ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 3430番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/7/23
書く勉強よりも読む勉強の方がなぜ良いのか as/3430.html
森川林 2018/10/18 09:07 

 家庭で勉強する教材の中には、答えを書く形のものが多いと思います。
 作文力をつけるという勉強でも、文章を書き写すとか、文章を要約するといった勉強がよくあります。

 なぜ、このように書く形の勉強が多いかというと、勉強している様子が外から見てもわかることと、勉強した跡が、自分にとっても他の人にとってもよく分かるからです。

 しかし、書くという作業は、読むという作業に比べて、5倍から長いときには10倍近くので時間がかかります。
 すると、文章を1回書き写す勉強というのは、その同じ文章を5回繰り返し読む勉強と同じ時間がかかることになるのです。
 どちらが力がつくかといえば、1回だけ書くよりも、5回繰り返し読む方です。

 勉強は、中身本位にやっていくことが大切で、外側の体裁は二の次です。
 家庭では、できるだけ中身を優先して、読む勉強を中心に行っていくといいのです。

 さて、その読む勉強にも、二通りの読み方があります。
 一つは、他の人にもわかるようにしっかりと丁寧に読む朗読のような読み方です。
 もう一つは、自分にだけわかればいいという読み方で、つぶやくような読み方です。

 どちらの読み方が良いかというと、これは自分にだけわかる、つぶやくような読み方の方がいいのです。
 なぜかと言うと、朗読のような読み方では、外に向けて読むことに気を取られて内容の理解は二の次になることが多いからです。
 音読は、読んでいることが自分に分かればいいという読み方でいいのです。
 もちろん、音読によって読み間違いがわかることがありますから、近くにいるお父さんやお母さんにも内容が大体分かるような読み方をすることは必要です。
 しかし、近くで聞いているお父さんやお母さんは、「読み方をもっと上手に」などという注意は決してしないことです。

 さて、この音読について、繰り返し読む必要はないなどと言う人がいます。
 内容の理解の方が、音読の回数よりも大事だというのです。
 そういう考えが出てくるのは、音読の意味をよく理解していないからです。

 易しい文章であれば、回数の多い少ないはそれほど大きな差になりません。
 しかし、読む文章が難しくなってくると、1回しか読まないときは、自分の理解できる部分しか理解しない読み方になっています。
 2回繰り返して読めば、1回目には気がつかなかったことが理解できます。
 3回、4回、5回と繰り返して読めば、繰り返せば繰り返すほど、新しい理解が付け加えられてくるのです。

 これは、読書も同じです。
 1回目に読んだときと、2回目、3回目と繰り返し読んだときとでは、内容の理解に大きな差が出てきます。
 だから、1冊の教材は、5回以上繰り返すことが大事なのです。

 また、音読よりも黙読がいいというのも、音読の意味をよく理解していない考えです。
 繰り返し読む場合は、音読でなければ続けることが難しくなります。
 同じ文章を、2回目、3回目と黙読で読んでいれば、途中から必ずと言っていいほど斜め読みになってしまうからです。

 勉強は、読むことを中心にして、できるだけ音読で、そして1回だけでなく時間をおいて5回以上繰り返して読むというような読み方で実力をつけていくのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20181018  
 音読や暗唱の勉強で誤解が多いのは、お父さん、お母さんだけでなく、教えている先生自身も、自分が実際に音読や暗唱をした経験がないからです。
 子供が、親の前で音読をしたがらないというのは、子供の問題ではなく、親の問題です。
 子供に音読や暗唱をさせる前に、親が自分でも少しやっておくといいのです。




nane 20181018  
 内容をざっと理解すればよいというときは、黙読で速読でいいのです。
 内容を深く理解するときは、音読の復読(繰り返し読むこと)です。
 精読とは、じっくり読むことではなく、音読で繰り返し読むことなのです。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 音読(22) 

記事 3429番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/7/23
これからの新しい作文教室の姿――通学も通信も超えた教室 as/3429.html
森川林 2018/10/16 20:43 

 作文教室や作文講座という名前の付いている教室がいくつかあります。
 これらの教室の作文指導の仕方はどこも同じようなもので、子供たちに作文を書かせて、それを先生が添削するという形です。

