発表学習の2.2週の授業の教材を作るのが遅れてしまいました。
この教材作りは、いずれ言葉の森の講師や、森林プロジェクトの講師や、寺オンの講師や、あるいは参加している保護者の方にも手伝って作ってもらおうと思っています。
さて、その教材の中で、理科の授業を作るために、小6の「電気と音」というところ見ていました。
電気は、光にも熱にも動きにもなるが、音になるのはどうしてかということは、実は私はよく知りませんでした。
たぶん、電気による動きを振動として音に変換しているのだろうと思いましたが、それがどういう仕組みで作られているかということは知らなかったのです。
そこで、スピーカーの仕組みというのを調べてみると、磁石の周りにコイルを巻いて、そのコイルに電気が流れるようになっています。
電流と磁石で、フレミングの左手の法則(というのが、いつも、どっちがどうだったか忘れてしまいますが)によって運動が生じるということです。
これを見て、なるほどと思うと同時に、こういう仕組みを子供たちが自分で調べて発表するとしたら面白いだろうと思いました。
たぶん、そういう発表があると思いますが。
ところで、もしこれが、先生が一斉授業として教えるのであれば、言葉の説明だけではほとんどの子がぼんやり聞いているだけだと思います。
実際に実験をするのは、時間がかかるのでなかなかやれないと思いますが、たとえ実験をしたとしても、生徒は多少喜ぶぐらいで、やがてすぐに忘れてしまうのではないかと思います。
ごく一部に、そういう自然の仕組みに感動して科学者を志す子がいるかもしれませんが、大多数の子は、試験に出る範囲の勉強だけして済ませてしまいます。
ところが、もしこれを自分の実験・研究としてみんなの前で発表する機会があったら、その勉強は、単なる勉強とは言えない面白いものとしてその子の心の中に残るでしょう。
今、発表学習で勉強している子供たちの発表の中には、毎回とても優れたものがあります。
わずか数人でその発表を聞いているのがもったいないようなものもかなりあります。
これをもっと広げることができれば、子供たちにとって、勉強は、もっとわくわくするものになると思いました。
学校や塾で行われるテストに間に合わせるためには、こういう勉強のわくわく感は必要ありません。
テストに出そうなところを詰め込んでしまえばいいからです。
しかし、その子の長い人生を考えると、勉強に感動した経験というのは必ずあとで生きてきます。
糸川英夫(日本の宇宙工学の父)が科学者を志した動機は、高校のときの理科の授業に感動したからだったそうです。
価値ある仕事の背後には、こういう感動があります。
感動があれば、必要な知識の詰め込みはいつでもできますが、詰め込みだけがいくらあってもそこから感動は生まれません。
だから、小学校時代は特に、勉強の面白さに感動する機会を持つことが大切なのです。
算数の勉強にも、感動はあります。
小学3、4年生までの算数は、計算技能の習熟のような勉強が中心ですから、あまり面白いとは言えません。
しかし、考える要素が出てくる小学5年生以降になると、算数の問題の中に、難しいパズルを解くようなものが出てきます。
これももし、他人から与えられたテストとして難しい問題をやらされるとすれば、面白いどころか苦痛になることが多いと思います。
人間は、難しいこと自体が嫌いなのでありません。人からやらされる難しいことが嫌いなのです。
その反対に、自分から進んでやることであれば、一般に易しいことよりも難しいことの方を選びます。それは、人間にはもともと向上心があるので、難しいことの方が楽しくできるからです。
だから、算数の勉強も、自分で問題を作ってみんなの前で発表するような形であれば、時間はかかりますが、難しいほど楽しい勉強になります。
大事なことは、子供たちが自分から進んでやることなのです。
発表学習クラスに参加している子供たちの中には、暗唱の練習をしている子もよくいます。
この暗唱も、みんなの前で発表するから、面白く続けられる面があります。
ただし、、作文クラスの場合は、いろいろな発表が多すぎると作文を書く時間が遅くなってしまうので、暗唱については、今後、作文クラスでは行わず、発表学習クラス中心に行おうと思っています。
さて、暗唱には、、日本文化の伝統になじみ、語彙が豊富になり、表現がなめらかになり、考えが深くなり、ものの見方が豊かになるというそれ自体の効果がありますが、それとともに当然ですが、記憶することが苦にならなくなるとい効果があります。
