△水引草
寺子屋オンラインの授業は、今後、実習時間の確保、学年分け、定期テストなどの改良とともに、クラス数も増やして、誰でも利用しやすいようにしていく予定です。
ところで、この寺子屋オンラインシステムの拡充のためには、現在の言葉の森の講師の人数では間に合いません。
現在の講師はそれぞれ担当時間が埋まっているため、新しく時間を割くことが難しいからです。
そこで、更に多くの講師を、森林プロジェクトの寺子屋オンライン作文講師育成講座で募集することにしました。
その募集の前提として、言葉の森では、講師の役割を次のように考えています。
まず、勉強の重要な要素は、教室、教材、教師などだと考えられています。
しかし、私はいちばん大事なものは、一緒に学ぶ友達と、教育の目的だと思います。
今の学校や塾で行われている勉強の多くは、答えがある問題のその正しい答えを早く見つける勉強です。
そのため、答えを見つける勉強の発展した形は、難しい問題を解く勉強という方向に進みます。
それは結局、難しい問題を出すことによって子供たちに差をつけて評価することを目的としているからです。
しかし、勉強の本来の目的はそうではなく、すべての子供が必要な学力をつけることと、そしてその基本となる学力を生かして、創造的な学力を育てることです。
例えば、算数の問題でも、難問を解く力よりも、自分で新しい問題を作る力の方が重要になってくるのです。
創造力を育てるという勉強の目的にとって重要なのは一緒に学ぶ友達です。
子供たちは、勉強にしても、遊びにしても、他の人との関わりがあることによって意欲的に取り組めるからです。
こういう教育の目的を考えると、先生の役割というものはこれまでとは大きく違ったものになってきます。
これまでの先生は、教えることを中心とした仕事をしていました。
そのため、現在も学校の教科書は、教えることを前提にして作られています。決して、独学で学べるようには作られていないのです。
しかし、教科書以外の市販の問題集や参考書の中には、子供が保護者と協力して独学で学べるような仕組みのものも数多く作られています。
また、ネットを使ったビデオ授業のように、子供がその授業を視聴するだけで、新しい勉強の中身を習得できるようなものも増えています。
すると、先生の役割は、ますます勉強を教えるということからは遠ざかります。
そしてそのかわり、参加する子供たちの集団を活性化し、仲間はずれを作らず、みんなが協力し励まし合いながら勉強進めていくような、動的なクラスを作ることが重要な仕事になってくるのです。
もちろん、先生には、教える教科の知識があるに越したことはありません。
しかし、小中学校の義務教育の範囲の勉強は、大人であれば既に一度は学び終わった内容ですから、少し時間をかければ誰でもできるようになるのです。
寺子屋オンラインは、単に勉強を教える教育ではなく、従来の学力とともに新しい思考力・創造力・共感力・発表力を伸ばす教育として広がげていく予定です。
その寺子屋オンラインの少人数クラスをカバーする先生は、教える先生よりも、子供たちの集団を活性化する先生です。
そういう先生を、今後、
森林プロジェクトの寺オン作文講師育成講座で募集していきたいと思っています。
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今の教育は、次第にティーチングからコーチングの方向に向かってします。
先生が知っている知識を、その知識をまだ知らない生徒に教えるというのは、インターネットがなかった時代の古い教育です。
これからは、知識はそれぞれの生徒が自主的に習得し、その成果を互いに発表し合い、友達との交流の中で創造的に発展させるという学び方になってきます。
そういう時代の先生の役割は、これまでとは大きく変わったものになってくるのです。
寺子屋オンラインの少人数クラスは、通学教室よりも能率がよく、通学教室よりも友達と仲よくなれるクラスです。
しかし、その分、先生の勉強の進め方に工夫が必要になります。
今は、そのためのノウハウを蓄積しているところです。
ここで、ほかのところでは得られない、作文と発表を中心とした創造的な教育を広げていきたいと思っています。
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寺子屋オンラインシステムの運営で、第三に考えていることは、自主学習コースで、毎月、学年別の定期テストを実施することです。
テストの実施については、以前から行うことを考えていましたが、生徒の進度に応じてどのような形で行うかという仕組みづくりが難しかったので、実施が先延ばしになっていました。
自主学習コースの現在の教材は、誰でも入手しやすい市販の問題集で解説の詳しいものを中心にしています。
国語については、問題集読書を毎日続ければ必ず国語力が上がります。これ以外に国語力を上げる効果的な勉強法はないと言ってもいいぐらいです。
算数数学については、普通レベルの問題集が百パーセントできるようになれば、小中学校の算数数学もほぼ完璧にできるようになります。ほとんどの生徒は、難問の入っている問題集が八割ぐらいしかできないまま勉強を続けているから成績が上がらないのです。
