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https://youtu.be/PukRruOGJ6Y
思考語彙とは、考える力を評価するものでした。
森リンは、この思考語彙のほかに、知識語彙、表現語彙という面も評価しています。
知識語彙とは、密度の濃い文章が書かれているかという評価です。
わかりやすく言うと、難しい言葉もある程度使って書いてあるかということです。
ある程度というのは、難しい言葉を使いすぎると文章が重くなり、かえってバランスの面で点数が低くなるからです。
この難しい言葉を書く力というのは、書く人の語彙力とも言えます。
難しい本を読んでいる人は、自然にそういう言葉を使えますが、本をあまり読んでない人は、日常会話的な言葉しか使えません。
小6までは、複数の実例という書き方をしますが、中学生になると、複数の理由とか、複数の方法とかいう構成を重視した書き方になります。
すると、理由や方法のところで抽象的な言葉が出てこないために、そのまま実例を書いてしまう人も多いのです。
例えば、「宿題はよいか悪いか」というテーマで、複数の理由を書くときに、「宿題はよくないと思う。その理由は、この前、出された宿題は、面白くない上にとても時間がかかり……」などと実例をそのまま書いてしまう人が意外に多いということです。
語彙力のある生徒は、「宿題はよくないと思う。その理由は生徒が自主的に勉強する姿勢を持てなくなるからだ。例えば……」と、「自主的」「姿勢」などという抽象的な理由のあとに具体的な実例を書くことができます。
この知識語彙を増やす方法は、根本的には、問題集読書や説明文の読書をすることですが、作文の上だけで工夫することもできます。
それは、調べた実例を引用することです。
見本の作文では、「嬉しかったプレゼント」というテーマで、第二段落に、「賢者の贈り物」を引用しています。
私はオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という物語を読んだ事がある。ある夫婦がクリスマスにプレゼントをしあうお話だ。妻のデラは長くきれいな髪の毛が自慢だが、夫のジムへのプレゼントのために髪の毛を売ってしまう。そのお金で買ったのはジムの金時計によく似合う鎖だった。だが、ジムはデラの髪に似合う宝石の櫛を買うために時計を売ってしまったのだ。すれ違ってしまった2人のプレゼントだが、私はこのお話が大好きだ。このお話では2人とも心のこもったプレゼントをしたからこそ、心温まる結末になったのではないかと思った。相手のことを考えて買ったものだからこそ、特別嬉しい気持ちになるし、相手のことも大好きになる。そんな物語が「プレゼント」という存在でできているのだと感じた。
この引用は、それほど難しい言葉が使われているわけではありませんが、引用する話題によっては、知識語彙が増えるようになります。
また、引用に、データとしての固有名詞や数字が入ると、文章の説得力を増す効果があります。
高学年の生徒は、自分の作文にあった話を、両親などに取材をするとともに、適宜、インターネットで調べた話などを引用して話題を広げて書いていくといいと思います。
ちなみに、この作文で、森リンが評価した知識語彙は次のようなものです。
【知識語彙】()内は語彙のウェイト。
プレゼント
(5.95) | 13 | 存在
(0.38) | 1 | 習慣
(0.65) | 1 | 家族
(0.47) | 1 | 真心
(1.28) | 1 | 金時計
(5.95) | 1 | 感謝
(0.62) | 1 | 裏紙
(5.95) | 1 | 自慢
(0.79) | 1 | 感情
(0.54) | 1 |
旅行
(0.65) | 1 | 立派
(0.65) | 1 | 物語
(0.63) | 1 | 賢者
(1.39) | 1 | 姫差
(5.95) | 1 | 人間
(0.2) | 1 | 成長
(0.47) | 1 | 意見
(0.4) | 1 | 時計
(0.75) | 1 | ・ヘンリー
(5.95) | 1 |
クリスマス
(5.95) | 1 | 宝石
(0.96) | 1 | 結末
(1.01) | 1 | 手段
(0.65) | 1 | 似顔絵
(1.22) | 1 | 意味
(0.33) | 1 | 言葉
(0.24) | 1 | 共感
(0.8) | 1 | 誕生日
(0.8) | 1 | 夫婦
(0.96) | 1 |
正直
(0.68) | 1 | 個人
(0.61) | 1 | 特別
(0.62) | 1 | 相手
(0.38) | 1 | 程度
