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記事 4536番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/27
これからの日本に生まれる教育文化産業と、新しい未来の発表個別教育 as/4536.html
森川林 2022/09/19 01:45 


●動画:https://youtu.be/aaqn3eLrBn8

 昔、身近な家電製品は、日本が圧倒的に優れていました。
 今、身近な家電製品のほとんどは、日本では作られず、中国などから輸入されたものばかりです。

 日本の主要な生産の分野が、身近な工業製品から、より高度な機械工業製品に変わったと考えることができるのかもしれません。
 しかし、大きくは、工業生産自体が衰退したのです。

 アメリカは、GAFAに見られるように、情報ネット産業で世界をリードしています。
 しかし、そこで提供されているものは、単なるインフラです。
 やがて、その成長自体が止まると思います。
 インフラがこれ以上高度に発展することはないからです。

 今、人間社会が、というよりも資本主義社会が行き詰まっている原因は、社会を牽引する需要がなくなったことです。
 かつての、カー、クーラ―、カラーテレビのようなすべての人が求める高額な工業生産物がなくなってきたのです。

 そして、需要がなくなったことに対応して、供給側が生み出していた雇用もなくなっています。AIやロボットは、その雇用の喪失を加速しています。

 買いたいものがなく、働く仕事もないという状態が、これから広範に広がっていくのです。

 このような時代に、日本はどの方向に進むべきでしょうか。

 私たちは、物の生産や、情報の流通が価値を生み出した時代は終わったのだと考える必要があります。
 農業時代も、工業時代も、情報時代も、いずれの時代にも共通しているのは、供給者が少数で、需要が多数だという構図でした。

 未来は、この構図自体が変わります。
 それは、多くの人が、需要の側だけでなく、供給の側にも回る社会です。
 それはすでに、ブログやFacebookやyoutubeによって、半ば実現しています。
 人によっては、すでに、需要のために使う時間よりも、供給のために使う時間の方が多くなっている人もいるはずです。

 この個人が何かを供給する時代が、これからの時代なのです。

 江戸時代に、職を失った武士階級が、供給の側に回ろうとして行った仕事は、傘張りの内職ような地味な仕事でした。そこで、武士の商法などという言葉も生まれました。

 未来の社会で、個人が供給の側に回るときに、提供する仕事は傘張りのようなものではありません。
 時代はすでにインターネットテクノロジーの活用によって、誰もが、資金負担なしに世界のグローバルマーケットを対象にする仕事ができる時代になっています。

 しかも、副業が基本的に認められるようになることによって、土日だけの独立起業などということが誰でもできるようになってきます。

 そのときに大事なのは、資本ではありません。
 資本が必要だったのは、工業生産時代に、生産設備に多額の投資が必要だったからです。
 未来の起業には、多額の設備投資が不要なものの方がむしろ主流になるでしょう。

 だから、世の中のお金の向かう場所は、見返りの多い工業生産を生み出す生産設備への巨額の投資ではなく、個人が自分の仕事を作り出したいというときの個人起業の出発点となる少額の投資す。
 それが、無数の大衆に求められるようになるということが大事なのです。

 各人が、自分の個性を生かして仕事を始める分野として最もふさわしいのは、文化的な分野です。
 そして、文化的分野には、必ずその文化を引き継ぐ教育が必要になるので、文化と教育が結びついた教育文化産業が、未来の産業の中心になっていきます。

 教育文化産業は、日本のお家芸とも言えるものです。
 長い江戸時代の停滞の中で、日本ではさまざまな教育文化産業が生まれました。
 そして、その中のいくつかは、日本的な道の文化へと発展していきました。
 茶道、華道、俳句、剣道、書道などは、これらの文化産業のひとつの到達点です。

 これから来る未来の社会でも、このような新たな道の文化が次々と生まれます。
 そのために大事なことは何かというと、第一は個性と創造力です。第二は学力と思考力です。第三はそれらは社会にとってよりよい方向に発展させるための人間性や共感力です。

 だから、今大事なのは、未来の社会を担う子供たちに、創造力、思考力、共感力を育てる教育を行っていくことです。

 言葉の森は、これを単なる標語として称えるのではなく、実践の中で実現するために、作文教育、創造発表教育、暗唱教育、そして、発表と対話のある発表個別教育を行っています。
 そのための教育プラットフォームが、オンライン4人クラスです。
 オンライン4人クラスというプラットフォームがなければ、個性と創造力のある発表や、友達との対話による思考力の成長は、言葉だけの目標になってしまうからです。