理科・社会については、学校で教科書を中心に学ぶだけで十分です。小学校低中学年のころから、学校の教科に合わせて家庭で理科も社会もやるようにするから、いたずらに多忙になるのです。
基本的な問題集で自分のペースで勉強を続けられるという点で、自主学習コースは理想的な勉強スタイルなのですが、小中学生でまだ勉強の自覚がないうちは、できなかった問題もできたことにしたり、よくわからない問題もそのまま済ませたりということが起きてきます。
そのために、定期テストをしたいと思ったのですが、市販の教材のままだと、その教材を生かしたテストを作るのはかなり時間がかかります。(既に、小1から中3まで一応作ってはあるのですが、まだ問題数が少ないため)
そこで、個別指導の学習塾で使われていて定評のある問題集を、算数数学、英語に絞って取り入れることにしました。
国語については、現在の市販の国語問題集を引き続き利用し、テストについては、毎月第4週に読解マラソン集の読解問題を行うようにします。この読解マラソン集の問題で満点が取れれば、国語の読解力は完璧と言っていいからです。
算数数学と英語については、個別指導塾の問題集をもとにしてテストを定期的に行うようにします。これで、本人も保護者も学寮kの状況がより正確に把握できるようになります。
学校や塾のテストは、差をつけることを目的としているので、80点取れたからいいとか、90点取れたから安心だということになりがちです。
しかし、本来、テストは100点を取らなければならないものです。基本的な学力については、完璧にできていなければならないのです。
そのかわり、自主学習コースでは、その学年の学力が完全についたら、学年の先取りをして学習を続けていきます。
このようにしていけば、受験期に、受験に特化した勉強をするようになったときもすぐに対応できるからです。
これまで、言葉の森で作文の勉強をしている生徒の保護者から、教科の勉強について相談されることが多かったのですが、今後は、この自主学習コースに参加してもらう形で、教科の勉強はカバーできるようにしたいと思います。
自主学習コースは、通常の個別指導塾の2分の1から3分の1の受講料で、利益よりも生徒へのサービスとして行うクラスですから、効率よく教科の勉強をしたいという言葉の森の生徒はぜひ参加されるとよいと思います。
(つづく)
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勉強の基本は自主学習です。
自分のペースで、重点を決めてやっていくのが最も能率のよい勉強の仕方です。
この勉強姿勢は、学年が上がるにつれて効果を発揮してきます。
社会人の勉強の基本は独学です。
変化の速い時代には、独学でなければ必要なことを学ぶことができないからです。
子供も、大人も、教えてもらうのを待っていては、どんどん遅れてしまうのです。
勉強は、できる子だけができればいいというのではありません。
全員が、例外なくできなければならないのです。
この勉強の典型が暗唱です。
暗唱は、早い遅いの違いはあっても、やれば誰でもできるようになるからです。
同じように、テストも、全員が百点を取ることを目的として行わなければならないのです。
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寺子屋オンラインシステムとは、Zoomというウェブ会議システムを使った少人数のオンライン教育の仕組みのことです。
Zoomの利点は、第一に、マイクやカメラの設定でトラブルがほとんどないことです。
そのため、初めての人でもZoomの会場のリンクをクリックすれば、そのまま自然に参加できます。
第二に、ブレークアウトセッションという分科会の会場をメイン会場の中に作れることです。
必要に応じて参加者が分科会に分かれることができるので、柔軟な運営ができるようになりました。
第三は、参加人数に制限がないことです。
かなり大勢の人が同時に参加しても、動作が遅くなったり画面が粗くなったりすることなくスムーズに運営ができます。
当初、このZoomを使って、子供たちが自由な研究発表のできる思考発表クラブ(現在の名称は、発表学習コース)を行ってきました。
子供たちが、自分の研究や実験をあらかじめ画像や動画でアップロードしておき、Zoomの会場でそれらを画面共有で見ながら各自が発表するという勉強です。
この発表学習コースで、子供たちの思考力や創造力や発表力がトータルに伸びているという実感があったので、今年から作文指導についても、寺子屋オンライン作文コースという名称でスタートさせることにしました。
しかし、作文コースの方も、発表学習コースのように発表と交流の時間を長く取ったために、週1回の授業のあと、別に作文を書く時間を取らなければならないということになってきました。
こうなると、高学年の難しい作文を書く生徒には、負担が大きくなると考えたので、今後は、全体の発表を少なくし、個別指導の時間と作文実習の時間を多く取るようにしようと考えています。
これが、寺子屋オンラインシステムの運営の変更点として、第一に考えていることです。
実習の時間を確保できるようにすると、作文はその日のうちに仕上げるられようになります。
