小学1、2年生の作文の練習は、楽しく書く習慣をつけることと、正しい書き方を身につけることが第一の目的になります。
「楽しく、正しく書く」ということは、誰にでも共通する基本的な内容なので、習得することは比較的簡単です。
ただし、読む力の向上が伴うことで語彙力や表現力も向上するので、毎日の読書や長文音読や暗唱練習のような家庭での学習は必要になります。
さて、この「楽しく正しく書く」というレベルの作文は、学年が小学3、4年生に上がってくると、ほとんどの生徒ができるようになります。
また、もともと読む力書く力がある子は、小学1、2年生の段階から、かなり自由に「楽しく、正しく」作文を書くことができています。
しかし、ここで、「もう作文は大丈夫」と、小学生の作文力が完成したように考えてしまうことはできません。
受験の作文に対応する本格的な作文力は、小学5年生からの「考える作文」の段階で出てくるからです。
小学5年生から必要になる学力の変化は、作文以外の国語や算数や理科や社会の教科でも共通しています。
小学4年生までの身近な事実に基づいた勉強から、小学5年生以降は、より抽象的な思考力を要求される勉強に切り替わっていくのです。
この学力の変化は年齢的なものなので、いくら作文力の優れている子でも、小学校中学年のうちに、小学校高学年で要求されるレベルの作文を書くことはできません。
例えば、「私の家族」という題名で書く作文は、小学4年生でも、小学5年生でも書くことができます。
しかし、その作文の主題を、「人間にとって家族とは何か」という形で考えることは、小学5年生以降でないとまずできません。
同じく、「ぼくの友達」という題名の場合でも、「友情とは何か」という形で主題を考えることは、抽象的な思考力が育つ小学5年生以降でないとできないのです。
だから、小学5年生からが、主題中心の本当の作文の勉強になるのです。
小学4年生までの作文は、小学5年生以降の作文の準備段階です。
小学1、2年生の勉強の中心が「正しく書く」という意味の「表記」で、小学3、4年生の勉強の中心が「価値ある内容」を「表現豊かに書く」という意味の「題材」と「表現」で、小学5年生以降の作文の勉強の中心が「構成」と「主題」で、中学生以降は、この「構成」と「主題」のさまざまな展開を学ぶという流れになっているのです。
こういう小中高の一貫した体系のもとで作文指導をしていところは、言葉の森だけだと思います。
さて、言葉の森の前身は、大学生対象の作文小論文指導をする教室でした(40年以上前の話ですが)。
大学生の作文指導をしていた教室が、高校生の入試小論文指導を行うようになり、次第に学年を下げて、現在の小学生からの作文指導を行うようになったという経過があります。(それが30年以上前の話です。)
だから、小学校高学年以降の中学生、高校生の作文指導こそが、言葉の森の特徴のある作文指導だとも言えるのです。
今の世の中で、作文指導をしている教室は、通信教育や学習塾も含めていろいろあります。
しかし、小学校高学年から、中学生、高校生にかけての作文指導は、言葉の森が最も長い指導の実績があります。
だから、この小学5年生以降の抽象的な思考力を要求される作文については、言葉の森で勉強することが最も密度の濃い勉強の仕方になります。
小学5年生からは作文の課題が急に難しくなりますが、言葉の森では、毎週の電話指導に加えて、現在はオンラインの少人数クラスによる作文指導も行っています。
オンラインのクラスでは、動画による解説も見ることができるので、難しい課題のときも書き方がよくわかるはずです。
小学3、4年生で既に作文が楽に書けるようになった生徒は、小学校高学年からは「考える作文」になるということを理解し、現在の、題材と表現を充実させる勉強に更に力を入れるとともに、今後はより難しい説明文の読書に取り組んでいってください。
また、小学5年生以上の生徒は、言葉の森で勉強することが最も高度な勉強になっていると考え、これまでよりも更に長文音読と事前の準備に力を入れて取り組んでいってください。
小学4年生ぐらいで作文のよく書ける子のお母さんが、「もう作文の力は十分についたと思うので、ほかの勉強に力を入れたい」というケースが、昔からよくありました。
以前は、「はい、そうですか」とそのままにしていましたが、本当はそれはすごくもったいないことだったのです。
それは、小4と小5の作文は、質が違うからです。
どんなに作文の苦手な子でも、小4までの課題は誰でも何とか書けます。
しかし、小5からはそうではないのです。