 情報技術の発達によって、今は、言葉の違う外国の人どうしが、ZOOMを使って話ができるようになっています。
 まだ、このサービスは有料で、一部でしか使われていませんが、技術の進歩は方向さえ決まればすぐに加速します。
 やがて、世界中の人たちが、ZOOMなどのウェブ会議システムで、海外の人とも自由にやりとりできるインフラが登場します。

 オンライン海外留学というと、今は、日本の子供がアメリカやイギリスなどの海外の大学に行くイメージがありますが、将来は、日本の教育機関にいろいろな国の子が海外留学に来るようになります。

 この時代に大事なことは、日本だけに通用するガラパゴス的な学力ではなく、世界標準の学力を持つです。
 そして、学力以上に重要なのが、創造力、思考力、共感力を育てることなのです。


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森川林 20220919  
 明日の日本を支える子供たちを育てることが、これからの教育の目的になると思います。

森川林 20220919  
 昔、近くの塾が、その塾の企業理念として「教育サービス」ということを挙げていました。
 しかし、今の時代に、保護者のニーズに合わせた教育サービスを行うということは、受験競争に勝つということです。
 多くの講師は、このことに矛盾を感じていると思います。感じていない人もいるかもしれませんが。
 その矛盾とは、受験には、勝つ子もいれば、負ける子もいるということです。
 勉強の本来の目的は、勝負に勝つことではありません。
 そして、今後、そういう勝敗の社会はなくなっていきます。
 だから、私は、言葉の森の教育の目的をそういうところには置きませんでした。
 教育の目的は、よりよい日本を作るために、その日本を支える、創造力、思考力、共感力のある子供たちを育てることなのです。

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桃太郎があるき出したから、犬と猿と雉が来た as/4535.html
森川林 2022/09/18 08:18 


https://youtu.be/Xl-HVA32AEk

 桃太郎の話を、昔、私は、いろいろな個性のある仲間がその個性を生かして協力することで敵に勝つという話だと思っていました。

 しかし、その後、考えが変わりました。
 犬と猿と雉(きじ)が仲間になるのは、物語の前半の重要な箇所ですが、なぜかれらが仲間になったのかというところの考えが変わってきたのです。

 それは、桃太郎がたまたまキビダンゴを持っていて、犬と猿と雉がおなかがすいていたから仲間になったという単純な話ではありません。
 大事なことは、桃太郎が、まずひとりで出かけたということなのです。

 出発する時点で、桃太郎には、道の先に、犬と猿と雉が待っているという情報はありませんでした。
 たったひとりで出かける覚悟で出発したあとに、たまたま犬と猿と雉がやってきたのです。

 あとから振り返ると、まるで桃太郎が、みんなの協力を計画的に考えて行動を始めたように見えますが、本当はひとりの行動が最初にあり、その行動に引き寄せられて、偶然犬と猿と雉がやってきたのだというのが真相です。

 大事なのは、行動の一歩を踏み出したことであって、入念に計画を作ったことではないのです。

 だから、若い人で、これから何かを始めようとするときは、詳しい計画や協力できる仲間を最初に考えるのではなく、まず自分ひとりで出発することです。

 もし、桃太郎の目的地が鬼ヶ島ではなく、その先にあるもっと遠い困難なところであったら、どうなったでしょう。
 犬と猿と雉のあとに、今度は馬がやってきたのです。たぶん。

 そして、更にもっと遠い困難なところが目的地であったら、どうなったでしょう。
 馬のあとに、今度は龍がやってくるのです。

 このように、「桃太郎」は、ひとりの行動が次々に新しい展開を生み出す物語として読むことができます。
 大事なことは、まず桃太郎がひとりで歩き出したということなのです。

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総合学力クラスの勉強(2)――国語の勉強法 as/4534.html
森川林 2022/09/15 07:12 


https://youtu.be/iItWEmMi-08

 オンライン4人クラスの授業を、どう家庭学習に生かしていくかということについて説明します。

 家庭学習を主に親がコントロールできるのは、小学1年生から3年生ぐらいまでです。
 だから、この時期に、家庭学習の習慣をしっかりつけておくことが大事です。

 総合学力クラスの国語の家庭学習は、問題集読書の音読です。
 毎日2ページから5ページぐらいを目安に、問題集の問題文を音読します。
 ページの途中で文章が切れて、次のページに行っている場合は、その切れているところで止めてかまいません。
 人間の頭は、途中までしか読んでいない文章の続きを翌日読むことになっても、頭の中で前の文章と後の文章をつなげることができるからです。

