サマーキャンプで、感想文を書く課題に取り組む人は、次の3冊の本の中から、感想文に書く本を選び、全体を読んだあと、予習シートを参考に似た話や感想を考え、お父さんやお母さんにも似た話や感想を取材してきましょう。
下記の3冊以外の本を選ぶこともできますが、その際は表現面のアドバイスだけで内容面でのアドバイスはありません。
「宇宙人のいる教室」の感想文予習シート
本を読んだあと、似た話を考え、お父さんやお母さんにも取材し、▼の部分にメモを書いて来ましょう。
■あらすじ
テツヤのクラスに、星レオナという風変わりな転校生がやってきた。
レオナは、一歩一歩重そうにのろのろと足を引きずって歩き、鉄棒もできない。
矢田というクラスのいじめっ子は、早速、レオナをいじめ始める。
レオナは、やられたらやられっぱなしで、やり返すことも言い返すこともできない。
レオナには奇妙なことが多いため、テツヤはレオナは宇宙人ではないかと疑う。
テツヤは、レオナのことを調べているうちに、レオナとなかよしになっていく。
自然が好きなレオナの影響で、テツヤも自然と触れ合うことの素晴らしさに気づく。
テツヤとレオナは親友となり、言葉を交わさなくても心が通じ合う仲になった。
ある晩、テツヤは、レオナの生まれた星の夢を見る。
翌日、テツヤは、レオナが転校したことを知らされる。
□本の引用(1)
クラスでいちばん大きくてすぐ暴力をふるう矢田は、転校してきたレオナを見ると、「あしたからおもしろくなるぞ。ちょうどいいや。ホリキンをいじめるのもそろそろあきてきたしな」と言いました。(P11-12)
レオナは動作が遅いので、転校してきてすぐに、矢田たちからいじめられるようになりました。
▼似た話(1)
四年生になったとき、私のクラスに転校生が来ましたた。クラスのみんなは、……
私の母は、小学校のとき、転校したことがあるそうです。新しい学校では……
□本の引用(2)
五月のマラソン大会を前にして、先生はレオナに、見学をすすめましたが、レオナは最後まで走りたいと言いました。
そして、マラソン大会の当日、テツヤは、歩くようなレオナのペースに合わせてゆっくり走り、二人はみんなからかなり遅れて一緒にゴールしました。
そのとき、いっせいに拍手してくれたみんなの中に、いつもレオナをいじめていた矢田たちもいました。(P100-109)
▼似た話(2)
私の学校でも、毎年冬にマラソン大会があります。私は走るのが得意ですが、なかよしのSちゃんはマラソンが苦手です。だから、私は、……
□本の引用(3)
夏休みの最後の日、テツヤは夢を見ました。それは、レオナの生まれた星で、赤い砂丘が続き、暗い空からはいなずまが光り、草は一本も生えていない星でした。
レオナは、まっ暗な空をあおいで言いました。
「地球へいって、はじめて青空を見た時、花を見た時、ぼくはこんなに美しいものがこの世にあるだろうかと思った。……それなのに、きみたちは、少しもありがたいと思わないんだからなあ。」(P125-130)
▼似た話(2)
私は、この前、飛行機に乗って、祖父の住む福岡に行きました。飛行機からは、青い海やきれいな緑が見えました。そのとき、昔、父に教えてもらった「地球は青かった」というガガーリンの言葉を思い出しました。……
▼想像した話
もし、私たちがレオナの星に住むことになったら……。
▼全体の感想
私は、この本を読んで、いじめの問題が後を絶たないのは、私たちが地球という恵まれた星に暮らしていることに感謝する気持ちを忘れてしまっているからではないかと思いました。
私たちは……。
「川は生きている」の感想文予習シート
本を読んだあと、似た話を考え、お父さんやお母さんにも取材し、▼の部分にメモを書いて来ましょう。
■あらすじ
日本人の水の治め方は、世界でも非常にすぐれたものだった。
母なる日本の川は、私たちの祖先が作り、育ててきたものだ。
森林は水をたくわえ、徐々に徐々にはきだしてくれる。
森林や水田をつぶしてきたため、最近では、水害がひどくなり、水が足りなくなっている。
さまざまな犠牲(ぎせい)を払って作られたダムを守ってくれるのも森林である。
