小学3・4年生は、作文が最も楽しく書ける時期です。
このころの子供たちは、表現力がついてくるとともに、面白いことを書きたいという気持ちがわいてくるからです。
小学5・6年生になると、難しいことを書きたくなってきます。
それは、教科書でも、読書でも、だんだん難しい文章を読む機会が増えるからです。
だから、自分もそういう文章を書きたいと思うのですが、書く力は、読む力よりも一歩遅れてついてきます。
そのため、自分が思うように書けないから、書くことが苦手になったと思う子が増えます。
しかし、どの学年になっても楽しく書く教え方はできます。
それは、作文を書く前に、どう書いたらいいのかを説明して、それができたら大いに褒めることです。
ところが、作文を教える先生の中には、子供が書いたものを注意して直すだけの先生もいます。
初心者の先生ほど、そうなりがちです。
もちろん、それは善意でそうしているのですが、そのことによって子供はどんどん作文が嫌いになっていきます。
本来ならば、小学生のころは、誰でも作文を書くのが好きな時期なのです。
もし、子供が作文を嫌いになりかけているとしたら、教え方を見直してみる必要があります。
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▼関連記事「作文の勉強を好きにするのも嫌いにするのも教え方次第」
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小学生に楽しく作文力をつけるのは簡単です。勉強の仕方の基本をいくつか守っていけばいいのです。
しかし、小学生を作文嫌いにするのはもっと簡単です。それは、欠点を注意していればいいだけだからです。
小学生の書く文章で、欠点のないようなものはまずありません。また、欠点がないように見えるものでも、見つけようと思えばいくらでも欠点は見つかります。それは、作文の評価のかなりの部分が主観的に行われているからです。
だから、「面白みがない」とか、「何が言いたいかわからない」とか、「書かれていることが表面的」とかいうような、曖昧で、どうしたらよいのかわからない評価がされることがあるのです。
中には、通知表で、作文を書くという項目だけが低く評価されているが、その理由は、子供にも、親にも、書いた先生にもわからないというような意味のない評価もあります。
作文力をつけるのは簡単ですが、しかし、もちろん時間はかかります。
それは、作文というものは、その生徒の読書や対話や経験などの日本語を使う生活の集大成だからです。他の教科の勉強は、その勉強に力を入れれば、すぐに成績が上がります。しかし、作文は、力を入れてすぐに結果が出るものではないのです。
そのかわり、楽しく作文を書くということはすぐにできるようになります。
この楽しく書けるということが最も重要で、楽しく毎週作文を書いてさえいれば、それに伴って作文力はついてきます。
では、楽しく書くためにはどうしたらよいかというと、まず何をどう書いたらよいのかをはっきりさせることです。この反対に自由に書かせて、あとからどこができていないなどと批評するのが最も子供のやる気を失わせる勉強の仕方です。基準をはっきりさせて、その基準に合わせて褒めるということが大事なのです。
作文のような主観的になりやすいものだからこそ、指導も評価もできるだけ客観的にしていく必要があるのです。
言葉の森の作文指導の特徴は、事前指導に力を入れていることです。作文を書く前の準備が充実していれば、それに応じて内容のよい作文が書けます。
そのために、事前に課題の長文を読んだり、事前に両親に似た例を取材したりすることが重要になってきます。
事前の長文音読は、小学校低学年のころであれば、習慣化することが容易です。朝ご飯の前に長文を音読すると決めておけば、音読の時間はわずか2、3分ですから、歯を磨いたり顔を洗ったりするのと同じ感覚で自然にできるようになります。
しかし、これが学年が上がり、小学4、5年生になってから毎日の音読をさせるというと、かなり難しくなります。この場合は、その自習をさせ続けるという親の強い決心が必要になります。また、音読の仕方についても決して注意をせずにいつも温かく褒めてあげるという忍耐心が必要になります。
事前の親子の話し合いは、やはり小学校低学年のころから始めれば、家庭の習慣として定着するようになります。普通の日本の家庭では、あるテーマについて家族全員で話し合いをする機会があるというところはほとんどないと思います。だから、作文の勉強をきっかけにして、そういう親子の話し合いの文化を作っていくといいのです。
もちろん、これはすぐにスムーズにはできません。最初のころはいろいろな試行錯誤があるはずです。しかし、小学校低学年のころから対話の習慣をつけておけば、学年が上がるにつれてその対話は更に充実したものになっていきます。
言葉の森が、小学校低学年からの作文の勉強をすすめるのは、低学年だからこそ作文の準備となるいろいろな習慣がつきやすいからです。
そのかわり、作文は楽しく勉強することを最優先させなければなりません。せっかく作文を書いているのだからと、間違いをきれいに書き直しさせたり、上手な表現に書き直させてコンクールに応募したりするのは、そのときは子供は素直に従っているように見えても、決して楽しい作業ではありませんから、かえって作文の勉強が長続きしなくなることも多いのです。
書いたものはいつも褒めてあげ、その一方で事前の準備としての読書、音読、対話などに力を入れるのが、作文の勉強の基本なのです。
ここで、蛇足のようにも思いますが、こういう作文指導を子供の勉強全体の大きな流れの中で見ていることが大事です。作文指導であれば何でもよいというのではありません。
というのは、小学生の作文指導は、低学年のうちは誰にでもできるような気がするからです。
言葉の森の作文指導は、小学校低学年から始めて高校生まで続ける子がよくいます。これは、一つには担当の先生からの電話指導が毎週あるからです。もう一つには高校生の大学入試小論文まで高度に指導するカリキュラムがあるからです。
だから、小学校低学年から作文の勉強を始めるとしたら、まず言葉の森で始めていくのがいいのです。
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子供たちは、みんな作文を書くのが好きです。
特に、小学3、4年生は、作文がいちばん楽しくなる時期です。
