■勉強の習慣は宿題ではなく家庭学習によって作られる
小学生時代は、勉強の基本的な習慣が作られる大切な時期です。
しかし、この時期に学校や塾から出される宿題だけに頼っていると、本当の勉強の習慣がつきません。
それは、宿題があるときはやる、ないときはやらないという勉強スタイルになってしまうからです。
勉強の習慣は、家庭で独自に毎日やることを決めて、それをこなすことによって作られます。
●家庭学習は考える勉強にしていくことが大事
家庭での勉強は、作業的なものではなく考える勉強にしていく必要があります。
難しい計算問題に見えるようなものであっても、パターンが分かれば単なる計算作業の繰り返しになってしまいます。
難しい言葉を覚えるような勉強であっても、覚えるだけではただの知識の詰め込み作業になってしまいます。
読む力、書く力、考える力ををつける勉強を家庭学習の中心にしていく必要があります
●勉強が難しくなるのは小5から
ところで、小学校低中学年のころは、勉強の仕方がよくても悪くても、学力には大した差は出てきません。
おおまかに言うと、小学4年生までの勉強は、基本的に難しいものはないので、学校の授業を聞いていれば誰でもそれなりにできるようになります。
しかし、小学5年生からは、どの教科の勉強も急に難しくなります。
それは、小学校高学年になると、子供たちの考える力がついてくるので、学習内容も思考力の必要なものに変わってくるからです。
●低中学年の勉強習慣が小5からの勉強の土台になる
高学年の難しい勉強になったときに生きてくるのが、それまでにつけておいた考える勉強の習慣です。
高学年から難しい勉強になると言っても、義務教育の間の勉強は、基本的にはやれば誰でもできるようになるものです。
ただし、それは、やればすぐにできるというものではなく、できなかったところを繰り返すという計画性と、考えることが苦にならないという学力が必要になります。
その計画性と学力を育てるのが、それまでに身につけた毎日の考える勉強の習慣です。
低中学年の勉強は、成績を上げることが目的ではないので、長時間させる必要はありません。
むしろ、子供が自主的にできるような少ない分量にとどめ、そのかわり考える要素のある勉強を毎日続けるという習慣をつけておくことが大事なのです。
■家庭で行う勉強には弱点もある
家庭学習には、家庭で行うことによる長所があると同時に、家庭で行うことによる弱点もまたあります。
●昔ながらの問題を解くだけの勉強になりがち
その第一は、利用できる教材が昔ながらの知識中心のものになっていることが多く、考える勉強よりも問題を解くだけの勉強のスタイルになりがちなことです。
また、将来の学力の土台になる国語力や読書力をつけるよりも、結果が出やすい算数や英語の勉強の方に力を入れすぎてしまうこともよくあります。
●勉強をさせすぎて嫌いにさせることがある
第二は、小学校低中学年のころに、必要以上に勉強をさせてしまう場合があることです。
低学年のころは子供は親の言うことをよく聞くので、子供の許容量を越えて勉強させてしまうことがあります。
すると、学年が上がってから、かえって集中力のない勉強をするようになってしまうことが多いのです。
●家でひとりで行う勉強は意欲がわきにくい
第三は、家庭で行う勉強は第三者がいないので、親子の妥協が生まれやすく、少し難しいことになると継続させにくくなることがあります。
例えば、暗唱の練習などはやれば誰でもできるものですが、家庭だけで行っていると続けられなくなる場合も多いのです。
また、家庭学習では、友達と交流する機会がないので、どうしても意欲的に取り組むという面が弱くなります。
家庭学習は、子供の勉強の基本ですが、その家庭学習を理想的な状態で続けるのは意外と難しいのです。
■家庭学習と結びつけた発表学習という新しい勉強法
家庭学習の長所を生かし、弱点を補い、家庭学習を意欲的に取り組めるようにしたのが言葉の森の「発表学習コース」です。
これは、互いの顔が見える5、6人の少人数のクラスで、国語、算数、理科、暗唱、英語暗唱、作文構想図、読書紹介などの中から自分の好きな勉強に取り組み、それをみんなの前で発表し、互いに質問や感想を述べ合うという形のオンライン学習です。
●発表学習コースの利点は意欲的な勉強と対話の習慣
この発表学習コースの利点には、次のようなものがあります。
毎週自分の学習したことをみんなの前で発表するので、意欲的な勉強ができます。
人前で発表する力や質問する力というコミュニケーション力がつきます。
発表する勉強をきっかけにして、親子で知的な対話を行う機会が増えます。
学習内容が創造的なものなので、自分なりに考える思考力が育ちます。
文章を書いて発表する機会が多いので、自然に記述力が身につきます。
頻度の高い保護者懇談会を行うので、子育てに関する質問や相談がしやすくなります。
●発表学習コースには保護者の協力が必要
発表学習コースには、保護者の協力が必要になります。
例えば、子供が考えた勉強内容をみんなの前で発表する準備として、材料をそろえたり、作業を手伝ったり、画像を撮影したり、それをアップロードしたりという手助けが必要になるからです。
しかし、これは、小学生時代という長い人生から見れば限られた時期に、親子の知的な触れ合いを作る機会だと前向きに考えることもできます。
手間がかかることもあるが、それ以上に達成感と交流の喜びがあるのが発表学習コースの勉強なのです。
■発表学習コースの体験学習を受付中
発表学習コースは、言葉の森の作文を受講している生徒、及び、そのご兄弟が受講できます。
対象は、小学1年生から中学3年生までです。(将来は高校生も対象にする予定です。)
