言葉の森を作文の塾と呼んでいる人もいますが、言葉の森は学習塾ではありません。
作文の教育自体を目的とした作文教室です。
入試で作文試験が課されるようになる時代のずっと前から、作文教育を目的とした教室を開いてきました。
ここが、齋藤孝さんなどがやっている受験のための作文講座とは違うところです。
しかし、生徒の中には、受験で作文を使う生徒も当然いるので、20年ほど前から受験作文小論文の指導も行ってきました。
言葉の森の受験作文指導は、わかりやすいと言われることが多く、例年、中学入試から大学入試まで受験作文コースに多くの生徒が参加しています。
公立中高一貫校入試では、作文以外の教科の試験もあるので、合否は作文だけで決まるわけではありませんが、言葉の森の受験作文コースで作文の勉強をした人は、ほかのどこで勉強するよりも作文の実力をつけているはずです。
言葉の森が学習塾でないのは、「(作文以外の)教科の勉強は自分でやる方がよい」という考えを持っていたからです。
人に教わるよりも、自分で勉強をした方が、ずっと能率よくしかも楽に勉強できるからです。
その考えはこれからも変わりませんから、言葉の森は、学習塾のような勉強をする場にはなりません。
しかし、今の学校教育を見ると、学校の教育自体が時代遅れになり、多くの子供たちが、無意味に近い詰め込み教育で勉強に対する意欲をなくしているように見えます。
そこで、言葉の森は、これまでの作文教育を発展させ、子供たちの教育全般をカバーするより広い教育を目指すことにしました。
作文以外に、国語、算数数学、英語、理科、社会などの教科の学習も選択できるようにするので、学習塾のような形態になりますが、本質は学習塾ではなく学校の教育です。
言葉の森が作文教室を始めたとき、作文教育に関する本を約200冊読みました。
そのころから、将来は教育全般をカバーする教室を作ろうと考えていたので、これまでに教育に関する本は数多く集めています。
その中には、天外伺朗さんの教育論のような根本的な内容のものから、和田秀樹さんの具体的な教育法のものまで幅広くあります。
それらをすべて統合して、具体的な教育として組み立てていきたいと思っています。
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日本では教育は進学実績との関連で語られることが多いので、どの塾も実績を上げるために工夫をしています。
そのいちばん手軽な方法は、大量の宿題を出すことです。
受験で点数を上げるためには、詰め込みが最も効果があるからです。
それと同じことが、学校教育でも行われています。
ある時期に集中して詰め込み勉強をすることは決して悪いことではありません。
しかし、教育の方法がそれしかないのは問題です。
近年増えている不登校は、そういう量で強制する学校教育にも一因があると思います。
今の中学生が通う塾は、学校の定期テストの過去問対策までやってくれます。
それで実力がつくかというと、そういうことはもちろんありません。
成績はよくなるが、実力は低下するのです。
そういう現象が、日本の教育のいたるところにあります。
日本は、これから子供たちの教育を根本から変える必要があるのです。
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小学生の作文は、学年ごとに重点が異なります。
学年による違いを理解しないまま作文を教えると、上達しないばかりか、作文を書くことが苦手になることがあります。
また、そのときはよいように見えても、あとになるとそのよいことがかえってマイナスになることもあります。
例えば、小学3、4年生でよい書き方だと言われていたものが、小学5、6年生の受験作文ではかえってよくない書き方になることもあるのです。
作文を教える先生は、その学年による違いを理解して指導することが大切です。
■小学1、2年生は、暗唱と親子の対話のある作文で、その後の学力のもとになる日本語力を育てる
小学校低学年の時期は、上手な作文を書かせるのではなく、親子の対話を楽しみながら文章を書くことを自然な習慣にする時期です。
そのことによって、その後の学力の最も重要な土台になる日本語力を育てるのです。
小学1、2年生に上手な作文を書かせるようとすると、大人の考えた表現を教えることが多くなります。