暗唱に慣れている子は、試験前の必要に応じての詰め込み勉強も楽にできるようになります。
理科や社会の知識的な勉強は、教科書や参考書を、寝っ転がりながら何度か読むだけでほとんど頭に入ってしまいます。別に寝っ転がらなくてもいいのですが、それぐらい簡単だということです。
小学生の場合は、ドリルをやらせるようなあまり面白くない勉強ではなく、自分から発表するつもりで行う楽しい勉強に時間を割き、その一方で暗唱を行い、テスト用の勉強としては、教科書の出題範囲を読書がわりに4、5回読むという形の勉強をしていくといいのです。
ところで、小学校時代は比較的面白かった理科の勉強が、中学に入ると急につまらなくなる気がします。
それは、どうでもいいと思われる理科的な知識が次々とテスト用に出されるようになるからだと思います。
この中学の理科も、もっと感動のある勉強にする工夫ができると思います。
そのポイントはやはり、子供たちが自分で取り組む勉強にするということです。
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人間にはもともと何か興味のあるものがあると、それを学問的に深めたいと思い、創造的に生かしたいという気持ちがあります。
この学問的、創造的というのが、発表学習の理念です。
なかなかそこまで行くのは難しいので、ただの発表になってももちろんいいのですが。
今は、多忙な子が多いので、テストに出る範囲だけ済ませればいいという勉強になりがちですが、本当はテストに出ないようなことまでやりたくなるというのが、勉強の本来の姿です。
勉強は、テストやドリルとしてやらされるから、あまり面白くないのです。
本当は、教科書を4、5回読めば大体のことは頭に入るので、あとは必要に応じてその知識がどのへんに書いてあったか思い出せればいいのです。
それを覚えなければいけない知識として勉強しようとするから時間がかかり、もっと面白いほかのことをする時間が足りなくなります。
だから、将来、テストというものは、教科書でも辞書でも何でも持ち込み可というものになると思います。
その方が、子供たちの学力はずっと向上するでしょう。
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2月5日に注文した本が、2月6日に届きました。
この本の内容について、これまでに書いたことをまとめて詳しく説明したページを作りました。
https://www.mori7.com/zu201902.php
改めてこの本を読んでみると、読解の章は密度が濃いので、途中で眠くなると思います(笑)。
もう少しダジャレなどを入れて面白く書きたいと思ったのですが、そういう時間的余裕がありませんでした。
いつか、そういう面白い読解の解説を書きたいと思います。
読解の章だけで、25題あります。
眠くなったら、途中で付箋などを貼っておいて、先に進んでください。
記述の章は、10題です。
対比させて書くという書き方は、これまでそういう説明をしている人は誰もいなかったと思うので、言葉の森のオリジナルな書き方です。
この対比という形で考えると、自分が書くことの輪郭がはっきりしてきます。
そのはっきりした輪郭の上に、文中のキーワードを載せていくという感じで書いていくのです。
いちばん面白く読めるのは、やはり作文の章です。
作文の章は、全部で12題です。
解説を読み物のように読むだけでも、書き方がよくわかると思います。
ここに載せた模範解答は、生徒がたまたま書いた上手な作文というようなものではなく、プロの講師が構成を生かして書いた文章です。
と言っても、昔の大学入試の小論文の模範解答のように、与えられた文章を要約するような感じで抽象的に書いたものではありません。
昔の大学入試の場合は、そういう書き方でも結構通用したのです。
しかし、今の中学入試の作文は、もっと具体的なことが要求されます。
「あなたの具体的な体験を入れながら書きなさい」というような課題がほとんどです。
だから、模範解答も具体的な実例をもとにして、全体の構成がわかるような書き方をしています。
この解説と模範解答を読むと、作文の書き方がよくわかると思いますが、「わかる」と「書ける」はまた少し違います。
書けるようになるためには、やはり書き慣れることが必要です。
