■国語力は作文力に表れる
国語の実力は、作文の力に表れてきます。作文が書けない子は、文章もあまりよく読めません。
もちろん中には、本をよく読んでいるのに作文が苦手という子もいます。しかし、こういう子はコツがわかれば、すぐに作文を上手に書けるようになります。
一方、あまり本を読んでいないのによく書けるという子もいます。しかし、これは、課題がやさしいからよく書けるということであって、難しい課題になるとだんだんと書けなくなります。
大多数の子は、作文も書けるし文章もよく読めるか、作文もあまり書けないし文書もよく読めないかのどちらかです。
■読書力のエッセンスが音読の勉強
では、作文力と読解力をつけるためには、どうしたらいいのでしょうか。共通の勉強法は、読む力をつけるということです。あたりまえのように思われるかもしれませんが、ここがいちばん大事なところです。読む力をつけるためには、読書をすることが最も効果があります。本をたくさん読んでいる子は、ほぼ例外なく国語が得意です。
しかし、本をあまり読まない子は、どうしたらいいのでしょうか。
読書には、いくつもの効用があります。感情が豊かになること、知識が豊かになること、読むこと自体が楽しいこと、そして、読むことによって読む力がつくことです。
この読書の様々な効用の中で、読書によって読む力をつけるという部分を取り出したものが、音読の勉強法です。
読書があまり進まない子でも、音読の勉強をすることによって読む力がついていきます。
■音読で力のつく子とつかない子
音読によって国語力をつけるということは、言葉の森が長い間提唱してきたことです。
しかし、言葉の森でも、実際に音読をやって力のついた子と、なかなか力のつかない子がいました。それはなぜかというと、音読は、飽きやすい勉強だからです。読解力をつける勉強で大事なことは、同じ文章を反復して読むことです。ところが、音読の勉強は、反復の回数が少なくなりがちなのです。
次々に新しい文章を音読するような形では、読む力はつきません。対象となる文章を空で言えるぐらいに何度も繰り返し音読をすることによって読む力がつきます。
音読で力のついた子は、その文章を覚えるぐらいまで繰り返し読んだ子でした。
■音読の勉強を発展させた10分間暗唱
そこで、言葉の森では音読の勉強をさらに発展させて、10分間暗唱という勉強の仕方を行うようにしました。
暗唱の勉強というのは、今の親の世代の人たちはほとんどしていません。暗唱または暗記というと、自分は覚えるのが苦手だから難しそうだという発想する人が多いものです。
しかし、10分間暗唱は、覚えるための勉強でありません。ただ10分間100字の文章を反復して音読することによって、いつの間にかその文章を覚えてしまう、という勉強法です。
このやり方であれば、暗唱は例外なくだれでもできるようになります。また、10分間で100字の文章が暗唱できたということは、子供に大きな達成感を感じさせます。これが、達成感の感じにくい音読の勉強との大きな違いです。また、暗唱は、客観的にその達成度を評価することができます
■貝原益軒のすすめた暗唱法
暗唱の勉強の効果は、すでに貝原益軒によって次のように述べられています。
四書を、毎日百字づつ百へん熟誦して、そらによみ、そらにかくべし。字のおき所、助字のあり所、ありしにたがはず、おぼへよむべし。是ほどの事、老らくのとしといへど、つとめてなしやすし。況、少年の人をや。四書をそらんぜば、其ちからにて義理に通じ、もろもろの書をよむ事やすからん。又、文章のつづき、文字のおきやう、助字のあり処をも、よくおぼえてしれらば、文章をかくにも、又助となりなん。かくの如く、四書を習ひ覚えば、初学のつとめ、過半は既に成れりと云べし。論語は一万二千七百字、孟子は三万四千六百八十五字、大学は経伝を合せて千八百五十一字、中庸は三千五百六十八字あり。四書すべて五万二千八百四字なり。一日に百字をよんでそらに記(おぼ)ゆれば、日かず五百廿八日におはる。十七月十八日なれば、一年半にはたらずして其功おはりぬ。早く思ひ立て、かくの如くすべし。これにまされる学問の善き法なし。其れつとめやすくして、其功は甚だ大なり。わがともがら、わかき時、此良法を知らずして、むなしく過し、今八そぢになりて、年のつもりに、やうやう学びやうの道すこし心に思ひしれる故、今更悔甚し。又、尚書の内、純粋なる数篇、詩経、周易の全文、礼記九万九千字の内、其精要なる文字をゑらんで三万字、左伝の最(も)要用なる文を数万言、是も亦日課を定めて百遍熟読せば、文学におゐて、恐らくは世に類なかるべし。是学問の良法なり。
■国語力があれば入試も有利
国語力のついている子は、国語のテストの前でも、直前の勉強が不要です。国語は一夜漬けのできない勉強なので、普段の実力があれば試験の前の勉強をわざわざする必要がないからです。