月4回の授業があり、受講料は月額2,160円です。
必要な機材は、ウェブカメラのついたパソコンで、発表する作品のアップロードなどでは保護者のご協力が必要になります。
●お問い合わせ、お申込みは送信フォームから
現在、発表学習コースの2回の無料体験学習を行っています。
体験学習を希望される方は、「寺子屋オンライン送信フォーム」からお申し込みください。
▽寺子屋オンライン送信フォーム
https://www.mori7.net/teraon/teraform.php
お電話によるお問い合わせ、お申込みも受け付けています。
電話 0120-22-3987(045-830-1177)
■子供たちの発表から(掲載の画像の学年は小2から中1までまちまちです。)
アゲハチョウの一生の研究 |
イチゴの観察 |
イチゴ狩りをしたことの構想図 |
カーリングの研究 |
カタツムリのクイズ |
カタツムリの観察 |
カレーライス作り |
コゲラの研究 |
プリンの作り方 |
ホタルの観察と研究1 |
ホタルの観察と研究2 |
メダカの飼育と観察 |
各地の特産物を歌にした |
月のクレーターのできかた |
月の満ち欠けの実験 |
光の研究 |
国語と算数の問題1 |
国語と算数の問題2 |
作文楽しい先生の構想図 |
算数クイズ |
算数の比の問題 |
算数の比の問題2 |
酸性とアルカリ性の実験 |
自作プログラミング |
折り紙で角度の問題 |
組み立てパズルに挑戦1 |
組み立てパズルに挑戦2 |
ナズナの観察1 |
ナズナの観察2 |
読んでいる本の紹介1 |
読んでいる本の紹介2 |
読んでいる本の紹介3 |
読んでいる本の紹介4 |
発表学習クラスのミニ懇談会で、「作文を漢字を使わずにひらがなばかりで書いている」という相談がありました。
これは、男の子には特によくあることです。
漢字を使わずにひらがなばかりで書くというのは、とても目立つことなので誰でも直したくなります。
また、漢字を書ける大人にとってみれば、漢字を使うことなど心掛け次第でわけなくできることのように思いがちです。
ところが、これがなかなか直らないのです。
漢字を書かない子というのは、ほかのことがすべてできて、漢字を書かないところだけができないというのではなく、ほかのことでもできていないことが結構あります。
だから、直すことにかなり力を入れなければできないような漢字を書かせることに力を入れるよりも、もっと大事な学力の中心である読書に力を入れるということを最優先してやっていくのがいいのです。
そして、漢字を書くことについては、すぐには直らないものの、毎回、「なるべく漢字を使って書いた方が見た目がよくなるよ」ということを優しく繰り返し言ってあげるのです。
繰り返し同じことを聞かされることによって、子供はだんだんと、なるべく漢字で書こうという気持ちを持つようになります。
そして、本当に少しずつ漢字を書く割合が増えてくるのです。
これを、一挙に漢字を書くようにさせるというのは無理があります。
少しずつ漢字を書くように仕向けていくことが最善の方法で、そして漢字とは一見関係がないように見える、しかし学力の中心となる読書に最重点を置いていくようにするといいのです。
また、普段の作文はひらがなばかりで書いていたとしても、清書のときだけは、使える漢字は漢字で書くというふうにするやり方もできます。
年中漢字を使うのは無理としても、焦点を絞って漢字を使うというのであれば、子供はそれなりに納得して取り組むからです。
漢字を使えないことによるいちばんの問題は、間違えたまま覚えている漢字がわからないということです。
これは、大人になってからでも、小学校中高学年で習ったはずの漢字を正しく書けない人がかなりいることを見ても分かります。
漢字の書き取り力は、真面目に勉強しているかどうかということに比例するので、漢字を正しく書ける人は真面目に勉強した人です。
漢字を正しく書けない人は、真面目に勉強していなかった人で、男の子のほとんどは、真面目に勉強していなかった方に入ります(笑)。
小学校時代に、真面目に漢字の勉強をするというのは、よほど親がしっかりやらせないかぎり、決して自然にできることではないからです。
漢字の書き取り力は、学力とは全く関係なく、ただ真面目に勉強したかどうかだけなのです。
さて、話は先に進みますが、ひらがなを漢字に直す場合、辞書を引くというやり方はこれからはなくなっていくと思います。
大人の場合は、キーボードで打って漢字変換をして確かめるというやり方をしている人がほとんどだと思います。
今後、もっと広がるやり方は、音声入力で漢字変換を自動的に行うことです。
更に先に進めば、アマゾンエコーやグーグルホームというロボットのようなものを横に置いて、「この漢字どうやって書くんだっけ」「コウデスヨ」というような時代になると思います。
そして、人工知能を使った手書き認識の時代になれば、ひらがなで書いた文字も自然に正しい漢字に直るようになります。
そう考えると、漢字が正しく書けるかどうかというのは、今の時点でこそその人の教養を測る尺度のようなものになっていますが、近い将来は、評価としてほとんど考慮されないものになってくると思います。
ところが、では、漢字を勉強しなくていいかというと、ここで大逆転があるのです(笑)。
それは、漢字、ひらがな、アルファベットなどを比較した場合、漢字だけは、同じ文字でも画像的な文字として認識されているからです。
だから、漢字の書き取りはほどほどでもよいが、読み取りだけは学校で勉強する以上に進めていくのがいいのです。