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東大推薦入試型の学力を育てる発表教育 as/3314.html
森川林 2018/05/22 05:11 

 これまでの学力と言われるものは、覚えた知識を再現する力でした。
 考える問題のように言われている算数数学の分野でも、解法を覚える勉強によって高得点を取るというパターンができたので、ほとんどの勉強が時間をかけて詰め込めば成績が上がるようになったのです。

 その結果、優秀な成績で大学に入ったはずの学生が、意外に考える力がないということがわかってきました。
 それが今、世界の大学ランキングで東大や京大がかろうじて後ろの方に入っているという状況を生み出しています。

 このことに対する危機感から、日本の大学も、生徒の真の実力を見るためのテストとして手間のかかるAO入試を取り入れるようになりました。
 このAO入試についても、合格することを受験テクニックのように教えるところがありますが、言葉の森の教育の目的はそうではありません。
 東大の推薦入試に合格することが目的なのではなく、東大の推薦入試が目指しているのと同じような新しい学力をつけることが目的なのです。

 それは別の言葉で言えば、考える勉強、発表する勉強、創造する勉強を目的とするということです。
 そういう思考力、表現力、創造力を伸ばすような学習ができるようになったのは、オンラインのウェブ会議システムが誰にも利用できるようになったというインフラの力によるところがかなりあります。
 しかし、それ以上に大事なことは、言葉の森の教育理念が、もともとそのような学力を育てることを目的としていたということなのです。

 この教育には、家庭の協力が重要な要素となります。
 従来の教育のように、学校や塾に任せるという勉強ではなく、家庭で親子の対話や協働を通して、学力だけでなく文化も育てていくというような勉強なのです。

 教育は、単に成績だけを上げるものではなく、その子供のトータルな人間力を育てることを目的としているものです。
 成績が上がるとか志望校に合格するとかいうことは、勉強の結果であって目的ではありません。

 もちろんそういう理想だけでは受験期の最後の1年間は乗り切れないので、受験直前の時期には必要悪と割り切って詰め込む勉強もしていく必要があります。
 しかし、それも、それまでの真の学力である思考力が備わっていれば、短期間で成果を上げることができるのです。

 言葉の森では、この新しい教育を発表教育という名称で呼び、現在ウェブ会議システムを使った発表学習コースの少人数クラスを開いています。
 まだ、このコンセプトがわかりにくいためか、参加する生徒は多くありませんが、私の子供がまだ小さかったらぜひやらせてみたかった勉強です。

 将来は、こういう家庭と結びついた考える力を育てる勉強がもっと広がっていくと思います。

▽関連記事
「寺子屋オンラインの発表学習コース」
https://www.mori7.com/as/3308.html

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森川林 20180522  
 考える力のある子にとって、受け身で聞くだけの勉強は、それがどれほど優れた授業であっても物足りないものです。
 実力のある子は、自分も参加できる勉強をしたいのです。
 しかし、そういう機会は、今の教育ではあまりありませんし、そういうことを一緒にする友達というものもいません。
 だから、言葉の森がそういう枠組みを作ることにしたのです。
 それが、言葉の森の作文教育の出発点です。
 そして今、それを発表教育という教科全体の勉強として取り組むことにしたのです。


nane 20180522  
 寺子屋オンラインの発表学習コースの料金は、本当は、世間の普通の水準の料金よりも高いぐらいでいいととは思っています。
 それは、やる気のある子にとっては、かなり密度の高い授業になっているからです。

 そしてまた、料金というものは、高いほど誰でも一生懸命に取り組むものなのです。
 しかし、こういう真に役立つ教育を広げるためには、今の日本の社会にある教育格差を克服しなければなりません。
 だから、敢えて、常識ではあり得ない料金設定にしたのです。
 それを、ひとつのビジネスモデルとしてやろうとしているところが、この寺子屋オンライン教育のもうひとつの挑戦です。


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「学力の経済学」の手前にあるもの as/3313.html
森川林 2018/05/21 08:07 

 「学力の経済学」(中室牧子著)の重要なポイントは、幼児期の教育が、その後の子どもたちが社会人になってからの学力や生活や年収に深く結びついているということです。
 そこで、幼児期の教育の経済的効果が極めて高いということが言われているのです。
 その裏づけとなっているものは、アメリカにおける教育実験とその後の長年にわたる調査という客観性のあるデータによるものです。

 ところで、私はこれを見て、子供たちに影響を与えたものは、幼少期における優れた先生による教育だけではなかったのではないかと思いました。
 それよりも、その先生が定期的に家庭に赴き保護者に子供たちの教育についてさまざまなアドバイスをしたことによる影響の方が大きいのではないかと思ったのです。

 定期的な家庭訪問によって、母親の子供に対するものの見方や接し方が変わったはずです。
 その点こそが、子供のその後の生き方や学力を決定したと思うのです。

 これは、教室に来ている子供たちの様子を見てもよく感じることです。
 学力も意欲もあり性格も明るく安定した子供たちに共通するのは、やは知的で謙虚でそして寛容な母親のように思います。
 父親の影響も、もちろんあります。その特徴は、やはり同じように知的で子供と話をするのが好きで、しかし躾については筋を通すような父親像です。

 だから、言葉の森が今おこなっている寺子屋オンラインの作文コースや発表学習コースも、その家庭の教育力というものを第一に考えた運営にしているのです。

 先生がよい授業を行うとか、よい教材で教えているとかいうことよりも、どんな先生がどんな教材を使っていても、それに取り組むときの家庭における両親の姿勢が子供たちの知性や人間性や創造性を育てていると思うからです。

 しかし、両親と子供だけの関係で、そういう知的な家庭文化を作るのは難しい面もあります。
 それは、親と子の間だけでは、創造的な勉強を続けるという緊張感を保つのが難しいことがあるからです。

 そこで、寺子屋オンラインに参加することによって、他の生徒の取り組みに刺激を受けながら、その子の興味と関心をもとにした創造的な勉強を親の協力によって行っていけるようにしたいと考えたのです。

 「学力の経済学」の経済は、幼児期の教育の効果というよりも、その手前にある家庭の教育力によるものだと思うからです。

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森川林 20180521  
 子供の学力を決定するものは、勉強よりもその手前にあるものです。
 例えば、小さいころから本を読む習慣をつけるとか、テレビを見る時間を決めておくとか、毎日の生活時間を決めておくとか、親のペースで勉強させすぎないとか、そういう些細に見えることを日常生活で続けていることが、その後の学力のもとになっているのです。
 だから、学校の成績などまだあまり関係ないように思える幼児期や小学校低学年のころからの家庭生活が、最も大事な基礎になっているのです。


nane 20180521  
 例えば、テレビを見る時間を決めるとか、食事のときはテレビを消すとか、あるいはテレビそのものを置かないとかいうことも子供が小学1年生のころなら、ひとことで簡単に実行できます。しかし子供が小学3、4年生になったあとでは、もうそういうことはほとんどできなくなります。だから、幼少期の家庭の文化作りが最も大切なのです。


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