 もちろん、最後まで読みたいという場合は、次のページまで読んでもかまいません。
 しかし、自習で大事なのは、やることがはっきり決まっていることですから、その日の文章の長さによってやることがまちまちになるよりも、決めたページ数まで読むとしておいた方がいいのです。

 音読については、近くで保護者がその音読を聞くことがあった場合、決して注意しないことが大事です。
 子供の音読を聞いていると、ほぼ百パーセント、親は何かひとこと言いたくなります。
 しかし、注意をすると、音読は上手になりません。

 ときどき、「読み間違いがあっても注意しないのですか」と聞かれますが、私は、いつも、「そうです」と答えています。
 注意するかしないかということよりも、親が注意しようとする姿勢で聞いていることに問題があるからです。

 親は、いつも笑顔で子供の音読を聞いていて、子供が読み終えたら、それがどんなに下手な読み方であっても、「読むのが上手になってきたね」とか、「難しいのよく読んでいるね」とか言って褒めていればいいのです。
 褒めていると、子供の音読は必ず上手になります。

 オンラインクラスの国語の授業では、先生は、その子がそれまでに読んだ範囲の文章について、どんなことが書いてあったか質問します。
 問題集読書で同じ文章を何度も読んでいる子は、もとの文章を見ないでも、どういうことが書いてあったかを言えます。
 文章を見て、先生に聞かれたことを探さないと答えられない子は、文章を読んでいません。
 問題集読書は、1冊を5回以上繰り返して読み、どの文章のことを聞かれても大体の内容を言えるようになることが目標です。

 このような問題集読書の復読という勉強法を家庭だけで独自にやることはまずできません。子供が飽きるからです。
 だから、ほとんどの子の国語の勉強法は、国語の問題集を解くことになるのです。

 国語の問題集を解くのは、一種の作業ですから、子供に任せておけば勉強をしているように見えます。
 しかし、問題集を解くだけでは国語の力はつきません。問題文を繰り返し読むことだけが読む力をつける方法です。

 家庭では、「来週の国語の授業のときに、先生にちゃんと答えられるように、問題集は毎日音読していこうね」という声掛けをして、子供の音読を続けさせ、音読が終わったら、「難しいのをよく読んでいてえらいね」と毎回褒めてあげるようにします。

 これが、国語の家庭学習の方法です。

総合学力クラスの勉強(1)――家庭学習のきっかけとして授業に出る
総合学力クラスの勉強(2)――国語の勉強法

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森川林 20220915  
 国語の勉強法でもあり、頭をよくする方法でもある「難読の復読」は、超簡単な勉強法でありながら、家庭で続けることが最も難しい勉強です。
 なぜ続けることが難しいかというと、第一は退屈な勉強だからであり、第二は成果がすぐには見えない勉強だからです。
 昔、読解マラソンという方法で、この「難読の復読」をやるようにしましたが、それでも長続きする子はいませんでした。
 しかし、今度は、オンラインクラスで問題集読書のチェックができるようになったので、子供たちの難読力は日に日に高まっています。
 もし国語の力がなかなかつかない子がいるとしたら、それは家庭学習での問題集読書が不足しているからです。


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森リン点の解説(5)――高得点の作文はどのようにして書くか as/4533.html
森川林 2022/09/15 06:41 


https://youtu.be/AWvaV9eqme4

 思考語彙、知識語彙について述べてきました。
 森リンの点数で、もうひとつ重要なのは、表現語彙です。ある意味で、これが最も文章力というものに関係していきます。

 表現語彙とは、語彙の多様性のことです。
 例えば、見本の作文では、表現語彙は、次のように集計されています。
 これを見ると、「プレゼント」という言葉が最も多く、13回使用されています。
 しかし、「プレゼント」だけではなく、同じ意味の「贈り物」も3回使用されています。

 このように、同じ内容を異なる言葉で表すことが語彙の多様性です。
 語彙力のある人は、ひとつの文章の中で同じ言葉を何度も使いたがりません。
 同じ言葉が近くにあって続いていると、あまり美しく感じないので、言葉を変えて書きたくなるからです。

 森リン点を上げるためには、できるだけ多様な言葉を使って書くといいのです。
 ただし、多様すぎると、バランス上の減点になることがあります。例えば、固有名詞をたくさん並べて書くような場合は、表現語彙だけが不自然に多くなるので、かえって全体の点数が低くなります。

