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記事 4559番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/12
言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(2)――新しいオンライン教育の可能性 as/4559.html
森川林 2022/11/04 10:42 


●動画:https://youtu.be/b57aT9zM7Xg

 今の教育には、いろいろな問題があると言われています。
 その根底にあるのは、三十数人の生徒を一人の先生が教えていることです。

 問題の第一は、進度も個性も異なる大勢の生徒に、同じ形で教えていることです。
 問題の第二は、「教える」ということそのものです。

 第一の「進度も個性も異なる大勢の生徒を同じ形で教える」ことの問題点はわかりやすいと思います。
 第二の「教えるということそのもの」という問題は、少しわかりにくいかもしれません。

 ハイポニカ農法を生み出した野沢重雄氏は、農業にとってきわめて大事だと言われる「土」そのものが、実は植物の生長の制約にもなっているのではないかと考えました。

 同じことが教育にも言えます。
 教育にとってきわめて大事だと言われる「先生が教える」ということそのものが、子供たちの成長の制約になっているのです。

 いい先生も、悪い先生もいます。
 しかし、本当は先生そのものが要らないのです。

 子供は、教科書や参考書や問題集を自分で選び、それをもとに自分で学習します。
 わからなければ解説を読みます。
 解説を読めば、ほとんどのことはわかります。

 解説がわかりにくい場合は、別のわかりやすい教材を選べばいいのです。
 しかし、どうしてもわからない場合も、ごくまれにあります。
 そのときに、質問や相談ができる人がいれば助かります。
 その人が、先生と言えば先生です。

 その先生は、教える先生ではなく、子供が行こうとする先に予想される問題をアドバイスする先生です。
 子供が自分で勉強を進める。
 困ったときだけ助けてくれる先生がいる。
 これで教育は十分なのです。

 しかし、子供にとって、勉強は、最初のうちは面白くないのが普通です。
 義務教育段階の勉強は、登山で言えば、長い単調なアプローチです。
 見晴らしのいい尾根道にたどりつくまでは、ただ足元を見て歩いているだけです。

 勉強の面白さは、前に学んだことが後になって生きてくることがわかり、自分が成長していることがわかるという螺旋(らせん)形の面白さです。
 それは、ゲームの面白さと本質的には同じものですが、ゲームが小さい螺旋形ですぐ結果が出るのに対して、勉強の多くは大きい螺旋形のためなかなか結果が見えないところが違います。
 だから、小中学校時代の勉強は、ほとんどが本来面白くないものなのです。

 しかし、その単調な勉強を面白くする方法があります。
 それが、一緒に勉強する友達との交流です。
 そして、吸収するだけの勉強ではなく、発表する時間のある勉強です。

 生徒一人ひとりの進度に応じたアドバイス、一緒に勉強する友達との交流、吸収だけではなく発表する勉強。
 このいずれもが、今の集団一斉指導型の教育ではできません。
 また、マンツーマンの個別指導型の教育でもできません。

 試験で同じ学力の子だけのクラス分けをしたり、先生がカバーできない分をグループ学習で補ったり、ブレンデッド教育と言って情報通信技術を組み合わせた個別対応の学習をさせたり、という工夫が行われていますが、いずれも不十分です。

 最も有効な解決策は、オンラインで4~5人の超少人数クラスを運営をし、その授業の内容を、思考型、創造型、発表型、対話型にすることです。

 これからの学校や教室は、何かを教えてもらいに行くところではなくなります。
 生徒が自宅の自主学習で学んだことを、先生に確認してもらい、友達と交流し、自分の個性を発表する場所として行くところになります。
 オンラインですから、教室に行くのではなく、自宅で教室を開くという方がふさわしいでしょう。

 思考型、創造型、発表型、対話型の教育として、特に当てはまるクラスは、現在は、作文クラス、総合学力クラス、創造発表クラス、プログラミングクラスなどです。
 しかし、国語読解クラスも、算数数学クラスも、英語クラスも、やり方を工夫すれば、思考型、創造型、発表型、対話型の教科にすることができます。

 単なる知識の詰め込みでない、新しい未来の教育をオンライン4人クラスで作っていきたいと思います。

▽関連記事
「言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(1)」
https://www.mori7.com/as/4556.html

