作文の実力の一つは、どんなテーマであっても、必要な字数を時間内に書く力です。
それは、勉強していれば誰でも身につきます。
もう一つは、深く考えて書く力です。
その考える力は、語彙力に表れてきます。
ところが、中学受験の作文に臨むころの小学6年生では、まだそういう語彙力がない子がほとんどです。
例えば、受験作文でよくテーマとして出される「多様性」という課題で、小学6年生の子が作文を書こうとしても、書くための言葉が出てきません。
具体例を書こうとしても、どういう具体例と結びつけたらいいのかわかりません。
そこで、親子の対話が必要になるのです。
このころの子供は、言葉は理解できるので、話を聞けばすぐに書くことができます。
しかし、自分から言葉を見つけて書くことはまだできません。
この親子の対話のためのツールが、予習シートです。
予習シートという形があれば、自然に親子で、次の週の作文について話をすることができます。
その親子の対話の中で、子供たちの深く考える力が育っていくのです。
▽小3~小6の予習シートのページ
https://www.mori7.net/oka/yosi.php
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昔は、教室に来た生徒に、「書くことを決めてきた?」と聞くと、「いいえ」という生徒がよくいました。
今は、予習シートがあるので、ほとんどの生徒が、「決めてきた?」「はい」と言い、お父さんやお母さんに取材した話のメモを見せてくれます。
そのお父さんやお母さんの話が、ときどきすごく傑作なことがあるのです。
そういう予習シートを見ると、親子で話している家庭の楽しげな様子が浮かんできます。
作文の予習で大事なのは、大人の人に取材することです。
だから、予習シートは、お母さんだけでなく、お父さんや、田舎のおじいちゃんや、おばあちゃんに取材してもいいのです。
そういうふうに、あるテーマについて大人と話していると、自然に語彙力が育ってきます。
その語彙は、辞書を引いて調べた語彙とは違って、自分もすぐに使える生きた語彙になるのです。
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神奈川県立湘南高校 M.Iさん
(担当講師より)
しばらくお休みしていましたが、受験が終わってまた楽しく作文を書き始めてくれています。
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昔、子供向けの説明文の良書が少ないと書いたことがありました。
その中で、数少ない良書の一つとして、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社)を推薦しました。
これは通り一遍の知識の羅列のような科学本ではなく、どうしてそうなるのかという理由の説明などもあり、子供の知的好奇心に応える内容を持っていました。
先日、同じような本を探してみたところ、この一年ほどのうちに、子供の科学的関心を引き出すような本がかなり多く出ていました。
その中でも、特におもしろいと思ったのは、「しぜんとかがくのはっけん! 366」(主婦の友社)でした。
http://amzn.asia/7OSkn6S
この本のいいところは、やはり単なる科学的知識の羅列ではなく、考えて読む要素があることと、もう一つは、子供なりに実験して調べてみるという要素があることです。
今、寺子屋オンライン思考発表クラスでは、作文構想図と読書紹介と自由発表を行っていますが、この自由発表の理科実験のところで使えると思いました。
また、小学3年生から学校では理科が始まり、小学5年生から社会が始まります。
この理科、社会の勉強も、テストの知識の詰め込みは面白くありませんが、自分なりに考える勉強として行えば、かなり知的な興味を引き出すものになると思います。
そのための参考書として、「これでわかる理科」「これでわかる社会」(いずれも文英堂)が使えると思いました。これは、中学生版も出ています。
こういう本で、勉強は面白いものだということを多くの子供たちが感じてくれるといいと思っています。
今は、テストで評価するつまらない詰め込み勉強を、競争や賞品で面白くしている面があるので、勉強の本来の面白さを味わう子が増えてくれるといいと思います。
「賢い子を育てる、お母さんの科学的関心」
https://www.mori7.com/index.php?e=2794
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子供が、最初に接するのは、両親、特にお母さん、そしてお父さんです。
子供は両親を通して、社会に接していきます。だから、親の関心が子供の関心に結びつくのです。