 中学生以上の意見文では、書き出しの意見と結びの意見を対応させることが重要になります。そのことによって、文章に一貫性が出るからです。
 しかし、書き出しの文章と同じ言葉で結びの文章を書くと、文章全体の密度が薄くなります。
 同じ内容を違う言葉を入れながら、しかし、キーワードは生かして書くというのは、書き出しと結びを対応させるコツです。

 表現語彙の点数が高い作文を読むと、人間は、豊かに書いてある作文という印象を受けます。しかし、もちろん、なぜそう感じるかはわかりません。
 森リン点の表現語彙は、その人間の感覚を数値で表すものなのです。

【表現語彙】
プレゼント(0.8)13(0.44)8描い(0.83)7気持ち(0.35)4(0.29)4こもっ(0.82)4ジム(1.49)3お話(0.58)3贈り物(1.17)3伝える(0.62)2
覚え(0.47)2包む(1.24)2手段(0.72)2ことわざ(0.56)2言葉(0.28)2髪の毛(1.02)2大好き(0.55)2聞い(0.32)2(0.52)2特別(0.66)2
木の葉(1.2)2(0.62)2人間(0.18)2売っ(0.75)2特別大好き(6.08)2お金(0.56)2相手(0.42)2買っ(0.47)28歳(1.39)2似合う(1.16)2
答え(0.47)2物語(0.66)2感情(0.57)2宝石(1.02)2贈り(1.49)1(1.08)1時計(0.85)1喜ん(0.72)1きれい(0.5)1すれ違っ(1.23)1
買う(0.64)1思い(0.55)1(1.04)1(1.49)1クリスマス(0.86)1正直(0.73)1使っ(0.41)1かけ(0.46)1母いわく(6.08)1思い出し(0.63)1
伝わり(0.95)1迷っ(0.85)1伝え(0.55)1真心(1.39)1心温まる(1.49)1誕生日(0.86)1習慣(0.7)1贈る(1.23)1(1.04)1姫差(6.08)1
成長(0.47)1ささやか(1.17)1自慢(0.85)1たくさん絵(6.08)1ママ(0.85)1正直その頃(6.08)1存在(0.43)1金時計(6.08)1・ヘンリー(6.08)1見せ(0.65)1
共感(0.86)1個人(0.64)1表れ(0.88)1紙きれ(6.08)1祝い(1.34)1意味(0.37)11枚(1.14)1感謝(0.66)1立派(0.7)1意見(0.44)1
(0.66)1賢者(1.49)1夫婦(1.02)1驚い(0.68)1出せ(0.8)1旅行(0.72)1程度(0.75)1(0.9)1読ん(0.37)1似顔絵(1.31)1
家族(0.47)1裏紙(6.08)1(1.26)1たくさん人間(6.08)1バッグ(1.23)1結末(1.1)1


森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(2)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(3)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(5)――高得点の作文はどのようにして書くか

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総合学力クラスの勉強(1)――家庭学習のきっかけとして授業に出る as/4532.html
森川林 2022/09/14 07:06 


https://youtu.be/eMFu8MIhWr4

 総合学力クラスの勉強を教えていて、気が付いたことがあります。
 これは、他の国語読解、算数数学、英語などのクラスでも同様です。

 それは、家庭学習を毎日していて、週1回の授業のときは、その延長で参加している子と、家庭学習をほとんどしていずに、週1回の授業に出ることが勉強だと思っている子の違いです。

 小学1年生から4年生までの勉強は、難しいところはほとんどありません。
 大人が見れば、すぐに答えられるようなことばかりです。
 だから、この時期は特に、家庭で毎日勉強する習慣をつけることが大事なのです。

 子供が勉強した結果を、親があとで見て、本当に理解できているかどうかを、いくつか質問してあげればいいのです。

 もし、子供がうまく答えられないときは、軽く教えてあげます。
 決して、その場で理解させようと思って、重く教えないことが大事です。
 理解というものは、時間のかかるものです。大人から見てどんなに簡単に見えることであっても、初めてそのことを知る子供にとっては、理解するまでに時間がかかります。
 だから、軽く教えて、また別の日にも軽く教えてと、何度も同じことを軽く教えているうちに、理解できるようになります。理解には時間がかかるのです。

 そのような家庭学習を、どの教材でやるのかは、迷うところです。
 その場合、市販の教材にもいいものはたくさんありますが、塾専用の教材を使った方が安心できます。
 学年と難易度に応じて1冊の問題集を決め、それを毎日の家庭学習でやっていけばいいのです。