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森川林 20221104  
 今の教育の諸問題のほとんどは、オンライン4人クラスで解決します。
 しかし、世間で出されている提案は、いずれも、今の35人学級を1人又は2人の先生が教えることを前提にしたものです。
 また、リアルな対面式の教育が主流で、オンラインは補助的なものと考えられています。そうなるのは、オンライン教育をリアルのコピーと考えているからです。
 オンライン観が古すぎるのです。

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記事 4558番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/12
暗唱の練習は、幼長から小2までが最もよくできる――暗唱の効果について考える as/4558.html
森川林 2022/11/03 12:42 


●動画:https://youtu.be/XKLpjq-_mBo

 暗唱の効果や意義について書かれたものは、私の見るかぎりありません。
 暗唱の学習をした子とそうでない子を統計的に比較した資料がないからです。

 しかし、私(森川林)は、いろいろな事例から暗唱は頭をよくする効果があると確信したので、言葉の森の創設の最初のころから音読と暗唱の学習に取り組んできました。

 ところが、暗唱の練習を続けられる子は、最初はほとんどいませんでした。
 まず、親が暗唱という学習をしたことがないので、子供に暗唱を続けさせることができないのです。

 これは、今でも同じです。いまだに、「暗唱ってただ覚えるだけでしょう」「それが何の役にたつのですか」と聞く人がかなりいます。
 また、暗唱となると続けさせるのが大変だから、単なる音読で済ませてしまう人もかなりいます。

 昔は、音読さえも、「音読が何の役に立つのですか」と聞く人がほとんどでした。
 今でも、音読の意義を説明できる人はたぶんいません。
 ただ音読がよさそうだと言われているからやっているということです。

 私が考える音読の意義とは、
 第一に、同じ文章を繰り返し読むときでも、斜め読みにならないということです。同じことを繰り返すと、ほとんどの子供は飽きるので、表面的な繰り返しになってしまうからです。
 第二は、目で読むだけでなく、口でも読み、耳でも読むので、読みが更に深まり、文章の内容だけでなく、文章のリズムも頭に入るからです。

 しかし、音読の練習は、あとに形が残らないので、達成感がありません。
 また、音読の練習をしていると、近くで聞いているお母さんが、ほぼ必ずひとこと注意をしたくなります。

 これは、日本語の特徴で、日本語脳では、左脳で子音と母音と感情を処理しているので、耳から入る言葉は気になるからです。
 日本人以外の脳では、左脳で子音だけを処理し、母音と感情は右脳で処理しているので、耳から入る言葉は、あまり気にならないのだと思います。耳から入る言葉は、感情から分離しているのです。

 こういう事情をふまえた上で、親は、子供の音読に対してはいつも必ず褒めるだけにすると決心することが大事です。
 音読は、どんな読み方をしていても、ふざけて読んでも、間違って読んでも褒めるだけにしていれば上達します。
 しかし、ほとんどのお母さんは善意でひとこと注意してしまうので、子供は音読を続けることを嫌がるようになるのです。

 さて、音読と暗唱は、質的に異なります。
 音読は声を出して読むだけですから、黙読よりも時間がかかる分、頭によく入るということがありますが、それ以上のものではありません。
 しかし、暗唱は、この音読の繰り返しをすることによって、文章をまるごと頭に入れてしまうことです。

 音読は、文章を理解することにとどまりますが、暗唱は、文章の理解から更に進んで、その文章と一体化するところまで進みます。
 ある文章を理解しても、同じような文章を表現することまではできません。しかし、文章を暗唱すると、同じような文章を表現できるようになります。
 これは、単なる記憶ではなく、記憶を超えた一体化ですから、折に触れてその文章の一節を思い出したり、同じ文章を聞くと懐かしさを覚えたりします。

 暗唱は、記憶の方法としても有効ですが、記憶以上のものです。
 わかりやすい例のひとつは九九です。九九を記憶ではなく暗唱ですから、必要なときに特に思い出そうとしなくても、「3×7=21(さんしちにじゅういち)」などと頭に思い浮かべることができます。
 暗唱とは、手足のようなもので、特に手を伸ばして何かを取ろうと意識しなくても自然に手が動くように、思い出そうとしなくても必要に応じて思い出すことができます。暗唱は、手足のついた記憶なのです。

 これまで多くの子の暗唱の指導をしてきて不思議に感じていることがあります。
 それは、頭がいい子は、ほぼみんな暗唱が得意になるのです。
 逆に言うと、暗唱ができる子は、ほぼみんな頭がよくなるのです。