子供は、そのときは素直に従いますが、達成感がないので本当の自信はつきません。
また、学年が上がると、そういう外からの押しつけにかえって反発するようになり、作文を書かなくなることがあります。
低学年のころは表記ミスが多いのが普通ですが、正しい表記に直すことを重点にすると、書いた作文を直すことが勉強の中心になってしまいます。
作文は楽しく勉強することが大事ですから、この時期は、よい文章を読ませることと、書いた作文のいいところをいつも褒めるようにしていくことが大切です。
■小学3、4年生は、作文検定で定期的に自分の作文力を把握し、目標を持って作文を書く
小学校中学年の時期は、ただ書くだけでなく、表現の工夫をしながら書くことによって作文力を上達させる時期です。
自分の経験したことをただそのとおりに書くだけでなく、書く前の準備として、似た例を探したり表現の工夫を考えたりすることが大切です。
特に、小学3年生からは、感想文を書く力もある程度ついてくるので、文章を読み取って内容を理解し、そこから自分の似た例や感想を書く方法を身につけていく必要があります。
一方、感想文でない事実中心の作文の場合は、小学3、4年生が最も作文力が伸びる時期にあたります。
表現の項目などで、作文を書く目標をはっきりさせて書くことで力がついていきます。
■小学5、6年生は、受験作文に対応した作文力に切り換え、読解検定で国語力を伸ばす
小学5、6年生の時期は、受験を視野に入れた作文を書く時期で、出来事を中心とした文章から主題を中心にした文章に切り替える時期です。
そのためには、抽象的な語彙を使う力をつけることが大切で、国語力、読解力を伸ばしながら作文力も伸ばしていく必要があります。
国語力、読解力を伸ばす方法は、説明や意見の書かれている難しい文章を読み取る練習をすることに尽きます。
そういう文章を読み、自分なりに短い感想を書くことによって、説明文、意見文を書く語彙力がついてきます。
また、それまで題材中心に書いていた作文を、主題中心に切り替えるためには、構成を意識して書くことが大切です。
この構成を意識して書く練習が、その後の中学生、高校生の作文の書き方にもつながっていきます。
■暗唱検定、読解検定、作文検定を活用し、長期的な見通しを持って日本語力を育てる
学年による発達段階の違いを理解して作文を教えてくれる先生が身近にいない場合は、どうしたらいいでしょうか。
言葉の森では、そのような人のために、小学1年生から高校3年生まで定期的に受けることのできる読解検定、作文検定を公開しています。
読解検定、作文検定を定期的に受けることによって、自分の読解力、作文力を把握しながら正しい方向で勉強を進めていくことができます。
また、暗唱検定は、幼児から社会人まで随時受けることができます。
暗唱検定のもとになる暗唱文集は、ウェブから自由にプリントアウトできます。
暗唱検定は、一つの級を合格するために約3か月かかりますから、長期間の家庭学習をひとりでは続けにくいという人は、毎週の暗唱を発表をする場としてオンラインの発表学習クラスを利用することができます。
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小学生の作文力の発達について、ここに書いたほど(簡潔ですが)系統的に書かれたものはないと思います。
作文教育を専門にしているという人でも、自分の教えているある狭い範囲の学年や、狭い範囲のレベルの生徒を対象にした指導しかしていないからです。
1、2年前、小学校の感想文指導の方法が話題になったことがあります。
その方法というのは、実は言葉の森が昔開発していたものでした。
それまでは、学校に、感想文の指導法というのはなかったのです。
また、昔、作文の通信講座の宣伝文句を見て、なかなかいいことを書いているなあと思ったあと、これまで自分が書いていたことと同じだと気がつきました(笑)。
よいものが真似されるのは、別にかまいません。
しかし、本質を抜きにした表面的なことだけの真似では困るので、それで森林プロジェクトを立ち上げたのです。
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国語の成績はいいのに、作文がなぜかものたりない、これでは、受験の作文に対応できないのではないか、と思われているお母さんは多いと思います。
