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全教科の理解力をつける暗唱(その3) as/419.html
森川林 2009/03/14 08:57 
 この300字暗唱を小学校低学年から続けていれば、その子の読解力、表現力は確実についていきます。

 読解力がつくのはなぜかというと、ある文章をしみじみと深く味わって読む力がつくからです。国語の問題文を読む場合、同じ文章を読み同じように理解したつもりになっていても、読む人の読解力によってその深さが違ってきます。深く読む力があると、その問題文に書かれている情景や心情などの細部も読み取ることができます。深く読む力がないと、あらすじのようなところまでしか読み取れません。どちらも同じように読んで、同じように理解しているつもりになっていますが、読み方の深さが違うのです。暗唱をしていると、1回読んで理解したはずの文章なのに、繰り返し読むにつれて違う味わいを感じるようになります。これは、繰り返しによって深く読む力がついてくるためです。

 表現力がつくのは、文章のリズムが身につき、語彙を自然にたくさん覚えるようになるからです。また、暗唱をしていると、その文章で使われている句読点の位置などもそのまま覚えてしまいます。小学生の作文で、文のねじれを直したり、句読点の位置を教えたりする勉強をすることがありますが、そのような勉強はしないで済ませるというのが理想的な勉強の仕方です。病気になってから治すことに力を入れるのではなく、もともと健康でいるという勉強の仕方をしていくのです。

 さらに、暗唱をすることによって、物事を丸ごと把握するという理解力がついてきます。これは、国語に限らず、ほかの教科すべてを含めた理解力につながっています。勉強のできる子は、得意教科と苦手教科の差があまりありません。どの教科も同じようによくできます。逆に、勉強のできない子も、得意教科と苦手教科の差があまりありません。どの教科も同じようにあまりできないからです。ですから、教科ごとの勉強に力を入れる前に、まず勉強力そのものをつけていくことが大事です。

 ある事柄を丸ごと把握するような理解の仕方ができれば、全教科の勉強も同じようにできるようになります。


 国語の勉強法としては、暗唱のほかに、筆写や要約があります。また、普通に問題集を解く練習もあります。いずれも、共通しているのは、ある文章を繰り返し読み取るという点です。ですから、いずれも効果のある勉強ですが、大事なのは、楽にできて密度の濃い勉強は何かということです。

 密度の濃さとは、反復のことです。深く読むとは、ゆっくり読むことではなく繰り返し読むことです。問題集を解くよりも、問題文を読むだけの方が、何倍も密度の濃い勉強ができます。同様に、暗唱は、筆写や要約よりも密度の濃い勉強ができます。しかし、問題集を解いたり筆写をしたり要約をしたりする勉強の方が、形として残るので、勉強をしたという実感がわきます。

 大事なのは、勉強をした形跡ではなく勉強の実質です。国語の勉強で実質を優先するならば、読書と暗唱に取り組むことが第一です。そして、読書と暗唱をすることによって、ほかの教科の勉強力もついてくるのです。

(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

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全教科の理解力をつける暗唱(その2) as/418.html
森川林 2009/03/13 10:24 
 音読の自習はこれまでできていたが、暗唱の自習になったらできなくなったという話を聞くことがあります。

 これまで毎日音読をしていた子は、その延長で暗唱もできるはずです。しかし、音読の勉強を自分の勉強部屋でやっていたとすると、実際に確実に音読ができていたかどうかはわかりません。

 音読は、保護者のいるところで、例えば茶の間などでやっていくのが望ましいやり方です。なぜかというと、親が音読を聞いていると、子供の読み間違いがわかるからです。また、子供が長文を音読しているときに、その長文の話題をもとに親子の雑談ができるからです。親のいないところで子供がひとりで音読をするという形では、音読の効果はかなり薄くなります。

 暗唱も同じです。子供部屋でひとりで暗唱させるよりも、親のいる前で暗唱させた方がよりよい暗唱ができます。ひとりで暗唱させると、子供はつい覚えようとしてしまいます。すると、暗唱が難しくなります。覚えようとするのではなく、ただ繰り返して読むのだということを親が教えてあげるといいのです。



