池上彰さんと佐藤優さんが語っていた教育改革についての話です。
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池上 「文科省がアクティブ・ラーニングを「主体的・対話的で深い学び」というふうに「改題」したこともすでに述べましたが、そこに今回の改革が想定する三つの視点が集約されています。
「主体的な学び」とは、学ぶことに興味、関心を持ち、見通しを持って粘り強く取り組み、学習活動を振り返りつつ次につなげていくこと。
「対話的な学び」は、教師が一方的に教えるだけではなく、生徒が先生や他の生徒、あるいは地域の人たちなどとの対話や協働などを通じて理解を深め、思考力を高めていくこと。
そして「深い学び」は、習得・活用・発見という学びの過程の中で、問題を見出して解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりする力を養うこと──。
大まかに言うと、そのように説明されています。
佐藤 そうした新しい学び方を本格的に採用しようという考えの根底にあるのは、特に高校の授業が知識伝達型にとどまっていることに対する危機感です。
卒業後の大学での勉強や社会に出てからの生活に役立つものになっていないではないか、と。
『教育激変 2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ (中公新書ラクレ)』
(改行を一部変えています。)
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これを見ると教育改革の中にある問題意識は、言葉の森がオンラインクラスで行ってきたものとほとんど同じです。
ところが、このアクティブラーニングという考え方が総論では理解されていても、自分の子供の教育となるとなかなかその具体的な必要性がわからないという問題があります。
そのため、文部科学省は大学入試という受験勉強の最後の出口のところを改革することによって、小中高の授業内容を変えていこうと考えているのです。
ところが、アクティブラーニングのような学力は、小論文や面接という形では評価できるものの、学校教育の定期的なテストという形で評価できる性格のものではありません。
そこで、子供も保護者も、どうしてもすぐに点数の出るような、したがって自分と他の人との差がはっきりするようなものに目が向けられてしまうのです。
しかし、それにもかかわらず、創造発表クラスで毎回創造的な発表をする生徒がいます。
その発表のために長い時間をかけて準備していると思いますが、その準備が具体的にどういうところで成績に表れるかと言えば当面はどこにも表れません。
しかし、子供たちの発表を見てみると、そういう自由で創造的な発表する子供たちの将来は単に勉強ができること以上に確実なもののように思えるのです。
自分から主体的に学び発表し自分らしい感想を言えるような子は、社会のどの分野に行っても自分らしい創造を行い、社会に貢献する仕事ができると思います。
それが点数としては評価されないだけで、見る人が見ればその可能性は自ずから分かるものです。
将来の入試は、今後ペーパーテストのようなものから小論文・面接のようなものに変わっていくと思います。
そのような試験では、一夜漬けのようなものは効きません。
その子の本当の実力が、人間どうしの対話の中で自然に出てきます。
そういう学力を育てることが、これから最も必要になるのです。
そこで、今考えているのは、創造発表クラスに理科実験や自由研究やものづくりのテキストを指定して、自分で自由研究を見つけるのが難しい場合はそのテキストから研究テーマを選ぶというような形にし、より参加しやすい形にすることです。
この創造発表クラスの勉強は、勉強とは言っても、本気で取り組めば遊び以上に楽しいものになると思います。
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アクティブラーニングで求められているものは、主体性、対話、創造ですが、従来の教育観で考える人は、これも○×のつく点数として評価しようとします。
そして、点数がうまくつかないから、それはとりあえず後回しにして、点数が出るものに力を入れようということになってしまうのです。
アクティブラーニングが目指しているものは、言葉の森が今創造発表クラスで行っているものとほぼ同じで、創造発表クラスの授業の方が一歩先に進んでいます。
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11.3週の授業の資料を資料室に入れました。
11.3週は、自主学習クラスの人は実力テストを行います。
テスト範囲は、「実力テスト単元11月」のページを参考にしてください。
https://www.mori7.com/teraon/tanngenn_test.php
また、自主学習クラスの人は、11.3週の授業の後半で保護者懇談会を行う予定です。
時間の都合のつかない場合は、他のクラスの保護者懇談会に参加していただいても結構です。
保護者懇談会の予定は、鳥の村のカレンダーに入っています。
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多くの人は、国語のテストが返却されてもそれを見直すようなことはあまりせず、当たったとか外れたとかいう感覚でとらえています。
これが、数学や英語のテストであれば、間違えたとかできなかったとかいう受け止め方になりますが、国語の場合は単に外れたというような受け止め方になるのです。
ところで、読書をよくしている子は、誰でも普通に国語ができるようになるので、国語の勉強の必要性というものをあまり感じていません。
逆に、学習塾に行っても、国語だけはできるようにはなりません。
塾でも、学校でも、国語の成績を上げる方法は教えていないのです。
これは、国語を教える先生が、理詰めに解く国語というものを重視していないからです。
