新小5年生、新小6年生は、作文の課題が難しくなります。その勉強の進め方について説明します。
●小学校5、6年生の勉強の進め方
小学校5、6年生は、中学受験の勉強との兼ね合いが重要になってきます。
中学受験をしない子の場合(小中高一貫校に通っている場合、公立中学に進む場合など)は、また別の問題が出てきます。それは、小学校高学年になると、どの学校も作文指導が少なくなるということです。その理由は、高学年の作文指導を日常的に行うことが難しくなるからです。小学校高学年以上の作文指導は、現在の教育体制のもとでは教える先生の負担が大きすぎます。
しかし、子供はそのような事情を知りません。学校で作文の勉強をあまりしなくなるので、どうして自分が言葉の森で作文の勉強をするのかということに疑問を持つようになるのです。しかも、作文の学習はほとんどの高学年の子供にとって負担の大きい勉強です。小学校高学年で作文を書くことが好きだという子は、国語力がきわめて高いごく少数の子だけです。
課題が難しくなる、考える作文を書くための語彙がまだ育っていないので書くことが苦手になる、そして、学校で作文の勉強を生かす機会がなくなる、更に、同学年の友達の多くは塾でもっと勉強らしいことをしているのに自分が作文に時間を取られている、というさまざまな理由で、小学校高学年の子は作文の勉強を続けにくくなるのです。
ここで大事なのは、親の説得です。しかし、説得をするにも、子供がある程度作文を書くことに自信を持っていないと、子供を納得させることは難しくなります。そのためにも、小学校低学年から、音読、暗唱、読書、対話などの毎日の家庭学習によって、読書と作文が得意だというレベルまで持っていく必要があるのです。
子供が作文の勉強をやめたくなったときには、親が、これからの学力は、自分の力で読んだり書いたりすることで、それは大きくなればなるほどそうなってくるということを説明してあげることが必要になります。わかりやすい例として、
高校入試でも、大学入試でも、会社に入るときの試験でも、また、会社に入ったあとの仕事でも、説得力のある文章を楽に書く力があるとそれだけで大きな差がつくということを説明するとよいと思います。一度そういう説得を受けて、自分なりに納得して作文を書く勉強を続けると決めた子は、長期間その意欲を持続させていきます。
小学校高学年というのは、理屈がわかる時期ですから、理論と裏づけがはっきりしている話をすると意外によく理解できるのです。しかし、この説得で大事なことは、親の人生観も問われるということです。親が自分なりに確信を持っていることを自分の生き方に結び付けて話すことができれば、どの子もその話を傾聴します。しかし、親がわかりやすい損得や賞罰の利害的なことだけで子供を説得しようとすると、子供はその根の浅さにかえって反発します。親が子供に言うことを聞かせられないのは、親が子供から尊敬されていないからで、それは親が気迫のある生き方をしていないからです。小学校高学年の子供を説得するためには、大人を説得するのと同じぐらいの気合いが必要なのです。
さて、次は、中学受験で作文の試験が特にない子の場合です。国語で記述式の問題が多いというだけの子も同じです。作文の試験というのは、少なくとも400字以上のまとまりのある文章を書く試験です。50字、100字、150字程度の文章を書く試験は、作文の試験ではなく記述の試験です。
記述式の試験に対する勉強の対策は次のようになります。第一は、指定の字数の感覚に慣れることです。第二は、すばやく一挙に書くスピードを身につけることです。第三は、できるだけ論点を対比する形で書くということです。一般に、一文の平均的な長さは40~50字です。ですから、150字の記述という指定があった場合は、その記述は3~4文で構成されるという見当をつけます。そして、150字の枠があれば、その枠ぎりぎりいっぱいまで書くようにします。文章を書く際は、途中で考えたり、消しゴム使ったり、読み返したりせず、頭の中で文を組み立てたら一気に書くようにします。また、書く内容は、単に「Aだ」という書き方ではなく、「BではなくAだ」「確かにBもわかるが、しかしAだ」というように論点を対比させるとめりはりのあるまとめ方になります。記述式の問題は、長文を読んで親が問題を出しそれを子供が書くという形で、字数とスピードに慣れることを目標にして進めていきます。