 家庭での学習は、決して長くやらないことが大事です。親がものたりないと思うぐらいの時間がちょうどいいのです。
 勉強時間を長くとれば、子供の学習は進みます。
 しかし、低学年のときに親のペースで勉強させられた子は、学年が上がり、小学4年生ぐらいになると、親の指示に従わなくなることがあります。
 自分の意思で勉強しなければならない時期に、勉強に飽きてしまうことがあるのです。
 だから、低学年の勉強は、できるだけ子供の意思を尊重して、子供のペースでやっていく必要があります。

 ときどき、子供は、「面白いから、もっとやる」と言うことがあります。
 このとき、親は、それを止めさせた方がいいのです。勉強だから、長くやる分にはかまわないと思って、子供の希望のとおりにやらせると、その勉強にやがて飽きてしまうからです。

 これは、ペットのしつけをするときと似ています。
 犬に面白いおもちゃを与えると、夢中になって遊ぶことがあります。
 それをそのままずっと、犬が満足仕切るまで遊ばせておくと、やがてそのおもちゃには興味を示さなくなります。
 大事なことは、やりすぎてはいけないということなのです。

 こういう家庭学習のコツは、お父さん、お母さんが、自分自身も家庭学習をしていた経験があればわかります。
 しかし、今のお父さん、お母さんは、塾に通って勉強していた人が多いので、家庭で自分のペースでやるということが今ひとつよくわからないということがあります。

 塾に行くと、宿題を出してくれるところがあります。というか、宿題を出す塾がほとんどです。
 すると、その宿題をこなすことが、家庭での勉強になります。
 これは、学校の宿題でも同じです。宿題があるから勉強をする、宿題がないから勉強しないという家庭が意外と多いのです。

 2014年、千代田区立麹町中の校長になった工藤勇一氏は、着任2年目に夏休みの宿題ゼロを打ち出し、以後は段階的に減らして、4年目に宿題を全廃しました。
 宿題は、提出することが目的になってしまうと考えたからです。
 そして、定期テストを廃止し、固定担任制を廃止し、行事を生徒主体にすることで、それまで無気力だった子供たちが、主体的に学習や行事に参加するようになりました。(「致知」10月号)

 塾の宿題にしても、学校の宿題にしても、出される宿題は全員一律です。
 その宿題が必要でない子がほどんどだからです。
 そして、その宿題をこなすことが、学習の目的になります。これは勉強というよりも、単なる作業です。
 勉強は、自分のペースでやるものであって、学校や塾から言われたことをそのままやるものではありません。

 だから、あくまでも家庭学習が基本です。
 その家庭学習のきっかけとして、学校や塾があるのです。

 それをどう生かしていったらいいかは、次回に。

総合学力クラスの勉強(1)――家庭学習のきっかけとして授業に出る
総合学力クラスの勉強(2)――国語の勉強法

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森川林 20220914  
 勉強の中心は、家庭学習です。
 その家庭学習のきっかけとして、学校や塾があるのです。
 ただし、家庭学習は、できるだけ短い時間で終わらせることです。


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公中検模試10月を受付中、学力テスト8月の問題発送は9月中に as/4531.html
森川林 2022/09/13 13:33 


●公中検模試10月

 公中検模試10月の受付を行っています。(対象は、小5と小6の国内在住生徒です。)
https://www.mori7.com/gakute/

 公中検模試を申し込まれる方は、志望校コード表をごらんいただき、
https://www.mori7.com/gakute/#k_code

 第一志望、及び、第二望の志望校コードを個別れんらくページよりお知らせください。
https://www.mori7.com/teraon/hkei.php

 公中検模試のお申込み締切は、9月15日(木)です。

●学力テスト8月

 学力テスト8月を申し込まれた方への問題発送は9月中になりますので、もうしばらくお待ちください。

 学力テスト11月は、9月16日以降に受付の連絡をします。

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森川林 2022/09/13 02:21 


https://youtu.be/PukRruOGJ6Y

 思考語彙とは、考える力を評価するものでした。
 森リンは、この思考語彙のほかに、知識語彙、表現語彙という面も評価しています。

 知識語彙とは、密度の濃い文章が書かれているかという評価です。
 わかりやすく言うと、難しい言葉もある程度使って書いてあるかということです。
 ある程度というのは、難しい言葉を使いすぎると文章が重くなり、かえってバランスの面で点数が低くなるからです。

 この難しい言葉を書く力というのは、書く人の語彙力とも言えます。
 難しい本を読んでいる人は、自然にそういう言葉を使えますが、本をあまり読んでない人は、日常会話的な言葉しか使えません。

