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言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(1) as/4556.html
森川林 2022/11/01 07:05 


●動画:https://youtu.be/vLDPUvgeExc

 現在、ロシアとウクライナの戦争が長引いていますが、これは単に2国間の問題ではなく、その背後にもっと大きな戦争をさせる勢力があることが原因です。

 戦争を望んでいる兵士は、誰もいません。
 みんな、自分と家族と国を守るために戦っているのです。

 人間は、人と争う意識から次第に卒業しつつあります。
 戦って勝つことが喜びであった時代から、今は別の時代に移りつつあります。
 しかし、その方向がまだ明確には見えていないので、多くの人は争うことに焦点を置いてしまうのです。

 新しい方向は、創造です。
 創造は、競争や戦争よりもずっと希望のある方法です。

 AとBが戦って、Aが勝ち成果を手に入れ、Bが負けて成果を失うというゲームではなく、AもBも、創造によってともに豊かになるという方法があるのです。

 教育も、その方向に向かって進む必要があります。
 今の教育は、競争に立脚しています。
 狭い解答の枠の中で、他の人と比べてどれだけよくできたかが評価の基準になっています。

 しかし、こういう競争の仕組みの中では、誰もがそれなりに敗者です。
 ある競争に勝てば勝ったで、次の新しいステージの競争が待っています。
 そして、多くの場合、その最終勝者は、人よりも多少金銭的に豊かな暮らしができるかもしれないという程度です。

 そういう豊かな暮らしは、競争とは別の方法でも十分に手に入るものです。
 それよりも大事なことは、日々、幸福と向上と創造と貢献の中に生きる毎日を過ごすことです。
 そのための準備をすることが、教育の役割です。

▽関連記事
「言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(2)――新しいオンライン教育の可能性」
https://www.mori7.com/as/4559.html

この記事に関するコメント
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森川林 20221101  
 天外伺朗さんの「『融和力」混沌のなかでしっかり坐る」を見て、もう誰もがそういうことを考えているのだなあと思いました。
 この新しい意識が広がるのはもうすぐだと思います。


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問題集読書が国語力の鍵――速読では読む力はつかない、読書と問題集読書は本質的に異なる as/4555.html
森川林 2022/10/30 17:26 


●動画:https://youtu.be/-kPW_3xTVfg

 言葉の森が問題集読書を提唱したのは、もう30年近く前になります。
 問題集読書は、問題集の問題文を読書がわりに読むだけという単純な勉強法ですが、その単純さ故に、実行できる子はほとんどいませんでした。
 その代わり、問題集読書を実行できた子は、必ず国語の成績が上がりました。

 問題集読書がなぜ続けにくいかというと、問題集の問題を解くような勉強に比べて、あとに形として残るものがないので、張り合いがないからです。
 しかも、1冊の問題集を音読で5回以上繰り返し読むという勉強法ですから、張り合いがないわりに忍耐力や継続力が必要な勉強だからです。

 ほとんどの子は、音読を嫌がります。それは、黙読よりも時間がかかるからです。
 また、子供が音読をしていると、ほとんどの保護者はその音読を聞いて何らかの注意をしたくなります。
 日本語は母音言語なので、読んでいる声を軽く聞き流すことができないからです。

 しかし、音読を注意された子は、だんだん注意する人の前では音読をしないようになります。
 だから、音読を聞いている人は、常に褒めてあげることが必要なのです。

 音読の褒め方は、こうです。
 子供がどんなに下手な読み方をしていても、
「難しい文章をよく読んでいるね」
とか、
「だんだん読むのが上手になってきたね」
とかいう励ましの言葉を言ってあげるのです。
 すると、何も注意しなくても、必ず上手に読めるようになってきます。

 さて、実行の難しい問題集読書の家庭学習を、確実に実行させる方法として始めたのが国語読解クラスの勉強です。
 国語読解クラスでは、その子の問題集読書の読んだ範囲について質問をします。

 しかし、まだすらすら答えられる子は、一握りです。
 多くの子は、元の文章を見ながらでないと答えられません。
 それは、読む回数がまだ5回以上になっていないからという面もありますが、音読ではなく黙読で表面的に読んでいる子が多いからということもあると思います。


 さて、先日、保護者の方から速読についての質問がありました。
 実は、言葉の森のサイトにも、速読のページがありました。
 しかし、今はほとんど使っていません。

「長文速読問題」
https://www.mori7.com/kai/

「長文速読の磯」
https://www.mori7.com/iso/
(横書きの表示で見てください)

 読書のスピードの大人の平均は、1分600字ぐらいです。
 文庫本の1ページが約600字ですから、1ページを1分で読めれば普通の読書スピードです。

 この読書スピードを時々測ってみると、速く読む意識がついてきます。
 読書が遅くなる原因のひとつが、少し前に戻って読み直すという読み方です。
 ですから、読んだところを手で隠しながら読んでいくと、自然に読書のスピードが上がります。

 しかし、この速読法は、大人になってからやればいいのであって、子供のころは、速読よりもまず難しい文章を普通に読める難読力の方が大事です。
 その難読力の練習が、問題集読書になるのです。


 ところで、問題集読書は、普通の読書の代わりになるかというと、そういうことはありません。
 読書には、熱中して読むという面があります。途中で止まらなくなって読むことがあるのが読書です。

 問題集読書は、薬を飲むような勉強法です。問題集読書に熱中して止まらなくなるということはありません。
 だから、問題集読書は、読書の代わりにはなりません。

 それと同じように、短編の集まった本や、「5分で読める○○」や、「○○の名作20選」というような本も、熱中して読む本にはなりません。
 子供には、熱中して読める本に出合うことが必要なのです。

この記事に関するコメント
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森川林 20221031  
 国語の力をつける最善の方法が、難しい文章を繰り返し読むことです。
 しかし、この簡単そうに見える方法が、実は続けにくいのです。
 だから、つい多くの人は、やりやすそうに見える、問題を解く勉強に走ってしまいます。
 問題を問いて答えを書き○×をつけると、まるで勉強したかのような気がするからです。
 問題を解くコツを身につけるには、月に1回の読解検定だけで十分です。

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