(0.7) | 1 |
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森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(2)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(3)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(5)――高得点の作文はどのようにして書くか
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森リンは、大学入試の小論文を評価するために作られています。
だから、小学生の生活作文よりも、中学生や高校生の意見文の評価に向いています。
難しい言葉を使って書くほうが点数は高いのですが、社会人の書く文章に求められるものは、できるだけ平易な言葉でわかりやすく書くことです。
難しい言葉が多すぎると、文章全体の印象が漢字で黒っぽくなってしまうからです。
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https://youtu.be/C0L4JeHBoJ8
総合学力クラスには、現在、幼長から小4の子までが参加しています。
総合学力クラスの前身の基礎学力クラスを開設したのが今年2022年の1月ですから、早い子は、もう9ヶ月ぐらい勉強を続けています。
勉強の内容は、国語、算数、暗唱、発表と読書紹介です。
小学1年生から4年生までの勉強は、難しいところは何もありません。やれば誰でもできることばかりです。
だから、総合学力クラスでは、勉強の内容のチェックよりも、読書紹介など、子供たちの知的な交流の時間に力を入れてきました。
しかし、その結果、みんな頭がよくなってきたと思うのです。
総合学力クラスは、勉強の詰め込みで成績を上げることが目的ではありませんから、勉強がどのくらいできるようになったかは、それほど評価していません。
勉強は、頭さえよくしておけば、必要になったときに、すぐできるようになるからです。
そして、たぶん参加している子の多くは、もともと成績もいい子です。
総合学力クラスの読書紹介で、最初は、読んでいる本をただ見せるだけだった子が、次第に、本の内容を紹介できるようになっています。
中には、本のあらすじを延々と言ってしまう子もいますが、そこで注意するようなことはしません。
教科の勉強でも、作文の勉強でも、大事なことは、欠点を直すことではなく、その子ががんばっていることを認めることだからです。
子供たちの頭はどこでよくなるかというと、勉強でよくなるのではありません。
小学生の勉強の内容は、決まったルールどおりにやるという手順を覚えることがほとんどですから、いくら計算の練習をしたり、漢字の書き取りをしたり、理科や社会の知識を覚えたりしても、それで頭がよくなるわけではありません。
どこで、頭がよくなるかというと、読書の中で文章を読み取ることと、他の人との対話の中で相手の言葉を読み取ることによってです。
そして、更に、自分の言葉で相手に何かを発表することによって頭脳は活性化するのです。
総合学力クラスでは、みんながそれぞれに発表する時間があります。勉強する時間ももちろんありますが、その勉強の時間の前後の読書紹介や一人一言の時間があります。
勉強の内容のチェックも、生徒が発言することによって成り立つ教え方です。先生が一方的に講義するような授業はありません。
だから、どの子も発表することが好きになります。
そして、この発表のときに、子供たちの頭脳はフル回転するのです。
集英社オンラインの記事に、開智日本橋学園中学の話が載っていました。
内容に賛同できることが多かったので、紹介します。
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■■開智日本橋学園中学が取り組む、子供にとって本当に必要な「先進的授業」
美術や歴史の時間に学んだことを人前で上演する「創作朗読劇」。答えのない問いが他者への想像力を鍛える「哲学対話」など、私立中学校で始まっている「国語力」を鍛える最先端の授業とは…。
■流行の教育も国語力がなければ意味がない
日本の子供たちの国語力が脆弱なものになっているという声は、いくつもの教育現場で上がっています。現在の学校教育では、小学生の早い段階から外国語やプログラミングの授業などが行われています。SDGs教育も盛んです。もう少し上になると金融教育、起業家精神教育なども入ってきます。
