勉強は理解することであって、覚えることではないと考えている人が多いと思います。
しかし、それは実は逆なのです。
掛け算の九九を考えてみるとわかると思いますが、掛け算を一覧表にして理解して覚えようとすれば、暗唱よりもずっと長い時間がかかります。そして、不正確にしか覚えられません。
音読をして暗唱する覚え方であれば、覚えようという意識をしなくても、自然に口をついて出るようになります。
しかも、その記憶が一生残るのです。
勉強には、理解する知識と、身体化する知識の両方が必要です。
暗唱は、身体化する知識の方です。
百人一首の暗唱をすると、日本語の語彙や情感が身体化されるのです。
そして、効果はそれだけではありません。
学校の勉強で、中学生ぐらいになると、いろいろと覚えなければならない知識が出てきます。
暗唱をしている子は、それらの知識を習得する度合いが速いのです。
暗唱検定に合格する子が増えています。
しかし、まだひとりで家庭で暗唱に取り組むだけでは途中で挫折してしまう子もいるようです。
そういう子供たちのために、寺子屋オンラインの発表学習クラスでは、希望する生徒に毎週暗唱のチェックも行うようにしています。
子供はやはり、ほかの友達と一緒に勉強を共有することで楽しく続けることができるのです。
発表学習コースの詳しい案内は、下記のページをごらんください。
発表学習コース案内
▽関連記事
「暗唱検定3級の暗唱長文のルビの一部訂正――百人一首の暗唱の仕方」
https://www.mori7.com/index.php?e=2820
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暗唱検定の3級は、百人一首です。
ルビ振りで一部訂正や追加がありましたので、今3級を練習している人に、訂正の箇所が分かるものをお送りします。
ウェブの長文の方は直っています。
https://www.mori7.net/mine/as2.php
百人一首は、一首ずつ区切られているので、続けて暗唱するのが難しいと思います。
コツとしては、五七五七七の最後の七と、次の歌の最初の五をできるだけ区切らずに読むことです。
例えば、最初の二首では、「……露に濡れつつ、春過ぎて……」のように読むのです。
音読をしていると、その音読が耳に残るので、無意識のうちに、次の歌が出てくるようになります。
また、歌のつながりを、イメージ化できるストーリーにして、「露の玉の中から、春がポコンと飛び出してきた」のようにしてもいいと思います。
歌の頭文字だけを続けて覚えるという方法も、早く覚えるには有効ですが、そういう知的な操作が入ると、思い出しながら読むという読み方になるので、なかなか早くは読めません。
頭文字で覚えたものであっても、できるだけ音読だけで続けて頭に残るように読んでいくようにしてください。
百人一首は、本などでも豊富に出ていますが、暗唱するための教材は1種類に絞ってください。
人間は、その歌が教材のどの辺にあったかということも含めて記憶するので、教材が2種類以上になると、急に覚えにくくなります。
音読の繰り返しで自然に覚えるという方法のコツがわかると、いろいろな勉強に応用できます。
また、毎日暗唱の練習をしていると生活に張りが出てくるので、ほかのことも積極的に取り組めるようになります。
お父さん、お母さんも、子供さんと一緒にぜひ暗唱に取り組んでみてください。
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暗唱のいちばんいいやり方は、動きながらやることです。
だから、歩きながら暗唱したり、体を動かしながら暗唱したりすると、楽に暗唱できるようになります。
また、ゆっくり読むのではなく、できるだけ早口で読むことです。
こういうことがわかってくると、何かを覚える必要があるときに、すぐに取り組めるようになります。
暗唱の効果で意外なのが、元気が出てくることです。
それから、歩いて出かけなければならないときに、歩くことが退屈になりません。
周りの景色を見ながら、自分の好きな文章を暗唱して歩いていけるのです。
日本語の暗唱だけでなく、英語の暗唱もこのやり方で身につけることができます。
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3月から、寺子屋オンラインという少人数のクラスを始めています。
このオンライン少人数クラスのいいところは、必要に応じてすぐにクラス分けができることです。
例えば、全体の人数が10人いて、学年がばらばらだった場合、全体の話のあとすぐに、同じ学年別別に数人ごとにクラスを分けて話を進めることができます。
