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記事 397番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
男の子と女の子の読解力の差(質問に答えて) as/397.html
森川林 2009/02/23 05:34 
 一般の印象として、男脳と女脳を分けて考えた場合、男の人は、狩猟時代の昔から、獲物をとるために遠くを見るのが得意だという傾向があったようです。従って、近くのものにはあまり関心がありません。例えば何かを探すときのことを考えてみましょう。身近な例ですが、男の子がたんすの引き出しを開けて、「僕のパンツどこ?」と聞くと、横からお母さんが、「そこにあるじゃない」と男の子の目の前を指さします。男の子は身近にあるものを、見分けることがあまり得意ではないのです。
 このため、身近なところにある微妙な違いに気がつかないのが男の子の特徴です。作文を書いたあと読み返しても誤字を見落としてしまうのが男の子です。男の子は近いところにある微妙な差にはあまり注意が向かないのです。
 これに対して、女の人は、近くの微妙な差がよくわかります。ときに、それは、必要以上にわかるというところがあります。ですから、母親は、子供の欠点に対しても、すぐ目につくので直したがります。男の先生と女の先生とを比べると、男の先生は細かいことにはあまりこだわりません。関心もないし得意でもないからです。女の先生は細かいことにもよく気が付きます。関心があるし得意でもあるからです。
 女の人は、しかし逆に、本質論や「どうあるべきか」ということにはあまり興味がないようです。むしろ、現実的にプラスになるかどうかということの方に関心があるように思います。
 現在の受験勉強では、テストの性格は女の子に有利にできています。目の前にある現象面での違いに気がつく方が、点数が上がるようになっている仕組みの問題が多いからです。しかし、これは女の子の方が男の子よりも頭がよいということではなく、現代のテストは、女の子の方が向ているということです。社会に出れば、男の子女の子はそれぞれの得意の分野を生かして優劣ということではなく、それぞれに活躍していくと思います。
 語彙力についても同じようなことがあります。女性は、表面的なことを長くしゃべることができます。男性は、考えないとしゃべれないという面があります。ですから一般に男の子と女の子が口げんかをした場合、勝つのは大体女の子の方です。
 しかし、男女の差よりも大事なのは、やはり読む力の差で、読む力があればそれぞれの得意を生かして、読解力がついていくと思います。

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記事 396番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
日本の国語教育のつづき as/396.html
森川林 2009/02/22 20:55 
 昨日の記事を読まれた方から、日本と外国での国語教育の違いが参考になったというお便りをいただきました。
 お便り、アリガチョーク! ( -ω-)ノ-=≡≡≡☆−(>。<) イタイ! なんてことをやっている場合じゃなくて。

 続きを少し書きます。
 大岡昇平の「野火」に感銘を受けたという方も多いと思います。
 それはそれでいいのですが、私は、日本の文学の弱点がある意味で典型的に表れているような気がします。
 戦争中でやむをえず人の肉を食べたという話ですが、私は、食べたくなければ食べるな、食べたのだったら、もう済んだことなのだから、ああおいしかったでいいだろ、という考えです。
 現実世界を生きている健康な人は、だれもこのように考えて世の中を渡っていると思います。解決のつく問題なら考えなければなりません。しかし、解決のつかない問題なら問題そのものを保留にして生きていくのが普通の人間です。解決のつかない問題を、解決する気もないままにいつまでも眺めているというのが文学であるとすれば、それは読む人を後ろ向きにする役割しか持たないでしょう。
 ところが、国語の選択問題は、こういう解決のつかない問題をいつまでもこねくりまわしている心理を問うようなものが多いのです。
 太宰治の短編の「トカトントン」なども、インターネットで探して読んでみるとわかりますが、人間性を低めることによって成立している真実です。文学者は、高い真実を追求する仕事をするべきです。低い真実を伝えることなどは、2ちゃんねるなどでも十分にやられていることで、わざわざ文学を志す人間がやるほどのことではありません。
====参考までに「トカトントン」の一部
 私は寝不足の眼を細くして、それでも何だかひどく得意な満足の気持で、労働は神聖なり、という言葉などを思い出し、ほっと溜息(ためいき)をついた時に、トカトントンとあの音が遠くから幽かに聞えたような気がして、もうそれっきり、何もかも一瞬のうちに馬鹿らしくなり、私は立って自分の部屋に行き、蒲団(ふとん)をかぶって寝てしまいました。
====
 かってに寝てろ、と言いたくなります(笑)。
 日本の国語の教科書には、「羅生門」とか「こころ」とか、湿っぽい話が多すぎます。小学校の国語教科書でも、アンハッピーエンドの話が多すぎます。そういう暗い話が高級だと思うのではなく、もっと明るくてレベルの高い話を国語教育の中で目指していくべきだと思います。