言葉の森の生徒で、次のような子供がいます。小学校高学年から高校までの国語のテストは、いつもクラスでほぼ最高点でした。大学入試でも、受験したいくつかの学部の国語のテストはいずれもほぼ満点でした。国語力に余裕があるので、国語の勉強をする必要がないのはもちろんですが、英語の勉強も受験の後半になるほどぐんぐん成績が上がっていきました。
国語力のある子は、文章を読んで理解する力があるので、新しい勉強を始めることが苦になりません。国語力は、社会に出てからも更に役立つ学力なのです。
■暗唱の勉強を支える電話指導と速聴ページ
ところで、暗唱の勉強を通信教育で行うということは、通常はできません。言葉の森の通信教育で暗唱の指導ができるのは、毎週講師からの電話指導があるからです。
また、言葉の森では、暗唱しにくいという子供たちのために、速聴のページを作り、速聴を10分間聴くだけでも暗唱に近い勉強ができるようにしています。このため、中学生高校生では、速聴のページをiPodなどにダウンロードして通学途中に聴くというような形の勉強もできます。
暗唱の力をつければ国語力読解力がつくのはもちろんですが、作文力もつき、勉強力そのものもまたついていくのです。
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公立中高一貫校の入試で、なぜ作文試験が行われているのでしょうか。その理由は、公立なので、受験勉強をあおるような入試はできないというところにあります。そこで、知識を問うような普通のテストのほかに、作文試験が課されているのです。
話は脱線しますが、現在の公立小中学校の勉強の範囲は、やさしすぎるところがあります。基本をしっかり身につけることは大切ですが、教科書の中にレベルの高い問題がないと、賢い子は物足りなさを感じるようになります。公立中高一貫校では、そのような教科書をもとに入試の選抜試験をしなければならないため、作文試験という形をとるところが増えているのです。
大学入試では、一足先に小論文試験を導入していました。これは、センター試験などマークシート方式の試験を補完する形で登場しました。
当初の小論文試験は、ありふれた課題ででした。極端にいうと、「私の家族」「私の友達」のような誰でもが思いつきそうな身近な題名課題で出されていました。しかし、それで入試の選抜ができたのは最初のうちだけです。すぐに受験生が対策を研究して、だれもが同じ水準で上手に書けるようになりました。そこで、身近な題名課題ではなく、文章を読んで感想を書く形の感想小論文のスタイルに次第に変わっていったのです。
その後、さらに小論文入試に力を入れるところでは、複数の文章を読ませて感想文を書かせるような、より深く考えさせる問題に進化していきました。私の考えでは、受験生に一日に複数の小論文を書かせるような形でないと、本当の小論文の実力はわからないのではないかと思います。
しかし、小論文の入試が工夫されればされるほど、採点者の負担が大きくなります。また、採点者による評価の個人差が大きいという問題もあります。そこで、現在の小論文入試では、教科の点数でかなりの部分の合否を決め、合格の人だけ小論文をみるという形になっているのではないかと思います。
中学入試の作文試験も、これから大学入試と同じような経過をたどると思います。作文を読むと、たしかに本人の知的な実力がよくわかります。それが難しい課題であればあるほどそういう傾向が強くなります。逆に、「私の○○」などというやさしい題名では実力差はあまりつきません。しかし、難しい課題で作文を書かせて採点するとなると、採点に時間がかかりすぎます。選抜のために採点に差をつけるというのは、さらに大変な仕事になります。
そこで、今後の予想です。公立中高一貫校の作文試験では当面、身近な課題がまだ少しは残ると思います。しかし、やがて文章読んで作文を書かせるような形が主流になっていきます。しばらくは、その文章も学校や家庭によくある身近な話でしょう。しかし、だんだんと思考力を要求するような難しい文章になっていきます。採点する側の事情から言うと、文章の上手さを評価するのは難しいので、思考力があるかないかを評価するような形の採点になっていくと思います。
では、受験生は今後どういう対策を立てたらいいのでしょうか。対策は、三つあります。
まず第一に、やさしい身近な課題をざっと練習しておくということです。題名としては「私の○○」「私と○○」というような課題です。これで、1時間以内に600字から800字書く練習していきます。作文試験の時間はだんだん短くなる傾向にありますから、慣れてきたら45分以内に600字から800字書く練習をしていくといいでしょう。身近な題名課題を何本か書いておくと、感想文の課題にもそこで書いた実例を応用することができます。
