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新しい未来の学習――創造発表 as/4609.html
森川林 2023/01/02 10:50 


 学力には、3つの面があると思います。

 第一は、知識です。これは基本的な技能も含みます。
 漢字の読みの知識や、基本的な計算力や、理科や社会の分野の多様な知識です。
 この知識を学力の横軸と考えるとします。

 一般に、学力と言われているものがこの横軸です。
 しかし、学力には、この横軸以外のものががあります。

 第二の学力は、創造力です。
 これを知識の横軸の上に立つ高さの縦軸と考えることができます。

 第三の学力は、思考力です。
 これは知識の横軸の下に伸びる深さの縦軸と考えることができます。

 このように考えると、学力の全体像が◇(ひし形)の形で形成されると見ることができます。
 更に言えば、共感力は、その学力の全体が進む方向です。

 今の教育の多くは、知識の横軸だけを伸ばしているように見えます。
 受験の学力も、結局は解法の知識ですから、知識を能率よく時間かけて身につけることが学力を育てることのように考えられています。
 それは、横軸が答えのある勉強になりやすいからです。

 しかし、大事なのは、ひし形全体の面積です。
 だから、横軸の知識に加えて、上の縦軸の創造力と、下の縦軸の思考力が必要です。
 縦軸は、答えのない勉強です。

 上の縦軸を伸ばす学習が、創造発表とプログラミングです。
 下の縦軸を伸ばす学習が、読書と作文です。

 下の縦軸を伸ばす読書は難読に進む読書です。
 難読とは造語で、難しい内容を読み取る読書です。
 例えば、説明文や意見文の読書です。

 小学校低中学年なら、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」のような主に理科関係の本、高学年や中学生なら、「岩波ジュニア新書」や「ちくま少年図書館」のような中高生向けの説明文の本、高校生なら「岩波新書」や「中公新書」のような社会人向けの説明文の本、大学生なら、「岩波文庫」の青帯、白帯、緑帯や「ヘーゲルの精神現象学」のような古今東西の本格的な古典の本です。
 小中高校生が手軽に接することのできる説明文の文章が、問題集読書です。
 興味を持った問題文の出典を見て、その本を図書館で借りるという形で読書生活を発展させることができます。

 作文は難作に進む作文です。
 難作も造語で、難しい内容を考える作文です。
 例えば、小学校高学年から中学生、高校生が書くような抽象的な課題を含んだ作文です。

 上の縦軸を伸ばす学習である創造発表は、自分の興味に基づいて実験や工作や調査や研究を行い、それを創造的に発表する学習です。

 プログラミングも、自分の興味に基づいてプログラムを作り創造的に発表する学習ですが、その前提になるプログラミングを学ぶ期間は、横軸の学習になります。

 横軸の学習は、評価が可能です。
 ある基準があって、そこにどれだけ到達したかが客観的な評価になります。
 この評価を目標にして、学習意欲を持つことができます。

 縦軸の学習には、評価がありません。
 しかし、評価の代わりになるものがあります。
 それが発表と対話です。
 だから、読書紹介、作文発表、創造発表、プログラミング発表などは、縦軸の学習に伴って自然に生まれてくる授業形態です。

 創造発表で大事なことは、自分の興味関心に基づくことと、創造的であることです。
 最初は、理科実験の本などを参考に、自分がやってみたいことに取り組みますが、本に書かれているとおりにうまくできたというのは、出発点です。
 そこから、自分なりの新しい創造を試みることが大事です。
 その創造は、独自の感想という形で表すこともできます。

 社会研究も、資料を調べてまとめるという研究レポートのようなところまでは、出発点です。
 そこから、自分なりの創造的な見解を持つというところが大事です。
 たとえ、その創造がすぐにはできなくても、テキストに沿ってできたところまでは出発点だという自覚を持って研究することが大事です。

 日本のアカデミズムには、西洋に追いつくことが目標という意識がまだ残っているため、独創性を評価しない文化があります。
 しかし、これからの若者が活躍する分野は、日本ではなく世界です。
 世界という土俵で生かせる武器は、横軸の広さではなく、縦軸の高さと深さです。

 今後、力を入れていく創造発表は、そういう新しい学習として進めていきたいと思っています。

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新年の挨拶 as/4608.html
森川林 2023/01/01 04:36 

△氷取沢の山の朝日

●動画https://youtu.be/ICAiywFSQNE

 新年明けましておめでとうございます。

 オンライン四人クラスの講座は、作文、国語読解、総合学力、算数数学、英語、創造発表、プログラミングなど、現在一八〇クラス、受講生は八一〇名を超えました。

 これからの教育は、受験から実力へ、学校から家庭へ、点数から個性へ、競争から創造へと進んでいきます。

 かつての寺子屋教育が作り上げてきた基礎学力の教育と、現在のインターネットテクノロジーを生かした教育と、思考力、創造力、共感力を育てる教育の、新しいプラットフォームを作っていきたいと思います。