入試の国語に記述式の問題がそれほどなく、主に選択式の問題だという場合は、選択式の問題を解くコツを勉強します。方法は、志望校の過去問の国語の問題を解いてみて、その結果の○×をすべて理詰めで親が説明してあげます。親が説明しきれない問題は、もともとできなくてもよい問題というふうに割り切ります。
選択式の問題は、勘で選ぶのではなく、すべて明確な理屈で選ぶことが大事です。そのために、問題文は、よく理解できたところを中心に傍線を引きながら読み、設問の選択肢についても、どこを基準にして○や×にしたかということがわかるように傍線を引いておきます。この、問題の解答結果を分析する勉強は、親も一緒に参加して1~2時間かかりますが、一回でもこのやり方の勉強をしておくと、そのあと国語の記述式のテストの成績はぐんと上がります。しかし、点数が上がるのは、その子のもともと持っている読む力までです。
読む力をつける勉強は、入試の問題集の問題文を繰り返し読むことです。問題を解くような勉強は読む勉強の何倍もの時間がかかるので、かえって国語力がつきません。問題文を解かずに読むという単純な勉強が最も力がつくのです。難関校の国語の問題の中には、かなり長い文章を読ませるものがあります。この場合に必要なのは速読力ですが、速読力は速読の勉強では身につきません。小学校中学年のころまでの多読の勉強が速読の基礎となります。また、物語文の読解力も、小学校中学年のころまでのやさしい物語の多読によって身につきます。小学校高学年になると、今さら多読をする時間的余裕はなくなりますから、せめて問題集の問題文を確実に読むということで国語力をつけていくとよいと思います。
以上に述べた国語の勉強法に、塾は必要ありません。むしろ、塾は、国語の問題を解かせることに時間をかけたり、また肝心の過去問を最後までやらせないでおくなど、
国語の勉強に関してはマイナスの面があります。国語の勉強に関しては、家庭での学習を優先させ、決して塾に任せるような勉強のスタイルにしないことが大事です。
入試に作文の試験がない場合、小学校6年生になると、言葉の森と塾の勉強が時間的に両立しなくなる時期が出てきます。塾の勉強スタイルにもよりますが、6年生の夏休みごろから、又は6年生の冬休みごろから時間的に言葉の森の作文の勉強が続けられなくなるということが出てきます。そのときは、遠慮なく言葉の森を休んで、中学入試が終わってからまた再開してください。もちろん、中学入試の受験日まで休まずに言葉の森の作文の勉強を続けて、最難関校に合格するという子もいます。これは、親が子供の勉強の様子を見ながら、柔軟に判断していくことになります。
ただし、受験勉強で大事なことは、親が受験の合格を最大の目的にしないということです。これは、中学入試に限らず、高校入試でも、大学入試でも言えることです。入試に合格することを最大の目的にしてしまう子は、入学後に学力が伸びません。学力が伸びる子は、勉強の目的をもっと大きなものにしている子です。自分が実力をつけて将来立派な社会人になり、社会に貢献する人間になることが本当の勉強の目的です。その目的のひとつの手段として受験の合格があるということです。
大きな視野で勉強の目的を決められる子は、小さな視野で受験の勝ち負けだけに関心を向ける子よりも、将来ずっと大きな仕事をすることができるようになるのです。
最後に、中学受験に作文の試験がある子の場合です。
志望校の中学に作文の試験がある場合、作文試験に対応するための受験コースは、試験日の5ヶ月前から始められます。この受験コースの内容は、志望校の過去問に合わせた課題の作文を書くというものです。書き方のパターンは、普段の作文の勉強でやっているものと同じですから、普段の作文がしっかり書けていれば、それが受験のための勉強にそのままつながっています。
受験コースの学習の場合は、普段の勉強以上に事前の準備が必要になってきます。事前の準備とは、自分なりにその長文を読んで似た話を考え、両親に取材しておくことです。両親への取材がなぜ大切かというと、受験コースの課題のような難しいテーマを両親と対話することによって、どのような課題にも応用できる身近な実例やものの考え方が身につくからです。