しかし、それらの教育は、国語力という基礎がついてからはじめて行うべきものではないでしょうか。
国語力とは読解力だけを意味するものではありません。語彙をベースにして、情緒力、想像力、論理的思考力、表現力を結合させた総合的な力です。数学者の藤原正彦さんが「一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下」と語っているように、すべては国語の力があってこそです。
多くの教育者が懸念しているのは、家庭格差、ライフスタイルの変化、ネット社会への移行などで、こうした国語力がきちんと育めていないのに、新しい教育を次々とやらせていることなのです。
■家庭での積み重ねが大切
私は『ルポ 誰が国語力を殺したか』(文藝春秋)というノンフィクションで、子供たちの国語力を取り巻く危機的な状況と、回復への道筋を示しました。取材の中で感じたのは、子供たちと真摯に向き合っている教員や学校は、何よりこの国語力を重要視しているということでした。
国語力の基本的な部分は、小学4年生くらいまでにでき上がります。特に有効とされているのが次のような働きかけです。
・子供が主体となった自由な遊びをさせる(親の目的ありきではない遊び)。
・親が「どうしてだと思う?」など問いかけの形で会話をする。
・絵本を含めて身の回りに活字のある本をたくさん置いておく。
・社会で起きている出来事について家族みんなで話をする。
・博物館や外国文化の体験を通して、新しい価値観を学ばせる。
細かなことは本に書きましたのでここでは割愛しますが、親がお金をかけて学習塾などで勉強をさせるより、上記のようなことを家庭で積み重ねる方が、結果的に子供の学力は向上するという研究結果もあります。
家庭や学校でのこうした体験のくり返しの中で、子供たちは抽象的な概念を的確に想像できるようになったり、物事の因果関係を論理的に考えられるようになったりするのです。それが人との円滑なコミュニケーションにつながっていくし、小学校高学年以降の難しい学習についていく基礎力になるのです。
■教科をまたいで国語力を底上げ
たとえば、ある私立中学校では、美術や歴史の時間に学んだことを「創作朗読劇」にさせます。一つの絵や一つの戦争から、みんなで資料を調べ、話し合い、脚本をつくり、照明やBGMを用意し、人前で上演するのです。
そうすることで、情報の丸暗記ではなく、様々な知識を横につなげたり、人との話し合いで新しい視点を発見したり、不特定多数の人に適切に伝える技術を磨くのです。似たようなことであれば、英語で絵本をつくらせる学校もあります。
高いレベルの学校でも、中学の授業で行う英会話の内容は、日本語にしてみれば小学校低学年くらいのものです。英会話は流暢になるかもしれませんが、大切なのは会話の中身です。
そこで、クラスの生徒たちに日本で起きた社会問題を題材に英語で絵本をつくらせるのです。そして、完成した作品を外国の姉妹校の生徒に見せ、オンラインでそれについて意見を述べ合う。
子供たちは社会問題を絵本化する過程で多くのことを自分で勉強するし、友達と深い議論をする。さらに外国の同年代の子供たちと話し合うことで、まったく異なる視点や意見をもらえる。ペラペラと表層的な会話だけをする英会話では得られない力を育むことができるのです。
まさに教科をまたいで学校全体で国語力の底上げを目指しているのです。
■哲学対話で評価の多様性が生まれる
このような例をみると、表現が得意な子だけが国語力を伸ばしていくようなイメージを抱くかもしれません。しかしまったく逆のこともあるのです。
たとえば開智日本橋学園中学で行われている「哲学対話」の授業がそれです。
まずクラスで哲学テーマを出し合います。「なぜ人は人を差別するのか」とか「魚に感情はあるのか」「争いは正義となりえるのか」など答えのない問いですね。
これをある手法を使ってクラスの生徒みんなで話し合います。これは誰かを論破するとか、正解を出すということとは正反対で、個々がそれぞれの意見を出し、それを聞きながら、どんどん意見を深めていくことが目的です。答えのない問いに対して、他者の意見を聞きながら思考を深める力を養うのです。
現在のような多様化した社会では、個別の主張の正しさを争うより、お互いの意見に耳を傾け、思考を深め、建設的に社会のあり方を考えていく力を育む方が重要です。哲学という、ともすれば古臭い手法を用いながら、未来の社会で生きていくのに必要な力を中学生の段階からつけさせていくのです。
興味深いのは、哲学対話の授業で目立つのは、普段の授業で目立つ生徒とは限らないことです。むしろ、悩みの多い物静かな生徒の方が活発で良い意見を言う傾向にあるのです。
