●動画:
https://youtu.be/A2vf12MYF6k
日本経済新聞に、次のような記事が乗っていました。
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「作文が書けない 中学生、添削指導なく」
「学校の課題で国語の作文を書いたので見てください」。中3のA子が自信なさそうな顔でやって来た。読んでみると支離滅裂で言いたいことが分からない。
後日返却された作文を見たが、評価だけで添削はされていなかった。同じ学校の生徒で「作文の書き方が分からない」と言う者はほかにもおり、彼らの返却された作文も誤字脱字の指摘がある程度だった。
20年ほど塾講師をしているが、国語力の低下は深刻だと感じる。ここ数年...
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このように書いた塾講師の方も、作文指導については、学校の先生と似たりよったりだと思います。
その理由は、よい添削指導があれば、子供たちの作文力は上達するという前提があるからです。
実は、その前提が間違っているのです。
作文力のない子に、いくらていねいな添削指導をしても上達することはありません。
それよりも、その添削が嫌になって、指導を受けることをやめるようになります。
添削で子供たちの作文を上達させることはできません。
これが、多くの先生や保護者が共通して陥っている間違いです。
作文力がないのは、文章の正しい書き方がわからないからではなく、読む力が不足しているからなのです。
文章を読み取る力は、言い換えれば思考力です。
文章を読み取る力がない子は、思考力がないから、思考力を必要とする文章が書けないのです。
だから、そういう子でも、思考力を必要としない文章や、思考力を必要としないお喋りは普通にできます。
では、どうしたらいいかというと、その方法はただひとつ、難しい文章を読む力をつけることです。
その方法が問題集読書です。国語の問題集の問題文だけを毎日音読するのです。
問題集読書で大事なのは、毎日欠かさずということです。
国語力は筋力のようなもので、週に2、3回読むだけでは、維持するのがやっとです。読む力をつけることはできません。週に1、2回では、かえって読む力が低下するぐらいです。
毎日読み続けることによって、読む力はついてきます。その読む力の上に、読解問題を解くコツがあります。
問題の解き方を知るだけで国語力が伸びるということはありません。基盤になるのは、あくまでも読む力をつけておくことなのです。
では、毎日問題集読書で難しい文章を読み続けて、どのくらいで読む力がついてくるかというと、それは大体6か月です。
解き方のコツは、1日で上昇することがあります。しかし、読む力は、それよりもはるかに長い時間がかかるのです。
なぜ、そのように時間がかかるかというと、子供たちがそれまでの人生で費やしてきた読書量には驚くほど大きな差があるからです。
ある子は、暇さえあれば本を読んでいます。2、3日で1冊読み終えることが普通のようにあります。
しかし、ほかのある子は、本をほとんど読みません。1か月に1冊読むかどうかというところです。
しかし、この読書量が全く異なる二人が、学校の成績ではそれほど大きな差がないことが多いのです。なぜなら、学校の成績のほとんどは知識によるものなので、ある程度勉強をすれば誰でもできるようになるからです。
作文力や読書力は、知識の勉強ではなく、スポーツや音楽の練習と同じようにしてつくものです。
練習の量を積み重ねることだけが上達する道で、要領のいい近道のようなものはないのです。
以上、ちょっと厳しい言い方になるかもしれませんが、国語力、作文力をつける方法は単純です。難しい文章を毎日読み続けることだけです。
言葉の森が国語読解クラスを始めたのは、この問題集読書を少しでも続けやすくするためです。
だから、国語読解クラスで国語力を上げるためには、この毎日の問題集読書が第一の条件になるのです。
●動画:
https://youtu.be/HHJqHvbrDKY
子供が小学1年生になると、「もう自分で本を読みなさい」と、読書の自立を求めてしまうお母さんが多いと思います。
すると、子供は、絵本のような本とか、絵だけであらすじがわかり、文章を読む必要のない本を読むようになります。
小学校低学年の学力の基本は、日本語を読みこなす力、読書力です。計算ができるとか、漢字が書けるとか、英語ができるとかいったことは、学力とはほとんど全く関係がありません。
日本語の文章を読む力が、低学年の子の学力のほぼすべてなのです。
だから、小学1、2年生の子の読書の中心は、引き続きお母さんの読み聞かせです。
子供たちが好きな本は、易しい本ではありません。面白い本です。
易しい絵本をつまらなそうに自分で読むよりも、お母さんが読み聞かせをしてくれる知的な本の方がずっと読書の楽しさを感じるようになります。
上の写真は、子供たちに人気のある「わけあって絶滅しました」を、あるひとりの子が紹介している画面です。
小学1年生の子にも、こういう本をお母さんが読み聞かせをしてあげればいいのです。