 頭がいいとは、必ずしも成績がいいことではありません。成績は、頭のよさではなく、勉強に比例しているからです。
 しかし、頭のいい子は、いざ勉強を始めるとすぐに成績が上がります。

 その頭のよさと暗唱のどちらが先かということはわかりませんが、頭のよさと暗唱の相関はかなり高いようです。

 シュリーマンは、最初は暗唱が苦手でしたが、長年暗唱の練習をしているうちに、どのようなものもすぐに暗唱できるようになり、やがて10数か国語をマスターするようになりました。
 そう考えると、暗唱に頭をよくする効果があると考えることができると思います。

 この暗唱を続けやすくするために、2011年に暗唱検定という制度を作りました(暗唱検定は言葉の森の登録商標)。
 これまで多くの子が、暗唱検定に合格してきました。
 この暗唱検定を取り組みやすくするために、今後、暗唱の範囲を細かく細分化することを考えています。
 また、これまでに暗唱検定に合格した子を、森リンランキングや読検ランキングなどのように表示することを考えています。

 暗唱の勉強をしやすくするために、暗唱検定のほかに、暗唱のクラスを作ることを一時考えました。
 しかし、暗唱だけを毎週45分間やるよりも、月に1回暗唱だけをする時間を設ける方がいいと考え、現在は、総合学力クラスで毎月第3週は暗唱の練習というふうにしています。

 この暗唱の時間では、ほとんどの子が自分のできる範囲で暗唱をどんどん進めています。
 自分の力に応じてなので、最初の方を繰り返しやる子もいれば、かなり先まで進んでやる子もいます。
 どの子もしっかりやっているので、この暗唱の時間はかなり効果があると思っています。

 暗唱には、適齢期があり、最も暗唱がしやすい時期は、幼長から小2にかけてです。
 なぜかというと、この時期は、模倣の時代とも言われ、あらゆることをまるごと吸収できる時期だからです。

 そのため、例えば、小学2年生くらいまでの子に、読んだ本の内容について、「どんなことが書いてあった」と質問すると、その本の内容を要約して説明できる子はまずいません。
 ほぼ全員が、最初から最後までのあらすじを全部言うかたちで説明します。
 だから、読書紹介では、先生は、子供に「どんな話だった」とは質問せずに、「どこか面白かった」と質問するようにしています。

 小学2年生までの子は、読んだ本を理解するのではなく、まるごと自分と一体化して読んでいるのです。
 だから、暗唱の文章も、何度か繰り返し音読していると、その文章がまるごと頭に入ります。

 これが、小学校高学年や中学生になると、その文章を理解して記憶しようとするので、暗唱がなかなかできなくなります。
 だから、小学2年生までの時期に暗唱のコツを覚え、それを高学年、中学生、高校生になっても生かしていくようにするといいのです。

 たぶん、今暗唱に力を入れている子は、日々頭がよくなっていると思います。

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森川林 20221103  
 言葉の森の暗唱の方法が、いちばんやりやすいと思います。
 この方法なら誰でも最短で暗唱力が身につきます。
 しかし、微妙なコツがあるので、お母さんも自分で暗唱をしてみるのがいいです。
 そうしないと、「ちゃんとした姿勢で読みなさい」とか、「ゆっくり読みなさい」とか、「句読点のところで区切って読みなさい」とか、「わからない言葉は意味を調べなさい」とか、正反対のアドバイスをしてしまうことがあるからです。

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記事 4557番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/12
新しい講座、土曜10:00に読書対話クラスを開講します as/4557.html
森川林 2022/11/01 13:50 


●動画:https://youtu.be/dYFjzJqiv7c

 11月5日(土)から、土曜10:00に読書クラスを開設します。
 このクラスでは、読書紹介、対話、そして、ときどき勉強を行います。
 学年は、小1~高3です。
 学校に行かない子、学校にあまり行きたがらない子が主な対象です。

 学校に行かなくても、自分の好きな本を読んで、みんなと対話をして、そして、もし勉強もしたいのであれば勉強をしてもいいというクラスです。
 勉強をする場合は、その勉強のアドバイスも行います。

 参加しやすいように、無料体験学習は1か月4週行います。
 体験学習を希望される方は、オンラインクラスからお申込みいただくか、お電話でお申込みください。

 11月5日までの先着順ですが、定員を超えそうなときは、高学年の方を優先させていただきます。

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https://www.mori7.com/as/4548.html