普段の授業では、学力やスポーツなど点数化できるものが評価されますし、そういう生徒が注目される傾向にあります。しかし、哲学対話という答えのない問いを考える授業では、それとはまったく違う力を持った子供の方が目立つのです。
そういう意味では、哲学対話は評価の多様性を生むともいえるでしょう。
■教育の中心に「国語力育成」が絶対に必要
開智日本橋学園中学の哲学対話など、国語力を上げるための先進的な取り組みは『ルポ 誰が国語力を殺すのか』に記しましたので、詳しくはそちらを参照していただけると嬉しいです。
今後、社会はグローバリゼーションの中でより多様化することが必至です。そこでは、人とつながる力、論理的な思考をする力、未知の世界を想像で補う力、自分を表現する力、異なる意見を受け入れる力が昔以上に必要とされます。
この時に重要なのが、それらのベースとなる国語力をどれだけ身につけているかということなのです。いくら英会話ができても、いくら高度なプログラミングができても、いくら金融の知識があっても、国語力なくしてはあらゆることが形骸化してしまいます。
だからこそ、子育てや教育の中心に「国語力の育成」を置くべきだと思うのです。
そのためには、次々と出てくる新しい教育に飛びつくだけでなく、前提となる国語力とは何か、それをつけさせるには何をすればいいのかということを、大人たち一人ひとりがしっかりと考えることが大切だといえるでしょう。
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ここに書かれているとおり、結局、日本語で読み書きをする力こそが思考力の本質で、それ以外の知識の詰め込みは、すべて補助的なものにすぎません。
だから、特に小学校低中学年のころは、勉強に時間を費やすのではなく、読書と対話と発表に時間を使うことが必要なのです。
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子供時代の勉強で大事なことは、頭をよくすることであって、成績を上げることではありません。
頭をよくするとは、自分で理解して、考えて、発表する力をつけることです。
だから、基本は日本語力と言ってもいいと思います。
その日本語力を養う第一の場は、家庭です。
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●動画:
https://youtu.be/OTXzy2V2TGs
森リン点の学年ごとの推移を見ると、小6よりも中学生が、中学生よりも高校生が、高得点になります。
その主な差は、思考語彙と知識語彙の差です。
思考語彙が、なぜ学年が上がるほど高くなるかというと、書いている作文のテーマと構成の仕方が違うからです。
小学6年生の場合は、身近な複数の実例をもとに一般化した感想を書く書き方です。
それに対して、中学生では、複数の理由や複数の意見といった構成を重視した書き方になります。だから、自然に考えるための語彙が増え、思考語彙の点数が高くなります。
高校生の場合は、作文の課題自体がより抽象的なものになります。そのため、考える要素が増え、その結果思考語彙の点数が高くなるのです。
しかし、小学生でも、思考語彙を高める方法はあります。
それは、感想の部分を長く書くことです。
感想の部分とは、それぞれの段落のまとめとなる感想と、作文全体の最後の感想です。
この感想を意識的に書くと、思考語彙が高くなります。
小6の課題の構成を図解すると、次のようになります。
★印のところを充実させることで、思考語彙の点数が高くなります。
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┃第1段落の要約 ┃
┗━━━━━━━━┛
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┃第2段落の実例 ┃
┣━━━━━━━━┫
┃第2段落の感想★┃
┗━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━┓
┃第3段落の実例 ┃
┣━━━━━━━━┫
┃第3段落の感想★┃
┗━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━┓
┃第4段落の感想★┃
┗━━━━━━━━┛
実例がよく書けていて、その感想があっさりしている場合、作文自体は面白くなりますが、森リン点の思考語彙は高くなりません。
よく、清書のときに、これまで書いた作文に手直しをして、実例の部分をより詳しく書き字数も長くすることがあります。
