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読書作文キャンプで、よく学び、よく遊び、自然と人間の触れ合いのある教育を as/3658.html
森川林 2019/04/02 06:00 

 言葉の森は、最初、通学の作文教室でした。
 作文を勉強するというニーズは、37年前の当時はほとんどなかったので、横浜を中心にしたいくつかの貸教室で十人前後の生徒を教える形で運営していました。

 なぜ作文教室を始めたかというと、そこに面白い未来があると思ったからです。
 国語や算数の勉強を教えるという方針は、最初からありませんでした。
 勉強は、人から教わるものではなく、自分でやるものだと考えていたからです。
 そのため、経営にはかなり苦労しました。

 通学教室を運営していてしばらくすると、引っ越しなどで教室に通えなくなる生徒が出てきました。
 それらの生徒から引っ越しししても作文の勉強を続けたいという声があったために、通信のクラスを始めました。

 当時はウインドウズ3.1がウインドウズ95に切り替わるころで、ややこしい設定を克服すればインターネットが使えるようになりつつある時期でした。
 そこで、どうせ通信にするなら、双方向のやりとりができるインターネットを活用しようと思い、ホームページを中心にした教室作りに着手しました。

 そのインターネットがブレークしたのが2000年ごろで、やがて通信の生徒の方が通学の生徒よりも多くなりました。
 そのうち、言葉の森の作文指導を見て、ベネッセやZ会や最近ではブンブンどりむが似たような作文指導を行うようになりました。

 言葉の森の作文指導は、通学教室の延長で始めたものなので、紙のやりとりだけでなく電話による指導にも力を入れていました。
 この電話指導が、生徒と講師の間のコミュニケーションを生み、その他の通信教育にはない人間的なつながりのある教室になっていました。

 しかし、自分の中には、もっとリアルな人間関係が、生徒と講師の間だけでなく、生徒どうしの間でも必要だという気持ちがありました。
 今の子供は、戸外の自然の中で友達と一緒に遊ぶという経験があまりありません。
 人間のバランスの取れた成長のためには、自然と友達と家族と遊びと勉強のそれぞれの要素が必要です。
 しかし、子供たちの多くは、学校と塾と非効率な勉強とゲームに多くの時間を支配されているようでした。

 そこで、生徒と先生の電話による個別指導のほかに、ウェブ会議システムを利用した少人数のオンラインクラスを始めようと思いました。
 そのきっかけになったのは、2011年の3月11日の震災でした。
 日本を守るためには、自分なりにできることをしなければならないと思ったのです。

 いろいろとやり方を考えて、大きな方向を定めました。
 普段の勉強は家庭でいながらにしてできるオンラインの少人数クラスで行い、夏休みや土日の休みなどは、合宿で自然と友達と接する遊びと勉強の機会を作るという形の教室運営です。
 それが、読書作文キャンプの発端です。

 そして、教室の拡大に伴って必要になる人材は、森林プロジェクトの講師募集でカバーし、その講師自身も教室運営の中で自分の得意分野を生かせるようなシステムにしようと思ったのです。

 この話をホームページの記事に書いたところ、生徒の保護者の方から、使っていない別荘地の土地があるからそれを譲ってくださるという話がありました。
 そこで、その土地にログハウスを作り、合宿専用の教室を作ることにしました。
 そこを将来、森の学校という名前にして、子供たちが長期間寝泊まりして勉強と遊びと交流ができるようにしようと思ったのです。
 しかし、ログハウスを作るのは時間がかかり、その年の夏のキャンプには間に合わないということがわかったので、どうしようかと考えていたところ、近くに売りに出ているペンションがあったので、急遽そこを利用することにしました。
 これが、言葉の森の那須合宿所です。

 なぜ常設の合宿所が必要かというと、勉強と遊びを両立させるためには、1人1台のパソコン環境とともに、理科実験装置や3Dプリンタなどの設備が必要になるからです。

 1年目と2年目は、合宿の試運転で、1年間のうち1週間ほどしか使いませんでした。
 那須は、観光地で景色もよく遊ぶところがたくさんあり、皇室の保養所のあるせいか住んでいる人も穏やかで親切な人が多い土地柄でした。
 しかし、東京から新幹線で2時間ですから、便利と言えば便利ですが、日常的に使える場所ではありません。

 そこで、長期間の休みは那須合宿所を利用し、やがてそこを常設の森の学校にするのですが、しばらくの間は、横浜の教室で土日合宿を行うことにしました。
 その最初の土日合宿が、先日の3月30・31日の春の読書作文キャンプでした。

 土日の合宿は、今後も定期的に開催し、その合宿の中で自然と友達との触れ合いの機会を作り、遊びと勉強を両立させる場にしていく予定です。
 そして、夏や冬の長期間の休みは、保護者の同伴が可能で、期間も自由に選べ、読書と作文以外に国語や算数などの教科の勉強もオンラインでできる自然寺子屋合宿を開催する予定です。

 今はまだ横浜と那須にしか合宿できる場所はありませんが、言葉の森の生徒には関西地方の方も多いので、いずれ関西方面でも利用しやすい場所に合宿所としての森の学校を作ろうと思っています。
 そして更に、言葉の森の生徒には、海外の方も多いので、将来は、アジアをはじめとした世界各地に森の学校を広げていきたいと思っています。
 その各地の森の学校と寺子屋オンラインで、これからの日本を支える、思考力と創造力と共感力のある子供たちを育てていくのです。

この記事に関するコメント
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森川林 20190402  
 私は、学生時代は、80人の男子だけの寮生活を4年間送りました。
 大部屋に4人が泊まる形で、学生だけが運営する自治寮でした。
 そこで、民主主義というものを実感的に味わいました。
 その寮生活での人間関係が、自分の考えに大きく影響を与えたと思っています。
 本当の勉強には、教科書と先生以外に、自然と友達も必要だという考えは、そのころから生まれました。


nane 20190402  
 今回の土日合宿は、飛び入りの応援もあり(笑)、かなり楽にできました。
 今後、横浜で土日合宿を定期的に開催し、夏休みなどの長期の休みには、那須で期間自由の合宿を行う予定です。
 合宿のテーマは、「よく遊びよく学べ」で、勉強と遊びを両立させ、自然と友達との触れ合いのある自然寺子屋合宿にしていく予定です。


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令和元年に期す as/3654.html
森川林 2019/04/01 12:43 
▽小坪公園の紅白の梅

 「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす」

 意義や目的のような事々しいものではなく、情景描写の中から生まれた新元号に、日本の本来のあり方を見る。

 本居宣長は言った。
 日本になぜインドや中国にあるような大思想が生まれなかったのか。
 それは、日本ではそのような大げさなものを必要としない生活が既に根づいていたからだ。

 自ずから正しい道を進むような新しい時代が、これからやってくることを予感する。

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nane 20190401  
 新元号「令和」の出典となった万葉集は、日本の文化の古里だ。
 偶然にも、今日書いたプログラミングの記事の結びは、「新しい作文教育を世界に先駆けて発信できる国が、万葉集の伝統を持つ日本なのです」だった。


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