●動画:
https://youtu.be/GW2jwjFIEtU
保護者懇談会で、低学年の子のお母さんから、「集中して勉強しない」という相談がありました。
これは、いろいろな事情があると思うので、それぞれの家庭のケースによって対策は違ってきますが、大きく言えば、次のようなことが大事になります。
第一に、勉強の量を多くしないということです。
また、勉強が早めに終わったときに、新しい勉強を追加しないということです。
低学年は、勉強をする習慣をつけることだけが大事なので、長い時間やる必要はないのです。
第二に、学校の宿題を勉強の中心にしないということです。
宿題の多くは、無駄なものです。
家庭で決めた毎日の勉強が家庭学習の中心です。
宿題があると、勉強をさせやすくなる気がしますが、逆に言うと、宿題がないときは勉強しないという癖がつくことになります。
進んでいる学校では、宿題を出さないという方針を決めているところもあります。
第三は、親の指示で勉強させることをできるだけ少なくし、子供が、毎日決まったことを決まったようにやる習慣をつけることです。
勉強する内容を決めておけば、子供は何をやるか迷わずに取り組めます。
親がそのつど、何をやるか決めるような勉強の仕方をすると、勉強の習慣はつきません。
第四に、勉強の中で何を重点にするかというと、低学年に必要なのは、読書、暗唱、算数、対話です。
ただし、家庭学習の最初に読書をすると、そのまま読書で終わってしまうので、読書は学習の最後に行うという時間設定も必要です。
読書は、できるだけ説明的な文章の本を読む必要があるので、親の読み聞かせも並行して進めていきます。
暗唱は、毎日やっていく方が定着します。
朝ごはんの前に、暗唱や音読という10分か15分の時間を取ると、続けやすくなります。
算数は、将来の数学力の基礎になるので、算数が苦手にならないように毎日の習慣としてやっていきます。
ただし、将来の数学力の中心になるのは考える力ですから、算数よりも読書の方が優先です。
優先順位は読書が一番ですから、忙しくて家庭学習の時間が取れないときは、「今日は読書○ページだけ」というやり方でいいのです。
対話は、親子で楽しくお喋りをすることですが、浅い表面的な対話をするのではなく、深い思索的な、しかし面白い対話をする必要があります。
浅い対話が多すぎると、かえって子供の考える力は低下します。
同じように、軽い読書が多すぎると、かえって子供の読む力は低下します。
量も大事ですが、質も大事です。
軽い対話が多すぎると、子供は人の話を注意して聞かなくなります。
中身のある楽しい会話をすると、人の話を注意して聞く子に育ち、考える力がつきます。
第五に、習慣はすぐに崩れるものと考えることです。
何かの用事があったために、1日でも毎日の決まったことをやらない日があると、そのままやらないようになる、ということはよくあります。
それをそのつど軌道修正するのが、親の役割です。
そのきっかけとしては、「来週から、またやろうね」とか、「来月からまたがんばろうね」という言葉かけが有効です。
「言わなければやらない」というのは、子供の普通の状態です。
逆に、一度言っただけで、それをやり続けるという子は、むしろ問題があります。
「すぐさぼる」というのは、その子が人間らしく成長している証拠でもあると考えることです。
第六に、親はいつも明るく楽しく子供に接する必要があります。
親の明るさは、子供の成長の基盤です。
時々鏡を見て、自分が笑顔でいるかどうか確かめて子供に接するようにするといいと思います。
この親の笑顔も、習慣になります。
子供の教育の目的は、成績をよくすることや、いい学校に合格することではありません。
将来、立派な社会人として仕事をしていける子にすることです。
与えられた場所で、世の中をよくすることに貢献できる子に育てることが大事なのです。