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記事 458番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
どんな本を読んだらいいか(その3) as/458.html
森川林 2009/04/19 08:27 
 読む時間を確保することは、読書における食わず嫌いを克服することにもなります。
 本は、子供の見えるところにただ置いておくだけでは読むようになりません。これは、昔と違うところです。子供の生活は、昔に比べて魅力的なメディアが豊富にあるので、難しいあるいはつまらなそうに見える本は、置いておくだけでは決して自然に読むようにはならなくなっているのです。
 したがって、読書は本来、趣味で読むものですが、子供に読書の習慣がつくまでは、勉強として必ず読ませるという取り組みをする必要があります。苦痛であっても毎日50ページ(5年生以上の場合)読むという習慣を続けることによって、次第に読む力がつき読書が好きになっていきます。もちろん、難しい本の場合は、最後まで読み続けることができなくてもかまいません。とりあえず、1日50ページ読んでみて、子供がどうしても面白さを感じられないならば、その1日だけでやめてもいいのです。この程度の強制であれば、無理に読ませて読書嫌いになるということはまずありません。逆に、無理に読ませて読む力をつけるからこそ、読書の面白さに目覚め、読書が好きになっていくのです。

 何を読むか、どう読むか、ということの次に、何を読まないかということも併せて考えておく必要があります。
 雑誌、漫画、絵本、学習漫画、図鑑などはもちろん読んでいいものですが、毎日の読書としては扱わないと考えておくといいと思います。つまり、毎日50ページ以上本を読むと決めたときに、その本を図鑑や学習漫画でもいいということにはしないということです。絵本とは、絵の部分が文章の部分と同じかそれ以上ある本ということを基準にするといいと思います。なぜこれらを読書と見なさないかというと、これらの本は、読むよりも眺めるという読み方になることが多いからです。もちろん、これからの本は趣味としていくらでも読んでいいのです。しかし、読書の勉強としては扱わないということです。
 また、現在は、子供にとって魅力的な遊びの手段がとても多くなっている時代です。これらの遊びは、ある制限の中で楽しむという環境を作らないと、読書の環境がつくれなくなります。例えば、漫画がいつでも手に届くところに置いてあるという環境では、惰性で漫画を読むという生活になりがちです。漫画はもちろん読んでもいいのですが、読んだあとは、簡単に手の届かないところにいったん片付けるという習慣をつけておくことが大切です。テレビやゲームやインターネットは、時間を区切って遊ぶというようなやり方をしなければ、これも惰性でいつまでも続けるという習慣になってしまいます。

 読書についてよく親が、「本でも読みなさい」というような言い方をすることがあります。このような言い方では、子供は本を読むようになりません。読書の大切さということを親が子供に向かって心からしみじみと話すようにすれば子供も素直に話を聞きます。これは読書に限らず、勉強や生活習慣すべてについて当てはまります。親が真面目に一生懸命心からしみじみと話すことは、必ず子供の心に届くからです。
(おわり)

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読書(95) 

記事 457番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
どんな本を読んだらいいか(その2) as/457.html
森川林 2009/04/18 04:37 
 子供にどういう本を読ませたらいいか、という話の続きです。
 第一は、有名かどうかを基準にしないということです。第二は、フォア文庫などのシリーズ化された本から選ぶということです。

 第三は、本の奥付を見て選ぶことです。出版年数の古いものや版の多いものは、それだけ人気のある本だと言っていいと思います。例えば、「世界の歩み(上・下)」(林健太郎著 岩波新書)は、1950年に初版が発行され、これまでに50回以上も版を重ねています。初版の発行からこれまでの長い歴史の間に、ベルリンの壁の崩壊など様々な歴史的事件がありましたが、それにもかかわらず、この本に書かれている歴史観は古さを感じさせません。このような本が古典といわれる本だと思います。
 第四は、社会や理科などのノンフィクションの分野の本は、図書館を利用するということです。例えば、中学生高校生向けの「ちくま少年図書館」の全100冊のシリーズは、どの本も優れた内容の説明文のジャンルの本です。しかし、大きな書店でも数冊しか置いていません。ところが、図書館には通常100冊全部がそろっています。つまり、いい本でありながらあまり売れない本は、図書館を利用しないと読めないということです。
 また、現在、アマゾンなどのインターネット書店を利用する方法があります。ネットを利用すると、ほかの人の評価がわかったり、関連する本がわかったりするので、いい本を選びやすくなります。インターネット書店は今後もっと利用されるようになると思います。クレジットカードの登録に不安を感じる人も多いと思いますが、クレジットカードの先進国アメリカでは、カードを不正に利用されたら保険でカバーし、すぐに新しいカードに切り替えるというドライな対応が定着しているそうです。日本もいずれそのようになると思います。

 次に、いかに読むかということです。これは実は、何を読むかということよりもずっと大事なことです。重要なことは、家庭生活の中で本を読む時間を確保するということです。小学校では、学校で読書指導を行ったり、10分間読書のような運動を行っているところもあります。しかし、それらに頼って、読書は学校でするものだと考えていると、かえって本を読まない子になってしまいます。読書は学校でしてもらうものではなく、家庭でするものだと考えることが大切です。
(つづく)

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読書(95) 

記事 456番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
どんな本を読んだらいいか(その1) as/456.html
森川林 2009/04/17 11:41 
 小学生の生徒のお母さんから、子供にどんな本を読ませたらいいかという質問がありました。
 読書については、二つの方向で考えることができます。まず一つは、何を読むかということです。もう一つ、もっと大事なことは、如何に読むかということです。

 まず何を読むかということについて考えてみます。小学生が読んで、ほぼ全員が必ず面白いと感じ、一気に最後まで読んでしまうような本は確かにあります。例えば、「宇宙人のいる教室」(さとうまきこ著 フォア文庫)は、内容的にもすぐれたもので、しかも面白いので、ほとんどの小学生の子は夢中で読んでしまいます。
 何を読むかということについて、四つの点で考えたいと思います。
 まず第一は、有名な本かどうかということを基準にしないということです。一般に、親の感覚で有名な本だから読ませたいと思う本は、子供にとっては、難しいものであることが多く、また、つまらない本であることが多いようです。例えば、ミヒャエル・エンデの「モモ」や「はてしない物語」は、小学校高学年以上の読む力のある子にとっては、感動的な内容の本ですが、小学校中学年までの子にとっては、たとえ読み終えてもかえって浅い読み方を早めにしてしまうのでもったいないような気がします。私が大学生の終わりごろ、丸山真男の「日本の思想」を読んで感動したことがあります。言葉の森を始めるようになってから、高校生の本を読む子にその本をすすめました。すると1、2週間で、あっさり「読みました」と特に何の感動もないように持ってきました。たぶん、その年代では心に響くものがなかったのだと思います。年齢によって、本の感動の深さは違います。有名だから、又は親がある時期に感動したからということが、必ずしも子供の感動には結びつかないということです。
 何を読むかということの第ニは、シリーズ化された本は安心して読むことができるということです。例えば、「フォア文庫」「講談社青い鳥文庫」「偕成社文庫」などです(ほかにもいろいろあります)。これらの新書版サイズの本は、これまで人気のあったよく読まれている本を編集したものです。こういう本は、だいたいどれを選んでも読みごたえがあります。しかしここで大事なことは、題名や表紙で読む本を選ばないということです。必ず中身をパラパラとめくって数ページ読んでから本を選ぶようにしてください。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

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