 この事後的な添削中心のやり方の良い点は、誰でもそれなりに作文指導をすることができるという点にあります。
 学校でも、学習塾でも、昔から変わらぬ赤ペン添削という指導の仕方なので、生徒も先生もそういう教え方しかないように思っています。

 しかし、このやり方の良くない点は、課題が難しくなったときに、それでも頑張って書き続けようとか、より高いレベル目指そうとかいう意欲を持ちにくい点にあります。
 作文を書くというのは、小学校低中学年のころはそれほど負担ではありませんが、小学校高学年、中学生、高校生になると、かなり精神的エネルギーを必要とするものになります。
 作文力向上のために最も大事な時期は、この小学5年生からなのですが、肝心なときに作文の勉強を続けられなくなってしまうことも多いのです。

 言葉の森では、設立当初から、子供たちが作文を書く前に、何をどう書くかという項目を指示する事前指導を行ってきました。
 この事前指導は言葉の森のオリジナルで、こういう教え方をしているところはほかにはないと思います。
 そのために、書くことが苦手な子もすぐに書き出すことができ、得意な子はさらに高度な書き方を目指せるという指導になっていました。

 ところが、この事前指導の作文でも、長年続けていると、作文を書くのに飽きてしまう子も出てきます。
 特に課題が難しくなる中学生以降になり、その日のうちに書き上げられない日が何週か続くと、作文の課題がたまってしまい、そのことを負担に感じて続けられなくなってしまうということがあったのです。

 作文を書くというのは、学年が上がると、高度な集中力を必要とする勉強になるので、その日のうちに書き始めてその日のうちに書き上げなければなかなか毎週の課題を消化することはできません。
 作文を書きにくくなった時期に、どう書く意欲を持たせるかということが、言葉の森でもこれまで長年の課題でした。
 確かに、小学校低学年から作文の勉強を始めて、高校3年生まで続けたということも、毎年何人かいます。
 しかし、途中で、いろいろな理由から作文の勉強を続けられなくなってしまう子の方がずっと多かったのです。

 ところが、今回、寺子屋オンラインという仕組みで、同学年の少人数の子供たちが、あらかじめ予習してきた内容を発表し合うという教え方ができるようになりました。
 ほかの生徒の発表を聞くと、自分が書く作文の参考になることもよく出てきます。
 発表のあと、予習してきたメモをもとに作文を書けば、すぐに書き出すことができます。
 また、作文を書き終わるまで寺子屋オンラインの会場にいることにし、終了したらチャットで報告するという形を原則とすれば、作文の提出率は、通学教室に来るのと同じ百パーセントになります。
 しかも、この少人数のオンラインクラスは、電話通信指導のコースと同じ金額です。
 更に、作文の勉強のほかに、読んでいる本の紹介もできるので、作文と読書の学習がいっぺんに進みます。
 曜日によっては、このほかに暗唱の発表なども行っているクラスがあり、自然に全員が暗唱の勉強を続けるようになっています。

 以上のことを考えると、これから、この寺子屋オンライン方式の作文教室が、作文指導のスタンダードになるだろうということがわかってきました。
 通信の作文講座では、友達との交流という楽しさがありません。
 通学の作文教室では、全員が発表するというのはまず無理で、先生の集団指導と個別の赤ペン添削が中心になります。

 寺子屋オンラインでは、全員が予習に参加でき、友達との交流ができ、その日のうちに書き上げることができるという三拍子そろった作文の勉強ができます。
 読書紹介や暗唱発表なども入れれば、四拍子も五拍子もそろった勉強になります。

 この充実した作文の勉強をしていれば、小学生時代はおろか、中学生、高校生と勉強を続け、やがて言葉の森を卒業したあとも、同窓生として一緒に勉強してきた友達と読書や作文の交流を続けていけるようになると思います。