 小6までは、複数の実例という書き方をしますが、中学生になると、複数の理由とか、複数の方法とかいう構成を重視した書き方になります。
 すると、理由や方法のところで抽象的な言葉が出てこないために、そのまま実例を書いてしまう人も多いのです。

 例えば、「宿題はよいか悪いか」というテーマで、複数の理由を書くときに、「宿題はよくないと思う。その理由は、この前、出された宿題は、面白くない上にとても時間がかかり……」などと実例をそのまま書いてしまう人が意外に多いということです。

 語彙力のある生徒は、「宿題はよくないと思う。その理由は生徒が自主的に勉強する姿勢を持てなくなるからだ。例えば……」と、「自主的」「姿勢」などという抽象的な理由のあとに具体的な実例を書くことができます。

 この知識語彙を増やす方法は、根本的には、問題集読書や説明文の読書をすることですが、作文の上だけで工夫することもできます。
 それは、調べた実例を引用することです。

 見本の作文では、「嬉しかったプレゼント」というテーマで、第二段落に、「賢者の贈り物」を引用しています。
私はオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という物語を読んだ事がある。ある夫婦がクリスマスにプレゼントをしあうお話だ。妻のデラは長くきれいな髪の毛が自慢だが、夫のジムへのプレゼントのために髪の毛を売ってしまう。そのお金で買ったのはジムの金時計によく似合う鎖だった。だが、ジムはデラの髪に似合う宝石の櫛を買うために時計を売ってしまったのだ。すれ違ってしまった2人のプレゼントだが、私はこのお話が大好きだ。このお話では2人とも心のこもったプレゼントをしたからこそ、心温まる結末になったのではないかと思った。相手のことを考えて買ったものだからこそ、特別嬉しい気持ちになるし、相手のことも大好きになる。そんな物語が「プレゼント」という存在でできているのだと感じた。


 この引用は、それほど難しい言葉が使われているわけではありませんが、引用する話題によっては、知識語彙が増えるようになります。
 また、引用に、データとしての固有名詞や数字が入ると、文章の説得力を増す効果があります。

 高学年の生徒は、自分の作文にあった話を、両親などに取材をするとともに、適宜、インターネットで調べた話などを引用して話題を広げて書いていくといいと思います。

 ちなみに、この作文で、森リンが評価した知識語彙は次のようなものです。
【知識語彙】()内は語彙のウェイト。
プレゼント
(5.95)
13存在
(0.38)
1習慣
(0.65)
1家族
(0.47)
1真心
(1.28)
1金時計
(5.95)
1感謝
(0.62)
1裏紙
(5.95)
1自慢
(0.79)
1感情
(0.54)
1
旅行
(0.65)
1立派
(0.65)
1物語
(0.63)
1賢者
(1.39)
1姫差
(5.95)
1人間
(0.2)
1成長
(0.47)
1意見
(0.4)
1時計
(0.75)
1・ヘンリー
(5.95)
1
クリスマス
(5.95)
1宝石
(0.96)
1結末
(1.01)
1手段
(0.65)
1似顔絵
(1.22)
1意味
(0.33)
1言葉
(0.24)
1共感
(0.8)
1誕生日
(0.8)
1夫婦
(0.96)
1
正直
(0.68)
1個人
(0.61)
1特別
(0.62)
1相手
(0.38)
1程度
(0.7)
1


森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
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森川林 20220913  
 森リンは、大学入試の小論文を評価するために作られています。
 だから、小学生の生活作文よりも、中学生や高校生の意見文の評価に向いています。
 難しい言葉を使って書くほうが点数は高いのですが、社会人の書く文章に求められるものは、できるだけ平易な言葉でわかりやすく書くことです。
 難しい言葉が多すぎると、文章全体の印象が漢字で黒っぽくなってしまうからです。


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総合学力クラスの子は、なぜ頭がよくなるのか as/4529.html
森川林 2022/09/12 05:30 


https://youtu.be/C0L4JeHBoJ8

 総合学力クラスには、現在、幼長から小4の子までが参加しています。
 総合学力クラスの前身の基礎学力クラスを開設したのが今年2022年の1月ですから、早い子は、もう9ヶ月ぐらい勉強を続けています。
 勉強の内容は、国語、算数、暗唱、発表と読書紹介です。

 小学1年生から4年生までの勉強は、難しいところは何もありません。やれば誰でもできることばかりです。
 だから、総合学力クラスでは、勉強の内容のチェックよりも、読書紹介など、子供たちの知的な交流の時間に力を入れてきました。
 しかし、その結果、みんな頭がよくなってきたと思うのです。

