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田舎でこそできる、現金収入のある価値ある仕事と、未来の観光立国日本 as/4560.html
森川林 2022/11/05 11:49 


●動画:https://youtu.be/YcM26npcQLw

 昔、岐阜の位山に登ったとき、途中、車で景色のいい田舎道を走りながら考えていました。

 こんなにきれいな場所なのに、ここにある主な産業はやはり農業で、そのほかには、地元の人を相手にした床屋や飲食店などがぱらぱらとあるだけです。
 昔は、こういう田舎に工場があったこともありますが、今、そういう工場は日本の田舎ではなく海外に移転しています。

 藤原直哉さんは、これからの大不況の時代に、仕事がなくなった人は、農村でその地域の特性を生かした農業に携わればいいのではないかと考えているようです。日本では、歴史的に、農村がそういう緩衝板の役割を果たしてきたのです。

 そして、単なる緩衝板ではなく、日本を、それぞれの地域の特徴を持った観光立国にすることが、今後の日本の方向だと考えているのだと思います。
 観光立国と言っても、海外の人を呼び込むことだけを目的とした観光ではありません。独自の個性的な文化と特徴を持った、そこに住んでいる人が喜びを持って仕事のできる地域経済を作るということです。

 今はインターネットを利用して、田舎であっても、その地域の独自性のある産物を、日本全国をマーケットにして販売することができます。
 例えば、私(森川林)は、くさやとか、蜂の子とか、イナゴの佃煮とか、そういう変なものが好きですが、近所のスーパには、そのような商品はあまり置いてありません。
 たぶん、日本中には、自分がまだ目にしたことのない面白い食べ物や工芸品があるはずです。
 観光立国とは、そういう個性のある地域経済が全国各地に生まれるということです。

 しかし、私が車を運転しながら考えたのは、もう少し即戦力のあることです。
 それは、田舎で行うオンライン4人クラスの教育です。

 少子化で子供がほとんどいない地域であっても、オンライン4人クラスであれば、すぐに同学年、同教科の生徒を日本中から集めることができます。
 そして、週1回、自分の都合に合わせた時間帯で、子供たちの教育に携わることができます。
 オンラインの少人数クラスですから、たまたま自分の都合が合わずに休講する場合でも、他の同じようなネット上の講師に代講を依頼することができます。リアルな対面教室のような時間や場所の制約はありません。

 そして、もうひとつ重要なのは、その地域の特性を生かした、きれいな自然、伝統のある文化や祭りなどを活用して、遠足や合宿などの企画もできるということです。

 このオンライン少人数教育と結びつけた観光立国が、これからの日本が目指すひとつの方向だと思います。
 この場合の教育は、単に成績を上げるための受験教育ではなく、思考力、創造力、共感力を伸ばすための創造教育である必要があります。

 言葉の森は、すでに横浜のひとつの教室で、世界中の生徒を相手にしたオンライン教育を行っています。
 もちろん、世界中と言っても、海外からの生徒はまだ5パーセントほどです。これは受講料やテキストのやりとりにまだ制約があるからですが、今後この制約が技術的に克服できるようになれば、文字どおり世界をマーケットにした教室になります。

 作文指導も、日本語の作文に限らず、ザ・サクブンというような講座で、あらゆる言語に対応した作文教育を行えるようになります。
 ザ・サクブンは、言語の壁を超えた世界共通の新しい教科になる可能性があります。

 こういう世界規模の地域教室ができることと、日本各地の観光立国を結びつけることができれば、日本の未来は明るいのではないかと思いました。

この記事に関するコメント
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森川林 20221106  
 大きな歴史的枠組みで見ると、現代は、物の生産を中心とした資本主義社会が終わりつつある時代です。
 資本主義の精神と分かちがたく結びついているのが、都市、競争、勝敗、金銭などという原理です。
 しかし、一気に新しい社会に行くわけではなく、途中の過程では、資本主義の原理を生かさなければならないのです。

森川林 20221106  
 資本主義の先にある新しい社会の中心となる理念は創造です。
 しかし、それは競争のための創造ではなく、創造のための創造です。
 今、さまざまな未来論が語られていますが、大事なことは、この創造というキーワードを入れて未来を語ることです。
 それができていないのは、創造という概念がわかりにくいからです。