これは、実はきわめてよくあることです。
国語の成績がよいのは、読む力があるからです。
本などもよく読んでいるので、読むための語彙はしっかり身につけているのです。
しかし、読むための語彙と書くための語彙は違います。
難しい文章はそれなりに読めても、自分がそのような難しい文章をそれなりに書けるかというと、そういうことはありません。
書く力の土台は読む力ですから、読む力をつけていれば自然に書く力はついてきます。
しかし、それはすぐにつくわけではありません。
自然につくのを待っていては、小6の受験には間に合わないという子の方がずっと多いのです。
これは、能力の問題ではなく、精神年齢の発達の問題なので、受験に間に合わせるためには工夫が必要です。
受験作文にも対応できる書く力をつけるための方法は、四つあります。
第一は、問題集読書です。
入試問題の問題文を読書がわりに読み、そこに書かれている語彙や表現に慣れておくことです。
第二は、長文の音読です。
言葉の森の課題フォルダの長文は説明文が中心です。
受験作文で要求される文章も説明文、意見文です。
小学生は、それまで事実文中心の文章を読み、事実文中心の作文を書いていたことが多いので、説明文、意見文のための語彙にはなじみがありません。
それを、音読の繰り返しによって、自分でも使えるようにしていくのです。
第三は、作文の準備のときに、子供がお母さんに似た話を取材することがあったら、似た話という題材部分の話とともに、その作文の感想となる主題部分の話もしてあげるのです。
子供は特に、主題の部分で使う語彙をあまり持っていません。
だから、小学校低学年は、「とてもたのしかったです」「まったやってみたいです」「こんどはがんばりたいです」などの、どこでも使えるような語彙で結びをまとめてしまうことが多いのです。
高学年の場合は、一般化の主題という大きい感想になりますが、それも、「人源にとってとても大切だということがわかった」などという、やはりどこでも通用するような結びにしてしまうことが多いのです。
子供は、まだ難しい感想を書く力はありませんが、読む力はあります。
だから、お母さんが言った感想の部分の言葉は十分に理解できます。
それを参考にして書くことによって、次第に自分の主題部分の語彙力を身につけていくのです。
受験作文コースの段階に入ったら、この親子の対話は、お父さんとお母さんの協力で更に強化していく必要がありますが、それはまたその時点で説明します。
第四は、これは最近できるようになったことですが、寺オン作文クラスで、ほかの小学6年生の作文の準備を聞くことです。
寺オン作文クラスは、よく書ける生徒が多いので、ほかの人が準備してきた似た例や感想を聞くと、そのときの発想が自分の今後の勉強の参考になります。
そして、自分も同じようによりよい作文を書く準備をしようという気持ちになるのです。
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私は昔、自分が小学6年生のころに書いた作文を読みましたが、すごく幼稚なことを書いていました。
それなりに自分で考えている片鱗はあるのですが、語彙が伴っていないのです。
これは、今の小学6年生の子供たちも、ほぼ同じだと思います。
ただ、みんな、課題に合わせて背伸びをして書いているので、次第にその背伸びが実力になっていくのです。
小学6年生は、優れた感想を書く力はまだありませんが、読む力は十分にあります。
だから、自分の感想がものたりないことはわかっていて、できればもっと格好いいことを書きたいと思っています。
だから、そこで、お母さんに相談するといいのです。「この作文の感想、どう書いたらいいかなあ」と。
そのときに、お母さんは、「そんなの、自分で考えなさい」と言うのではなく、「こういうことも書けるし、こういうことも書けるし」といくつかの案を示してあげるといいのです。
すると、子供は、読む力はありますから、その中で自分にいちばんしっくり来るものを採用して、自分の感想を書きます。
すると、それがその子の語彙力になっていくのです。
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