言葉の森の読解問題は、解いたあとが重要です。
間違えたところは、その理由を考え、どうすれば正しい答えを導けるのかを考えるのです。
理詰めに厳密に考えることによって、読む力とともに解く力がついてきます。
そして、読解力がつきます。
国語の勉強法は、問題集を解いたりドリルで練習したりするものではありません。
ただ、難しい文章をしっかり読むことです。
その勉強法として読解検定の百点を目指すということがあります。
だから、点数が悪かったら、それは国語の成績がこれから上がるチャンスがあるということなのです。
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普通、テストというと点数がいいことがよいことですが、この読解検定は点数が悪いことがいいことなのです。
それは、間違えたところの間違えた理由を考えることによって厳密に読む訓練ができるからです。
テストを受けたあと、間違えたところの見直しは必ずお母さんがやってください。
一般的な解説を読んで理解できるのは、その問題がほとんどできていた子だけです。
子供がどう考えてその答えを選んだのかを聞き、それがなぜ×だったのかを説明するにはかなり時間がかかります。
一斉授業の中でその説明をしても、わかった気がするだけなので、基本は個別指導になるからです。
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■締め切りと団体受検
読解検定の締切は11月15日です。
本日、これまでに申し込みのあった方に、問題を発送します。
今回の
読解検定は、団体受検もできるようにしました。
問題は郵送で送りますので、ネットにつながるパソコンはその団体で1台だけあれば十分です。
理詰めに解く読解問題というのを経験する機会はあまりないと思うので、学習塾などを経営されている方は、ぜひ今回の団体受検を利用してみてください。
また、個人受検をされる方が、通っている近所の学習塾などに団体受検を紹介していただいても結構です。
11月は無料キャンペーン中ですから、読解問題の練習をするいい機会になると思います。
■質問と回答
前回、小3の読解問題について質問がありました。
ほとんどの子が間違えていた問題でしたので、引用させていただきます。
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【質問】
B:ラマルクは、よく使うところは発達すると述べた→〇
本文には、”生物の種が変化するという説を述べました”と書いてありますが、Bの文は書かれていません。”例えば、キリンは、高いところに生えている葉を食べるために、首を長く伸ばしているうちに、今のようなキリンになったと言うのです。”と書かれているだけです。この文からBが〇というのは無理があるかなと思い、×と考えました。
【回答】
確かに、これは最も間違いやすい問題の例です。
違う言葉で書かれているが、内容的に間違っていないので○という選択肢なのです。
1.ラマルクは……生物の種が変化するという説を述べた。
2.例えば、キリンは首を伸ばしているうちに今のようになった。
↓
○よく使うところは発達する。(とは言っていないが、間違いとは言えないので○)
ということです。
しかし、小3では、ちょっと難しすぎたかもしれません。
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■理詰めの読解力をつける
普通の国語読解問題は、合っているものに○をつけるという問題です。
日本語を日常的に使う人であれば、言葉の意味を誤解することはあまりありませんから、合っているものに○をつけるという試験では大体の人が正解します。
しかし、入試問題に出てくるような難しい読解問題はそうではありません。
合っているものに○をつけるのではなく、間違っていないものに×をつけないという考え方で進めていくのです。
子供たちがよく間違える問題は共通しています。
第一は、同じ言葉は使ってあるが必ずしもそういうことは言っていないという×の選択肢です。
第二は、違う言葉を使ってあるが内容的には同じことを言っているので×ではないという選択肢です。
第三は、子供がよく理解できない難しい言葉が使われているという×の選択肢です。子供は、自分のよく知らない言葉が使われているとその選択肢を選んでしまうのです。
多くの子は、この3種類の問題で間違えます。
読解検定は、解き方のコツを身につける勉強ですが、それは同時に文章を深く読むことにつながっています。
だから、読解検定で100点を取ろうと思い深く読むことによって深く読む力がついてきます。
これまで、読解検定を受けたあとに、自分の間違えた問題が納得できずに先生によく質問してくる子がいました。
そういう子たちは、例外なく国語の成績が上がりました。
80点だからいいとか、90点だからいいとかいうのでは力はつきません。
100点が取れて当然で、取れなかった理由はなぜかと考えることによって初めて高度な読解力がつくのです。
※前回の読解検定で、ご家族で受検された場合、コード・パスワードがブラウザに残っていたために、ご家族の間で評価が二重になってしまったところがありました。
次回は、ここは改良しておきます。
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11月の読解検定の締切は15日です。
締切を過ぎてもウェブから問題をプリントすればできますが、問題の郵送があった方が便利だと思います。
今回は団体受検も受け付けていますので、森林プロジェクトの教室や学習塾などでもぜひご参加ください。
普通の試験は結果が出たらそれで終わりですが、この読解検定は結果が出たあとに本当の勉強が始まります。
×になったところの理由を自分で考えて、初めて読解力がつくのです。
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