 言葉の森では、現在、この寺子屋オンライン方式の作文クラスを普及させるために、作文講師の育成をはじめとした準備を進めているところです。

 今、作文の勉強を始めようかと考えている方は、とりあえず言葉の森の電話通信指導を受け、寺子屋オンラインの作文クラスの曜日時間が増えてからそちらに参加していけるとよいと思います。
 少なくとも、作文教室という名前はどこも同じだろうと考えて、昔ながらの赤ペン添削中心の作文の勉強を始めないことです。
 事後の添削中心の勉強では、上達するように見えるのは、本人が意欲的に取り組んでいる初めのうちだけです。
 本格的な作文の勉強をしたいのであれば、高校3年生まで続けることのできる言葉の森の寺子屋オンラインのクラスで作文の勉強を始めるのがベストだと思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20181016  
 作文教室や作文講座という名前の教室がいくつもありますが、作文という名前がつけば、どれも同じなのではありません。・
 子供が意欲を持って取り組んでいる最初のうちは、誰が教えても上達したように見えます。
 しかし、本当の上達は、長年続ける中でゆっくりと育っていくものです。
 その長年続けられるかどうかということが、作文教室選びのいちばんの基準です。
 そして、ここに全く新しいスタイルの作文教室が生まれてきたのです。


nane 20181016  
 寺子屋オンライン方式の教室というのは、作文指導に限らずあらゆる教育の姿を変えると思います。
 しかし、そのかわり、運営の仕方に難しいところがあり、そのためにまだどこもこのやり方に着手していません。
 だから、言葉の森がこれから率先して取り組んでいきたいと思っています。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
言葉の森のビジョン(51) 寺子屋オンライン(101) 森林プロジェクト(50) 

記事 3428番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/7/23
移転先はオープン教育掲示板に――今後の大方針変更――言葉の森の教室も引越しに as/3428.html
森川林 2018/10/15 06:35 

 google+が来年廃止されることになったので、その代わりになるコミュニティツールを探していました。
 slack、chatwork、workplace、G suiteなど、いろいろ見てみましたが、どれも一長一短でした。

 最初、workplaceがよいと思ったのですが、同じドメインでないと使えないので、生徒に新たなメールアドレスを渡しても煩わしいだろうと思い、やめました。
 chatworkも見せてもらいましたが、記事のスレッド表示ができず、チャットがどんどん流れていくだけなので、じっくり話をするコミュニティとしては使えないと思いました。
 slackもたぶん同じです。
 G suiteは、無料版がないのでだめでした。G suiteは、ビジネスモードのgoogleハングアウトやgoogle+が使えるので、それなりにいいとは思いますが、生徒全員が参加するのはすぐには難しいと思いました。

 そして、結局、自前で作ったオープン教育掲示板を利用することにしました。
 しかし、画像や動画をオープン教育掲示板に直接アップロードするとサーバが重くなるので、今後は、自分のgoogleフォトにアップロードした画像や、youtubeにアップロードした動画のリンクを貼り付けてもらうことにしたいと思います。
 長期的に考えると、そのように自分の作品は自分のgoogleフォトで管理しておいた方がいいと思います。それは、自分のgoogleフォトのページで、削除も、共有の開始停止も、すぐにできるからです。

 さて、今回のgoogle+移転問題で、新たに確信したことがありました。
 それは、言葉の森の生徒は、単に何年間か作文の勉強をするお客さんと考えるのではなく、今後始める同窓会のメンバーになってもらうことも含めて、一生、教育と文化の面で付き合いを継続できる仲間にしていきたいということです。

 そのために、言葉の森は、次のように方針を大きく変更することにしました。
 それは、第一に、作文教育から全教育へと守備範囲を広げることです。
 その全教育の目的は、これまでと同じ、子供たちの真の実力を育て、家庭と地域を基盤に、点数よりも文化を重視し、競争ではなく創造を目指す教育を行うということです。
 具体的には、作文だけでなく、読書、暗唱、国語、算数数学、英語、理科実験、プログラミングなどの教育も行っていくことです。

 それを例えば、今後、寺子屋オンラインの次のようなコースで実現していく予定です。
・作文コース+読書紹介
・発表学習コース+暗唱チェック+その他
・自主学習コース(作文・読書・暗唱・国語・算数・数学・英語・その他)
 作文と発表学習は、発表と交流を中心としたコースで、自主学習は、自学自習と先生の個人チェックを中心としたコースです。