第二に、1000字から2000字ほどの説明文・意見文の文章を読み、その文章をもとに感想文を書く練習をします。これが今後の勉強の中心になります。これも1時間で600字から800字を書けるようにしておきます。慣れてきたら45分以内で書けるようにしておきましょう。(しかし、これは、小学生だからできるのであって、大人が45分で600字から800字の文章を書くというのは、まずできません)
第三に、複数の文章読んでの感想文を書く練習もしておきます。こういう形の作文試験を出すところはあまりないので、数回やっておけばいいでしょう。
作文の勉強でいちばん大事なのは、本人のそれまでの読書力と、これからの家庭の対応になります。家庭の対応というのは具体的にいうと、身近な課題や時事問題について、両親が子供に、両親の実例や感想をたっぷり話してあげるということです。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
(急いで書いたのでうまくありません)
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高校生の現代文と小論文の勉強について説明します。
まず、現代文です。現代文の力は、土台の力とテストの力に分けられます。
土台の力をつけるためには、全国の大学の過去問1年間分の問題集を読んでおくことです。読んでいてどうしても内容がつかめない意味不明のところだけ、国語の先生などに聞いておきましょう
テストの力をつけるためには、三つのことが大事です。
第一は、問題文の全文を、一息で、味わいながら、ところどころに線を引きながら、読んでいくことです(複雑そうに聞こえるかもしれませんが、そうでもありません)。物語文などでは、特にこの味わって読むことが大切です。問題文の世界に没入して味わって読んでおくと、そのあとの選択問題を答えるときにも、改めて問題文を読む必要がなくなります。
第二に、選択問題の解き方です。選択肢のどこがなぜ違うのかということを記録に残しながら解いていきます。記録を残さないで解いた場合、うまく合っていても力がつきません。間違っていた場合でも、なぜ間違えたのかということが反省できなくなります。
第三に、志望校の過去問の性格を知ることです。性格というのは傾向とは少し違います。傾向は、どういう問題が出ることが多いかということです。この傾向を知ることによって、どの参考書や問題集をやるのかを決めていきます。性格とは、わかりやすい性格、ひねっている性格など、問題自体の性格のことです。志望校の過去問の性格を知っていると、選択に迷ったときに、役に立ちます。
次に、小論文です。小論文も土台の力とテストの力にわかれます。
まず、土台の力です。土台の力は三つあります。
第一は、時間内に書き上げることです。
第二は、字数ぎりぎりまで書くことです。
時間と字数の力をつけるためには、慣れと根性によるしかありません。1週間に1本、時間と字数を決めて書く練習していきましょう。そのために例えば、喫茶店などに入り、書き上げるまで出てこないというようなことを自分に課すのも有効です。
第三は、漢字の表記です。漢字の間違いは意外に多いものです。特に、高校生の場合は、小学校の中高学年でうっかり間違えたまま覚えている誤字がかなりあります。直し方は、身近な他人に見てもらうことです。例えば、家族や兄弟に見てもらうといいでしょう。自分で直す場合は、書いた文字すべてについて、自分で合っていると思ったものも含めて全部辞書を引き直すことです。誤字を完璧に直すには、1年ぐらいかかります。また、小論文が上手になるのもやはり1年ぐらいが目安です。
次に、テストの力です。テストの力は三つあります。
第一は、いい表現を蓄積しておくことです。これは、いい主題(意見や感想)につながります。
第二は、いい実例を蓄積しておくことです。この実例には、体験実例と社会実例があります。
第三は、わかりやすい構成で書くことです。わかりやすい構成で大切なことは、一つには見やすいレイアウトで書くということです。それぞれの段落がだいたい同じぐらいの長さで展開されていると、文章全体が見やすくなります。段落の平均的な長さは150字ぐらいですので、そのぐらいの長さを目安にしておくとよいでしょう。
もう一つは、構成を予測させる言葉を使ってわかりやすく書くということです。例えば、「○○は三つある。それは」というような書き方をすると、読む人は先の見通しがわかるので読みやすいという感じを受けます。
現代文の場合も、小論文の場合も、共通する力は難読力です。
高校生の小論文は、高校3年生になると、どの子も上手になります。これは普段の勉強の量が増えてくるからで、難しい文章を読むようになると、小論文も上手になるということです。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
(急いで書いたのでうまくありません)
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