このとき、感想の部分がそのままであれば、思考語彙の割合が相対的に低くなります。
そのために、長く詳しく書いたのに、かえって森リン点が低くなるということがあるのです。
実例をより詳しく書くのと並行して、感想も更に書き込む必要があるのです。
例として示した作文の第4段落は、次のような文章になっています。
人間にとって、プレゼントとは『心』を伝えることができる手段なのではないかと思った。言葉よりも伝わりやすいものではないかとも思う。人間が成長していく中で「プレゼント」という習慣ができたのは、心を伝えたいからなのではないかと考える。感謝の気持ち、祝いたい気持ち、共感する気持ち、、、たくさん人間には感情がある中で、その感情をうまく出せない!そんな時に贈り物という手段を使っていたのではないかと思った。言葉で伝えるより、思いのこもった「プレゼント」を父に贈りたいと思った。
「プレゼント」というテーマで、これだけ感想の部分をじっくり書けるのは考える力があるからです。
よく、低学年の作文で、感想の部分を、「とても○○でした。また○○したいと思います。」とまとめる書き方がする例がよくあります。
小学6年生でも、そういうまとめ方で感想を書く人はかなりいます。
しかし、この書き方では、思考語彙は高くなりません。
森リン点の思考語彙が低い場合は、第4段落の感想を充実させることを考えていってください。
また、第2段落の結びの感想、第3段落の結びの感想も大事です。
例としてあげた作文の第2段落の感想の部分は次のようになっています。
……私はこのお話が大好きだ。このお話では2人とも心のこもったプレゼントをしたからこそ、心温まる結末になったのではないかと思った。相手のことを考えて買ったものだからこそ、特別嬉しい気持ちになるし、相手のことも大好きになる。そんな物語が「プレゼント」という存在でできているのだと感じた。
実例だけで終わらずに、その実例に対する感想を書いています。
第3段落の感想も同じように詳しく書けています。
……例えば、個人の意見だが、私はブランド物のバッグや宝石よりも家族と旅行に行ったりしたいと思う。お金をたくさんかけてもらうより、心のこもったプレゼントの方が倍以上嬉しいと思う。
第2段落の感想、第3段落の感想を簡単に書き、次の段落に続けても、作文自体はうまく書くことができます。
実例が面白く書けていれば、それで十分に上手な作文になります。
しかし、そういう作文で森リン点の思考語彙が低い場合、人間の読み手の感覚としては、「よく書けているが、ちょっとものたりない感じがする」という感じ方になるのです。
第2段落、第3段落に、それぞれ自分の感想を書くというのは、実はかなり大変です。
実例だけでつなげるのであれば、長く書くのは比較的簡単ですが、そこに自分なりの感想を付け加えると、書くのに時間がかかります。
しかし、だからそういう感想の加わった作文は、読み応えのあるものになるのです。
では、この感想を書く力をつけるためには、どうしたらいいでしょうか。
ひとつは、国語読解の問題集読書や、説明文の本の読書に力を入れることです。
もうひとつは、親子で話をすることです。
低学年の作文でも、感想を長く書ける子は、お父さんやお母さんといろいろなことをよく話しています。
子供が子供どうしで話をする場合、思考語彙はほとんど必要としません。しかし、大人と話す時間が増えると、自然に思考語彙のある話を聞き、本人も思考語彙のある話をするようになります。
子供の作文の感想の部分がものたりない場合は、親子で話をする時間を増やすといいのです。
親子で話をするときの材料は、子供の書く作文です。
子供の書く作文の実例に合わせて、お母さんやお父さんが自分の小さいころの似た話をしてあげるのです。
もうひとつは、子供の書く作文の表現です。
子供と一緒に、作文の中に入れるたとえやダジャレを考えてあげるのです。
また、子供が長文の音読をしているときに、その長文の内容に沿って、似た話をしてあげるという方法もあります。
また、総合学力クラスでの発表の時間や、創造発表クラスの発表の時間を利用して、親子で理科実験や調査研究に取り組むと、その過程で自然に知的な対話が増えます。
親子の対話は、読書と同じように子供の考える力を育てるのです。
この親子の対話ができるのは、大体小学6年生までです。
中学生や高校生でも、親子の対話をしている生徒はいますが、ほとんどの子は、中学生になると、自立のために親から離れようとします。
だから、小学6年生までの間に、親子の対話にじっくり取り組んでいくといいのです。
