これからの教育の大きな方向は、形の上ではオンライン教育です。
そして、内容的には創造教育です。
オンラインの教育自体は、これからどこでも行えるようになります。
しかし、それを少人数の教育として組み立てることは、まだ難しいところがあります。
また、オンラインで従来の教育をやっていくだけでは、参加者がやや便利になったという程度で何も大きな変化はありません。
オンラインという新しい革袋(かわぶくろ)に入れるものは、従来の詰め込み教育とは異なる新しい中身である必要があります。
その中身とは、これからの社会では創造教育になります。
創造教育の中身をわかりやすく言えば、東大の推薦入試や京大の特色入試に対応するような学力です。
それは、東大や京大の枠を超えて、今後、世界の教育の標準になるものだと思います。
ここ数年、世界中で、スマホなどを利用した入試のカンニングが問題になっていますが、カンニングできるような試験は、もともとやる必要がないのです。
社会に出れば、必要に応じて何をカンニングしてもいいから、というよりも、カンニングを創造的に組み合わせて成果を上げることが重要になってきます。
時代遅れの入試に合わせた勉強をするよりも、新しい時代に必要な実力を育てていくことが大事です。
その新しい実力の中心が創造力で、その周辺にコミュニケーション力や、幅広い知識、新しい知識を吸収する理解力などが配置されているのです。
言葉の森では、それをこれから寺子屋オンライン教育として行っていく予定です。
ようやく日常的な体制に――言葉の森の移転落ち着く
さて、話は変わって。
まだ、NTTコミュニケーションズの技術的な問題による電話不通は回復していませんが、日常的な仕事に関しては、12月10日時点でようやく落ち着いてきました。(ただし、電話はまだ1回線のみ、ファクスは使用できません。)
これまで、保護者掲示板や質問掲示板や直接のメールでいただいた多くのご質問やご相談にまだお答えできていませんでしたが、今日からは返信していけると思います。
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オンライン教育はこれから広がっていきますが、それがただ利便性を目的としているだけでは、これまでの教育との大きな違いはありません。
オンライン教育は、創造教育と結びついて初めてその真価を発揮します。
これからの教育は、量的な尺度を超えたより質的なものになっていきます。
そこでは、生徒どうしの個人性が重要になってくるのです。
偏差値という数値的なツールによって、それまでの手作りと勘の教育は大きく変化しました。
しかし、今はその量的な尺度を超えた質的なものが見直されている時期です。
質的な教育で重視されるのは、数値に還元されない人間の個人性です。
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学力には、二つの道があります。
ひとつは、与えられたものを咀嚼し自分のものにする従順な学力。
もうひとつは、無いものを作り出し、作ったこと自体を喜びとする奔放な学力です。
人間が小さいころは、二つの道はつながっていて同じ一本の道を進んでいるように見えます。
しかし、年齢が上がるにつれて、二本の道はだんだん分かれていきます。
それは、それぞれの個性です。
作文力にも同じような二本の道があります。
ひとつは、まともな作文を書く力。
もうひとつは、面白い作文を書く力です。
まともな作文(構成、表現、字数などの項目が一応全部できていて習った漢字もきちんと使ってある作文)を書いている子を見ると、親は、「何かものたりなところがある」と思いがちです。
しかし、そういう子は心配は要りません。
学力はしっかりしているので、そのまともな作文をそのまま伸ばしていけばいいのです。
面白い作文を書いている子をみると、親は、「何か心配だ」と思いがちです。
確かに、学校の成績にはムラのあることも多く、放っておくと自分の好きなことしかしない子になりそうな気がします。
しかし、そういう子は社会に出ればどこでも活躍できるのですから、家庭では基本さえしっかり押さえておけばよいのです。
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面白さとまともさは、相反する面があります。
多少の軌道修正は必要ですが、基本はその子の持っている個性を伸ばしていくことです。
今あるよい面を褒めて伸ばしていくのが主で、ない面を付け加えようとすると、注意することが多くなります。
注意が多くなると、子供は自信をなくし、いつでも親に聞くようになります。
他人依存で間違いなく進むより、多少間違えても自分の判断で行動する子の方が得るものは多くなるからです。
面白い作文を書ける子が、意外と勉強が嫌いだったりします。
しかし、そういう子も必要になれば、熱心に勉強に取り組むようになります。
反対に、勉強のしっかりできる子が、意外と面白い作文が書けなかったりします。
しかし、そういう子は読書や勉強の中でいろいろなものを吸収するので、自然に内容の充実した作文を書けるようになります。
だから、今あるよいところを伸ばしていけばよいのです。
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