作文を書き終えるまでZoomの会場にいるということにすれば、ある程度強制力があるので、電話指導だけではその日のうちに書き上げられなかった子も、最後まで書き上げることができるようになります。
その意味では、高学年や中高生の生徒の方が、この寺子屋オンラインシステムの作文コースは利点が大きいかもしれません。
個別指導と作文実習を行うと、Zoomの教室の中での交流が少なくなるので、その分、作品を発表するgoogleコミュニティの中で、ほかの人の作品にコメントを書けるような形で交流を深めていきたいと思っています。
個別指導については、生徒と先生が1対1で行うこともできますが、Zoomの特性を生かして、同学年の生徒2、3人が合同で行うことを考えています。
そうすると、同学年の同じ課題で、他の生徒がどういう準備をしてきたかがわかるので、自分の書く作文の参考にもなると思います。
寺子屋オンラインシステムの運営で、第二に考えていることは、少人数のクラスをできるだけ同学年か近い学年にまとめることです。
自分より高学年の生徒の発表は参考になりますが、それは全体の発表交流会の見学で行えるようにし、普段の学習は同学年の生徒で共通の課題や関心のもとに行えるようにしたいと思っています。
(つづく)
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Zoomを使った寺子屋オンラインシステムの教育は、大きな可能性を秘めています。
それは、特に、思考力や創造力や発表力という点数になりにくいものの教育に向いているからです。
成績を上げるだけなら、ビデオ授業でも、同じ学力の生徒の一斉指導でも、それぞれの生徒に併せた個別指導でもできます。
しかし、これから求められる新しい学力は、従来の授業形態ではなかなかできません。
少人数を維持したままて集団授業が行えるというところに、寺子屋オンラインの特徴があります。
その特徴を生かす工夫を今しているところです。
先日まで、携帯電話の代わりにskypeを利用などと言っていましたが、今はskypeよりZoomです。
また、作文の画像をアップロードするというのは、昔は限られた人だけでしたが、今は次第にその方が主流になりつつあります。
今後は、作文の画像も、言葉の森のページにアップロードするのではなく、自分のgoogleフォトなどにアップロードしてそのリンクを言葉の森にアップロードするようになると思います。
最近は、手書きで書くのに時間がかかるからという理由で、音声入力で書く子も何人か出てきました。
これらは、社会全体のAI化、デジタル化の流れの一環なので、これから加速することはあっても後戻りすることはありません。
こういう新しいことは大好きです(笑)。
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国語の得意な子は、国語の問題集を解くような勉強をしていません。
何もしないのに得意なのです。
国語の勉強の本質は、文章を読み取ることですから、特に問題を解くテクニックを知らなくても、読む力のある子は大体できます。
100点を取ろうとすると、問題を解く技術が必要になりますが、普段のテストではそういうところまでする必要はありません。
読む勉強が解く勉強よりも大事だといういちばん大きな理由は、その勉強にかける絶対量が違うからです。
読む勉強の中身は、読書や問題集読書ですから、長時間読んでも大して苦になりません。
それどころか、読むのが楽しくなると、ちょっとした空き時間にも読み続けるようになります。
解く勉強は、勉強のような作業が続くので、少しやるとくたびれます。
30分や1時間もやれば、もうそれ以上はやりたくなくなるのが解く勉強です。
そして、気持ちだけは、しっかり勉強をした感じがしてしまうのです。
楽しく本を読んでいる子と、苦しく国語の問題を解いている子を比べれば、苦しく国語の勉強をしている子の方が成績がよくなりそうですが、実は反対です。
では、解く勉強は必要ないかというと、そうではありません。
入試の国語の場合は、1点差を競うような性質の国語ですから、緻密に解く技術が必要になります。
しかし、それは試験の直前で十分に間に合います。
その直前の勉強が効果を上げるためにも、読む力をつけておく必要があるのです。
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作文の勉強で読む力がつくのは、感想文を書くために、毎日長文を読むからです。
学年相応よりもやや難しい文章を読んでいると、その読む勉強で国語力がついてくるのです。
課題の長文を音読するというのは、短時間でできる効果的な勉強法ですが、なかなか続けられません。
それは、問題集を解くような勉強に比べると、音読は勉強した跡が残らないので張り合いがないからです。
そのうえ、声を出して読んでいると、たいていはお母さんに読み方を注意されます(笑)。
だから、学年が上がるにつれて、「音読は自分の部屋でやる」などと言ってやらなくなるのです。
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