●動画:
https://youtu.be/9sIu2LF-ZU4
言葉の森は、中根が確か24、5歳のころ、東京の貸会場で始めた大学生向けの作文教室が最初のスタートでした。
生徒が、自分とほとんど年齢が違わないというところが、なかなか緊張しました(笑)。
生徒と一緒に、同じ課題で自分も一緒に作文を書くという実習中心の教室でした。
昔を懐かしむわけではありませんが、そのころ、作文教室という名前の教室はたぶんどこにもありませんでした。
だから、言葉の森が、日本でいちばん昔からある作文教室です。
ということは、どうでもよくて(笑)、その後、いろいろな紆余曲折を経て、29歳のときに作文教室一本でやっていくことを決め、その後しばらくして株式会社を立ち上げました。
という昔の話はどうでもよくて(笑)、作文教室の目的は、作文を通して個性、知性、感性を育てること、別の言葉で言うと、創造力、思考力、共感力を育てることでした。これは、今でも大体同じです。
私は当初から、この作文教室の目的のもとで、日本に作文文化を作ることを考えていました。
ところで、作文教室という名前の教室に来る人は、最初はほとんどいませんでした(笑)。
国語の教室ということでやれば、人は来たのかもしれませんが、私は、国語も含めてあらゆる勉強は、自分の力でやるもので、人に教えてもらうものではないと思っていたので、そういう学習塾のようなことをする気はありませんでした。
なんだか、昔話が長くなってきましたが(笑)。
ついでに、昔話を続けると、当時、アメリカで小論文の自動採点ソフトが高校の卒業試験で使われるようになったという記事をウェブで見ました。
私は、こういう自動採点ソフトの本質は、言語の壁を超えるとわかったので、日本でも小論文採点ソフトを作る必要性を感じました。
メイド・イン・アメリカのソフトで、日本の子供たちの作文を評価されてはたまらないと思ったからです。
そこで、ほぼ数週間で、自動採点ソフト森リン(もりりん)を作りました。早すぎ(笑)。
かかった費用は、作ったプログラミングを見直すために印刷した数百枚のプリント代だけでした。
これで、特許を取りました。
性能は、アメリカのソフトと同じかそれ以上だったと思います。
話は戻って。
その後、大学入試で小論文が出るようになり、当時高校生になっていた生徒の小論文対策もするようになりました。
最初のころに大学生の作文というか論説文を教えていたので、高校生の大学入試の小論文を教えるのは簡単でした。
その当時は、小学生も、同じ感覚で教えていたので、そのころの小学生は課題が難しくて大変だったと思います。
それから、ずっと時は過ぎましたが、作文教室は依然としてマイナーな存在でした。
日本に作文文化を育てるなどというのは、ずっと先の話のように思えました。
しかし、やがて、大学入試の小論文が広がり、高校入試でも作文的な問題が出されるようになり、中学入試でも作文の試験が出されるようになりました。
特に、公立中高一貫校の入試は、教科書に範囲で出題するという制約があるために、作文の試験がごく普通に行われるようになりました。
そして、作文は、これらの入試のおかげで、受験対策の作文になっていったのです。
私は、このコモディティ化した作文に、未来の見通しを感じませんでした。
しかし、中には、こういう作文のニーズを見て、作文講座などを始めるところも出てきました。どことは言いませんが(笑)。
私は、作文教室の当初の目的であった、創造力、思考力、共感力を育てる、という方向をこれからどのように目指したらいいかずっと考えていました。
そして、考えついたのが、オンラインを利用して、作文以外に、創造発表と自主学習を中心とした学習をする教室作りでした。
しかし、当時は、オンラインも、創造発表も、自主学習も、なかなか理解されませんでした。
そのあとの話はかなり飛ばして。
その後、コロナ休校があり、オンラインという言葉が急に広がりました。
しかし、オンラインという概念は広すぎて、言葉の森の持ち味が、ネット上のさまざまなオンラインという言葉の中に埋没してしまうようでした。
言葉の森のオンライン五人クラスは、独自の新しい教育プラットフォームですが、そのことが認識されるには、まだ長い時間がかかりそうでした。
そこで、言葉の森は、「オンラインスクール言葉の森」をいったん保留し、当初の「Online作文教室言葉の森」を改めて前面に出し、その一方で教育のオンライン化をオンライン5人クラスというプラットフォームで進めていくことにしました。
長い話になりましたが、この記事の目的は、「オンラインスクール」を、設立当初の「Online作文教室」に戻すということの説明でした。
そして、これからメインにする作文指導を、より科学的なものにするために、近い将来、森リンを利用した作文検定を開始したいと思っています。