学校は何のためにあるのでしょうか。
ほとんどの子にとって、それは友達と会うためです。
友達がいるから、又はかわいいあの子がいるから、学校に行きたくなるのです。
では、学校で友達と何をするのでしょうか。
勉強ももちろんあるでしょう。
しかし、友達とすることの中心は遊びです。
15分休みや昼休みのちょっとした時間に、限られた枠で自由に遊ぶことが楽しいのです。
あとに退屈な授業があるから、余計楽しいのかもしれません。
では、なぜ遊びが勉強よりも楽しいのでしょうか。
それは、自分が主人公として参加できるからです。
自分が、大きな背景の一人ではなく、ちゃんと名前を持った主人公として登場できるからです。
では、なぜ遊びでは主人公として参加できるのに、勉強では背景の一人になってしまうのでしょうか。
一つは、勉強の中身が、自分の興味や関心によってではなく、外側からの枠組みとして与えられるからです。
その枠組みを速すぎも遅すぎもせず、決められた速度で進まなければならないからです。
もう一つは、参加者の人数が多すぎるからです。
綱引きは遊びに似ていますが、綱引きに熱中する子はいません。
自分が大勢の仲間の人数の一人になってしまうからです。
それと同じように、勉強のほとんどは、教わる人数が多すぎるのです。
授業というものは、ほとんどの場合、楽しいのは教える人だけで、教わる人の多くは眠さを我慢しています。
だから、長い時間授業を聞いていても、頭にはほんのわずかしか残りません。
それで、仕方ないから、頭の残り具合をテストしなければならなくなるのです。
確かに、「銀の匙」を教えた橋本先生のように、みんなが熱中する授業もあります。
しかし、それは、子供たちのレベルが均質で、全員に教えることが、それぞれの生徒に個人的に教えることと一致するような恵まれたケースの場合です。
普通の学校の普通の授業で、日常的にそういう熱中できる授業をすることは、不可能とは言わないまでも、かなり困難です。
では、遊びのように子供たちが主体的に参加できる勉強をするには、どうしたらいいのでしょうか。
それは、第一に、勉強の内容が、それぞれの生徒の創意工夫ができるものになっていることです。
そして、第二に、全員が主人公として参加できるぐらいの、遊びと同じ少人数で勉強ができることです。
実は、これが、寺子屋オンラインの作文コースと発表学習コースです。
もちろん、寺子屋オンラインの勉強はまだ始めて間もないので、すべてのクラスが理想的にできているわけではありません。
参加者がまだ少ないために、同じ学年の子供どうしの交流が限られてしまうクラスもあります。
しかし、これはいずれ時間が解決していくと思います。
長く続けているクラスでは、学校はインフルエンザで休んだが、寺子屋オンラインだけには参加するという子もいます。
風邪を引いて休んではいるが、みんなの話を聞きたいので、授業だけは録画しておくという子もいます。
それらの子供たちが、北は北海道から南はシンガポールまで(2018年9月現在)、たまたま偶然寺子屋オンラインで会っただけの子供たちなのです。
寺子屋オンラインは、5、6人のメンバーが、互いの顔が見えるZoomの会場で、自分で工夫した勉強を発表するという、通学でも通信でもない、また単なる勉強でも遊びでもない、新しい勉強をするクラスです。
森林プロジェクトの作文講師資格を持つ先生の協力を得て、これからこの寺子屋オンラインの勉強を世界中に広げていきたいと思っています。
▽作文の体験学習を寺子屋オンラインクラスで受けることを希望される方は、ひとこと欄にその旨をご記入ください。別途資料をお送りします。
https://www.mori7.com/ftaikenn.php
作文は、他の教科の勉強と違って、○や×がつくような正解がありません。
だから、よく書けたとか、面白いものが書けたとか、頑張って書けたとか、そういう評価が中心になります。
確かに、言葉の森の作文指導の場合は、項目ができたかどうかで生徒が自分で○×をつけられることと、森リン点で点数が出るという違いはあります。
しかし、基本は○×がつく性質のものでなく、内容がよく書けたかどうかというところが作文の評価の中心になります。
すると、作文がよく書けるようになるためには、材料を準備してくるとか、意欲的に書くとかいう、作文以前の心構えのようなものが大事になってきます。
作文を初めて書くときは、誰でも頑張って書くので上達もしやすくなります。
しかし、評価に具体的な○×がつかないために、だんだんと書くことに慣れてマンネリ化してくることがあります。
だから、本人の意欲をいかに持続させるかということが、作文指導で重要なことになってくるのです。
言葉の森のこれまでの指導は、担任の先生が毎週の電話で個別に話をする中で、子供たちの意欲を持続させるという指導法が中心でした。
しかし、寺子屋オンラインで複数の生徒が作文を発表し合う形で勉強していると、子供たちの作文を書く際の意欲が更に持続するようになってきました。
その結果、作文が苦手だった子もどんどん上手になり、作文がもともと好きだった子は更に高度な作文に挑戦するということが起きてきました。
これからの勉強は、作文に限らずどの分野でも、先生にただ教わるだけのものではなく、子供どうしが互いに発表し感想述べ合うようなものになってくると思います。
今はまだ参加者が限られているので、複数の学年が混在していますが、今後は寺子屋オンライン作文クラスに参加する生徒を増やし、学年別に分けた指導にもっと時間がとれるようにする予定です。
ただし、異なる学年の生徒の作文を読むことも参考になるので、それは毎月の発表交流会でカバーしていきたいと思います。