特に感想の豊かさは、大人との対話によって身につきます。感想が豊かでない子は、物事を、「おもしろかった」「つまらなかった」という単純なところでまとめてしまいがちです。大人との対話の多い子は、この感想をもっと工夫して書けるようになります。また、子供は、意見を述べる場合でも、一本調子でよいか悪いかを考えがちです。しかし、ある意見について親と対話をすると、世の中にはもっと微妙な例外があるのだということがわかってきます。言葉の森では、自分の意見と反対の立場にも理解を示して書くことを「反対意見への理解」と呼んでいますが、両親と対話をすると、この「反対意見への理解」がスムーズに書けるようになるのです。
普段の作文の勉強でも字数の目標がありますが、受験コースの場合は、これの時間の制限も加わります。指定の字数までできるだけ早く書き上げる力をつけていくことが勉強の中心になります。早く書くためには、途中で考えたり、消しゴムで消して書き直したり、書いたところを読み返したりしないことが大切です。これは、習慣によって身につくものですから、普段の作文の勉強でも、書く前に全体の流れを考えておくという習慣をつけていくことが大事です。
作文の実力というものは、なかなか変わりません。受験が間近になると、どの子も実力をどんどんつけていきますが、それでももとの力の差はなかなか埋まりません。もとの実力は、小学校中学年までの読書力によって支えられています。高学年になると、どうしても勉強や日々の行事に追われて読書の時間を確保できなくなりがちですが、読書は小学校生活の最優先課題と位置づけて取り組んでいきましょう。
受験コースで勉強すると、その練習中に書いた自分らしい実例、自分らしい表現、自分らしい意見などのストックがたまってきます。作文試験に対応するための最良の参考書は、この自分が書いた文章です。さまざまなテーマで最低10本の作文を書いておくと、その中に、受験の作文に使えるような材料がそろいます。受験のときは、その材料を武器にして、テーマに合わせて臨機応変に書くという形になります。
●作文教室と塾との両立を
現在の受験体制のもとでは、高学年になるにつれて、塾などに通わないと学習がしにくくなるという状況があります。しかし、学習の主体はあくまでも家庭学習にあります。家庭学習での主体性がないと、塾のスケジュールに流されたり、志望校の受験とは部分的な関係しかない偏差値に左右されたりしてしまいます。
小学生も高学年になると、塾に通う時間が増え、一時期、言葉の森との両立が困難になることがあります。しかし、両立が困難な時期は、大体数カ月で終わり、そのあとは、時間的に忙しくはなるものの、再び同じようなペースで学習を続けていけるものです。
作文の学習は、ちょうど高学年から「説明文」「意見文」の段階に入り、思考力を要求されるようになります。この段階の学習は学校などでもあまりなされず、本格的な国語力をつける点でとても重要なものです。
言葉の森では、曜日や時間の変更は、随時できるようになっています。また、通信指導による学習も、他の教室の通信指導と比べて、きわめて継続しやすいものになっています。高学年になり、塾の時間が増えて忙しくなった方も、曜日や時間の変更によってできるだけ両立させる工夫をしていってくださるようお願いします。ただし、塾によっては言葉の森との両立が時間的に困難になるところもあります。そのためにやむをえず退会される場合は、中学入学後のなるべく早い時期に再開されることをおすすめします。
●新小5、新小6の作文の勉強
・作文の字数は500字から1200字です。
・題名だけの課題よりも、感想文の課題の方が多くなります。
・作文の課題は、事実を中心とした生活作文から、全体の構成を重視した説明文になります。例えば、「がんばったこと」というような題名であっても、小学校4年生までは、がんばった事実を書くことが中心になります。小学校5年生からは、がんばるということは人間にとってどういう意味があるかという主題を先に考え、その主題に合わせた実例を探すという書き方になります。しかし、この書き方が確実にできるようになるのは中学生以降です。小学校5、6年生では、説明文意見文の形に慣れるという学習をします。
・
感想文の課題となる長文は、中学入試の国語の説明文の難しい文章に相当します。ですから、子供が先生の説明やヒントなしに自力でその感想文を読みこなすことはまずできません。そのために、事前の予習と取材が必要になります。
毎週の授業を受ける際に、事前に長文を読んでおき、似た例を自分で探すとともに、家族に取材して補強しておくことが大切です。
