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日本の未来を作る創造的教育 as/3526.html
森川林 2019/01/31 10:12 

 ジム・ロジャーズ氏の「お金の流れで読む日本と世界の未来」が届いたので、昨日読み終えました。
 私の場合、情報は、ネットから得ることが多いので、自然に自分の好きな情報を中心に見てしまいます。
 自分の持っている考えと同じような考えの記事を見たりSNSの投稿などを見たりしていると、自分の見方をふりかえる機会がなくなってきます。
 昔は、新聞やテレビからの情報で、自分の見方の軌道修正をすることもありましたが、今は新聞やテレビを見る時間はほとんどありません。
 そのときに、本によって自分の考えと異なるものの見方を知るのは、かなり参考になります。
 その意味で、この本は、自分のこれまでの考えを若干軌道修正するものでした。

 この本の中で、最も意外だったのは、これから北朝鮮が世界で最も発展する豊かな国になるだろうということでした。
 もうひとつは、中国が毎年、アメリカの10倍、日本の15倍のエンジニアを輩出し、科学・技術・工学・数学系の学部を卒業する学生の数も、アメリカの8倍、日本の24倍と飛び抜けて多いということでした。

 北朝鮮は、現在世界の最貧国の一つです。しかし、教育熱心な国民性で知られ鉱物資源も豊富です。
 中国は、不動産バブルが今にも崩壊すると言われています。しかし、今の世界のユニコーン企業の3割を生み出しています。
 ジム・ロジャーズ氏はまた、日本が今後衰退する要因として、少子化、借金の多さ、移民に対する閉鎖性を挙げていました。

 私は、これらを見て、日本が今後発展するためには、新しい発想をしていく必要があると思いました。
 世界全体の債務の大きさとその拡大を考えると、世界経済の破綻、又は世界的な方向転換は今後避けられないと思います。

 このため、国の通貨があてにならなくなるからという理由で、貴金属や不動産などのリアルな資産に向かう人もいますが、大事なのは資産というストックではなく、稼ぐ力というフローの方です。

 今の社会でフローというものを考えると、一帯一路のような大規模な開発や、膨大な消費人口を持つ中国向けの消費財の生産が思い浮かびますが、私はこういうフローは一過性のもののように思います。
 それは、昔のように、資金と技術の制約から、生産者が限られていた時代には、消費財生産は利益を上げることができましたが、今のように生産者への参入が容易な時代には、膨大な消費力も膨大な生産力ですぐに埋め尽くされ企業の利益率はすぐに低下すると考えられるからです。

 生活に必要な消費財に限って言えば、需要量は人口に比例しますから、日本の少子化は不利な要因のように思えます。
 しかし、少子化であってもひとりひとりが単なる消費財でなく、もっと高価なものを消費するようになれば、需要量は人口よりもその消費するものの額に比例するようになります。

 日本では、今は、ほとんどの家電製品が行き渡り買い替え需要しかありませんから、その部分だけ考えたらこれから発展する余地はありません。
 しかし、これからの先進国の需要は、物の需要ではなく、もっと別な方向の需要に向かいます。
 それは、豊かな物を持ちたいという欲求ではなく、もっと豊かな自分になりたいという欲求です。

 今はまだ、時間も資金も不足しているから、豊かな自分になりたいという欲求は表面にはあまり出ていません。
 だから、先進国では、新しい消費を牽引するものがなくなったなどと言われるのです。

 しかし、日本でこれから時間とお金がもっと自由に使えるようになれば、そこから生まれる消費は物の消費ではなく自分を変化させるための消費になります。
 その変化のひとつの形態が、新しい経験をするという意味での旅行であったり、外側から変化を身につけるという意味での美容や健康やファッションであったりするのです。

 しかし、本当に自分を変化させるものは、そのように外面的なものではなく、もっと内面から修得し自分を全人格的に変化させるようなものです。
 その内面的修得も、いま世の中にすでにあるものを身につけるようなものではなく、自分と深く結びついたまだ概念のはっきりしない文化を身につけることです

 この自分を変化させることへの消費を、文化的消費と呼ぶと、今後の経済の発展、つまり需要の増大は、単純な消費財を求める大規模な人口よりも、高額な文化的消費を求める人口に基づくようになるのです。

 そして、この文化的消費の特徴は、消費者がすぐに生産者にも移行できる点にあります。その移行のための消費が教育的消費です。
 文化的・教育的消費が広がるためには、その消費をする国民の文化度が平均して高くなければなりません。
 高額な家電製品を持つだけなら、持つ人の文化度は問われません。しかし、ある文化を自分のものにするためには、その人自身にその文化を受け入れるだけの文化性が必要になります。

 また、人間は社会の中で生きていますから、ひとりだけで文化的消費を楽しむようなことはあまりなく、周囲の人との交流の中で文化的消費を楽しむようになります。
 その点でも、国民の平均的文化度の高さが、文化的教育的消費の普及を決定するのです。

 家電製品のような物の消費財の本質は、便利さにあります。
 便利さには、不便だったものがより便利になるという一つの方向しかありません。だから、過当競争が生まれます。

 文化的消費に似ているものに、ファッションなどの消費財の消費があります。
 これは、便利さという単一の方向ではなく、各人の好みという多様性に基づく消費です。
 しかし、一見多様に見える人の好みも、物をもとにした好みは、網羅するとある範囲に収まる程度の多様性しかありません。
 ところが、文化的消費についての各人の好みは、それこそ人の数だけ多様になる可能性があるのです。

