同じぐらいの字数で書くと、文章全体の印象が安定したものに見えてきます。
複数の実例を書く場合でも、第一の実例と第二の実例が同じぐらいの長さで書かれていると、全体の構造が理解しやすくなるのです。
この段落ごとに同じぐらいの字数でまとめるというのは、ある程度の文章力がないとできません。
文章力の第一の条件は、字数をコントロールする力でもあるとも言えます。
書く力のある生徒は、800字の作文課題と言うと800字ぴったりに収める書き方をします。
原稿用紙の最後の行の最後のマス目に、句点がくるような書き方をすることができるのです。
作文の採点評価には、内容の評価以前に外見の印象評価が大きく影響します。
字数がぴったりにまとまっていて、それぞれの段落が同じぐらいの長さできちんと書いてある文章を見ると、内容を読む前から印象点が大きく上がります。
場合によっては、それで合否がほぼ決まってしまうこともあるのです。
しかし、もちろんこれは、作文試験に対しての作文ということで、作文の勉強全体について字数の力というのは枝葉の話です。
作文で最も大事なことは、創造性のある文章を書くということだからです。
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作文試験の合否が字数で決まる場合があるというのは、字数ぴったりにまとめることのできる生徒は、文章を書く力があるということがわかるからです。
800字の課題の作文で、780字ぐらいでまとまりそうになったとき、文章力のある生徒は必ずもうひと工夫して800字の最後の行まで書こうとするからです。
これは、記述試験の場合でも同じです。
日本語の作文で字数が大きな意味を持つのは、近代の日本語がマス目の文化の中で育ってきたからです。
そのマス目の文化は、大きく見れば日本の型の文化です。
大事なのは内容であっても、その内容に到達する方法として型から入ることが多いのです。
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