昨日7月11日(水)20:30より、Zoom会議室で7月の森プロ交を行いました。
その前半の中根からの報告部分の動画です。
森林プロジェクトの目標と寺子屋オンラインの可能性について、約15分説明しています。
これからの日本の教育に関心のある方はぜひごらんください。
オンライン教育のツールは、現在、大きな技術革新が進んでいます。
これからの教育も、仕事も、このオンラインツールの活用なしには考えられなくなると思います。
しかし、大事なのはツールよりも、ビジョンです。(カタカナ語が続きますが)
これまでの教育は、ひとことで言えば受験のための教育でした。
それが、子供たちの教育にさまざまな歪みを生み出してきました。
もちろん、その受験のための教育は、ある程度までは子供たちの学力形成に大きく寄与する時代がありました。
しかし、今は、その利点よりも弊害の方が大きくなっています。
その弊害とは、ひとことで言えば、学ぶこと自体にあまり意味のないことを、ただ点数の差をつけるためだけに学ばされる度合いが大きくなってきたことです。
ところが、その受験のための教育の良し悪しを論じるより以前に、受験という制度そのものが今大きく変化しつつあるのです。
それは、これからのオンライン教育の仕組みを活用すれば、入学者に定員を設ける受験そのものが必要なくなってくるということです。
現在でも、既にMOOCなどのシステムでは、誰もが世界中のどこからでもほとんど無料で、世界の最高水準の講義を受けられるようになっています。
学ぶための手段や方法が大きく改善されたために、その手段や方法を手に入れるために行われていた受験は、これから急速に必要ないものになっていくのです。
すると、大事なのは、手段を手に入れることではなく、何を学びたいかという本人の意欲の方になってきます。
その意欲を育てるのが、これからの教育の主な目標になっていきます。
今、言葉の森では、オンラインシステムを使った、寺オン作文コースと発表学習コースを行っています。これは、既に30年以上の実績のある電話通信による作文指導と並行して行っているコースです。
この寺子屋オンラインと名付けた教育は、従来の学校や塾での勉強のような、先生が教えることを中心とした教育ではありません。
確かに対象が小中学生ですから、教える授業はあります。しかし、教えたことが定着したかどうかをテストして、教えたとおりのことができればそれで完了という教育ではありません。
そうではなく、教えたところを出発点として、自分から学問を深めそれを創造的に発表していく教育です。
この勉強には、従来の知識の詰め込みによる勉強とは違った楽しさや苦しさがあります。
その楽しさとは、自分らしい創造性を生かす楽しさで、苦しさとは、創造的に取り組むことによる苦しさです。
わかりやすい例で言うと、従来の勉強の典型は漢字書き取りや計算練習です。
この勉強はもちろん誰にとっても必要なものですが、今の受験教育の中では、間違えやすい漢字や間違えやすい計算問題が中心になって教えられるようになっています。
そのための知識の詰め込みには、それなりに楽しさと苦しさがあります。
一方、新しい勉強の典型は作文です。
作文は、覚えた知識を再現するようなやり方で書くことはできません。どういうテーマであっても、そこに自分なりの実例や意見の創造が必要になります。
だから、作文の勉強には、創造できないときには苦しさがあり、創造できたときには楽しさがあります。
この作文の勉強と同じようなスタイルの勉強を、国語、算数数学、理科、社会の全教科にわたって行っていくことがこれからの教育の大きな方向になっていきます。
それは、今、言葉の森では、寺オン作文コースと発表学習コースで行っています。
そして、それらの教育を担うのが、森林プロジェクトで理念と方法を共有する講師たちという関係で考えているのです。
▽森プロ交2018年7月
https://youtu.be/q1_4QGme-7s
小学生の平均読書冊数は、1週間に2冊程度と言われています。
しかし、この読書量は個人によってかなり大きな差があります。
今の小学生は、勉強や宿題や習い事に忙しいせいか、やることがあまりにも多い気がします。
それらを全部やろうとすると、例えば次のようなスケジュールになることがあります。
国語の勉強10分、算数の勉強10分、英語の勉強10分、理科の勉強10分、社会の勉強10分、読書の時間10分。
このようなやり方でバランスよく学力がつくと思うのは大きな間違いです。
学力の基本は、あくまでも日本語を読み取る力ですから、子供の学習時間としては読書50分、算数が苦手にならないように15分というような重点を決めた時間配がいいのです。(これはあくまでもひとつの例です)
家庭学習の中では、読書を最重点にした勉強のスケジュールを作っていく必要があります。
また、塾に通うような習い事をしている場合、その日は塾の勉強だけで終わり、家に帰ると何もしないということになる場合があります。
そういうときでも、読書だけは必ず毎日時間を確保していく必要があります。
読書を中心とした学習の積み重ねがその後の学力と土台となり、それが学年が上がるほどはっきりしてきます。
いろいろな勉強を少しずつやっていると、表面的な勉強はできたような気がしますが、本当の深い学力は付きません。
家庭学習は、見た目のバランスを考えるのではなく、重点を絞って取り組んでいくことが大事です。
そして、その読書も、子供の読む力に応じて、無理のない形で多読から難読へと進めていく必要があるのです。
寺子屋オンラインのクラスでは、毎週生徒どうしが読んだ本の紹介をしています。
これが、家庭での読書の強力な援軍になっている気がします。
ところで、読書の目標は学年の10倍程度と考えておくといいので、小学1年生が10ページ以上、2年生が20ページ以上、3年生が30ページ以上、……そして5年生以上が50ページ以上としておくといいと思います。
1日50ページ以上は、中高生も大学生も社会人も同じです。
それ以上、ひっきりなしに読む子もいますが、そういう子は逆に理科実験や自然観察のような手足を動かす体験にも力を入れていくといいと思います。