・小学校5、6年生は、小学校3、4年生のころよりも作文を書くことが負担になります。それは、課題が難しくなることもありますが、それ以上に子供の中に考えて書こうとする力が育ってくるからです。この考えて書く力を育てるのは、考える読書と考える対話です。作文の勉強と並行して、読書と対話を進めていくことが更に必要になってくるのです。
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小学5年生から、学校の勉強が難しくなります。それは、考える要素が入ってくるからです。
作文の勉強でも、課題が急に難しくなります。
しかし、それはある意味でやりがいのある勉強になるということです。
これまで以上に、長文をよく読み、お父さんやお母さんと話し合いをしながら考えを深めていってください。
小4までは勉強で出てくる言葉のほとんどは具体的なものに対応しています。
だから、耳で聞くだけでも理解できます。
しかし、小5からは、具体的な事物に対応しない友情とか信頼とか多様性とかいう言葉が出てきます。
この時期になると、文章を読み取る力のあることが重要になってくるのです。
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早稲田大学本庄高等学院 K君
(担当講師より)
生徒ではなく、生徒のお兄さんですが、志望理由書の添削アドバイスで見違えるほどすばらしい志望理由書を書いてきたので、それがもとで合格したのだと思います。
そして、生徒本人も、希望する中学に合格しました。
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新中学生の勉強の進め方についての説明をします。
●新中学生の勉強の仕方
中学生は、中高一貫校に進む生徒と、高校受験の必要な中学に進む生徒とがいます。
中高一貫校に進んだ生徒は、そのまま学校に任せておけばいいと考えるわけにはいきません。中学受験までの勉強の反動で、1年生のときに遊んでしまうと、あとから取り戻すのが大変です。勉強は、学生の本分ですから、受験の前でも後でも、常に同じように生活の優先事項として取り組んでいく必要があります。
高校受験の必要な中学に進んだ生徒は、中学1年生のころは、まだ受験が差し迫った課題になっていないためにのんびり過ごしてしまうことがあります。家庭で、勉強の方針を立てて計画的に取り組んでいく必要があります。
中学生は、まだ自分で勉強の計画を立てることはできません。計画を立てて何かを成し遂げるという経験が少ないからです。特に、受験に向けての勉強計画のような大がかりなことは、本人の力だけではできません。しかし、勉強の計画の立て方は、学校では教えてくれません。塾も、スケジュールに沿った勉強を教えてはくれますが、本人が自分で計画を立てて勉強する方法は教えてくれません。中学生の勉強の計画は、家庭で試行錯誤しながら少しずつ作っていくものです。
そのために、学年が変わる前の春休みの間に、勉強法の本をまとめて読んでおきます。新しい物事に取り組むときは、本の情報を参考にするのがいちばんです。
できるだけ多くの勉強法の本を読み、その中で、自分がいちばん参考にできると思った本を1冊決めて、その1冊を勉強法の座右の書として勉強を進めていきます。自分のペースで勉強していると、いつの間にか自己流のやり方で無駄の多い勉強をしていることが多くなるので、ときどきその本を見て軌道修正するようにします。
中学生の時期は、小学生のときよりも、高校生のときよりも時間の余裕がありません。部活があったり、定期テストがあったり、宿題があったりと、毎日時間に追われる生活をしています。しかし、勉強の基本はシンプルです。
国語力については、読書に力を入れるとともに、難しい文章として高校入試の問題集の問題文を読む練習を続けていきます。時間が忙しくなると、読書は後回しになりがちですが、中学生のころに読書をしない生活にしてしまうと、その後の高校生、大学生でも読書のある生活になかなか戻りません。読書は、勉強と同じぐらいの重要度で毎日取り組んでいきましょう。中学生になると、国語の教科の中に、文法や古文が出てきます。これらは本当の国語力というよりも、単なる国語の知識です。文法や古文は、漢字の書き取りと同じように繰り返し覚えるという形で勉強していきましょう。