自然とつきあうには、人間の都合ばかりを押し通すわけにはいかない。
川と私たちの生活の結びつきを、もう一度じっくり考えてみる必要がある。
□本の引用(1)
日本は山がけわしく、川も短くて急です。雨が降ると水は洪水になっていっきに海へ走り、あとはたちまちかわいてしまう川です。(P20) 私がこの本を読んで、まず印象に残ったのは、滝のようなあばれ川を日本人が上手に治めて文化を築いてきたというところです。
▼似た話(1)
私の家の近くには小さな川が流れています。祖母に聞いた話によると……。
□本の引用(2)
また、私はこの本を読んで、川を守るために森林が大切な役割を果たしているということを知りました。
昭和三十九年の夏、東京は大かんばつに見まわれました。東京も水がめと言われる小河内(おごうち)ダムも干上がってしまいました。しかし、その日照り続きの中でも、ダムのまわりの山々からは日に三十万トンの水が毎日はきだされ、人々の飲み水をまかなってくれました。(P59)
▼似た話(2)
私は、この前、家族でハイキングをしました。うっそうと茂る木々の中を歩いているとき、湧き水を見つけました。……。
□本の引用(3)
もう一つ心に残ったことは、今、都市を流れている川は、薬品や油や洗剤などが混ざったごみによって痛みつけられているということです。
むかし、日本人が水と仲よく暮らしていた時代には、日本人はごみというものをほとんど出しませんでした。そして、川もゆっくり流れ、水をきれいにする力を持っていました。しかし、今の川はコンクリートですべり台のように流され、水をきれいにする力はすっかり弱ってしまったのです。(P113-117)
▼似た話(3)
父は、昔、川の清掃のボランティアに参加したことがあるそうです。そのとき、……。
私は、那須にキャンプに行き、川遊びをしました。その川は……。
▼想像した話
もし、私たちが川の役割を知り、もっと川を大切にしたら……。
▼全体の感想
川というものは、人間にとって、ただの……ではなく……です。
私は、この本を読んで、普段、あたりまえのように使っている水がいかに貴重であるかがよくわかりました。昔の人たちが川を治めるために積み重ねてきた努力を無駄にしないように……。
「モモ」の感想文予習シート
本を読んだあと、似た話を考え、お父さんやお母さんにも取材し、▼の部分にメモを書いて来ましょう。
■あらすじ
モモは、町はずれの廃墟となっている円形劇場に住みついた。
モモと話していると、観光ガイドのジジは空想の翼が自由に羽ばたくのだった。
掃除夫のベッポは、自分が心から話す話をじっと聞いてくれるモモが好きだった。
子供たちも、モモのいる円形劇場で自分らしい時間を取り戻していた。
あるとき、灰色の男たちが町に現れ、大人たちに、能率よく仕事し時間を貯蓄することをすすめるようになった。
モモにも時間の貯蓄をすすめようとしたある灰色の男は、モモの自然な問いかけに対して思わず自分たちが人間の時間を奪っていることを正直に話してしまう。
モモに正体を知られた灰色の男たちのグループは、モモの力を封じるために、モモの友達のジジやベッポたちを仕事に駆り立て、子供たちを<子どもの家>で勉強させるようにし、モモには友達がいなくなった。
モモは、世界に時間を配るマイスター・ホラ(時の師のような意味)のカメ、カシオペイアに連れられて、時間の国に行く。
ホラに見せてもらった「時間のみなもと」では、振り子に合わせて見たこともない美しい花が次々に咲いてはしおれていくのだった。
時間の国から町に戻ったモモは、友達や子供たちが昔と違って、誰もが無表情に時間に追われて暮らしていることを知る。
一方、灰色の男たちは、人間一人ひとりから時間を奪うよりも、ホラからすべての時間をまとめて奪おうと考え、時間の国に戻ろうとするモモとカシオペイアを追跡し、ホラのいる「どこにもない家」を包囲する。
ホラは、眠りにつくことによって世界の時間を止め、モモは、灰色の男たちに奪われた人間の時間を取り戻すために、灰色の男たちの貯蔵庫に向かう。