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森川林 20221101  
 学校に行かないと勉強が遅れると心配する必要はありません。
 自宅での自主学習の方が、学校で授業を聞くよりも5倍から10倍ぐらい早く頭に入ります。その分、余裕の時間を自分の趣味にあてればいいのです。
 また、学校に行かないと、友達との交流がなくなると心配する必要もありません。オンラインクラスで友達と交流すればいいのです。そのうち、遠足や合宿も行う予定です。


aonomi 20221101  
中根先生ありがとうございます。
まだ迷っていますが、参加する場合、準備するものとしては、クラスの中で読む本ややりたい勉強のテキストなどでよろしいでしょうか? 読書紹介の準備を事前にしておくのでしょうか?

森川林 20221101  
 勉強ということはあまり考えずに、読書と対話ということで参加してくれればいいです。気が向いたら勉強するという感じです。
 勉強は、やる気になればすぐにできるようになるから大丈夫です。
 読書紹介は、準備というよりもその場で言ってくれればいいです。

森川林 20221103  
  私も、小学校時代は、いつも退屈で、毎日窓の外を見ては、「スズメたちは自由でいいなあ」と思っていました。
 退屈しなかったのは、テストの時間ぐらいでした。
 ほかの時間はすることがなかったので、教科書に落書きばかりしていました。

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記事 4556番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/12
言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(1) as/4556.html
森川林 2022/11/01 07:05 


●動画:https://youtu.be/vLDPUvgeExc

 現在、ロシアとウクライナの戦争が長引いていますが、これは単に2国間の問題ではなく、その背後にもっと大きな戦争をさせる勢力があることが原因です。

 戦争を望んでいる兵士は、誰もいません。
 みんな、自分と家族と国を守るために戦っているのです。

 人間は、人と争う意識から次第に卒業しつつあります。
 戦って勝つことが喜びであった時代から、今は別の時代に移りつつあります。
 しかし、その方向がまだ明確には見えていないので、多くの人は争うことに焦点を置いてしまうのです。

 新しい方向は、創造です。
 創造は、競争や戦争よりもずっと希望のある方法です。

 AとBが戦って、Aが勝ち成果を手に入れ、Bが負けて成果を失うというゲームではなく、AもBも、創造によってともに豊かになるという方法があるのです。

 教育も、その方向に向かって進む必要があります。
 今の教育は、競争に立脚しています。
 狭い解答の枠の中で、他の人と比べてどれだけよくできたかが評価の基準になっています。

 しかし、こういう競争の仕組みの中では、誰もがそれなりに敗者です。
 ある競争に勝てば勝ったで、次の新しいステージの競争が待っています。
 そして、多くの場合、その最終勝者は、人よりも多少金銭的に豊かな暮らしができるかもしれないという程度です。

 そういう豊かな暮らしは、競争とは別の方法でも十分に手に入るものです。
 それよりも大事なことは、日々、幸福と向上と創造と貢献の中に生きる毎日を過ごすことです。
 そのための準備をすることが、教育の役割です。

▽関連記事
「言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(2)――新しいオンライン教育の可能性」
https://www.mori7.com/as/4559.html

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森川林 20221101  
 天外伺朗さんの「『融和力」混沌のなかでしっかり坐る」を見て、もう誰もがそういうことを考えているのだなあと思いました。
 この新しい意識が広がるのはもうすぐだと思います。


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問題集読書が国語力の鍵――速読では読む力はつかない、読書と問題集読書は本質的に異なる as/4555.html
森川林 2022/10/30 17:26 


●動画:https://youtu.be/-kPW_3xTVfg

 言葉の森が問題集読書を提唱したのは、もう30年近く前になります。
 問題集読書は、問題集の問題文を読書がわりに読むだけという単純な勉強法ですが、その単純さ故に、実行できる子はほとんどいませんでした。
 その代わり、問題集読書を実行できた子は、必ず国語の成績が上がりました。

 問題集読書がなぜ続けにくいかというと、問題集の問題を解くような勉強に比べて、あとに形として残るものがないので、張り合いがないからです。
 しかも、1冊の問題集を音読で5回以上繰り返し読むという勉強法ですから、張り合いがないわりに忍耐力や継続力が必要な勉強だからです。