 第二は、幼児から社会人までの全年齢の生徒を対象にすることです。
 これまでは、「作文を書く」という力を本人が持てる小1あたりからスタートし、大学入試に向かう高3あたりまでを一区切りとしていました。
 しかし、全教育ということを考えれば、読書と対話を中心とした教育や、親子作文の教育などに力を入れることができます。
 また、子供が本当に書く力と考える力をつけるのは、高3から20代前半にかけてですから、その時期に読書、特に難読を中心とした交流を進めていけば、ほかではできない価値ある教育になります。
 そして、社会人になっても、同窓会に参加して知的な交流を深めていくことができます。
 そのような一生続けられる教育を提供する教室にしていきたいと思います。

 第三は、全教育、全年齢と語呂合わせ的になりますが、講師も全生涯を言葉の森の指導に充てることができるようにすることです。
 言葉の森の講師は、定年はありませんが、それでも90歳や100歳になれば、子供を教えるのが難しくなる時期が来ます。
 しかし、そのときまでに、自分の後を継ぐ講師を育てておけば、親講師と子講師の関係で、間接的に子供の教育に携わることができます。
 それが、同時に私設年金制度のような形になるのです。(森林プロジェクトの植林システムという名前をつけています。)
 これからの世の中であてになるものは、資産でも、資格でも、投資でもなく、日々人に喜ばれる仕事ができることです。
 そして、自分が仕事ができなくなっても、それまでに仕事のできる人を育てておけば、その人を通して仕事をしていることになるのです。

 以上が、おおまかな言葉の森の今後の方針です。
 この方針の前提となる考え方は、この世界で根本的に価値あるものは「創造」だということです。

 例えば、人類が最初に火の利用を考えついたとき、そこで創造が生まれました。
 その後の火の利用の普及は、便利さの普及であって創造ではありません。
 最初の発見又は発明のときに創造があったのです。

 同じように、人類が最初に車輪を発明したとき、そこに価値ある創造が生まれました。
 その後の車輪の利用の普及は、便利さの普及であって創造ではありません。
 最初の発明のときにだけ創造があり、したがって価値が生まれたのです。

 現代の社会でも同じです。
 今は、お金の流通が、創造ではないところで大きく動いているので、何が本当に価値あるものかが見えにくくなっています。
 宝くじが当たったなどということは、お金の移動を生み出しはしますが、何も価値あるものを生み出していません。
 真に価値あるものは、この世の中にまだないものを創造したときに生まれます。

 短期間の狭い範囲に限って言えば、宝くじに当たることは富を生み出したように見えます。
 しかし、長期間の人間社会全体に関して言えば、創造が行われたときだけ富が生み出されるのです。

 だとすれば、これからの日本の社会が目指す道は、多くの人が、自分の今いるところで小さな創造を積み重ねることです。
 その中には、火の発見や車輪の発明のような大きな創造もあるかもしれません。
 しかし、それも、小さな創造の幅広い裾野によって生み出されるはずです。

 このように考えれば、価値ある創造を生み出すもとになる、子供たちの創造教育こそが社会の中心的な関心になる時代が来るのだと思います。
 今の世の中は、子供たちの教育が中心になっているのではなく、もっと別の大人の都合が中心になって回っています。
 これを、すべての社会人が子供の教育に関心を持ち、子供の教育中心に社会の運営を考えるような社会にしていく必要があります。

 言葉の森が、今後の方針として、全教育、全年齢、全生涯を考えているのも、こういう教育に対する考えがあるからです。

 さて、このような大きな方針の変更を考えて数日してから、突然引越しの機会がやってきました。
 今の通学教室は、特に不便はないのですが、3階でエレベーターがないので、荷物運びの人がいつも大変な思いをしていました。
 そして、1、2階の飲食店の入ったビルの上にあるので、教育の場とは少し雰囲気の違う感じがありました。

 たまたま、今の教室から距離として600メートルぐらい離れたところで、駅から徒歩4分ほどのところに、小さな4部屋が取れるフロアがありました。
 全体のスペースは今よりも狭くなりますが、今はほとんど使っていない空間もかなりあるので、毎日の授業や仕事には差し支えありません。