ところが、作文の勉強は、高学年になるほど、ひとりでは勉強しにくくなります。
作文の字数でも、小学生のうちでいちばん長く楽に書けるのが小学4年生で、小5、小6になると、次第に字数は減ってきます。
それは、考えて書くようになるからです。
だから、ほかの勉強は自学自習でもできるし、その方が能率がよいことが多いのですが、作文だけは自学自習はまずできません。
ある程度の勉強の枠組みがないと、作文の勉強は続けられないのです。
読まれた方は、ぜひ感想をレビューに書いてくださるようお願いいたします。
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注文していた本が届きました。
改めて読んでみると、かなりぎっしり書かれています。
小学校低中学年では、まだこういう難しい考え方は必要ありませんが、受験が近づくと、ほとんどの子が(国語の得意だった子も含めて)、「成績がなかなか上がらない」という悩みに直面します。
それは、国語の問題の作り方が受験用になったからで、そのときにこの本の解説が生きてきます。
ですから、低学年の子をお持ちのお母さんも、その日のために、この本をあらかじめ買っておかれるとよいと思います。
本が届きました。
facebookの広告にも、この本の紹介を入れましたので、広告を見かけたら「いいね」を押してください(笑)。
それから、感想を書ける方は、ぜひレビューも書いてください。
勉強の本なので、読んでいると眠くなると思いますが、よろしくお願いします。
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寺子屋オンラインでの勉強の仕方をわかりやすく漫画で説明しました。
オンラインの少人数クラスで作文を書くという勉強の仕方は、初めての方がほとんどです。
だから、敷居を高く感じる人が多いと思いますが、実際に会場に入ってみると、ほとんど問題なく自然に話が進みます。
音声が聞こえないとか画像が映らないとかのトラブルはたまにありますが、大体がすぐに解決します。
少し手間がかかるのが、書いた作文を写真で撮ってその画像をアップロードすることです。
しかし、。それは時間のあるときにゆっくりやれば、どなたでもできるようになると思います。
オンラインの少人数クラスの利点は、みんなと一緒に勉強できることと、作文を書き終えるまでずっと会場にいられることです。
授業を休んだ場合のふりかえ授業は、電話通信でいつでも受けられます。
寺子屋オンラインクラスはまだ始めたばかりなので、不十分な点もいくつかあります。
ひとつはみんなの話が長引いてしまうと、作文を書き出す時間が遅れて長い時間の勉強になってしまうことです。
これは発表の時間制限と、先生の授業の進め方で改善していきたいと思います。
もうひとつは、学年の違う生徒がいると、お互いの話があまり参考にならないことです。
これは、今後クラス数を増やすことで、できるだけ同学年のグループができるようにしていきたいと思います。
また、学年が異なる場合は、電話通信のように個別指導を中心にしていくことを考えています。
電話通信指導の方は、もう何年(何十年)も作り込んでいるので、スムーズに授業を進められます。
電話が通じないとか、急な休講が入ったとか、ふりかえの授業になったとかいう場合も、対応の仕方が決まっているのでほとんど何も問題がありません。
今後改善したい点は、講師の添削をもっと能率化することと、やる気の出ない生徒がいた場合のやる気を出させる工夫をすることです。
寺子屋オンラインクラスは、まだ始めたばかりなので、例外的なことが入ると結構混乱します。
また、仕組みをときどき変えるので、そのつど担当する先生も生徒も保護者も多少ストレスがあると思います。
しかし、子供たちのやる気を出させる可能性と、作文を上達させる可能性はかなり高いので、今後この寺子屋オンラインクラスに力を入れ、もっとやりやすい運営にしていきたいと思っています。
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東京都立白鴎高等学校附属中学校 Y.S.さん
(担当講師より)
帰国子女枠なので、69人が受験して、合格したのは24人だったそうです。
作文と面接だけの試験で、作文は、「自分で自信があるものを2つ挙げ、それを今後の学校生活でどのように生かしたいか」という課題だったそうです。