 暗唱がどのぐらいできるかということは、その子の国語の実力を反映しています。100字の文章をなかなか覚えられない子は、やはり日本語の読解力の基礎ができていません。そういう子供たちも練習を続けていると、必ず前よりも早く暗唱できるなります。これは実際に読む力がついてくるからです。やればできるようになるという点で、暗唱の勉強は、音読の勉強よりも達成感のある勉強になっています。

 暗唱ができるようになる時間は、大体次のような感じになります。

 100字の文章を繰り返し音読をする場合を考えてみます。1回音読しただけですぐに暗唱ができるということはまずありません。これが、50字程度の文章であれば、1回読んだだけでもすぐに暗唱できます。50字と100字は、人間の短期記憶にとっては、質の違う長さなのです。

 しかし、100字の文章でも、15回ぐらい繰り返し音読していると自然に覚えられるようになります。この100字15回の音読は、時間にして5分間ぐらいです。さらに続けて音読し、10分間まで暗唱を続けていくと、全部で30回ぐらい繰り返して音読することになります。このぐらいになると、意識をせずに空で言えるような暗唱になります。ほかのことをしながらでも暗唱できるぐらいにしっかり身についた暗唱になってくるのです。

 100字ずつの暗唱を3日間続けたあと、合計の300字を全部通して暗唱する場合は、次のようになります。最初に300字を通して読んでも、10分間ではなかなか暗唱できるようにはなりません。しかし、2日目には少しずつできるようになり、3日目には大体暗唱できるようになります。

 個人差はありますが、毎日10分の練習で、1日100字の暗唱ができるようになり、1週間で300字の暗唱ができるようになるというのは、無理のない目標です。

 しかし、やらなければできるようにはなりません。やればできるが、やらなければできないということがはっきりしている点で、暗唱の自習は、通常の音読の自習よりも勉強の確実性が増すのです。

(つづく)

(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

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暗唱(121) 

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全教科の理解力をつける暗唱 as/417.html
森川林 2009/03/12 10:59 
 現在の入学試験は、志願者を限られた定員に抑えるために、点数の差が大きく開くような問題を中心に出されています。すると、それに合わせる形で、学校の中での勉強も、差がつくところを中心に教えられるようになります。学校の勉強が差がつきやすいところの学習中心になっていくために、それに合わせる形で、さらに入試問題も差をつける方向でテストをするようになっています。

 このようにして、現在の大学入試は、受験の教科数を絞る一方で、その少数の教科の中で小さな差を大きく拡大するような問題になっています。このことは、日本の高校生の学力をかなりゆがめています。

 これからの社会人には、全教科の知識が万遍なくあるとともに、専門の知識があるという学力が求められてきます。なぜなら、これからの経済は、農業、工業、情報産業のあとにくる知識産業の時代になるからです。従って、大学入試のあり方も、理系文系にかかわらず、幅広い教科の基礎学力をテストするような形になっていくと思います。

 また、推薦入試のような形ももちろんいいのですが、受験で合否を決めるような形を中心にすることも大事です。なぜなら、子供たちの学力は、やはり受験に取り組む中で確実についてくるからと思うからです。

 将来の大学入試は、全教科の基礎学力を確かめるテストがもっと重視されるようになると思います。ある教科は得意だが、ある教科は苦手というような学力ではなく、どの教科もひととおりできるという学力が要求されてきます。そのような幅広い学力に対応するためには、物事をトータルに把握する理解力が必要になってきます。このトータルな理解力に、暗唱という形の勉強が役に立ちます。



 その暗唱をどのようにやっていくかという話をします。

 以前、保護者の方からこういう話を聞いたことがあります。

「これまで、音読の自習はやっていたが、今度暗唱という形の自習になって、自習を嫌がるようになった」

 私は、それを聞いて、それは、これまでの音読の自習が実はできていなかったからではないかと思いました。

(つづく)

(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)


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暗唱は、ふざけて読んでもかまわない as/416.html
森川林 2009/03/11 21:07 
 暗唱は、早口、棒読みでもかまいません。
 更に、ふざけて読んでもかまいません。
 暗唱ができるようになるという目標さえはっきりしていれば、途中の過程は自由です。
 なぜかというと、人間には、本来の姿に復元する力があるからです。


 目標さえはっきりしていれば、
 途中でふざけすぎるという脱線があったとしても、
 やがて、ふざけることにも飽きてきます。
 そして、目標にふさわしい自然の読み方になっていきます。

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