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記事 395番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
国語の苦手な男の子、国語の得意な女の子(質問に答えて) as/395.html
森川林 2009/02/21 02:49 
 国語の本質は、言葉による思考力です。ですから本来男女の差というものはありません。
 ところが日本の国語には特殊な事情があり、他の国の国語に比べて、情景の描写や心情の描写が多い、という特徴があります。
 この背景には、明治以降、現代日本語の文章の骨格を作った人が、一般に生活力の乏しい文学者だったということがあるようです。そのために、現代日本語の文章は、ある意味で優しくひ弱な文章が多いという特徴を持つようになりました。そして、そういう文章の好きな人が国語の先生になり、国語のテストとしてそういう問題を出します。それで女性が国語がが好きになることが多い、ということになったのだと思います。
 言語の大きな役割の一つは、健全な社会人が建設的なことを述べるために読んだり書いたりするということです。ところが日本ではそういう面が、特に国語の勉強で弱くなりがちなのです。
 私自身の例で言うと、中学生か高校生の時期に亀井勝一郎の評論を好きになったことがあります。その評論を読んでいるといつの間にか健全さとか建設的とかいうことが、レベルの低いことのように思えてきてしまうのです。その影響は、かなりあとまで残りました。
 大学入試センター試験の物語文などにも、その日本文学の特徴がよく表れています。健康な男の子にしてみれば、どうでもいいようなことをああでもないこうでもないと書いているのが、物語文の性格のように思えてきます。そのため、理系の男の子はそういう国語の文章に魅力を感じないのです。将来は、もっと論理的な、実際の生活に役立つ文章の力が必要になってくると思います。
 ところが、もちろん受験のためには、そういうひ弱な物語文を読む力も必要になってきます。愚痴のような文章を味わう力も軽視することはできないということです。なぜかというと、日本人の多くは日本社会の中で生活をしていくので、日本の文化を感じる力が必要になってくるからです。例えば、人に物を贈るときに、「つまらないものですが」というような渡し方をする文化に慣れている方が、日本での人間関係はスムーズにいきます。ですから、国語力というのは、本来は思考力が中心ですが、その一部に日本の文化力というものがあり、その日本文化が、他の国の文化よりも女性的な面を多く持っているということです。
 作文の得手不得手に関していうと、小学生のときは大体において女の子の方が文章を書くことが得意です。しかし、中学生、高校生になると、どちらかというと男の子の方が文章を書くことが得意になってきます。これは文章のジャンルが事実中心の生活文から説明や意見中心の論説文に変化していくからです
 事実中心の事実文物語文と、説明や意見中心の論説文の両方の力をつけるためには、すぐれた物語文とすぐれた論説文を読む必要があります。一般にいうと、入試問題に出てくる文章は質の高いものが多いので、その問題集の問題文を読書代わりに読むということを取り入れていくといいでしょう。


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ハワイのあおぞら 20090221  
 面白かったです!! 来月の教室新聞に使わせていただいていいですか?

森川林 20090222  
 コメント、ありがとうございます。アリットイカビーム(o゜ー゜)/…‥—————<コ:彡ケリ!☆)×_x)/アウッ なんてことをまたやってる場合じゃなくて。

 国語教育の原点は、勇気と知性と愛だと思います。

 これから、そういう新しい国語教育文化を作っていくためにがんばりたいと思っています。

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