 そこで、この10月から11月にかけて引越しすることになります。


 さて、それとはまた別の話ですが、たぶん来年早々、新しい本がもう1冊出る予定です。できれば、今年中に出るといいのですが、それは今後の進み具合によってです。
 今度の本の内容は、国語の読解、記述、作文に関する参考書です。
 これまで、生徒の保護者から、よく読解問題の解き方や、記述問題の書き方の質問を受けていましたが、この本を読めばすぐにわかると思います。
 読解については、この本のとおりに勉強すれば、必ず成績が上がります。
 小学生を対象に書いていますが、中学生でも、高校生でも同じように役立ちます。
 センター試験の国語の成績を上げたい人は、ぜひ読んでみるといいと思います。
 小学生の場合は、子供が読むには少し難しいので、保護者が読んで理解し、子供の国語のテストに当てはめて考えるようにしてください。


 このように、いろいろなことが重なる10月、11月になりますが、最近読んだショートスリーパーの堀さんの本を参考にしながらがんばってやっていきたいと思っています。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20181015  
 真に価値あるものは、創造です。
 これから世の中が大きく変化すると思いますが、資産も、資格も、資源も、本当の意味ではあてになりません。
 世の中で、人に喜ばれることをすることと、何かを創造することが、最後に残る価値あるものです。
 その根本に立ち返れば、子供の教育の方向も自ずから決まってきます。
 そういう原点をときどき振り返りながらやっていきたいと思います。


nane 20181015  
 今月は、寺子屋オンラインのやり方を変えるので忙しくなりそうだと思っていたら、それに輪をかけて忙しくなる話が出てきました(笑)。
 突然引越しが決まったのです。(ほぼ決まったということですが。)
 これから世の中の変化が速くなるから、それに追いつけということなのだと思います。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
言葉の森のビジョン(51) 

記事 3427番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/7/23
少人数のオンラインクラスと相性のいい個性的な勉強、読書と作文とプログラミング as/3427.html
森川林 2018/10/12 08:16 

 普通、勉強というと、答えが一律に決まっているもののことを言います。
 だから、一斉指導の形の授業が有効で、それが能率のよい勉強の仕方になっています。

 しかし、答えが決まっている勉強でも、学年が上がるにつれて内容が難しくなると、それに応じて習熟度によるクラス分けが必要になってきます。
 特に、今のように家庭環境の差が大きくなると、低学年のうちから、読書習慣などによって勉強以前の差が生まれてきます。
 その習熟度の差に対応した教え方が、個別指導です。

 しかし、答えのある勉強の世界で最も能率のよいのは、一斉指導でも個別指導でもなく自学自習です。
 子供がまだ自分で勉強を進められない年齢のときは、親が協力して親子で進める自学自習が最も能率のよい勉強法になります。

 ただし、この家庭での自学自習の難点は、一般に親が性急に成果を求めすぎるところにあります。
 読書習慣などは、子供本人の好きな本を、短いページ数でよいので、毎日休まずに気長に続けていくことが大切なのですが、多くの親は、子供にとって難しすぎる本を、週に1回か2回、集中して読ませて、その読んだ結果についてテストをするような濃い勉強的な読書をさせがちです。
 そのために、力がつく前に、親子喧嘩になってしまうことが多いのです。

 この家庭での自学自習をやりやすくするために、言葉の森では寺子屋オンラインの自主学習クラスを開いています。
 ただし、今の自主学習クラスのやり方はまだ子供たちの交流がなく、定期的な評価などもないので、今後はこの面を改善していく予定です。

 さて、答えのある勉強は、今後寺子屋オンラインを利用した自学自習でカバーしていけるようになりますが、これからの学力の中心は、答えのない勉強になります。
 AI化が進む時代には、この答えのない勉強の実力をいかにつけていくかということが大事になってきます。

 その答えのない勉強では、子供たちが、個性的で創造的な研究をし、それを友達の中で共有し、互いに交流する形の勉強が中心になります。
 そういう勉強の代表が、読書と作文とプログラミングです。
 これらの勉強は、初心者のころは一斉指導でもできますが、学年が上がりレベルが上がってくると、同じレベルの子どうしの発表や交流が勉強の意欲につながるようになります。

 そして、これらの勉強は、高校3年生になったから卒業というものではなく、更に長期間、自分の力を向上させていけるものです。
 実は、子供たちの学力が深いレベルで成長するのは、高校3年生の18歳から20代前半にかけてです。
 もし大学生になったあとも、年に何回か、小学1年生時代から一緒に寺子屋オンライン勉強してきた友達と、読書や作文やプログラミングやさらには将来の仕事などについての交流ができれば、これはかけがえのない学習の機会になると思います。