ところが、小学3、4年生で作文が嫌いになる子がいるのです。
それは、子供の問題ではなく、教え方の問題です。
小学3、4年生で作文の楽しさに目覚めれば、課題が難しくなる小学5、6年生の受験作文になっても、同じように楽しく書いていくことができるのです。
それが、作文の中にも出てきます。
だから、小学3、4年生の作文は、書いている方も、読んでいる方も楽しくなるのです。
ここで、その作文の楽しさをたっぷり味わい、そして、小学5年生以降の難しい作文に挑戦する気持ちを育てていくのです。
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昨日の保護者説明会で、小5の保護者の方から質問がありました。
これまで、言葉の森で作文のよく書けていた子が、塾の作文では欠点を指摘されるばかりだと言うのです。
その理由は簡単です。
これまでよく書けていたのは、事実中心の生活作文で、これから受験に必要になるのは意見中心の論説文になるからです。
ところが、塾は、その論説文の書き方を教えずに、ただ作文を書かせてそれを直すという指導をしているのです。
実は、この「書かせて直す」という教え方が、これまで学校でもずっと行われてきた方法で、そのために多くの子が、作文が上手にならないばかりか、作文を書くことが嫌いになっていったのです。
だから、作文指導に熱心な先生のクラスほど、作文嫌いの子が増えるという状況が今もあるのです。
その塾は、従来の学校と同じ教え方をしているのです。
しかし、これはその塾だけの問題ではなく、聞くところによると、多くの塾がそういう教え方をしているようです。
今、塾で作文を習っている子のお母さんは、試みに、作文の勉強が好きかどうか子供に聞いてみるといいと思います。
もし、作文の勉強が嫌いだったら、それは、その子が悪いのではなく教え方が悪いのです。
子供たちは、受験という目標があるので、そういう教え方でもついていこうとしますが、受験が終わったら、もう二度とそういう作文の勉強をしたいとは思わないでしょう。
教えられて、上達しないで、嫌いになって、というのでは、どうしてそういう勉強をしているのかわかりません(笑)。
しかし、塾によっては、その作文講座が必修になっているようです。
言葉の森の作文の教え方は、学校や塾の「書かせて直す」という方法とは正反対のものです。
それは、書かせる前の事前指導のカリキュラムが小1から高3まであるからです。
だから、子供は、誰でも迷わずに書けて、しかも書いた結果を褒められるのです。
塾で何度も直されて、上手にならずに、作文を嫌いになった子が、言葉の森で教えられるとすぐに上手に書けるのは、この事前指導があるからです。
これは、オーバーな話ではなく、実際によくある話です。
生活作文が上手に書けていた子は、もともと実力がありますから、論説文の書き方の事前指導があれば、論説文もすぐに上手に書けるようになります。
だから、受験作文については、全く心配は要りません。
それよりも、受験については、過去問の研究と、問題処理の時間配分の方がずっと重要です。
さて、言葉の森では、小6の後半に受験作文コースを始めますが、これまで、もっと早く受験作文の勉強をしたいという声がありました。
そこで、以前作っていた「ハイパー作文コース」を、小5の6月又は7月から始められることにします。
これは、受験作文の書き方を、授業の動画で説明し、その説明をもとに作文を書くというコースです。
通常の小5、小6の課題をやるかわりに、このハイパー作文コースの課題をやってもいいということにします。(受講料の変更はありません。)
通常の小5、小6の課題も、感想文のもとになる長文はいずれも中学入試の説明文のレベルですから、学習の難易度は同じですが、事前指導がより受験作文的になります。
作文指導をする先生は、今の担当の先生のままです。
違いは、作文の予習を、課題フォルダの解説を読むのではなく、授業の動画を見て行うようにするということです。
授業の動画は、「鳥の村」の「資料室」の「ハイパー作文コース」のページにアップします。
ハイパー作文コースの課題は、以前は、公立中高一貫校の実際の過去問にしていましたが、ここで先に過去問をやってしまうと、受験作文コースに入ったときに課題が重複してしまう可能性があるので、過去問ではなく、市販の問題集にしました。
受験作文のいろいろな問題集を検討しましたが、やはり自分が書いたものがいちばんいいと思い、「
小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」(かんき出版) を教材にすることにしました。
この本は、言葉の森の保護者で購入されている方が多いと思うので、その活用も兼ねて行えます。。
この本の作文の章だけでなく、読解の章や記述の章の文章ももとに、受験作文の書き方を説明していきます。
なお、ハイパー作文コースの課題の項目は、今、作文指導を受けている構成や項目や字数とは別にします。
これは、そのつど授業の動画の中で説明しますが、勉強の目的は、項目に◎がつくように書くことではなく(これは実力をつけるための方法です)、合格する作文を書くこと(これは勝負に勝つための方法です)になるからです。
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言葉の森で作文を教えられれて、作文が嫌いになる子はまずいません。
嫌いになるのは、親が注意するからです。
又は、褒めずに苦い顔をして見ているだけだからです(笑)。
作文は長く続ければ、必ず上達します。
早く上達させようと思い、注意するから、続かなくなって下手なままやめてしまうのです。
しかし、その注意する親と同じ教え方をする先生がいます。
それが、多くの塾で行われている教え方です。
苦しい勉強は長続きしません。
楽しい勉強だから上達するのです。
注意したり直したりして作文が上手になるのであれば、日本中の子供はほとんどが作文が上手になっています。
それがそうなっていないのは、注意したり直したりする方法が、作文の間違った指導法だからです。
しかし、単に褒めるだけでも、作文は上達しません。
大事なことは、書いたあとに直すことでも褒めることでもなく、書く前に事前指導をすることなのです。
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