英語の勉強の基本は、教科書を何度も音読して、丸ごと暗唱できるぐらいにしておくことです。教科書の1ページを20回ぐらい声を出して読むと、文章を見ないでも言えるようになります。そのようにして全ページを暗唱していきます。暗唱ができたら、もとの文章を見ないでも書けるところまで覚えていきましょう。これは、口で言うほど簡単なことではありません。気長な忍耐力の必要な勉強です。英語の成績は、真面目さに比例していると言われます。試験前に集中して勉強するのではなく、毎日の勉強の目標を決めてこつこつと取り組んでいくことが大切です。
数学の勉強の基本は、自分にとっては少し難しいぐらいの問題が載っている問題集を繰り返し解くことです。できなかったところは、解法を見て自分で理解します。解法を見ても理解できないときは、両親や先生に聞きます。お父さんやお母さんは、突然中学生に数学の問題を聞かれても答えることはできませんが、解法を見て理解することなら子供よりもよくできるはずです。身近な両親に聞いて、それでもわからないときは先生に聞くというようにしていくと能率がよくなります。
数学の勉強は、易しくできる問題を何題解いても力がつきません。問題集を繰り返し解くときも、一度できた問題は決して解かないようにします。そのかわり、できなかった問題は、日を置いて、2回でも、3回でも、4回でも、できるようになるまで繰り返し解きます。できない問題だけを繰り返し解くという勉強は、精神的にかなり苦しいものですが、こういう勉強の仕方でなければ力はつきません。
このように、繰り返しできなかった問題を解くという勉強をするために、問題集はしっかりと1冊に製本してあるものを選びます。塾でもらうプリントや通信教材で次々と送られる小冊子の形のものは、ばらばらになりやすいので繰り返し解くという勉強には向きません。
中学生の勉強で最も差がつく教科は数学です。だから、高校入試でも、数学の成績が合否を左右します。数学が苦手だと、高校に入ってからの進路の幅が狭まります。数学の成績は、頭のよさにも遺伝にも関係ありません。ただしい勉強の仕方を知っているかどうかです。しかし、覚えるる知識の量が多く、その知識が土台になって次の知識に結びつくという形になっているので、苦手な人はなかなか成績が上がらないように見えるのです。
高校入試で、作文試験を行うところが増えています。点数の差をつけるために、課題はかなり難しいものが多いようです。しかし、言葉の森の通常の作文の勉強をしていれば、どのような課題でも書き方はすぐにわかります。
合格圏内に入る作文を書くためには、思考力と語彙力をつけておくことが大切です。思考力と語彙力は、読書によって身につきますから、学校の勉強とは別に多読と難読を進めておく必要があります。
●中学生の作文学習は小論文の前段階です
作文力、読解力のうち、意見文を書く力と論説文を読みとる力は、中学生以降に本格的にのびる分野です。小学生の間に既に意見文を書いたり読んだりする段階にまで進んでいる生徒もいますが、全体的にみて、構成の形式を身につけたり文章を要約をしたりすることが精一杯で、内容のある意見文を書ける生徒は限られています。これは、表現力、読解力に、まだ、本人の内面的な成長がともなっていないためです。
小学6年生までに学習する生活文中心の作文と物語文中心の読書は、作文力、読解力の半分にすぎず、もう半分は、中学生以降の意見文、論説文の練習によって完成します。
しかし、実際には、中学、高校では、作文、読書の学習はほとんどなく、あるとしても、その多くは、小学校の延長のようなかたちでおこなわれています。また、中学生の時期は、作文の学習がいちばん続けにくい時期でもあります。その理由は、(1)中学生の時期が、無邪気に出来事を書くわけにもいかず、かといって、自由に意見文を書くほどには語彙が充分ではないという過渡的な時期にあたること、(2)宿題や定期テストなど、外から拘束される勉強の時間が比較的多くなり、自主的な勉強の時間がとりにくくなること、(3)中学校自体も、作文や読書の指導をほとんどしなくなるので、学習の意義やきっかけを見つけにくくなること、などという事情があるからです。
現在の受験体制のなかで行なわれる勉強は、人生にとって価値のある分野というよりも、点数の差がつきやすい分野に重点が置かれがちです。基礎的な知識を身につけるという点で、点数で測られるような勉強も大切ですが、生涯にわたって役立つのは、考える力、読書する力、発表する力など、点数の差のつけにくい、したがって現在の受験体制の中では、重点の置かれにくい分野です。