ホラの眠りによって時間が止まった中で、互いに葉巻を奪い合う男たちは、闘いの中で次々に人数を減らし、最後のひとりも葉巻を落とし消えてしまう。
解放された時間がもとの持ち主のところに戻った世界で、人々は昔と同じように時間をたっぷり使うようになり、ジジとベッポと子供たちも円形劇場に戻ってきた。
□本の引用(1)
ベッポは、モモに掃除の仕方を話した。「その日に掃除する仕事の全体を見ると、仕事はなかなか終わらずやがて息が切れて動けなくなってしまう。しかし、いつも次の一歩だけを見ていると、仕事が楽しくなり、いつの間にか仕事が終わっている」(岩波少年文庫のP52)
▼似た話(1)
私にも似た話がある。それは……
父に話を聞いてみると……。
□本の引用(2)
モモから時間を奪うために、灰色の男は、モモにきれいな人形をプレゼントしようとする。その人形は、どう話しかけても、同じ返事をし、たくさんのものをほしがる。しかし、モモは灰色の男に、「この人形は好きになれない」といい、「でも、あたしの友だちなら好きよ」と言う。その言葉を聞くと、灰色の男は急に顔をゆがめた。(P130-140)
▼似た話(2)
私にも似た話がある。それは……
母に話を聞いてみると……。
□本の引用(3)
モモが誘拐されたと勘違いしたベッポは、身代金を支払うために10万時間を貯蓄してしまう。その日から、ベッポは前のようにゆっくり楽しく仕事をすることはなくなり、せかせかと時間を節約するために息を切らして仕事をするようになった。(p269-273)
▼似た話(3)
私にも似た話がある。それは……
□本の引用(4)
人々に時間が戻ると、大都会では長いこと見られなかった光景がくりひろげられた。子どもたちは道路の真ん中で遊び、車でゆく人は、それをにこにことながめ、ときには車をおりて一緒に遊んだ。仕事にでかける人も、窓辺の花に目をとめたり、小鳥にパンくずを投げてやったりするゆとりができた。(P393)
▼全体の感想
私は、この話を読んで……。
よく、小学生新聞などに、「読書感想文の書き方」のような話が載ることがありますが、それを見て感想文を書ける子はまずいないだろうなあと思います。それは、書かれていることがあまりに抽象的だからです。
例えば、「よく読んで自分が感動したところを書く」などという、当然ではあるが実際にどうしたらいいかわからないことが書かれているからです。
勉強というものは、できる子だけができればいいというものではありません。全員が例外なくできるようなことをしなければならないのです。
言葉の森では、日曜日の作文クラスを、朝の9時から行っています。
これまで、言葉の森の受講案内には、平日のクラスと、土曜の午前中のクラスしか記載していなかったために、日曜クラスのことを知らない方も多いと思います。
現在、土曜の午前中のクラスは希望者が多く、空き時間帯がかなり限られています。
日曜の作文クラスは、まだ空きがありますから、午前中の授業を希望される方は、日曜作文クラスの体験学習をお申し込みください。
日曜クラスは、Zoomを使った少人数の全員参加型のクラスですので、授業のあとすぐに作文を書き出すことができます。
平日の時間帯では、保護者の帰宅が遅く、子供と保護者の共通の時間が取れないという方などにおすすめです。
また、朝の9時ですから、今アメリカなどで受講されている方も、現地での夕方の時間に授業を受けられるようになります。
体験学習を希望される方は、言葉の森まで、体験学習のページからお問い合わせください。
https://www.mori7.com/ftaikenn.php
▽寺オン作文クラスの授業から(土1000クラス、音声のみ、参加生徒は小学2、3年生))
https://youtu.be/lsA2it5q2DI
今ちょうど、夏休みの読書感想文の資料を作るために、「モモ」(ミヒャエル・エンデ)の本を読み返していたところですが、モモのいる廃墟の円形劇場に集まる子供たちと、この作文クラスの子供たちがなぜか重なっているように感じました。
作文クラスの場合は、作文の勉強ですが、それにもかかわらずどちらの子も自由な時間をたっぷり生きているように思ったのです。