親が科学的なものの見方に関心を持っていれば、子供もそのような関心を通して世の中を見るようになります。
これが、賢い子を育てる出発点です。
本を読んだり、勉強をしたりする以前に、子供が親の関心に自分の関心を重ね合わせることが大事なのです。
しかし、もとから科学好きな親ならまだしも、多くのお母さんは科学的なことにはあまり関心がないと思います。
そこで、使えるのが、子供向けの科学の本です。
子供と一緒に科学の本を読んでいると、「へえ、そうなんだ」と、世の中や自然の現象についての新しい理解に感心することがあります。
特に、自然界は、科学的な考え方の宝庫です。
自然の中にあるものは、どれもそれなりに必要な科学的裏付けを持って成り立っているからです。
これに対して、人間社会の現象は、にぎやかな話題が多い割に、科学的な裏付けを通して理解するということはあまりありません。
また、一般に勉強と言われるものも、科学的なものの見方にはあまり結びつかないものがかなりあるのです。
特に、成績にすぐに結びつくような勉強は、知識と手続きの理解でなりたっているので、それはそれでとても必要なことなのですが、子供を賢い子にするということにはあまり結びつきません。
むしろ、勉強の時間が多すぎると、勉強以外の読書や遊びや対話の時間が減る場合もあり、その方が子供の成長にとってマイナスになることもあるのです。
最近出た科学の本として面白いと思ったものは、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社)です。
390ページもあり、結構重たいので、読み聞かせに使うとしたらお母さんはかなり大変です。
しかし、ルビがふってあるので、ある程度お母さんが読み聞かせをして、子供が興味を持てば、続きを自分で読むようになると思います。
科学の本の選び方として大事なことは、ただ知識が書いてあるだけでなく、因果関係のような構造が書いてあることです。
科学の本とは少し違いますが、時事問題などでも、事実の経過が重要なのではなく、その背後にある因果関係の解説が大切です。しかし、世の中にある時事問題に関する本でそういう観点で書かれているものはあまり多くありまぜん。
知識が大事なのではなく、その知識の背後にある科学的な関係を知ることで、知的な好奇心が刺激されることが大事なのです。
以上のような科学的関心について考えたのは、ドクター・中松さんの「私は死んでる暇がない」を読んだのがきっかけです。
これも、とてもいい本ですから、子供向けではありませんが、ぜひ多くの方におすすめしたいと思います。
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昔は、本が少なかったので、同じ本を何度も繰り返し読むのが普通でした。
私の場合は、「世界ふしぎめぐり」(偕成社)の本を隅から隅まで何十回も読みました。
しかし、その後、そういう説明文の本はしばらくなく、科学の本のように見えるものでも、ただ知識が書かれているだけのものになっていました。
それで、言葉の森の講師に頼んで、みんなで面白い説明文の長文を作ったのです。
その長文は、小1から小3まで、全部で150編近くありました。
これは、子供たちにかなり人気がありました。なぜかというと、説明文の難しい内容でありながら、どの長文にも必ず何か所かダジャレを入れるようにしたからです(笑)。
小学生の子供たちの将来なりたいものに、科学者が入るようになりました。
これが、人間の本来の姿だと思います。
というのは、学問の面白さが基本にあって、それをもとにいろいろな仕事の選択肢があるからです。
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私はこれまで、頭さえよくしておけば成績は勉強し始めたときからすぐに上がるから心配ないと言ってきました。
そして、実際にそういう形で子育てをしてきましたし、言葉の森の生徒たちの中にも、受験期に入ってからぐんぐん成績を上げる子を数多く見てきました。
だから、子供時代は勉強に追われるよりも、のびのびと過ごした方がよいと思っていました。
しかし、のびのびと過ごしている子供たちの中に、勉強の方法が正しくない子もかなりいて、そういう子供たちはいざ勉強始める時期になってもやはり能率の悪い勉強の仕方を続けてしまうことも多かったのです。
そこで今回、寺子屋オンラインの少人数クラスでハイパー作文を始めたことをきっかけに、自主学習クラスと思考発表クラスでもハイパー国語・算数・英語・理科・社会という要素を取り入れることにしました。
これは、具体的には、国語の読解力・記述力をつけること、算数のいわゆる難問を解く力を身につけること、英語の丸ごと理解と文法的な緻密さを身につけること、理科・社会の幅広い知識をマスターすることなどです。
