●動画:
https://youtu.be/AykGnMHP_yo
学生時代は、学力8割個性2割で生活し、社会人になるときは自分の個性を生かす方向で独立するというのが、これからの人間の生き方の基本になってくると思います。
そんなのはまだ早いと思う人がいるかもしれませんが、これは歴史の流れを見ればわかることです。
今、人類の生産力は、人類全体の消費に必要な量をはるかに上回っています。
だから、誰の役にも立たない軍需産業が盛んになっているのです。
人間が熱心に必要と思うものの多くは、マイナスをゼロに戻すものです。
健康産業も、教育産業も、ほとんどがそうです。
だめなものを普通に戻すというのは、わかりやすいし、常に需要があるのです。
しかし、マイナスをゼロに戻しても、世界は豊かにはなりません。
大事なことは、ゼロをプラスにすることです。
未来の健康産業や教育産業は、そういうものになるでしょう。
ゼロをプラスにするための答えはどこにもありません。
マイナスからゼロに戻すときのゼロは、誰にでも見える答えです。
ゼロをプラスにするためには、創造力が必要なのです。
軍需産業以外にも、世の中に、何も生み出していない仕事は数多くあります。
具体的に書くと差し障りがありますが、ひとつだけ書くと、例えば広告産業などがそうです。
正しい情報が伝わることが大事で、広告の情報がどれだけ伝わっても、世界には何のプラスもありません。
人類の生産力が、人類の消費力を上回っているから、多くの無駄なものが生まれています。
その無駄なものが多すぎるために、豊かな生産力が人々の豊かさに結びついていないのです。
しかし、やがて、これは是正されるでしょう。
正しいことが伝わると、世の中は自然にその方向に変わります。
今は、インターネットの力で、正しい情報が流れるようになりました。
Twitterは民間企業ですが、正しい情報を流す方向に転換しているように見えます。
やがて、他の情報メディアも、次第に正しい方向に向かうでしょう。
先日、雑誌プレジデントで、これまでマスメディアに載らないであろうと思われた記事が掲載されていました。
メディア全体も、内部の力で、今大きく変わろうとしているのです。
さて、豊かな生産力、正しい情報と並行して生まれているものは何かと言えば、それはAIやロボットの技術です。
現在、文を入れると絵をかいてくれるソフトが出ています。下手な絵を上手にかきなおしてくれるソフトもあります。質問すると、正しい答えを返してくれるソフトも生まれています。自動翻訳ソフトも、深層学習によって実用的なものになっています。
ということは、これまでの画家、作曲家、文章家、翻訳家などの仕事が能率的になる一方、それらの仕事全体のニーズはこれから急速に減っていくということです。
自動運転が実用化されると、運転手の仕事がなくなるということは以前から言われていますが、配達の仕事、レジ打ちの仕事なども、やがてなくなるでしょう。
教育に関しても、ただ教えるだけの仕事は必要がなくなります。
ちょうど明治維新のあとに、それまでの剣術や馬術の練習が必要なくなり、剣術や馬術が単なる趣味の文化に変わっていったように、今後、多くの仕事が形を変えていきます。
しかし、それを否定的なことと考える必要はありません。
世の中が豊かになる一方で、仕事が減ると、その結果、所得が減り消費が減ります。
供給だけが豊かになり続け、需要が減り続けるという負の循環に対処するためには、需要を人為的に増やす必要があります。
ケインズの時代には、それは公共投資や戦争でした。
現代は、国全体の公共投資や戦争ではなく、国民一人一人に対するベーシックインカムです。
これからの時代を考える前提として、ベーシックインカムの時代が来ると考えておくといいのです。
その時代に必要になるのは、個性と創造力です。
しかし、ここで大事になるのは、創造力の底辺に広い学力の土台があることです。
創造力というと、多くの人のイメージとして、絵をかいたり、音楽を作ったり、文章を書いたり、スポーツをしたりということが思い浮かべられると思います。
しかし、そういう創造力は底辺の狭い、自分の身体だけを主な底辺とした創造力です。
幅広い底辺とは何かというと、それは幅広い学力なのです。
小学校から中学、高校にかけて学ぶことは、人類がこれまで積み上げてきた知の共有財産です。
この共有財産を広く自分のものにすることが、その人の創造力のより個性的な進歩につながります。
その学力の底辺と創造力の高さの比が、今は8:2ぐらいだろうと私は考えているのです。