面接は、志望理由と交通機関は何を利用して来たか、学校でやりたいことはなにか、などだったそうです。
速く書くのに字がきれいなのでいつも感心していました。
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滋賀大学教育学部附属中学校 N.M.さん
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渋谷教育学園渋谷中学校 E.T.さん
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「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」に載せている作文の書き方は、テーマによっていくつもの型を使い分けるという方法です。
その型がわかりやすくなるように、敢えて「第一に……、第二に……」のような形を整えた書き方をしています。また、ほとんどの模範解答が四段落でまとめられています。
人によっては、こういう作文を、パターン化された作文だと言う人がいるかもしれませんから、あらかじめ説明しておきます。
「作文の書き方」のような本は世の中にあまり出ていませんが、少数出ているそれらの本に共通するのは、模範解答の作文が子供たちの実際に書いた上手な作文をもとにしている点です。
しかし、ほとんどの人は、模範解答を読んで勉強しようとは思わないはずです。
まず読むのは、解説の方で、解説を読んでわかったようなわからないような気になるが、実際にはよくわからないというのが正直なところだと思います。
なぜ模範解答を読もうとしないかというと、読んでも自分の作文に生かせる気がしないからです。
それは、模範解答に型がなく、偶然よく書けたものが選ばれているだけだからです。
「読解・作文力が身につく本」の作文の書き方は、テーマに合わせた一定の型を使った書き方をしています。
だから、解説だけでなく、模範解答を読んでも、なぜそう書かれているのかがよくわかります。
型があるからどれも同じような作文になるかというとそうではありません。
型に盛り込む中身に、その子の個性がいくらでも出せるからです。
同じ型の作文で、十人いれば十とおりの作文が書けます。
そしてまた、型に沿って書こうとすることによって、自分の実力が引き出される面があるのです。
例えば、複数の理由を書くという型があるとします。
一つの理由は誰でも思いつきます。しかし、複数の理由となると、その問題をもっと深く考えなければならなくなります。
また、反対意見に対する理解を入れるという型があります。
自分の意見を述べるだけでなく、自分とは異なる意見の理解できる点を考えることによって、自分の考えが更に深まります。
反対意見の選び方だけでも、浅い反対意見と深い反対意見とがあるのです。
今回の小学生向けの本には載せていませんが、中学生の作文で、実例として昔話を入れるという書き方があります。
すると、例えば、「国際社会における日本の役割」というテーマで、どのように「桃太郎」の話を入れるかというようなことを考えるようになります。
そして、この型がうまく決まると、「我ながらうまい!」と書いた本人が思うような作文が書けることがあるのです。
このように型があると、上達する方向がはっきりしてきます。
一方、型があると、どんなに苦手な子でもその型に沿って作文が書けるようになります。
言葉の森の作文の体験学習を受けると、すごく苦手だという子がすらすら書けるので、本人も一緒にいる保護者も驚くということがよくあります。
書く前に、その子の学年に応じた型を説明するので、ほとんどの子が書けるようになるのです。
普通、作文の型というと、「序論本論結論」とか、「起承転結」とか、「序破急」とかいう大枠しか思い浮かべないことが多いと思います。
言葉の森の場合は、これを学年別に何通りにも分けて段階的に身につける仕組みになっています。(この教材は、森林プロジェクトで提供しています。)
型を身につけるためには、ある時期はある型に慣れる必要があります。
そして、いろいろな型を身につけたあと、やがて型を意識せずに自由に書くようになるのです。
型が最もよく使えるのは、作文の試験に臨むときです。
それは、試験という限られた時間の中で、迷わずに全体の方向を決めて書き出すことができるからです。