幸い、今の世の中は、優れた市販の教材が数多く出ています。また、ネットでの教材も広く利用できるようになっています。
そこで、作文、国語、算数、英語、理科、社会の成績を上げることを目標にして、さらにその上にプラスアルファの創造的な勉強を行うクラスとして少人数クラスを運営していきたいと思っています。
こういう運営が可能になるのは、やはりオンラインの少人数クラスという要素があるからです。
勉強は、どんなにいい先生が、いい方法で教えても、子供たちが家庭の中で日常的にその指導に沿った学習を行わなければなかなか力はつきません。
子供たちの家庭学習に欠かせないのは、母親または父親が勉強の内容を把握していて、必要に応じてチェックできることです。
寺子屋オンライン少人数クラスでは、オンラインの授業のあとで随時保護者懇談会を開き、質問や相談を受けたりアドバイスをしたりすることができます。
この、家庭とタイアップして行える教育というのが、学力のつく最も効率のよい教育のスタイルなのです。
家庭学習だけでは、偏った勉強の仕方になることがあります。
先生が教える形の勉強だけでは、日常的な学習の徹底が不十分になることがあります。
先生と両親という複数の大人の目によって、バランスよく能率のよい勉強の仕方がしていいけるようになるのです。
▽参考ページ
「寺子屋オンライン紹介」
https://www.mori7.net/teraon/syoukai/
「寺子屋オンライン案内」
https://www.mori7.net/teraon/
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勉強にはコツがありますが、そのコツを実行するのは本人です。
これまで、子供にも、保護者にも、いろいろな勉強のコツをアドバイスしてきましたが、それをそのとおり実行できた子はあまりいませんでした。。
例えば、過去問は春に取り組むということを、毎年高校3年生に言ってきましたが、ほとんどの生徒は秋や冬の受験近くになってから腕試しというような形で過去問に取り組むことが多かったのです。
しかし、今回の寺子屋オンライン少人数クラスは、直接家庭での学習に関与する度合いが高まります。
そこで、作文だけでなく、教科の勉強も、成績を上げることを一つの目標として取り組むことにしたのです。
成績を上げるには、時間をかけるという要素も必要です。
しかし、時間をかけることを中心にするのは、受験期の半年か1年だけです。
それ以外の勉強は、時間はできるだけかけずに、勉強の質を高め、自由な時間を確保することが大事です。
今の親は、子供が小学校低中学年のうちから、勉強に時間をかけすぎている人が多いと思います。
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デジタルの情報は便利です。
検索もできるし、コピーもできるし、必要に応じて自分の好きなように加工できます。
だから、情報はデジタルで処理していくといいのです。
しかし、学習はそうではありません。
それは、学習というものが、情報を身体化する作業だからです。
身体化には時間がかかります。
コピー、貼り付けという機械的な作業ではできません。
何度も同じことを繰り返して、少しずつその情報が自分の身体に染み込んでいき、やがて意識せずにその情報が引き出せるようになるのです。
その身体化に必要なものは、同じものを、同じ順序や同じ配置で、同じように繰り返すことです。
そのときに、デジタル情報の加工のしやすさがかえって定着を妨げます。
身体化された情報は、あの辺の棚にある、あのぐらいの大きさの本の、確かあの辺に書いてあったはずだという身体の感覚と結びついています。
だから、学習の基本は紙ベースで、その補助的なールとしてデジタルがあると考えておくといいのです。
その紙についても、ばらばらになりやすいプリント類ではなく、1冊に製本されている問題集の方が基本になるのです。
▽関連記事
「もとになる勉強、枝葉の勉強――作文と結びつけて読む力をつける」
https://www.mori7.com/index.php?e=2789
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教育に関する情報が豊富にあると、かえってその中で、何が重要で何が重要でないかを見失ってしまうことがあります。
親も子供も熱心にやっているように見えても、その方向が脇道にそれている場合も多いのです。
勉強の中心は、家庭で毎日取り組むと決めたことを繰り返す勉強です。生活の中で毎日当然のように行う平凡な勉強の積み重ねが、もとになる勉強のです。
これに対して、学校や塾から宿題で出されるような勉強は、枝葉の勉強です。宿題のプリントをもらってきて、それをやるような勉強は、繰り返して身につけるというようなことがしにくいので、結局一回きりの勉強にになってしまうことが多いからです。