 総合学力クラスは、勉強の詰め込みで成績を上げることが目的ではありませんから、勉強がどのくらいできるようになったかは、それほど評価していません。
 勉強は、頭さえよくしておけば、必要になったときに、すぐできるようになるからです。
 そして、たぶん参加している子の多くは、もともと成績もいい子です。

 総合学力クラスの読書紹介で、最初は、読んでいる本をただ見せるだけだった子が、次第に、本の内容を紹介できるようになっています。
 中には、本のあらすじを延々と言ってしまう子もいますが、そこで注意するようなことはしません。
 教科の勉強でも、作文の勉強でも、大事なことは、欠点を直すことではなく、その子ががんばっていることを認めることだからです。

 子供たちの頭はどこでよくなるかというと、勉強でよくなるのではありません。
 小学生の勉強の内容は、決まったルールどおりにやるという手順を覚えることがほとんどですから、いくら計算の練習をしたり、漢字の書き取りをしたり、理科や社会の知識を覚えたりしても、それで頭がよくなるわけではありません。

 どこで、頭がよくなるかというと、読書の中で文章を読み取ることと、他の人との対話の中で相手の言葉を読み取ることによってです。
 そして、更に、自分の言葉で相手に何かを発表することによって頭脳は活性化するのです。

 総合学力クラスでは、みんながそれぞれに発表する時間があります。勉強する時間ももちろんありますが、その勉強の時間の前後の読書紹介や一人一言の時間があります。
 勉強の内容のチェックも、生徒が発言することによって成り立つ教え方です。先生が一方的に講義するような授業はありません。
 だから、どの子も発表することが好きになります。
 そして、この発表のときに、子供たちの頭脳はフル回転するのです。

 集英社オンラインの記事に、開智日本橋学園中学の話が載っていました。
 内容に賛同できることが多かったので、紹介します。

====
■■開智日本橋学園中学が取り組む、子供にとって本当に必要な「先進的授業」

美術や歴史の時間に学んだことを人前で上演する「創作朗読劇」。答えのない問いが他者への想像力を鍛える「哲学対話」など、私立中学校で始まっている「国語力」を鍛える最先端の授業とは…。

■流行の教育も国語力がなければ意味がない

日本の子供たちの国語力が脆弱なものになっているという声は、いくつもの教育現場で上がっています。現在の学校教育では、小学生の早い段階から外国語やプログラミングの授業などが行われています。SDGs教育も盛んです。もう少し上になると金融教育、起業家精神教育なども入ってきます。

しかし、それらの教育は、国語力という基礎がついてからはじめて行うべきものではないでしょうか。

国語力とは読解力だけを意味するものではありません。語彙をベースにして、情緒力、想像力、論理的思考力、表現力を結合させた総合的な力です。数学者の藤原正彦さんが「一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下」と語っているように、すべては国語の力があってこそです。

多くの教育者が懸念しているのは、家庭格差、ライフスタイルの変化、ネット社会への移行などで、こうした国語力がきちんと育めていないのに、新しい教育を次々とやらせていることなのです。

■家庭での積み重ねが大切

私は『ルポ 誰が国語力を殺したか』(文藝春秋)というノンフィクションで、子供たちの国語力を取り巻く危機的な状況と、回復への道筋を示しました。取材の中で感じたのは、子供たちと真摯に向き合っている教員や学校は、何よりこの国語力を重要視しているということでした。

国語力の基本的な部分は、小学4年生くらいまでにでき上がります。特に有効とされているのが次のような働きかけです。

・子供が主体となった自由な遊びをさせる(親の目的ありきではない遊び)。
・親が「どうしてだと思う?」など問いかけの形で会話をする。
・絵本を含めて身の回りに活字のある本をたくさん置いておく。
・社会で起きている出来事について家族みんなで話をする。
・博物館や外国文化の体験を通して、新しい価値観を学ばせる。

細かなことは本に書きましたのでここでは割愛しますが、親がお金をかけて学習塾などで勉強をさせるより、上記のようなことを家庭で積み重ねる方が、結果的に子供の学力は向上するという研究結果もあります。

家庭や学校でのこうした体験のくり返しの中で、子供たちは抽象的な概念を的確に想像できるようになったり、物事の因果関係を論理的に考えられるようになったりするのです。それが人との円滑なコミュニケーションにつながっていくし、小学校高学年以降の難しい学習についていく基礎力になるのです。

■教科をまたいで国語力を底上げ

たとえば、ある私立中学校では、美術や歴史の時間に学んだことを「創作朗読劇」にさせます。一つの絵や一つの戦争から、みんなで資料を調べ、話し合い、脚本をつくり、照明やBGMを用意し、人前で上演するのです。