 ほとんどの子は、音読を嫌がります。それは、黙読よりも時間がかかるからです。
 また、子供が音読をしていると、ほとんどの保護者はその音読を聞いて何らかの注意をしたくなります。
 日本語は母音言語なので、読んでいる声を軽く聞き流すことができないからです。

 しかし、音読を注意された子は、だんだん注意する人の前では音読をしないようになります。
 だから、音読を聞いている人は、常に褒めてあげることが必要なのです。

 音読の褒め方は、こうです。
 子供がどんなに下手な読み方をしていても、
「難しい文章をよく読んでいるね」
とか、
「だんだん読むのが上手になってきたね」
とかいう励ましの言葉を言ってあげるのです。
 すると、何も注意しなくても、必ず上手に読めるようになってきます。

 さて、実行の難しい問題集読書の家庭学習を、確実に実行させる方法として始めたのが国語読解クラスの勉強です。
 国語読解クラスでは、その子の問題集読書の読んだ範囲について質問をします。

 しかし、まだすらすら答えられる子は、一握りです。
 多くの子は、元の文章を見ながらでないと答えられません。
 それは、読む回数がまだ5回以上になっていないからという面もありますが、音読ではなく黙読で表面的に読んでいる子が多いからということもあると思います。


 さて、先日、保護者の方から速読についての質問がありました。
 実は、言葉の森のサイトにも、速読のページがありました。
 しかし、今はほとんど使っていません。

「長文速読問題」
https://www.mori7.com/kai/

「長文速読の磯」
https://www.mori7.com/iso/
(横書きの表示で見てください)

 読書のスピードの大人の平均は、1分600字ぐらいです。
 文庫本の1ページが約600字ですから、1ページを1分で読めれば普通の読書スピードです。

 この読書スピードを時々測ってみると、速く読む意識がついてきます。
 読書が遅くなる原因のひとつが、少し前に戻って読み直すという読み方です。
 ですから、読んだところを手で隠しながら読んでいくと、自然に読書のスピードが上がります。

 しかし、この速読法は、大人になってからやればいいのであって、子供のころは、速読よりもまず難しい文章を普通に読める難読力の方が大事です。
 その難読力の練習が、問題集読書になるのです。


 ところで、問題集読書は、普通の読書の代わりになるかというと、そういうことはありません。
 読書には、熱中して読むという面があります。途中で止まらなくなって読むことがあるのが読書です。

 問題集読書は、薬を飲むような勉強法です。問題集読書に熱中して止まらなくなるということはありません。
 だから、問題集読書は、読書の代わりにはなりません。

 それと同じように、短編の集まった本や、「5分で読める○○」や、「○○の名作20選」というような本も、熱中して読む本にはなりません。
 子供には、熱中して読める本に出合うことが必要なのです。

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森川林 20221031  
 国語の力をつける最善の方法が、難しい文章を繰り返し読むことです。
 しかし、この簡単そうに見える方法が、実は続けにくいのです。
 だから、つい多くの人は、やりやすそうに見える、問題を解く勉強に走ってしまいます。
 問題を問いて答えを書き○×をつけると、まるで勉強したかのような気がするからです。
 問題を解くコツを身につけるには、月に1回の読解検定だけで十分です。

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国語読解の苦手な子が増えている――読解力をつけるための対話と読書の方法 as/4554.html
森川林 2022/10/29 20:32 


●動画:https://youtu.be/j9p6fXQqghc

 国語読解の苦手な子が増えています。文章を読んで理解する力が弱いのです。
 共通点は、あまり本を読んでいないことです。
 読むとしても、絵が多く字の少ない本とか、長いひとつながりの本ではなく短編がいくつも並んだ本とかいうものが多いのです。

 では、本を読まずに、空き時間は何をしているかというと、YouTubeを見たりゲームをしたりしているのです。
 もちろん、YouTubeもゲームもいいのです。
 問題は、そのために本を読む時間を取れなくなることです。

 しかし、保護者の多くはそれが問題だと気がついていません。
 子供は学校にちゃんと行っているし、出された宿題も一応やっているから大丈夫だと思ってしまうのです。

 今の学校には、教育力はなくなっています。
 小学生時代にいちばん大事なのは、文章を読んで理解する力をつけることですが、学校ではそれ以外の時間が多すぎます。

 しかも、算数の授業では、基礎を身につけるよりも難しい問題をクイズのように解かせる趣味的な授業もあります。
 理科、社会も、授業を面白くするために、難しい問題を出すことが多いのです。
 更に、勉強とは関係のない行事の時間と、行事の準備のための時間が多すぎるのです。