しかし、最近では、大学入試でも小論文や面接が重視されてくるなど、単なる知識の量よりも、それらの知識を活用する力を評価するようになってきました。中学生での作文、読書の学習は、小学生の学習の延長としてではなく、高校生以降の小論文学習や論説文読書の先取りであるという前向きの姿勢をもって取り組んでいくことが大切です。
中学生が、作文、読書の学習を継続していけるように、当教室では、学習の時間に弾力性をもたせています。具体的には、(1)曜日や時間の変更や振替は、いつでもできるようにしています。(2)テスト期間中の欠席は、その前後にふりかえることができるようにしています。(3)ホームページの動画によるヒントなどを充実させ、先生の説明を受けられないときでも作文を書けるようにしています。
3月から4月にかけては、決まった時間に授業を受けることがむずかしいことも多いと思いますので、出席できるときに出席するというかたちにして、新しい生活のペースを早く作っていってくださるようお願いします。
●次の学年では、作文はどういう勉強をするか
・作文の字数は、600~1200字です。
・高校生になったときの小論文の基礎となる意見文の書き方を練習します。
・中学生の意見文と高校生の小論文の差は、主に長文の難しさの差です。中学の3年間で勉強する意見文の書き方がひととおりできれば、その書き方で大学入試の小論文に対応できます。
・パソコンで書ける生徒は、できるだけパソコンで書き、自動採点ソフト森リンの点数などを勉強の目標にしていきましょう。
・パソコンで書いている人で、高校入試に作文試験がある場合は、試験の3ヶ月前から手書きに戻しておきましょう。
●中学生から受講料が変わります
小学生までの受講料は8,434円でしたが、中学生からは受講料が8,948円になります。4月の引き落とし分から受講料が変わりますので、ご了承ください。
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中学生になってからの勉強をどう進めるか悩まれる方が多いと思うので、今後の勉強の進め方について書きました。
勉強は、かけた時間よりも取り組む方法が大事です。これは、学年が上がるほどそうなってきます。
言い換えれば、小学校低中学年のころは、方法はあまり関係なく勉強時間が無理のない範囲で確保されていればそれで十分です。
中学生はそうではありません。特に、中学生は定期試験があるので、その試験に向けた勉強を計画の中に入れておかなければなりません。
しかし、定期試験に対応した勉強だけを考えていると、今の中学ではあまり力を入れていない読書や作文の学習が遅れてしまいます。
また、勉強以外のいい友人関係も、勉強以上に大事です。
中学生は、目先の事も考えながら、将来のことも考えるという両面の対策が必要になってくるのです。
中学生になると、親もどう勉強を教えていいのかわからなくなる気がするので、「もう中学生なのだから、自分でやりなさい」と、子供に投げてしまう人が多くなります。
しかし、中学生とは言っても、ついこの前まで小学生だったのですから、初めて取り組む定期テストなどはどのように予定を立てていいのかわかりません。
親ももちろん具体的な予定の立て方などはわかりませんが、親の場合は長い人生経験から大体の方向は予測できます。また、そのためのいい本もいくつか出ています。
だから、最初は小学生時代と同じように親が協力する体制を続けながら、少しずつ子供が自主的に計画を立てて取り組むようにしていくといいのです。
本当は、中学3年までは義務教育の期間ですから、親が一緒に教科書を読めば、子供の勉強の内容は大体わかります。
大人になると、もう中学生のころの数学などはほとんど忘れていますが、その当時数学が苦手だった人でも、子供と一緒に数学の教科書や問題集を見ていくと、年の功で子供よりもよくわかるようになるのです。
あまり早めに塾に丸投げせずに、できるだけ親子で協力した勉強に取り組んでいくといいと思います。
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横浜国大附属鎌倉中学校 R.K.さん
(担当講師より)
アメリカから帰国し、漢字などの遅れを取り戻すのは大変だったと思いますが、毎週の作文はとても前向きに取り組んでいました。
これからも、楽しく作文の勉強を続けてほしいです。
合格、おめでとう!
