(写真は、那須合宿所の木の切り株。30kgありました。)
小学1、2年生のころの作文は、物事の中心を決めて詳しく書く練習をしていきます。
これが、第一に重要なことです。
よく遠足くの作文などを書くと、家を出発してから、また家に帰るときまでの話を延々と書く子がいます。
それは、物事を文章として記述する練習としては意味があるので、特に直す必要はありません;
しかし、よりよい文章力をつけるためには、その中のある一つの事柄について詳しく書くという練習をしていくといいのです。
第二は、作文を書くための土台となる読書に力を入れていくことです。
言葉の森の作文を目指す方向は、上手な文章を書いて小説家になるような方向ではなく、考える作文を書き高校生、大学生、社会人になっても使える文章を書くという方向です。
だから、読書についても、物語文的な本と並行してその子の興味のある範囲で説明的な文章の書かれている本を読んでいくといいのです。
第三は、やはり作文を書くための土台となる経験に力を入れていくことです。
読書の好きな子の中に、読書ですべてを理解したつもりになり、知識と理屈だけで物事の理解が終わってしまう子がいます。
学校のテストに関しては、それで十分すぎるほど十分なのですが、実際に何かを作り出すという創造力という点から見ると、知識と理屈だけの理解では役に立たないことが多いのです。
では、創造力のために何が必要かと言うと、それは実際に手足を動かし、自分の目で見たり耳で聞いたりして、現実と関わるような経験をすることなのです。
それは、実験や観察や調査という言葉で表せるものと似ています。
実際にやってみることによって、それが予想どおりうまくいったり、予想に反してうまくいかなかったりするという経験をすることがその子の創造力の源になっていきます。
ですから、小学1年生で勉強がよくできる子、作文が上手に書ける子は、読書のジャンルを広げていくことと、経験の幅を広げていくことが大事で、これらによって精神年齢が上がったときの文章を書く準備をするということになるのです。
そして、第四に、作文は、単に先の学年の準備をするだけのものではありません。
その時代に、その子が生きた証となるものが作文です。
小学1年生のころに書いた作文は。その子が1年生の時でなければ書けなかったただものですから、それを書いて残しておくことがその子の一つの記念になります。
上手に書けるから先に進むと考えるよりも、上手に書ける今の時期をそのこと自体を一つの目的として残しておくという方向で子供の作文を見ていくといいのです。
(次回は、小4から小5に切り替わるときの作文について)
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勉強の先取りにはもちろん意味がありますが、なぜ先取りができるかというと、それは答えのある世界だからです。
答えのある世界は、幸福や創造が乏しい世界です。
答えのある世界で子供の時間を埋めていくと、それは灰色の男たちの世界に近づいていきます。
だから、健康な子供は、自然にそういう世界から離れるようになるのです。
受験勉強で成果を上げるためには、能率が必要です。
それは答えがはっきりしている世界だからです。
しかし、子供の実力をつけるのは、能率ではなく時間です。
時間をかけてああでもない、こうでもないとぐるぐる巡りをすることがその子の実力を育てます。
だから、この二つは分けて考える必要があるのです。
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小学2年生の生徒のお母さんから、質問がありました。
その子は、とてもよくかける子で、字数も表現もほぼ完璧です。
作文の評価ということで言えば、申し分ないものを書いています。
そこで、お母さんは、この作文の勉強をただ自分の今の実力で書くだけではなく、もっと先に進めるためにはどうしたらよいかということを質問されたのです。
小学校1、2年生で作文が上手に描ける子のお母さん方は、同じような質問を持っていると思います。
あるいは、作文はもう上手に書けるので、特に何もしなくていいと考えるお母さんも多いと思います。
国語や算数は英語であれば、勉強の仕方次第でいくらでも学年より先の学年に進めることができます。
それは、その勉強がその子の精神的年齢の成長に関わらない知的なものだからです。
ところが、作文は知的な面があるとともに、精神年齢的な面がかなりあります。
小学2年生のころに書く作文は、読んでいる本の文章がそのまま頭に入っているので、その表現を生かして作文として書けるという面があります。
ですから、達者な子は、大人が書く文章と似た文体で書くようなこともあるのです。
しかし、その時期は小学2年生までで、小学3年生になると今度は自分の言葉を作って書くようになります。
小学2年生までは、ほとんどの子が長い作文を書きたがりますが、小学3年生になるとそういう子供たちが逆に長く書くよりもほかのことに関心を持つようになります。
その関心を持つ先は何かと言うと、盛り上がりのある内容を書くということと、ほかの人に読んでもらい楽しく思わせるような面白い話を書くという方向です。
小学2年生までの作文は、自分の書きたいことをただ書くだけですが、小学3年生からは人に読んでもらうことを意識して書くという面が出てくるのです。
そこで、言葉の森では、小学3年生から表現の工夫と題材や感想の工夫という指導を始めます。
しかし、小学2年生でまだ他人の目にあまり関心がない時期に、そのような表現や内容の工夫という指導をしても空回りする面があるのです。
算数や英語で、小学校低学年のうちに小学校高学年や中学生の勉強をすることは、やり方によってはいくらでもできます。
しかし、小学校低学年で、小学校高学年の課題の作文を書くことはできません。
例えば、小学6年生では、一般化の主題という項目でその事柄が自分にとってだけでなく人間にとってあるいは社会にとってどういう意味があるのかということを書く練習をします。
そういう感想は、小学校低学年では書きようがありません。
小学6年生でさえ、そういう発想が自然にできる子は50パーセント程度だと言われています。
それは、学力の問題ではなく、精神年齢の成長度の問題です。
ですから、小学校低学年で小学校高学年の課題の作文が書けるかというとそういうことはありません。
年齢による差は勉強の仕方でが埋められないというのが作文の特徴なのです。
では、小学校低学年でよく書ける子の作文指導はどうしたらよいか、ということは次回に。
(つづく)
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幼児から小学2年生までの子は、素直で何でも吸収する力がありますから、勉強でも、音楽でも、スポーツでも、暗唱でも、やり方次第でどんどんできるようになります。そして、学年の先取りもできるようになります。
しかし、作文の勉強は、精神年齢の発達と関連が深いので、先取り学習ということができません。
では、どうしたらいいかというと、先取りよりも今の学年の作文を楽しむという勉強の仕方をするのです。
それが、次の学年の土台になるからです。
小学2年生までの子は、その子が読んでいる本の文体そっくりに作文を書くことがあります。
それだけ、吸収力や適応力があるのです。
だから、いい本を読ませるということがまず第一で、次に、その時期の作文はまだ本当の実力ではないと考えておくことが第二です。
学年が上がるにつれて、次第に本から離れた自分の文体で書くようになるからです。
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