森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(2)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(3)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか
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https://youtu.be/1z39w-4-fW8
私(森川林)が、2013年に森リンを作ったころ、ちょうどアメリカでeraterという文章自動採点ソフトの開発がおこなわれていました。
文章の自動採点の本質は、どの国の言葉であっても同じなので、いずれ、ワープロソフトの一太郎が、アメリカのワードによってシェアを奪われたように、アメリカ製の文章自動採点が日本にも上陸し日本の社会で普通に使われるようになることが考えられました。
すでにアメリカでは、高校生の文章力採点で広く使われています。
私は、日本語の文化をアメリカの価値観で評価されるべきではないと考えたので、自分も日本語の文章採点ソフトを独自に作ろうと決心しました。
幸い、奈良先端科学技術大学院大学による日本語の形態素解析ソフトが自由に利用できるようになっていたので、それを使っていろいろ試行錯誤をし、数週間で日本語の文章採点ソフトを作ることができました。
それで国際特許を取得し、森リン(もりりん)という名前をつけて言葉の森の作文指導に使うことにしました。
試みに、この森リンで、eraterが行っていた英文の採点を森リンで同じように行ってみると、eraterとほぼ同様の傾向の点数を出したので、アメリカのソフトにも十分に対抗できると思いました。
しかし、私が今考えているのは、深層学習を使ったAI森リンです。
自分の時間ができるようになったらやりたいと思っていますが、考え方は簡単なので、いずれ誰かが先に作るだろうと思います。
こういう文章採点ソフトが自由に使えるようになると、入試の科目も、知識の詰め込みが必要な教科の勉強よりも、考える力を見る作文が中心になってくると思います。
さて、この森リンでどうやって高得点の作文を書くかということがよく質問されますが、これは単なる作文の書き方の技術としてできるものではありません。
森リンが評価しているのは、作文ではなく、作文力だからです。
作文力のもとになっているものは、思考力、語彙力、題材力です。
思考力は、思考語彙の点数として評価されています。
語彙力は、知識語彙の点数として評価されています。
題材力は、表現語彙の点数として評価されています。
だから、森リンの点数を上げるためには、説明文の難しい本も、ある程度読んでいる必要があるのです。
森リンの評価する字数は、1200字以上が基準です。
1200字よりも短い字数の文章では、誤差が大きくなるからです。
1200字の字数は、小6からの課題ですから、小6~高3までは同じ基準で評価されています。
小5の字数は1000字なので、小5までは、森リンの仮の点数です。それでも、小5で高得点を取れる作文は、優秀です。
小6以上の作文の森リン点の目標は86点ぐらいです。
小6の8月の作文でベスト5に入ったものの中で、森リン点の評価の仕方を説明しやすいく作品がありましたので、次のページで紹介します。
森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(2)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(3)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(5)――高得点の作文はどのようにして書くか
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森リンは、日本初の実用化された文章自動採点ソフトです。
しかし、今後登場するのはAI森リンです。
これなら、もっと確実で客観的な文章評価ができます。
私には、すでにそのアイデアがあります。
また、言葉の森には、約9万件のテキスト化された小1から高3までのデータがあります。
いつか、暇になったら作る予定(笑)。
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●動画:
https://youtu.be/nHMuKik5uJw
算数数学の勉強法は、実は簡単です。
しかし、その勉強法を知らないために遠回りしている人が多いのです。
オンラインの算数数学クラスでは、誰でも算数数学ができるようになります。