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東京都立桜修館中等教育学校 A.N.さん
(担当講師より)
何回も書き直しをしてよく頑張っていました。
おめでとうございます。
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丸善名古屋本店と、未来屋書店大高店で、それぞれ言葉の森の「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」(かんき出版)が並べてもらっているそうです。
丸善名古屋本店さん、未来屋書店大高店さん、ありがとうございました。
難しい本ですが、購入された方、ぜひじっくりお読みください。
読解の章を読んで実践すれば、国語の成績は必ず上がります。
しかし、一気に読もうとすると眠くなりますから(笑)、ときどき気分転換をしながら読んでください。
作文の章から読む方が読みやすいと思います
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言葉の森の作文学習が新しくなりました――寺子屋オンライン作文
★言葉の森の作文指導の特徴
言葉の森の作文指導には、ほかの作文講座にはない特徴があります。
言葉の森独自の指導法で国語力、読解力がつく感想文学習
国語力、読解力は、問題集を解くような勉強では身につきません。
入試問題レベルの文章を読み、その感想文を書く練習をするから深く読む力がついてくるのです。
大学入試の小論文まで続く小1からの小中高一貫カリキュラム
小学校低学年でいくら楽しく作文を書いていても、それが高学年の受験作文につながるとは言えません。
小学生の作文から中学生、高校生の作文へと一貫した指導ができるのが言葉の森の独自の小中高一貫カリキュラムです。
親子の対話を重視し先生との触れ合いがある作文教育
先生の顔が見えない赤ペン添削では、子供は誰に作文を教えてもらっているのか実感がわきません。
先生の顔が見える触れ合いのある作文だから、信頼感にもとづいた作文の勉強ができるのです。
作文教育界で最も歴史の長い37年間の実績
入試に作文試験が課されるようになってから作られた即席の作文講座では、厚みのある作文指導はできません。
作文教育界で最も長い歴史を持つ教室だから、本質的な作文理論と受験テクニックを組み合わせた指導ができるのです。
★新しい作文学習、寺子屋オンライン作文
学習意欲を自然に引き出す少人数クラス
5、6人の少人数クラスには、1対1の個別指導にも、1対多の集団指導にもない優れた長所があります。
それは、毎回全員に、発表する機会、感想を述べ合う機会、本を紹介する機会があるので、自然に意欲的に取り組むようになることです。
その場で書き上げるからきわめて高い提出率
通信教育では、「明日やろう」「いつかやろう」という気持ちになり未提出が多くなりがちです。
少人数クラスのオンライン指導では、作文を書き終えるまでそのクラスにいなければならないので、必ず書き上げることができるのです。
ほかの人の作文の評価も聞くことで何倍も密度の濃い学習ができる
自分の書いた作文にアドバイスを受けるだけでは、それ以上の話は聞けません。
ほかの人の作文に対するアドバイスも同時に聞けるので、ほかの人の指導の分まで自分の勉強になるのです。
作文を書く力だけでなく発表する力がつく
黙々と作文を書いて、黙って提出して、文字だけの講評が送られてくるのがこれまでの通信作文指導でした。
少人数クラスでは、全員が作文を発表するので、作文力だけでなく発表力も育つのです。
互いに感想を述べ合うことでコミュニケーション力が育つ
これからの入試ではペーパーテストだけでなく、面接や集団討論で多様なコミュニケーション力が求められるようになります。
ほかの人の発表を聞いたあと、全員が互いに感想を述べ合う機会があるので、自然に話す力、聞く力のコミュニケーション力が身につきます。
毎回一人ひとりの作文を取り上げるので著しく上達が速い
個別指導や集団指導では、毎回同じようなアドバイスを受けても、一向に進歩しないという生徒も出てきます。
少人数クラスでは、自分の作文のよいところがみんなの前で褒められるので、上達が著しく速くなるのです。
家庭からのアクセスでいつでも先生と父母の懇談ができる
これまでの通信教育や通学教室では、先生と保護者との懇談会や面談は特別に時間を確保して行わなければなりませんでした。
家庭からアクセスできるオンラインクラスでは、授業のあとの少しの時間でも、いつでも先生と保護者で懇談や面談ができます。
毎回読んでいる本を紹介し合うので読書の質が上がる
子供たちは、いい本があれば紹介したいと思い、ほかの友達のすすめる本も知りたいと思っています。
オンラインクラスでは、毎回全員が読んでいる本を紹介し合うので、読書の量が増え、質も上がっていくのです。