こういう「型の作文」の書き方を説明しているのがこの本の特徴です。
だから、作文の書き方の章は、書き方の解説だけでなく、模範解答を読んでも面白く役に立つのです。
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「読解・作文力」の本がそろそろ出るころになりました。
読後の感想でいろいろな声があると思うので、あらかじめ説明を書いておくことにしました。
読解については、「文章はもっと味わって読むものだ」という声がありそうです。
しかし、理詰めに読むことによって、より深く味わうことができるのです。
作文については、「パターン化された書き方だ」という声がありそうです。
しかし、剣道でも柔道でも相撲でも、さまざまな型があります。
型がない取り組みは、動物どうしの取り組みのような場合です。
「こんなことはもう知っている」、「あたりまえのことが書かれている」という声もあるかもしれません。
しかし、実際にこの教え方で、見る見る読解の点数が上がったとか、苦手だった作文が書けるようになったという子がいるのですから、この本に書かれていることは、類書では書かれていないことがほとんどなのです。
オーバーに思う人がいるかもしれませんが、この本で、日本の子供たちの読解、記述、作文の勉強の仕方はかなり変わると思います。
試みに、学校や学習塾で、小学校高学年、又は中学生や高校生でもいいのですが、この本の読解の章を読ませたクラスと、そうでないクラスの二つに分けて、1週間後の国語の成績を比べてみるといいと思います。
たぶん、有意な差が出てくると思います。
もしそういう調査をしてくれるところがあれば、ぜひ教えてください。
お礼をいたします。
この本を読んでから国語のテストを受ける場合、1週間後ぐらいのできるだけ短い期間の方がいいと思います。
それは、読んだあと1か月も2か月もたつと、読んだことを忘れてまた自己流の漠然と解く解き方に戻ってしまうことがあるかもしれないからです。
その例で、こんなことがありました。
中学3年生の生徒で、言葉の森の読解問題を毎月8問きっちり解く子がいました。
その子は、答えに納得がいかないと、よく電話をかけて質問をしてきました。
それぐらいですから、国語の成績はかなり上がり、めでたく志望校に合格しのたのです。
高校生になり忙しくなったせいか、中3でいったん言葉の森を辞めていましたが、高3のとき、突然電話をしてきました。
聞くと、国語の成績が上がらないと言うのです。
仕方ないので、その子が実際に解いた問題を送ってもらいました。
その解き方を見てみると、見事に中3のときにやった理詰めに解く方法を忘れていました(笑)。
そのことを言うと、もうそれだけでわかったようです。
それからしばらくして、東大に受かったという連絡が入りました。いい気なもんです(笑)。
理数系で、もともと数学の得意な生徒だったので、高校時代、国語の勉強に力を入れずに忘れていたのだと思います。
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「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」が発売されます。
この本は文字どおり、読むだけで成績が上がる実践的な内容になっています。
例えば、以前こんなことがありました。
言葉の森で作文の勉強をしていた中学3年生の数学のよくできる生徒がいました。
あるとき、その生徒のお母さんから電話がありました。「国語の成績がなかなか上がらない」というのです。
作文は毎週よく両親にも取材して、充実した内容のものを書いていましたから、勉強はしっかりやっているはずです。
それではということで、実際の国語の試験問題と解答を持ってきてもらうようにしました。
そのお母さんと生徒の前で、問題文を読み、その問題をどう解くかということを1時間ぐらい問題ごとに説明しました。
それまでも、一般論としてそういう解き方を話しているはずなのですが、実際にそのとおりにやっている子は少ないのです。
解き方を説明すると、お母さんもその生徒も驚いていました。
その後、その子の国語の成績はどんどん上がり、入試は神奈川県のトップ校のひとつと言われるところに合格しました。
その生徒が、入試のあと、しばらくして何かの話をしているとき、「国語だけは得意なんです」と言うのを聞いて思わず笑ってしまいました。