正しい勉強法がわかれば、算数数学はやりやすい勉強なのです。
私は、高校生のころ、間違った勉強法をしていました。
理系の選抜クラスというところにいたので、数学は比較的よくできる方でした。
しかし、そのときの勉強法は、わからない問題があると、ずっと考えるというやり方でした。
どうしてもわからないと、夜の街を歩きながら、1時間も2時間も考えることがありました。
しかし、その後、この勉強法が最もよくないやり方だとわかりました。
算数数学は、答えのある勉強です。
そして、受験の算数数学は、受験生に差をつけるためにわかりにくい問題を出します。
だから、考えるのではなく、解法を理解することが大事なのです。
日本の林学者で、日本の「公園の父」と言われる本多静六氏は、東京農林学校という今の東大農学部の1年生のとき、数学で赤点を取りました。
家が貧しくて勉強があまりできなかったために、数学が苦手だったのです。
しかし、家の手伝いをしているときに暗唱の練習をしていたために、文章を暗唱する力だけは十分にありました。
大学に合格したのは、数学ができなくても、作文が特に上手だったからです。
静六氏は、数学の赤点をきっかけに一念発起して、数学の問題集の例題をすべて暗唱することにしました。
すると、次の学期から数学はほとんどできるようになり、やがて、みんなから数学の天才と言われるようになり、数学の先生からは、「もう授業に出なくてもいい」とまで言われるようになりました。卒業するときには、主席の卒業生に送られる恩賜の銀時計を受け取るまでになったのです。
「
数学は暗記科目である」を書いた渡部由輝氏や、「
数学は暗記だ!」を書いた和田秀樹氏も、同じような数学の勉強法を提唱しています。
それは、わからない問題があったら、すぐに答えを見て解法を理解するという方法です。
数学を学問としてやるのであれば、考えることが大事ですが、受験のための数学は、解法を理解することが最も正しい勉強法なのです。
オンラインクラスの算数数学の勉強法も同じです。
生徒は、家庭学習で、毎日問題集の数ページを解いてきます。
先生は、その生徒の学習記録を見て、わかりにくそうな問題を質問します。
ほとんどの場合、生徒は答え方を正しく説明することができますが、うまく説明できないこともあります。「よくわかりません」と言うこともあります。
生徒がわからない問題があったとき、先生は、次のように言います。
「では、来週までに、その問題の答え方を説明できるようにしておいてね」
これで、ほぼすべての生徒ができるようになるのです。
しかし、難しい問題のときは、一度は正しく説明できても、次のときにまたできなくなることがあります。
そのときは、またその問題だけを解法を見て理解するようにします。
かなり難しい問題であっても、4回目か5回目には、完全に説明できるようになります。
数学ができない生徒は、先生に1回聞いただけでおしまいにするので、わかった気がするだけで、数学ができるようにならないのです。
この算数数学の解法の理解を繰り返していると、不思議なことに、初めて見る問題であっても、答え方の方向がわかるようになります。
図形の問題で、どこに補助線を引くか考えるときも、解法を理解する勉強を繰り返していると、自然にわかってくるのです。
よく、「考える勉強が大事だ」ということが言われますが、考える勉強は、作文でやればいいのであって、受験数学は、考えるのではなく解法を見て理解することが大事です。
今の算数数学の市販の問題集のほとんどは、解法が充実しています。解法が充実していないのは、学校の教科書ぐらいです。
自分で選んだ1冊の問題集を5回繰り返すつもりで、できない問題が1問もなくなるまで解いていけば、数学は必ずできるようになります。
算数数学が苦手な人は、言葉の森のオンラインクラスに参加して、算数数学の正しい勉強法を身につけてください。
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https://youtu.be/ykQlp0_KThw
■小学1年生から小学3年生は、勉強の習慣がつく時期。大事なのは毎日の学習
小学1年生から3年生にかけては、勉強面で難しいことは何もありません。この時期は、勉強の内容については、特に何もしなくても問題ないのです。
この時期に大事なのは、毎日の勉強の習慣をつけることです。
しかし、長時間の勉強をする必要はありません。長い時間勉強をさせると、集中力がなくなりかえって勉強習慣がつきません。親からみて、少しものたりないと思うくらいが、子供にとってはちょうどいい時間です。