【前の記事】
学力8割、個性2割の生き方――「未来の大学入試はどうなるか」の記事を見て
https://www.mori7.com/as/4590.html
●動画:
https://youtu.be/peatT-9pGOI
言葉の森のオンラインクラスでは、勉強のほかに、読書力、発表力の時間があります。
勉強の方の中身は、反転学習です。
家庭での毎日の自主学習で学んできたことを、先生が授業の中でチェックします。
だから、きわめて効率のよい学習になります。
読書紹介と発表では、全員に発言する時間があります。
どの子も、それぞれ個性的な紹介や発表をします。
このように勉強と読書と発表を両立させている授業はほかにはありません。
オンラインクラスは、学力8割、個性2割のペースで進めているのです。
言葉の森の生徒は、学校でも好成績の子が多いです。
中学、高校、大学の合格校も、かなりレベルの高いところが多いです。
https://www.mori7.com/beb_category.php?id=19
勉強もでき、個性もあるという子が多いのです。
私は、人生には、二つの大きな道があると思います。
ひとつは、勉強して、いい大学に入り、いい就職をして、安定した生活を目指す道です。
ほとんどの人が、この方向で生きていくと思います。
しかし、この安定の道には、いくつかの問題があります。
それは、与えられた仕事をこなす人生は、面白くないし、成長しないし、今後はどうなるかわからないということです。
高度成長経済時代は、与えられた仕事であっても、面白いし、成長するし、将来の発展性がありました。しかし、今後の低成長時代には、それが逆に回転する可能性があります。
もうひとつの道は、個性を生かし、自分なりの仕事を始める道です。
これは、未知の要素が多い道です。
ほとんどの人は、この道を頭の片隅で考えるだけで、その方向で生きようとする人はまずいません。
この独立の道には、いくつかの特徴があります。
それは、独立の道は、面白いし、成長するし、工夫次第で発展するが、不安定で苦労が多いということです。
しかし、日本の社会では、失敗しても生きていけないことはありません。
我慢すればどんな仕事もあるし、実力があれば再起することもできます。
ここで大事なことは、どちらかの道しか選べないということではないということです。
ほとんどの人は、決められた勉強もしっかりするし、自分の個性を生かした時間もたっぷり過ごしています。
だから、学生時代は、両方がんばっていくといいのです。
しかし、社会に出るときには、どちらかを選ばなければなりません。
片手間でできる仕事というのは、ほとんどありません。
そして、結婚をして子供のいる生活が始まれば、方向転換することはまず無理になります。
だから、私は、社会に出るときには、独立の道を選ぶのがいいと思います。
最初は会社に就職をするとしても、将来の独立のために、その独立の手段になる会社に就職すると考えていくのです。
そのためには、学生時代の勉強は、勉強と個性を8対2ぐらいの割合で進めていくことになると思います。
そして、会社に入るにせよ独立するにせよ、大事なことは、学力だけでなく、発表力、読書力を育てていくことです。
オンラインクラスの読書紹介や発表の様子を見ていると、生徒によっては、どこの学校に行こうが、どういう会社に入ろうが、必ず自分らしい実力を発揮するだろうということを感じさせる子がいます。
それは、勉強の成績を見ているだけではわからない、その生徒の本当の実力です。
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▽参考記事(ダイヤモンド・オンライン)
「これからの中学受験生が直面する「2030年の大学入試」の見取り図」
https://diamond.jp/articles/-/313261
基本的な方向は、ここに書かれているとおりだと思います。
1.少子化で誰でも大学に入るようになる。その際、大学は、生き残りのために一般入試よりも早めの推薦入試、AO入試を増やす。
2.トップ2割の大学の入試はほぼ変わらない。
3.だから、大学入試は二極分化していく。
しかし、私は、もっと先のことを考えています。
それが上に述べた記事です。
【続き】
学力8割個性2割の続き――創造力の時代がなぜ来るか、そのために何をするか
https://www.mori7.com/as/4591.html