そうすることで、情報の丸暗記ではなく、様々な知識を横につなげたり、人との話し合いで新しい視点を発見したり、不特定多数の人に適切に伝える技術を磨くのです。似たようなことであれば、英語で絵本をつくらせる学校もあります。

高いレベルの学校でも、中学の授業で行う英会話の内容は、日本語にしてみれば小学校低学年くらいのものです。英会話は流暢になるかもしれませんが、大切なのは会話の中身です。

そこで、クラスの生徒たちに日本で起きた社会問題を題材に英語で絵本をつくらせるのです。そして、完成した作品を外国の姉妹校の生徒に見せ、オンラインでそれについて意見を述べ合う。

子供たちは社会問題を絵本化する過程で多くのことを自分で勉強するし、友達と深い議論をする。さらに外国の同年代の子供たちと話し合うことで、まったく異なる視点や意見をもらえる。ペラペラと表層的な会話だけをする英会話では得られない力を育むことができるのです。

まさに教科をまたいで学校全体で国語力の底上げを目指しているのです。

■哲学対話で評価の多様性が生まれる

このような例をみると、表現が得意な子だけが国語力を伸ばしていくようなイメージを抱くかもしれません。しかしまったく逆のこともあるのです。

たとえば開智日本橋学園中学で行われている「哲学対話」の授業がそれです。

まずクラスで哲学テーマを出し合います。「なぜ人は人を差別するのか」とか「魚に感情はあるのか」「争いは正義となりえるのか」など答えのない問いですね。

これをある手法を使ってクラスの生徒みんなで話し合います。これは誰かを論破するとか、正解を出すということとは正反対で、個々がそれぞれの意見を出し、それを聞きながら、どんどん意見を深めていくことが目的です。答えのない問いに対して、他者の意見を聞きながら思考を深める力を養うのです。

現在のような多様化した社会では、個別の主張の正しさを争うより、お互いの意見に耳を傾け、思考を深め、建設的に社会のあり方を考えていく力を育む方が重要です。哲学という、ともすれば古臭い手法を用いながら、未来の社会で生きていくのに必要な力を中学生の段階からつけさせていくのです。

興味深いのは、哲学対話の授業で目立つのは、普段の授業で目立つ生徒とは限らないことです。むしろ、悩みの多い物静かな生徒の方が活発で良い意見を言う傾向にあるのです。

普段の授業では、学力やスポーツなど点数化できるものが評価されますし、そういう生徒が注目される傾向にあります。しかし、哲学対話という答えのない問いを考える授業では、それとはまったく違う力を持った子供の方が目立つのです。

そういう意味では、哲学対話は評価の多様性を生むともいえるでしょう。

■教育の中心に「国語力育成」が絶対に必要

開智日本橋学園中学の哲学対話など、国語力を上げるための先進的な取り組みは『ルポ 誰が国語力を殺すのか』に記しましたので、詳しくはそちらを参照していただけると嬉しいです。

今後、社会はグローバリゼーションの中でより多様化することが必至です。そこでは、人とつながる力、論理的な思考をする力、未知の世界を想像で補う力、自分を表現する力、異なる意見を受け入れる力が昔以上に必要とされます。

この時に重要なのが、それらのベースとなる国語力をどれだけ身につけているかということなのです。いくら英会話ができても、いくら高度なプログラミングができても、いくら金融の知識があっても、国語力なくしてはあらゆることが形骸化してしまいます。

だからこそ、子育てや教育の中心に「国語力の育成」を置くべきだと思うのです。

そのためには、次々と出てくる新しい教育に飛びつくだけでなく、前提となる国語力とは何か、それをつけさせるには何をすればいいのかということを、大人たち一人ひとりがしっかりと考えることが大切だといえるでしょう。
====

 ここに書かれているとおり、結局、日本語で読み書きをする力こそが思考力の本質で、それ以外の知識の詰め込みは、すべて補助的なものにすぎません。

 だから、特に小学校低中学年のころは、勉強に時間を費やすのではなく、読書と対話と発表に時間を使うことが必要なのです。

この記事に関するコメント
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森川林 20220912  
 子供時代の勉強で大事なことは、頭をよくすることであって、成績を上げることではありません。
 頭をよくするとは、自分で理解して、考えて、発表する力をつけることです。
 だから、基本は日本語力と言ってもいいと思います。
 その日本語力を養う第一の場は、家庭です。


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