 今行っている、寺子屋オンラインの作文クラスと発表学習クラスは、このような長期的な勉強として進めていきたいと思っています。
 そのために、今後は寺子屋オンラインクラスの生徒募集に力を入れ、その生徒増とクラス増に対応するため、森林プロジェクトの講師育成に力を入れていこうと思っています。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20181012  
 答えのある勉強は、個性のない勉強です。
 個性のない勉強が最も得意なのはAI(人工知能Z)です。
 漢字や計算の勉強で人間とAIが競争したら、絶対に人間が負けます。
 そして、そういう分野は年々広がっています。
 だから、人間は、漢字や計算などの学力は8割押さえておけばそれで十分で、あとの余力は個性のある学力づくりに向けていくことです
 そして、もし、試験などで漢字や計算も10割近くにする必要があるときは、試験直前に集中学習をして間に合わせればいいのです。
 狭い日本の、さらに狭い学校や塾の先生の評価に合わせるのではなく、将来の世界という大きな枠で考えていくことです。


nane 20181012  
 個性が大事な時代と言っても、基礎学力は必要です。
 その基礎学力とは、昔ながらの読み書き算盤です。
 その中でも、最も大事なものは暗唱です。
 暗唱力があれば、読解力、思考力、表現力も伸びるからです。
 そして、暗唱は小1以前からでも、誰にでもできて、しかも慣れると楽しくなってくるからです。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森林プロジェクト(50) 言葉の森のビジョン(51) 寺子屋オンライン(101) 
コメント141~150件
……前のコメント
ランキングのペ リク
一位だー 10/20
記事 4463番
作文が早く書け 森川林
 最新の音声入力の記事は、こちらです。 https://w 10/11
記事 3310番
作文が早く書け 森川林
 拝見しました。  面白い試みを教えてくれてありがとうござ 10/11
記事 3310番
作文が早く書け heoq
子供が作文の宿題に使うために、音声認識と音声合成を試してみま 10/11
記事 3310番
優しい母が減っ :
私のお母さんは、自分がイライラしているとすぐものに当たったり 10/6
記事 979番
「大学進学者の 森川林
 匿名さん、確かにそのとおりです。  そのボトムラインがゴ 8/5
記事 4808番
優しい母が減っ ゆきこ
ネコさん、大丈夫ですか。私も二人の女の子の母ですが、NHKラ 8/3
記事 979番
「大学進学者の 匿名
ただ、環境を選ぶことは学友や学校生活の質、という意味もありま 8/2
記事 4808番
優しい母が減っ ゆきこ
ネコさん、大丈夫ですか。私も二人の女の子の母ですが、NHKラ 8/1
記事 979番
優しい母が減っ 森川林
 英語なんて、もうやらなくていい時代になります。  大事な 7/23
記事 979番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
2025年7月 森川林
■1.夏季休業期間中の授業と夏期講習の記事を載せまし 7/22
森の掲示板
読書のためのだ 森川林
読書のための本選びで大切なことは、 ストーリーの面白さでは 7/21
森川林日記
Re: 第十番 森川林
B 休眠に入った虫は、厳しい冬をただじっと耐えて乗り切る × 7/17
国語読解掲示板
朝日中高生新聞 森川林
朝日中高生新聞7/13の「天声人語で200字作文」で紹介され 7/14
森川林日記
第十番 冬が近 あういと
問三のBと問4のBが分かりません。 教えてください。 7/9
国語読解掲示板
読書のレベルを 森川林
 変な本を読んでいる子がいたので、聞いてみると、「ビブリオバ 7/6
森川林日記
「世界の教育は 森川林
 著者の白井さんは、よく調べて勉強している。  現在の 7/4
森川林日記
以超、以満とい 森川林
 「以超」は、以上、以降、以後だが、そこを含まずそこを超えた 7/2
森川林日記
2025年6月 森川林
●サマーキャンプ、8/14満員、8/15ほぼ満員。 6/23
森の掲示板
推薦図書検定の 森川林
推薦図書検定のキャラクター、「森ファン」 森のエレファント 6/1
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習