子供の勉強の習慣をつけるきっかけになるのが、総合学力クラスの授業です。授業の内容に合わせて勉強を進めれば、バランスのよい家庭学習ができます。
■国語力の基礎は、難しい説明文を読む力で、同じ文章を繰り返し読むこと
国語力の差は、学校の勉強ではあまり目立ちません。学校では難しいことはしないからです。
しかし、実は国語力は最も差のある学力で、いったん国語力の差がつくとなかなか追いつくことができません。
国語力をつけるコツは、ある程度難しい文章を繰り返し読むことです。総合学力クラスでは、これを問題集読書という問題集の問題文を音読する方法で取り組みます。
授業では、先生が生徒に個別に質問し、それぞれの生徒がどれだけ読めているかをチェックします。
■算数力の基礎は、問題の解法を見て理解する力。1冊の問題集を完璧に仕上げる
算数は、答えのはっきりした勉強なので、最も取り組みやすい教科です。
しかし、この算数の勉強の仕方にもコツがあります。低学年のうちに勉強のコツを身につけておくと、高学年、中学生、高校生になってからも、算数数学の勉強をうまく進めることができます。
算数の勉強法のよくないやり方は、第一にいつまでも考えること、第二にすぐ人に聞くことです。
算数は、自分で答えと解法を見て理解することが大事です。そして、できなかった問題だけを繰り返し解き、1冊の問題集を完璧に仕上げることです。
授業では、先生が生徒に問題集の中にある問題の解法を聞き、学習状況をチェックします。
■小学1、2年生は、暗唱の力が最も伸びる時期。暗唱力をつけると勉強が楽にできるようになる
暗唱の力が最もつけやすい時期は、幼児から小学2年生にかけてです。この時期は、素直に音読を続けることができるからです。
学年が上がると、単純に音読を続けることができずに、意識的に覚えようとするためにかえって暗唱がしにくくなります。
低学年のうちに暗唱の力をつけておくと、語彙力、記憶力、読解力、表現力が身につき、その後の勉強が楽にできるようになります。
暗唱力は、中学生や高校生になってから更に役に立ちます。
暗唱力のある子は、どの勉強も楽にできるようになるからです。
■これからの学力で大事になるのは、自主的に探究する力と、みんなの前で発表する力
現在、世界の教育は大きく変わっています。
知識の詰め込みと再現を中心としたこれまでの教育から、自主的に探究する力と発表する力が重視するようになっています。
今後の大学入試も、ペーパーテスト中心から、AO入試の方向に変わります。そのひとつの例が、東大の推薦入試、京大の特色入試です。
AIの時代には、求められる学力が大きく変わるのです。
総合学力クラスの発表の時間では、生徒がそれぞれ自分で取り組んだ理科実験や調査研究や工作を発表します。この発表に合わせて、家庭での親子の知的な対話も深まります。
これからの学力は、このような探究型、発表型の学力なのです。
■総合学力クラスの勉強をきっかけに、家庭学習の習慣をつけ、勉強の楽しさを知る
総合学力クラスの勉強は、先生の講義を聞く形の勉強ではありません。また、先生に教えてもらう勉強でもありません。
家庭学習で勉強の習慣をつけ、それを先生がチェックすることによって生徒の自主的な勉強を進めるかたちで授業を行っています。
また、授業の中で、生徒どうしの読書紹介や質問感想など、対話と交流の時間をできるだけ取るようにしています。
この対話と交流によって、友達と一緒に楽しく勉強する姿勢が身につくのです。
■毎週の読書紹介で、読書力と発表力をつける、オンライン4人クラスの学習
言葉の森のオンライン4人クラスでは、毎回、全員の読書紹介があります。
この読書紹介によって、どの子も本を読む習慣がつきます。
また、みんなの前で発表する力がつきます。
低学年のころは、まだうまく発表ができない子も多いのですが、学年が上がるにつれて、どの子も自然に発表が上手になってきます。
本の内容を簡潔に紹介し、自分なりの感想をわかりやすく述べることができるようになるのです。
みんなの前で毎回全員が発表する時間があるというのが、オンライン4人クラスの学習の重要な特徴です。
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小学1年生は、勉強のコツと勉強の習慣を身につける時期です。
長い時間やる必要はありません。
いいやり方でやっていくことです。
いいやり方とは、人に教えてもらうのではなく自分でやること、1冊を繰り返し学習して完璧に仕上げることです。
だから、小学生の勉強は、デジタル教科書ではなく、紙ベースのものの方がいいのです。
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