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未来の社会と教育(その1) as/445.html
森川林 2009/04/07 11:50 
 これから数回にわたって、未来の社会と教育の話を書いていきます。社会は大きな変動期にあります。今、目の前に見える状態に合わせて生きているだけでは不十分で、未来がどういう社会になるかを考えていかなければなりません。それは、教育や子供の成長には時間がかかるからです。昔のように身分制の停滞した社会では、未来のビジョンは考える必要はありませんでした。与えられた課題をこなしていれば十分だったからです。大井川の川渡しの家に育った子供は(というのはかなり特殊な事例ですが)、いかにうまく客を運んで川を渡るかということだけを熱心に研究していればよかったのです。しかし、明治維新になり大井川に橋がかかると、自分の仕事の前提そのものが変わってしまいました。これは、川渡しの人に限らず、明治時代の多くの人が多かれ少なかれ経験してきたことです。
 しかし、社会の変革は、流される立場の人にとっては災難ですが、その流れに乗る人にとってはチャンスです。これから世の中でどういう変化が起こるのかを考え、その変化に対応した教育を考えていく必要があるのはそのためです。しかし、それは現在の教育や社会を軽視するものではありません。現在での教育にもしっかり対応していく必要があるが、その先にあるものを考えていくということです。
 言葉の森の生徒のみなさんは、勉強が苦手だから来ているという人はむしろ少なく、勉強は得意だがそれだけでは物足りないので何か面白いものを学びたいという人の方が多いと思います。もちろん、苦手を克服するために来てくれるのは大歓迎ですから、苦手を克服しつつそれにプラスαの勉強をしていくというふうに考えていただいてもいいと思います。私事になりますが、私のうちの子供2人も小1から高3まで言葉の森で勉強をしましたが(高3のときは受験のためさすがにあまり提出しませんでしたが)、国語や作文は最初から普通かむしろ得意でした。では、言葉の森で何を得たかというと、長文の面白い話が身についたこと、自分の作品が記録に残ったこと、親子の対話が楽しめたこと、そして、国語や作文がさらに好きになったこと、などだと思います。
 言葉の森でこれからどういう勉強をしていくのかということも含めて、次回から、未来の社会と教育というテーマを考えていきたいと思います。

(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

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教育論文化論(255) 

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教育は家庭の文化の中から——学習塾に流されない家庭生活 as/444.html
森川林 2009/04/06 09:07 
 子供が小学校低中学年のころは、習い事に行くようなこともあまりないので、夕方の食事の時間は家族の団欒の時間として過ごすことできます。ところが子供がだんだん成長して、学習塾に通うようになると、夕方の家族の対話の時間が少なくなってきます。
 子供が夜遅くまで塾に行くようになると、家に帰ってくる時間も当然遅くなります。家庭生活のパターンが塾に行く曜日によって異なるようになると、毎日の自習の習慣を夕方の時間に当てていた場合は、塾や予備校のある日には自習ができないというになります。すると、どうせ週に何回かはできないのなら毎日やること自体が無理だから、毎日の自習もできなくて仕方ないということになってしまいます。
 こうならないようにするために大事なことは、低学年のうちから、朝起きてすぐに毎日の自習をするという習慣を作っておくことです。また、休日には、食卓の話題としてテレビに流されない知的な話をするという習慣もつけて行く必要があると思います。対話の習慣をつけるためにも、子供の長文暗唱というのはいい話題を提供してくれるはずです。
 しかし、このような家庭の文化というものは、ある意味で親の習慣として作られてきたところがあります。親が早起きでなければ、子供に早起きの習慣をつけることはなかなかできません。子供の生活にとっていちばんいいのは、自然のリズムに合った生活をすることです。自然のリズムとは、毎日決まった時間に起きて食べて勉強をして遊んで寝るような生活です。ところが、親は一週間単位という人工的な社会生活を行っています。そこで、翌日が休日のときは夜更かしをして朝は遅くまで寝ているという生活をしてしまいがちです。親にとっては自分の気ままに過ごせる自然な時間ですが、子供にとってはそれは自然な時間の過ごし方とは言えません。
 ところが、この習慣を変えるというのは、子供にとってよりも親にとって非常に難しいことなのです。子供に毎日の長文暗唱の自習をさせ、特にそれを朝おきてすぐにさせるようにし、そして、食卓ではできるだけ家族の対話をするという家庭生活の仕組みを作るのにいちばん苦労するのはやはり親になると思います。
 しかし、考え方を変えれば、いったんそういう家庭の文化を作りさえすれば、その文化は子供が成長して家庭を持ったときにも受け継がれていきます。現代の親は、終戦で日本の家庭文化の伝統がいったん失われたところから、テレビやゲームや塾という障害を乗り越えて新しい家庭の文化を作るという大きな役割を担っているのだとも言えます。

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