 だから、今後の日本の発展は、この文化的消費をいかに多様に広げるかということにかかっています。
 そのときに必要になるのが、各人の創造力です。
 工場で工業製品を作ることが中心になっていた時代には、人間の能力として従順力が必要でした。しかし、今後工業生産に必要な従順力は、人間ではなく機械がカバーするようになります。
 文化的消費が中心になる社会で人間に求められる能力は、創造力になるのでです。

 しかし、工業生産に人間が必要な時代は、まだしばらく続きます。
 そのため、一時的に移民の労働力に頼る必要も出てきます。
 この移民の問題は、日本の文化になじまない文化が、日本社会の亀裂を生み出す点にあります。

 しかし、日本に来る移民の多くは、機会さえあれば、日本の文化や言葉になじみたいと思って来ているはずです。
 そういう機会が得られないまま、日本で暮らさざるを得ないことに問題があるのです。
 この移民の日本語教育も、ひとつの文化的消費です。

 文化的消費は、各人の好みに依拠していくらでも高額になると書きましたが、同様に、文化的消費は、生産する側の意思によっていくらでも低価格で提供できます。
 だから、移民の問題も、文化的消費という枠組みで解決する展望が考えられるのです。

 今の日本は、需要の低下から、お金の流れが止まっているところに問題があります。
 中国やインドなどの人口大国に将来性があるように見えるのは、膨大な消費需要というお金の流れが動くように思われるからです。
 文化的消費は、消費者が同時に生産者にもなり得る消費ですから、物の消費よりもはるかに高額なものも、はるか低額なものも多様に提供できます。
 それがお金の回転を生み出します。

 今の日本の借金体質は、お金が流れないために、たまったお金を取り崩しているところから来ています。
 文化的消費と文化的生産という多様な消費と生産が生まれれば、日本の各地でさまざまなお金の流れが生まれます。
 それが、日本の借金体質を改善する道です。

 この文化的消費を生み出すひとつの仕組みが、今言葉の森が行っている、寺子屋オンラインという少人数のオンライン教育と、森林プロジェクトという講師のコミュニティを作る企画です。
 そして、寺子屋オンライン教育の目的のひとつが、子供たちの創造力を育てることで、そのために友達どうしや先生や父母との触れ合いのある創造的な作文教育を目指しているのです。

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森川林 20190131  
 今の日本は、これまでにストックした資産の上で、新しい挑戦を拒否し、小さな改善の積み重ねで問題の解決を図ろうとしているかのように見えます。
 大事なのは、勇気を持って、創造に挑戦することです。
 子供の教育についても、第一に考えるのが、この創造と挑戦の教育です。
 そのためには、大人である私たちがまずそういう生き方をすることです。


nane 20190131  
 今の経済の問題は、企業ではなく国自体が債務超過に陥っていることと、ほとんどすべての主要国がそうなっていることと、それをもし解け合いなどで解消したとしても、これまでの延長ではその後の展望がないことです。
 だから、ウォー・エコノミーなどという発想が出てくるのでしょうが、壊してまた作るというのではあまりにも知恵がなさすぎます。
 この経済の行き詰まりを根本的に克服する道は、多様な文化経済、教育経済を進め、お金や物ではなく人源の創造性に最も価値があるという考えを広げることだと思います。


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「読解・作文力が身につく本」の出版記念小冊子郵送 as/3525.html
森川林 2019/01/30 09:41 

 2月5日に、かんき出版より、「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」が出版されます。
 これは、これまでの言葉の森の読解力、記述力、作文力の教育を総合的にまとめたものです。

 問題集のような体裁をとっていますが、問題を解くための本ではなく、問題と解答と解説を読み物のように読むための本です。
 内容はかなり高度なので、子供に読ませるだけでなく、親が読んで内容を理解し、その後の国語力アップに役立てるとよいと思います。

 読解力や作文力をつける本というのは、ほかにも出ていますが、この本が類書と違う点は、内容がオリジナルなことと、読んですぐに成果が上がることです。

 この本は、小学生向けとなっていますが、ここに書かれているのと同じ方法で読解の勉強をした高校生は、これまで全員が例外なく国語の成績が上がりました。

 この本は、小学生のお子さんをお持ちの方には、ぜひご購入いただくといいのですが、中学生、高校生にも、また学校や学習塾の先生にも役立つ内容となっています。
 書店で見かけましたら、ぜひ手にとって中身を数ページでも読んでくださるといいと思います。

 さて、今回、言葉の森では、出版記念プレゼントとして、この本をご購入いただいた方に、小冊子「国語力、読解力のつけ方」(A5サイズ32ページ)をお送りすることにしました。

 「読解・作文力が身につく本」の出版記念企画に、ぜひご参加ください。

▼出版記念小冊子郵送のページ
https://www.mori7.net/jform_pre.php?f=spp201902

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森川林 20190130  
 よく、「国語の選択問題は消去法で解くとよい」と言われますが、その消去法の具体的なやり方を知っている人はあまりいません。
 また、「作文力をつけるには、たくさん書いて、たくさん読むことだ」ということもよく言われますが、どういう構成で書くのかということを説明できる人はほとんどいません。
 国語という教科は、感覚的な勉強としてやるものではなく、理詰めの科学的な勉強としてやるものです。
 そのエッセンスがこの本に書いてあります。


nane 20190130  
 国語力をつけるために、本当に大事なことは読書です。
 特に、学年が上がったら、その学年にふさわしい難しい読書をすることです。
 これには、長く時間がかかります。
 しかし、国語の点数を上げるのは、もっとずっと簡単です。
 それは、点数を上げるコツを理解すればいいからで、これはすぐにできるのです。
 そのコツを書いたのがこの本です。


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