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学力の二つの道とそれぞれの個性 as/3458.html
森川林 2018/12/09 06:50 


 学力には、二つの道があります。
 ひとつは、与えられたものを咀嚼し自分のものにする従順な学力。
 もうひとつは、無いものを作り出し、作ったこと自体を喜びとする奔放な学力です。

 人間が小さいころは、二つの道はつながっていて同じ一本の道を進んでいるように見えます。
 しかし、年齢が上がるにつれて、二本の道はだんだん分かれていきます。
 それは、それぞれの個性です。

 作文力にも同じような二本の道があります。
 ひとつは、まともな作文を書く力。
 もうひとつは、面白い作文を書く力です。

 まともな作文(構成、表現、字数などの項目が一応全部できていて習った漢字もきちんと使ってある作文)を書いている子を見ると、親は、「何かものたりなところがある」と思いがちです。
 しかし、そういう子は心配は要りません。
 学力はしっかりしているので、そのまともな作文をそのまま伸ばしていけばいいのです。

 面白い作文を書いている子をみると、親は、「何か心配だ」と思いがちです。
 確かに、学校の成績にはムラのあることも多く、放っておくと自分の好きなことしかしない子になりそうな気がします。
 しかし、そういう子は社会に出ればどこでも活躍できるのですから、家庭では基本さえしっかり押さえておけばよいのです。

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森川林 20181209  
 面白さとまともさは、相反する面があります。
 多少の軌道修正は必要ですが、基本はその子の持っている個性を伸ばしていくことです。
 今あるよい面を褒めて伸ばしていくのが主で、ない面を付け加えようとすると、注意することが多くなります。
 注意が多くなると、子供は自信をなくし、いつでも親に聞くようになります。
 他人依存で間違いなく進むより、多少間違えても自分の判断で行動する子の方が得るものは多くなるからです。


nane 20181209  
 面白い作文を書ける子が、意外と勉強が嫌いだったりします。
 しかし、そういう子も必要になれば、熱心に勉強に取り組むようになります。
 反対に、勉強のしっかりできる子が、意外と面白い作文が書けなかったりします。
 しかし、そういう子は読書や勉強の中でいろいろなものを吸収するので、自然に内容の充実した作文を書けるようになります。
 だから、今あるよいところを伸ばしていけばよいのです。


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災難に逢う時節には災難に逢うがよく候 as/3457.html
森川林 2018/12/06 20:24 

 笑い話かと思うくらい、NTTコミュニケーションズの電話の切り替えが、あれこれ意味不明の技術的な理由で全くできない状態になっています。
 よくそれだけできない条件が重なったと思うほどです。

 たまたま、携帯に転送していた回線だけが1本生きていたので、それでかろうじて電話の受け付けができています。

 ここでふと思ったのは、人間はこういう三次元のトラブルをいろいろ経験するために生きているのだろうということでした。
 かつて勝海舟は、辞書を買うお金がないので、持っている人から借りて、夜中に全部書き写しました。
 しかも、その書き写した1冊を売って家計の足しにしたので、結局2冊書き写すことになりました。

 今ならコピー機があるし、ネットでいくらでも辞書の代わりができますが、その当時は、書き写すしかないというところに、その時代を生きる人の経験があったのだと思います。

 現代を生きる私たちは、ついトラブルがないことやスムーズにうまくいくことがよいと思いがちですが、本当は、何でもうまく行く状況では、人間の生きる意味は希薄になります。

 では、トラブルには、どのように対応していけばよいのでしょうか。
 ひとつは、そのトラブルを創造的に克服することです。
 しかし、トラブルのほとんどは、簡単には克服できないのが普通です。

 だから、もうひとつは、そのトラブルを楽しむことです。
 楽しむとは、しみじみとそのトラブルを味わうことです。
 そして、それを苦にしないことです。
 更に、そういうトラブルを経験できたことに感謝さえすることです。

 トラブルの原因はいろいろありますが、悪いのは相手でも自分でも運勢でもありません。
 それは、起こるべくして起こり、それが自分や相手や宇宙の経験を豊かにしたということなのです。


 災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。
 死ぬる時節には死ぬがよく候。
 これはこれ災難をのがるる妙法にて候。

  良寛

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森川林 20181206  
 山中鹿之介は、「我に艱難辛苦を与え賜え」と月に祈りました。
 「葉隠」の山本常朝は、犬死が最も価値ある死に方だと言いました。
 近代は、意味ある生き方だけが前面に出た時代でした。
 しかし、人間の本質には、意味を超えた実存的な面もまたあるのです。
 それが良寛の「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候」の意味です。



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