 子供の学力は、学校ではなく、家庭でつける必要があります。
 そのためには、親子で対話をする時間を作ること、子供が読書をする時間を作ることが必要です。

 ところが、多くの家庭では、子供に算数や国語の問題集をやらせるような勉強をしています。
 問題集を解くような勉強は、勉強の習慣がつくこと以外の意味はありません。
 問題集を問いて学力がつくということはないのです。

 対話と読書の不足が学力の不足として表れてくるのは、高学年になってからです。
 小学4年生のころまでは、表面的には何も問題ないように見えます。

 読書をしない子でも、人との話だけは普通にできます。
 むしろ活発に話をするので、学力があるように見られることもあります。

 学力の差がはっきりするのは、作文を書くようなアウトプットの勉強をするときです。
 作文の学力は、それまでのすべての学力の集大成ですから、すぐに上達することはありません。
 だから、作文に、その子の本当の学力が表れるのです。

 子供の学力を育てるのは、学校ではありません。
 また、家庭でやる問題集でもありません。
 ただ、親子の対話と読書の習慣を続けることです。
 対話と読書で育った子は、いざ勉強が必要になったときには、すぐにその勉強の力をつけることができます。
 読書力のある子は、勉強だけして早めに成績がよかった子をすぐに追い越してしまうのです。

 今、小学生の子をお持ちのお母さんは、家庭での対話と読書にできるだけ時間を割くようにしていってください。

 対話のコツは、子供の長文音読や理科実験の発表を利用することです。
 子供が長文を読んでいたら、その長文に関係する親の体験談を話してあげるのです。
 子供が暗唱の練習をしていたら、その暗唱の内容に関連する親の体験談を話してあげます。
 また、理科実験の発表の時間があったら、一緒に発表のテーマを決めて、そこで子供と一緒に相談してあげます。

 本当は、お母さんだけでなく、お母さんとお父さんがともに対話に参加できるようになるのが理想です。
 いちばんいいのは、当の子供そっちのけで、お父さんとお母さんの話が弾むことです。
 子供はそういう話を聞いて、語彙力と話す力と聞き取る力を育てていきます。

 読書については、毎日必ず本を読む時間を作ることです。
 子供だけに読ませるのではなく、家族全員で読む10分間読書の時間を設けることもできます。

 子供は、親の後ろ姿を見て育ちます。
 親が楽しそうに本を読んでいれば、子供も、自然にそういう大人になりたいと思います。
 だから、日常生活の中で、親が本を読んでいる姿を見せることも大事なのです。

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森川林 20221030  
 読解力がないということは、読む力も考える力もないということです。
 勉強などは、やれば誰でもすぐにできるようになります。
 しかし、読解力がないと、あらゆることで自分なりの考え方をすることができなくなります。
 その読解力が、年々低下しているように見えます。
 実は、目立たないけれど、これが日本のいちばん大きな問題だとも言えます。

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競争に勝つことよりも、創造に勝つこと as/4553.html
森川林 2022/10/27 16:26 


https://youtu.be/nzajfnoac4E

 マンモスの牙が役に立たないぐらい伸びたのは、定向進化と言われています。
 進化がある方向に進み、ある段階になると、その進化が役に立たないものになっても進み続けるということです。

 その発端は、たぶんマンモスどうしの競争でした。
 最初は、牙が長い方が強いし、格好もよかったのです。

 しかし、やがて牙の長さで競い合うようになると、役に立つかどうかということよりも、格好だけが優先して牙だけがどんどん伸びていきました。

 こういう定向進化が起こるのは、生物が他の種と競争する必要がなくなり、同じ種どうしの間での競争が、競い合う主な分野になっていっためです。
 もし、マンモスと対抗しうる他の生物がいたら、牙の定向進化などという悠長なことはやっていられずに、もっと生存に役立つ他の能力が伸びていったはずです。

 先日、たまたま見たウェブに、「GalaxyとPixelのどちらが優れているか」という記事が載っていました。
 その中身は、どちらがどれだけ厚みがあるとか、バッテリーが持つかとか、重たいかという、言わば、マンモスの牙の長さ比べのような話でした。