通信教育なのに通学クラス以上に仲のよい友達ができる
通信教育では友達との交流はまずありません。通学教室でも友達との交流は、休み時間や行き帰りの時間の中だけです。
オンラインクラスでは、勉強の中身そのものが生徒どうしの交流になるので、友達意識が育つのが早いのです。
★作文学習以外にもあるさまざまなオプション企画
言葉の森では、教育全般に関するさまざまなオプション企画を用意しています。
小1のまだ十分に書けない時期こそ親子で学ぶ親子作文
小学1年生は勉強の習慣がつく大事な時期です。その時期に、普通のドリルを解くような勉強だけをしていてはもったいないと思っている人は多いと思います。
小学1年生のまだ十分に文字を書けない時期から、お母さんと協力して書く親子作文に取り組んでいくとよいのです。
作文以外の勉強全般に的確なアドバイスがある保護者懇談会
言葉の森は、作文の勉強を教えているだけではありません。小学生から高校生まで、子供たちの成長を見てきた37年間の実績があります。
作文以外の他の教科の勉強や子供の生活に関する相談にも、幅広く対応できる保護者懇談会を開いています。
友達と交流できる那須合宿所の夏休み読書作文キャンプ
オンラインの生徒どうしが親しくなると、互いに実際に会ってみたいと思うようになります。
言葉の森の那須合宿所での読書作文キャンプは、オンラインの生徒どうしが交流する夏休みの企画です。
覚える勉強が苦にならなくなる独自の暗唱検定
思考力が求められているとは言っても、今の入試のほとんどはまだ記憶力中心の試験です。
そういう試験でも、覚えることが苦にならなくなるばかりか、さらに日本語のリズム、ものの見方、感じ方を丸ごと身につけるのが言葉の森の暗唱検定です。
自然科学の自由研究で思考力、創造力を育てる発表学習クラス
主に理科の実験や観察など自然科学の分野を中心に、自由に研究したことを発表するのが発表学習クラスの勉強です。
受け身の勉強でない、自分で考えて作り出す勉強なので、知識以上の思考力や創造力が育つのです。
国語、算数の能率のよい自学自習が進む自主学習クラス
人に教えてもらう勉強では、教える人に合わせた勉強しかできません。だから、わからないまま進んだり、わかっていることを何度も教えられたりすることがよくあります。
自分のペースで勉強し、先生が進度をチェックする自主学習クラスの勉強だから、無駄のない能率のよい勉強ができるのです。
言葉の森では、新しい作文学習の寺子屋オンライン少人数クラスの体験学習を受け付けています。
寺子屋オンラインクラスの対象は、新小1から新中3までの生徒です。
授業のある曜日時刻は、月曜~金曜は、16:00~、17:00~、18:00~、19:00~、20:00~(一部)、土曜・日曜は、9:00~、10:00~です。
少人数クラスですので、同学年に近い生徒の参加状況によっては体験学習の開始をしばらくお待ちいただくことがあります。
その場合は、先に個別電話指導でご都合のよい曜日時間に体験学習を受けていただくことができます。
体験学習をご希望の方は、言葉の森までお電話くださるか、体験学習のフォームからお申し込みください。
Online作文教室言葉の森 電話 0120-22-3987
体験学習フォーム
https://www.mori7.com/ftaikenn.php
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システムの変更に時間がかかっていましたが、やっと「寺子屋オンライン作文」を本格的に募集できるようになりました。
Zoomのウェブ会議を使った少人数クラスの作文というのは、どういうものかよくわからない人が多いと思いますが、この作文クラスは大きな可能性を秘めています。
それは、やり方次第ですが、(1)続けやすい、(2)面白い、(3)上達するの三拍子がそろった作文学習になるからです。
そして、この少人数クラスは、作文学習以外のさまざまな勉強にも生かすことができます。
これから、森林プロジェクトに参加しているみなさんと一緒に、この寺子屋オンラインの教室を発展させ、日本によりよい教育を広げていきたいと思います。
寺子屋オンラインの重要な条件は、少人数のクラスで、創造的な学習をするということです。
人数が多すぎても少なすぎても、効果は出にくくなります。
また、既に答えのある勉強を教えるだけでは、やはり少人数クラスの意義は弱くなります。
創造的な学習という点では、作文や発表学習はぴったりですから、あとは少人数の運営をしていくことです。
少人数の運営をするためには、生徒も先生も多くなければなりません。
だから、これからの課題は、それぞれの学年で少人数クラスを作れるようにすることです。
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