子供が小さいときは、そういうばらばらのプリントをこなすような勉強も、親がファイルをして整理してやらせることができます。
しかし、子供がひとりでそういうプリント類の管理をすることは難しいので、学年が上がると、与えられた勉強を次々とこなすだけの勉強になりがちです。
宿題というと、やることが義務のように思うので、その勉強を第一に考えてしまう人が多いのですが、自分のペースでやると決めた勉強がもとになる勉強で、人から与えられた勉強は枝葉の勉強だという区別をしておくことが大切です。
勉強の内容として大事なものは、第一に読む力をつけることです。小学生時代は特に、速く、楽に、和多く読む力をつけておくことが勉強の中心になります。
第二に大事なものは、計算する力です。これも、速く、楽に、正確に計算する力をつけておくことです。
それは、計算が苦手だと、その延長で算数や数学が苦手だと思ってしまうことがあるからです。
ただし、計算力はあくまでも第二です。
計算は電卓に代わってやってもらうことができますが、読書は機械に代わってやってもらうことはできません。
計算力に比べると、読書力の差は表面には出ませんが、実はこの読書力の差がいちばん大きいのです。
読む力を更に発展させるものとして、音読、暗唱、親子の対話などの勉強もあります。これらは単独で取り組むよりも、作文の勉強の中で取り組むようにすると定着します。
習い事の中には、子供の個性にあったさまざまなものがあります。英語、プログラミング、スポーツ、音楽など、今は多様な学習の機会がありますが、それらは、読む力、計算する力の勉強に比べると、あくまでも枝葉の勉強と考えておくことが大切です。
子供の好きな分野で個性を伸ばすことは大事ですが、その個性も、もとになる土台の勉強ができて初めて生きてくるのです。
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通い慣れた道は、道順を意識しなくても歩けます。
それは、道順が身体化されているからです。
勉強も、同じです。
早く身につけるためには、1冊の同じ本を同じ順序で繰り返しやるのがいいのです。
1冊の問題集のできなかったところにだけ印をつけてやり直すというのは手間がかかりますが、それが身体化のいちばん能率のよい方法なのです。
作文の構想図を手書きで書のは、手で書く方が頭が活性化するからです。
しかし、清書はパソコン書きで能率よくやるのがいいのです。
その反対に、志望理由書は、下書きはパソコンで情報処理的に行い、清書は手書きで仕上げるのです。
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今の世の中、今の子育て、これからの世の中、これからの子育てについての動画をアップしました。
大きな目で見たこれからの教育のあり方について、後半は特に具体的に話しています。
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言葉の森が考えるこれからの教育のビジョンについて話しました。
前半はやや抽象的な話かもしれませんが、中盤ぐらいから具体的なこれからの子育ての話になってくるので、たぶん参考になると思います。
今朝入れたので、やや眠そうな顔をしていますが(笑)。
今子育て真っ最中の方の参考になるように話しています。
今後の展望、言葉の森の目指すところ、子育て感など大変わかりやすかったです。また、お話に深く共感致しました。
寺子屋オンライン思考クラブでお世話になっていますが、小6になるのを機に大変だったら辞めてもいいよと言ったところ、「絶対ヤダ。理由は、自分で考えたことをたくさん話せて、みんなも僕の話をきちんと聞いてくれるから」と。それを聞いて、私自身もそこまで子供の話をきちんと聞く時間を持てていないことに反省・・・。また学校でもそのような機会はないのだと気づきました。思考クラブの先生や仲間たちがいかに子供の学ぶ意欲を高めてくれているのかよくわかりました。
あお母様
長い動画を見ていただきありがとうございました。
これからは個人が活躍する時代になると思います。
そのときに大事なのは、あお君のような自分の意見を持って、ほかの人としっかりコミュニケーションを取れることです。
学年が上がると、勉強が難しくなるので、つい本人と先生任せになりがちですが、中3の義務教育期間の間は、親が勉強の内容を把握できるようにしておくといいです。
そのためにも、思考発表クラブや作文などをきっかけにして、お母さんやお父さんと話をする時間をこれからも大切にしていくといいと思います。
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