しかも、そのときに参加している子供たちは、日本全国どころか、世界中の異なる地域から来ることができるのです。
もちろん、実際には時差があるので、同じ時間帯に勉強する生徒は、時差の近い地域に限られますが、それでも日曜日のイベントなどはより広い範囲から参加者が集まれます。
オンライン少人数クラスのもうひとつのいいところは、友達と正面を向いて話ができることです。
通学教室の場合は、机の並び方は、多くの場合横並びになるので、全体に向かって話がしにくいところがあります。
しかし、ディスカッションなどがしやすいように机を円形に並べたら、今度は肝心の勉強がしにくくなります。
オンラインのクラスの場合は、みんながお互いの話を正面から聞けて、しかも、勉強するときには自分の机に集中して取り組むことができます。
そして、こういう形で勉強面で毎週交流している子供たちが、夏合宿などでたまにリアルに会うのです。
すると、これが不思議なことに、初めて会った子供どうしでも、初対面という気が全くせずに、学校などの同じクラスの友達と会うような雰囲気で交流が始まるのです。
こういう交流が続いていくと、やがて生徒が高校生になり大学生になり、言葉の森を卒業するようになったあとも、同窓会の形で交流が続くはずです。
そして、そういう卒業生たちが、夏合宿で後輩の子供たちの面倒を見るようになるのです。
オンライン少人数クラスとか、オンライン懇談会というと、まだ、「パソコンが苦手だから」とか「やったことがないから」と、敬遠する人が多いと思います。
しかし、実際にパソコンやタブレットで入ってみれば、設定なども何も必要なく、そのまま自然に普通の会話が始まります。
わからないことがあれば、その場で聞けばすぐに解決します。
これからは、オンラインの少人数クラスが、学習形態の中心になってくると思います。
だから、言葉の森が考えているのは、その先の話です。
インフラは、誰でも同じように利用することができるようになります。
しかし、大事なのは、新しいインフラを利用することではありません。
そのインフラに何を載せるかということです。
その載せるべき内容は、これまでの単に知識を詰め込むテスト中心の教育ではなく、創造性と共感力と思考力を育てる教育なのです。
▽関連記事
「個性と創造性を伸ばす教育は、人間の交流の中から。そして人間の交流を支えるツールは、オンライン教育」
https://www.mori7.com/index.php?e=2817
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オンラインの教育のいいところは、アットホームな雰囲気で勉強ができることです。
それぞれの生徒が、自分の家で勉強に参加するのですから、先生が生徒に、
「今、どんな本読んでる」
などと聞くと、生徒が、
「あ、ちょっと待ってて」
と、ごそごそと横に置いてある本棚を探して見つけてくるということがよくあります。
また、何か複雑な連絡がある場合は、先生が、
「お母さん、いるかなあ」
と聞くと、
「います。おかあさーーーーん」
「はあい」
などという場面もよくあります。
また、子供どうしは、お互いに東京と大阪のように遠く離れていて、会ったこともないのに、他の人の本の紹介や趣味の紹介を見て、
「おもしろそうなので、自分もその本を読みました」
とか、
「自分も、家でその実験をしてみました」
などということがときどきあります。
しかし、これまでの形式の勉強をオンラインにするだけでは、こういう交流はできません。
勉強の仕方も、オンラインに合わせて、自学自習+発表学習に変えていく必要があるのです。
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オンライン教育は、もはや可能性の段階ではなく、現実に効果を発揮する段階になっています。
しかし、それは、デジタル黒板とか、デジタル教科書とか、タブレット端末とかいう外見だけの新しいICT教育とは全く別のものです。
言葉の森の教材の基本は、あくまでも紙です。そして、作文の基本は手書きです。
教育とは、身体感覚に根ざしたものでないと身につかないからです。
ただのインフラだけだったら、言葉の森の真似ばかりしているブ○○○○○○や、べ○○○と同じになってしまいます(笑)。
こういうところは、宣伝文句なども、言葉の森がこれまで書いていたこととそっくりです。
だから、言葉の森は、付け焼き刃では真似のしようのない哲学に基づいた教育をしていきたいと思っています。
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