 実は、これが今の日本や社会の置かれている、他との競争のない平和な社会の状態なのです。

 かつて、競争が社会の進歩の動因になっていた時代がありました。
 今も、競争には、社会の進歩を進めるという面があります。
 社会主義国が資本主義国に経済面で負けたのは、競争のない体制だったからという話は、確かにそのとおりでしょう。

 しかし、世の中は今、急速に競争のない時代に向かっています。
 競争のない時代に生きる生き方は、平和に生きることだと言う人もいます。

 しかし、競争の持つエネルギーやワクワク感に比べると、平和の持つエネルギーやワクワク感はかなり小さいものです。
 人間は、そういうところに十分な満足感を見つけることはできないでしょう。

 競争のない時代で、しかもワクワクできる生き方は、創造です。
 他人に勝つことに情熱を燃やすのではなく、新しいものを創造することに情熱を燃やすような生き方がこれから求められてきます。

 マンモスは、長い牙と厚い体毛を持ったまま滅んでいきましたが、生物の種全体は、個々の種が滅ぶのと並行して、新しい種を創造していきました。
 今日の世界の多様性は、その創造の結果です。

 私は、子供の教育に関しても、競争から創造へという大きな流れが生まれていると思います。

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森川林 20221027  
 私は、人と人を比較するのは好きではありません。
 勝ち負けがあるというのは、社会が不足していたときの名残で、やがて社会が豊かになると、勝ち負けに興味を持つ人は自然に少なくなっていきます。
 勝ち負けではなく、それぞれの人の個性がそのまま認められるようになるのです。

 しかし、今の時点だけで考えると、勝ち負けのある世界は、子供たちを熱中させます。
 だから、子供たちをがんばらせようと思うときは、勝ち負けとか賞罰とかが役に立つのです。

 ところが、そういう勝ち負けの世界に適応しすぎてしまった子は、その後の人生もずっと勝ち負けを基準にしていくようになります。
 やがて、そういう生き方は時代遅れになっていくと思います。


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読解問題を解かせるのは時間の無駄――読解検定のチェックだけで十分 as/4552.html
森川林 2022/10/26 08:37 


https://youtu.be/pB51LE3Sa5A

 保護者懇談会で、国語問題集の問題の解き方についての質問がありました。

 しかし、言葉の森の国語の勉強では、問題は解きません。
 問題文を繰り返し音読するだけの勉強です。

 そのことを書こうと思っていたら、ちょうど同じことを言っている記事がありましたので、紹介します。

「読解問題を解かせていると頭が悪くなる…「真に賢い子」の親が毎日ていねいにやっていること」
https://president.jp/articles/-/62790?page=1

 ここに書かれていることは、言葉の森がこれまで言ってきたことと同じです。
 問題を問いて国語力がつくわけではありません。
 ほとんどが、「あたった」「はずれた」という話で終わってしまうからです。

 問題を解くのであれば、まちがえたところを徹底して自分なりに理詰めに理解する必要があります。
 理詰めの説明なく、ただ漠然と○や×をつけても国語の力はつきません。

 問題を理詰めに解く勉強は、毎月の読解検定で十分です。
 そのかわり、読解検定は、常に100点を取れるようになるまでやらなければなりません。
 問題を解くのがよくない理由は、時間がかかるからです。
 問題文を読むだけであればすぐ終わる勉強であっても、問題を解くことまで入れると、読むだけの勉強に比べて5倍から10倍の時間がかかります。
 この時間が無駄なのです。

 問題を解く作業にかける時間があれば、その分、問題文を繰り返し読むことに力を入れていく方がよいのです。

 読解検定は、小2までは比較的易しい問題なので、がんばれば100点は取れます。
 小1のころは、問題文を読むことが難しい場合もあるので、そのときはお母さんが一緒に読んであげて一緒に解いてあげてもいいです。

 読解検定は小3から少しずつ難しくなります。

 高校生の読解検定は、旧センター試験と同じレベルですから、ここで解き方のコツを身につければ、大学入試の国語の読解問題にもそのまま対応できます。

 読解検定は、一般の人は550円、国語読解クラスと総合学力クラスの生徒は330円です。
 国語読解クラスと総合学力クラスの生徒は、印刷物の表示を必要としなければ、ウェブで無料で受けることもできます。

 国語読解クラスの生徒は、毎月必ず読解検定を受けるようにしてください。
 読解検定を受けていない場合は、国語読解クラスの授業中に読解検定に取り組む時間を設けます。

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