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森川林 2022/11/04 10:42 


●動画:https://youtu.be/b57aT9zM7Xg

 今の教育には、いろいろな問題があると言われています。
 その根底にあるのは、三十数人の生徒を一人の先生が教えていることです。

 問題の第一は、進度も個性も異なる大勢の生徒に、同じ形で教えていることです。
 問題の第二は、「教える」ということそのものです。

 第一の「進度も個性も異なる大勢の生徒を同じ形で教える」ことの問題点はわかりやすいと思います。
 第二の「教えるということそのもの」という問題は、少しわかりにくいかもしれません。

 ハイポニカ農法を生み出した野沢重雄氏は、農業にとってきわめて大事だと言われる「土」そのものが、実は植物の生長の制約にもなっているのではないかと考えました。

 同じことが教育にも言えます。
 教育にとってきわめて大事だと言われる「先生が教える」ということそのものが、子供たちの成長の制約になっているのです。

 いい先生も、悪い先生もいます。
 しかし、本当は先生そのものが要らないのです。

 子供は、教科書や参考書や問題集を自分で選び、それをもとに自分で学習します。
 わからなければ解説を読みます。
 解説を読めば、ほとんどのことはわかります。

 解説がわかりにくい場合は、別のわかりやすい教材を選べばいいのです。
 しかし、どうしてもわからない場合も、ごくまれにあります。
 そのときに、質問や相談ができる人がいれば助かります。
 その人が、先生と言えば先生です。

 その先生は、教える先生ではなく、子供が行こうとする先に予想される問題をアドバイスする先生です。
 子供が自分で勉強を進める。
 困ったときだけ助けてくれる先生がいる。
 これで教育は十分なのです。

 しかし、子供にとって、勉強は、最初のうちは面白くないのが普通です。
 義務教育段階の勉強は、登山で言えば、長い単調なアプローチです。
 見晴らしのいい尾根道にたどりつくまでは、ただ足元を見て歩いているだけです。

 勉強の面白さは、前に学んだことが後になって生きてくることがわかり、自分が成長していることがわかるという螺旋(らせん)形の面白さです。
 それは、ゲームの面白さと本質的には同じものですが、ゲームが小さい螺旋形ですぐ結果が出るのに対して、勉強の多くは大きい螺旋形のためなかなか結果が見えないところが違います。
 だから、小中学校時代の勉強は、ほとんどが本来面白くないものなのです。

 しかし、その単調な勉強を面白くする方法があります。
 それが、一緒に勉強する友達との交流です。
 そして、吸収するだけの勉強ではなく、発表する時間のある勉強です。

 生徒一人ひとりの進度に応じたアドバイス、一緒に勉強する友達との交流、吸収だけではなく発表する勉強。
 このいずれもが、今の集団一斉指導型の教育ではできません。
 また、マンツーマンの個別指導型の教育でもできません。

 試験で同じ学力の子だけのクラス分けをしたり、先生がカバーできない分をグループ学習で補ったり、ブレンデッド教育と言って情報通信技術を組み合わせた個別対応の学習をさせたり、という工夫が行われていますが、いずれも不十分です。

 最も有効な解決策は、オンラインで4~5人の超少人数クラスを運営をし、その授業の内容を、思考型、創造型、発表型、対話型にすることです。

 これからの学校や教室は、何かを教えてもらいに行くところではなくなります。
 生徒が自宅の自主学習で学んだことを、先生に確認してもらい、友達と交流し、自分の個性を発表する場所として行くところになります。
 オンラインですから、教室に行くのではなく、自宅で教室を開くという方がふさわしいでしょう。

 思考型、創造型、発表型、対話型の教育として、特に当てはまるクラスは、現在は、作文クラス、総合学力クラス、創造発表クラス、プログラミングクラスなどです。
 しかし、国語読解クラスも、算数数学クラスも、英語クラスも、やり方を工夫すれば、思考型、創造型、発表型、対話型の教科にすることができます。

 単なる知識の詰め込みでない、新しい未来の教育をオンライン4人クラスで作っていきたいと思います。

▽関連記事
「言葉の森が考えるこれからの社会と未来の教育(1)」
https://www.mori7.com/as/4556.html

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森川林 20221104  
 今の教育の諸問題のほとんどは、オンライン4人クラスで解決します。
 しかし、世間で出されている提案は、いずれも、今の35人学級を1人又は2人の先生が教えることを前提にしたものです。
 また、リアルな対面式の教育が主流で、オンラインは補助的なものと考えられています。そうなるのは、オンライン教育をリアルのコピーと考えているからです。
 オンライン観が古すぎるのです。

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