このように、国語は解き方さえわかれば、成績は必ず上がる教科なのです。
しかも、解き方を考えながら問題文を読むと深く読む力がつくので、成績だけでなく読む力もついてきます。
ところが、こういう解き方を一人ひとりに説明するような時間はなかなか取れません。
一斉指導で説明することもできますが、その場合ほとんどの生徒は他人事のように聞くだけです。
だから、家庭でお父さんやお母さんが、子供に国語の問題の解き方を教えるときに使えるようにと考えてこの本を書きました。
この本は、問題集のような体裁になっていますが、問題を解くための本ではありません。
読解の問題については、問題文を読み、問題の選択肢を読んだあと、解説を読んでください。
この解説が、問題の解き方を詳しく説明しています。
解説を読むと、読解の問題をどのように解くのかがわかります。
不思議なことに、こういう解き方を学校や塾で教えられている子はかなり少ないです。
だから、小学生だけでなく、中学生、高校生も含めて、ほとんどの子がこの解き方を教えられたあとすぐに次の週から成績が上がるのです。
読解問題の解き方のコツをひとことで言うと、緻密に読むということです。
四つの選択肢があれば、その一つひとつについて、次の図のようにどの部分が問題文の本文と必ずしも一致していないかということを明らかにしながら読むのです。
▽筑波大附属中2017年の問題(「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」より)
子供が国語のテストを持って帰ってきたとき、親がまず見るべきなのは、点数ではありません。
点数だけ見ると、「今回はよくできた」とか、「今回はよくできなかった」とかいうだけの話になってしまいます。
テストが返却されたときにまず見るのは、選択問題を解いた跡です。
選択肢の一つひとつについて、その選択肢を選ばなかった根拠が、傍線や×や△や?の記号でメモしてあれば、その子の成績は必ず上がります。
しかし、たぶんほとんどの子は、何も書いていないきれいな問題用紙を持ってきます。書いてあるとしても、せいぜい合っていると思った選択肢に○がついているくらいです。
合っているものを選ぶのではなく、合っていないものがなぜ合っていないのかという根拠としての△や×や?のメモをしてあることが大事なのです。
ただし、こういう厳密な読み方をするのは、入試問題などの難しい問題を解くときだけですから、小学校低中学年のうちはこのような読み方をしないでも解けるものがほとんどです。
だから、多くの子は、そのやさしい解き方の延長で、高学年や中高生になってからもやさしい解き方をしてしまうのです。
したがって、この本は、まずお父さんやお母さんに読んでほしい本ということになります。
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言葉の森は、国語の教室ではありません。
国語の勉強のようなものは、やれば誰でもできるようになるのです。
わざわざ人に教えてもらうようなものではありません。
ひとりでできないのは、作文です。
それは、答えのない勉強で、やればどこまでも実力が上がる勉強だからです。
しかし、この本を書いたのは、ひとりで国語の勉強ができない人がほとんどだったからです。
この本には、読解、記述、作文の方法が書いてあります。
いずれも、類書にはない内容ですから、子供さんがお父さんやお母さんと一緒に読んでいただくといいと思います。
勉強は大きく分けて、答えのある勉強と答えのない勉強とに分かれます。
答えのある勉強は点数がつくので、誰でも関心を持ちます。
しかし、長い人生で考えると、答えのある勉強で身につけた力の寿命は短いのです。
大事なのは、答えのない勉強の方です。
その勉強の典型が、作文と読書です。
作文も読書も答えがないから、誰でもできます。
また、答えがないから、特にやらなくても何も言われません。
しかし、答えがないから、どこまでも高度なところまで進めるのです。
言葉の森は、今のところ高3までの課題で卒業ということにしていますが、本当はその先の課題もあるのです(笑)。
今の仕事が落ち着いたら、大学生や社会人の人を対象にしたいつまでも続けられる学問クラブというのを開きたいと思っています。
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