 これからの日本に必要なものは、創造です。
 あらゆる分野で、日本人一人ひとりが創造的であれば、それが社会を豊かにし、個人の人生を豊かにします。

 しかし、その創造の根底に、考える力が必要です。
 学問に裏打ちされない創造は、浅い創造にしかなりません。
 創造は、思考によって深い創造になります。

 この創造力と思考力に方向を与えるものが共感力です。
 共感する力によって、他の人の幸福と、社会への貢献が生まれてきます。

 思考力、創造力、共感力という3つの教育の理念を実現するものが、新しい教育のプラットフォームです。

 教育については、これまでさまざまな理想が語られてきました。
 しかし、それらの理想の多くが実現しなかったのは、今の学校教育のプラットフォームを暗黙の前提としていたからです。

 インターネットテクノロジーの発達は、新しい教育のプラットフォームを可能にしました。
 すべての生徒が主体的に参加し発表する教育ができるようになったのです。
 今後の課題は、この新しい教育の器に、新しい価値のある中身を盛り込むことです。

 今年は、そのためにがんばっていきたいと思います。

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大事なのは、ゼロをプラスにすること――苦手をなくし得意を伸ばす教育 as/4607.html
森川林 2022/12/30 08:44 


https://youtu.be/XVHcceOoYyM

 世の中のいろいろな論議を見ていると、多くがマイナスをゼロに戻すか、マイナスを指摘するかだけにとどまっているように見えます。
 マイナスを指摘し批判することは、あらかじめ目指すゼロがわかっていることなので、歯切れよく論じることができます。
 しかし、それだけです。

 安定している仕事と言われているものの多くも、マイナスをゼロに戻す仕事です。
 教育について言えば、できない子をできるようにするというのが、マイナスをゼロに戻す発想です。

 そういうことは誰でも思いつきます。
 大事なことは、マイナスを作らないことです。
 そして、その前提の上に、ゼロをプラスにしていくことです。

 ゼロをプラスにするためには、プラスがあらゆる方向に可能であると考えれば、創造的な考えが必要です。
 どこに向かってプラスを創造するかということが、いちばん大事なことです。

 子供の教育については、苦手なところに目を向けるのではなく、得意なものを創造的に伸ばす方向に目を向けることです。

 では、苦手なところはどうするかというと、それをそのまま放置しておくのではありません。
 創造性を重視する人の多くは、苦手なところを素通りしているように見えます。
 そうではなく、苦手なところは、もともと作らないことなのです。

 日本のかつての寺子屋教育は、苦手をもともと作らない教育でした。
 苦手は直すものではなく、最初から作らないことが大事なのです。

 これは、子供の育て方についても言えます。
 子供に何かだめなところがあるとしたら、それは叱って直すのでも、うまく褒めて直すのでもありません。
 もともとだめなところを作らないことがいちばん大事なのです。

 苦手なところをもともと作らない教育とは、具体的に言えば、幼長や小1から勉強の習慣を作ることです。
 今の学校教育は、厳しい言い方ですが、あてになりません。
 30人も40人もの生徒を一斉に教える教育方法が、既に破綻しています。
 勉強ができる子は、学校で真面目に授業を聞いている子ではありません。
 家庭で毎日の勉強習慣を持っている子です。

 するべきことは、簡単です。
 幼長や小1から、読書、暗唱、算数、対話の勉強時間を確保しておくことです。
 そして、小学校高学年から、中学生、高校生にかけては、数学と英語の1冊の問題集又は参考書を5回繰り返して、その内容を完璧に自分のものにしていくことです。
 今後、英語の重要性は低下しますが、数学の重要性は変わりません。

 国語と理科と社会は、説明文の読書をしていれば十分です。
 国語の本質は、ものの見方や考え方を作るための広い意味での哲学です。
 理科は、物理、化学、生物学、地学の基本的な知識です。
 大事なことは、因果関係や法則性を理解することです。
 社会で重要なのは、歴史で、特に日本の歴史です。
 歴史は、教科書の断片的な知識で学ぶのではなく、歴史観のある書物で学ぶことです。

 こういう勉強のやり方であれば、子供たちの生活時間に余裕が生まれます。
 その余裕時間を活用して、創造的な勉強に取り組みます。
 創造的な勉強は、同じような仲間がいることと、自分の創造を発表する場があることで続けやすくなります。

 これが、苦手をなくし、得意を伸ばす教育です。

 勉強の大きな方向性は、個性を学問に、学問を創造に高めていくことです。

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森川林 20230101  
 欠点を指摘し直そうとすることは、誰でも思いつきます。
 マイナスをゼロに戻すことだからです。
 しかし、大事なのは今あるゼロをプラスにすることです。


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