学力には、3つの面があると思います。
第一は、知識です。これは基本的な技能も含みます。
漢字の読みの知識や、基本的な計算力や、理科や社会の分野の多様な知識です。
この知識を学力の横軸と考えるとします。
一般に、学力と言われているものがこの横軸です。
しかし、学力には、この横軸以外のものががあります。
第二の学力は、創造力です。
これを知識の横軸の上に立つ高さの縦軸と考えることができます。
第三の学力は、思考力です。
これは知識の横軸の下に伸びる深さの縦軸と考えることができます。
このように考えると、学力の全体像が◇(ひし形)の形で形成されると見ることができます。
更に言えば、共感力は、その学力の全体が進む方向です。
今の教育の多くは、知識の横軸だけを伸ばしているように見えます。
受験の学力も、結局は解法の知識ですから、知識を能率よく時間かけて身につけることが学力を育てることのように考えられています。
それは、横軸が答えのある勉強になりやすいからです。
しかし、大事なのは、ひし形全体の面積です。
だから、横軸の知識に加えて、上の縦軸の創造力と、下の縦軸の思考力が必要です。
縦軸は、答えのない勉強です。
上の縦軸を伸ばす学習が、創造発表とプログラミングです。
下の縦軸を伸ばす学習が、読書と作文です。
下の縦軸を伸ばす読書は難読に進む読書です。
難読とは造語で、難しい内容を読み取る読書です。
例えば、説明文や意見文の読書です。
小学校低中学年なら、「
理科好きな子に育つふしぎのお話365」のような主に理科関係の本、高学年や中学生なら、「岩波ジュニア新書」や「ちくま少年図書館」のような中高生向けの説明文の本、高校生なら「岩波新書」や「中公新書」のような社会人向けの説明文の本、大学生なら、「岩波文庫」の青帯、白帯、緑帯や「
ヘーゲルの精神現象学」のような古今東西の本格的な古典の本です。
小中高校生が手軽に接することのできる説明文の文章が、問題集読書です。
興味を持った問題文の出典を見て、その本を図書館で借りるという形で読書生活を発展させることができます。
作文は難作に進む作文です。
難作も造語で、難しい内容を考える作文です。
例えば、小学校高学年から中学生、高校生が書くような抽象的な課題を含んだ作文です。
上の縦軸を伸ばす学習である創造発表は、自分の興味に基づいて実験や工作や調査や研究を行い、それを創造的に発表する学習です。
プログラミングも、自分の興味に基づいてプログラムを作り創造的に発表する学習ですが、その前提になるプログラミングを学ぶ期間は、横軸の学習になります。
横軸の学習は、評価が可能です。
ある基準があって、そこにどれだけ到達したかが客観的な評価になります。
この評価を目標にして、学習意欲を持つことができます。
縦軸の学習には、評価がありません。
しかし、評価の代わりになるものがあります。
それが発表と対話です。
だから、読書紹介、作文発表、創造発表、プログラミング発表などは、縦軸の学習に伴って自然に生まれてくる授業形態です。
創造発表で大事なことは、自分の興味関心に基づくことと、創造的であることです。
最初は、理科実験の本などを参考に、自分がやってみたいことに取り組みますが、本に書かれているとおりにうまくできたというのは、出発点です。
そこから、自分なりの新しい創造を試みることが大事です。
その創造は、独自の感想という形で表すこともできます。
社会研究も、資料を調べてまとめるという研究レポートのようなところまでは、出発点です。
そこから、自分なりの創造的な見解を持つというところが大事です。
たとえ、その創造がすぐにはできなくても、テキストに沿ってできたところまでは出発点だという自覚を持って研究することが大事です。
日本のアカデミズムには、西洋に追いつくことが目標という意識がまだ残っているため、独創性を評価しない文化があります。
しかし、これからの若者が活躍する分野は、日本ではなく世界です。
世界という土俵で生かせる武器は、横軸の広さではなく、縦軸の高さと深さです。
今後、力を入れていく創造発表は、そういう新しい学習として進めていきたいと思っています。
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△氷取沢の山の朝日
●動画:
https://youtu.be/ICAiywFSQNE
新年明けましておめでとうございます。
オンライン四人クラスの講座は、作文、国語読解、総合学力、算数数学、英語、創造発表、プログラミングなど、現在一八〇クラス、受講生は八一〇名を超えました。
これからの教育は、受験から実力へ、学校から家庭へ、点数から個性へ、競争から創造へと進んでいきます。
かつての寺子屋教育が作り上げてきた基礎学力の教育と、現在のインターネットテクノロジーを生かした教育と、思考力、創造力、共感力を育てる教育の、新しいプラットフォームを作っていきたいと思います。
これからの日本に必要なものは、創造です。
あらゆる分野で、日本人一人ひとりが創造的であれば、それが社会を豊かにし、個人の人生を豊かにします。
しかし、その創造の根底に、考える力が必要です。
学問に裏打ちされない創造は、浅い創造にしかなりません。
創造は、思考によって深い創造になります。
この創造力と思考力に方向を与えるものが共感力です。
共感する力によって、他の人の幸福と、社会への貢献が生まれてきます。
思考力、創造力、共感力という3つの教育の理念を実現するものが、新しい教育のプラットフォームです。
教育については、これまでさまざまな理想が語られてきました。
しかし、それらの理想の多くが実現しなかったのは、今の学校教育のプラットフォームを暗黙の前提としていたからです。
インターネットテクノロジーの発達は、新しい教育のプラットフォームを可能にしました。
すべての生徒が主体的に参加し発表する教育ができるようになったのです。
今後の課題は、この新しい教育の器に、新しい価値のある中身を盛り込むことです。
今年は、そのためにがんばっていきたいと思います。
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●
https://youtu.be/XVHcceOoYyM
世の中のいろいろな論議を見ていると、多くがマイナスをゼロに戻すか、マイナスを指摘するかだけにとどまっているように見えます。
マイナスを指摘し批判することは、あらかじめ目指すゼロがわかっていることなので、歯切れよく論じることができます。
しかし、それだけです。
安定している仕事と言われているものの多くも、マイナスをゼロに戻す仕事です。
教育について言えば、できない子をできるようにするというのが、マイナスをゼロに戻す発想です。
そういうことは誰でも思いつきます。
大事なことは、マイナスを作らないことです。
そして、その前提の上に、ゼロをプラスにしていくことです。
ゼロをプラスにするためには、プラスがあらゆる方向に可能であると考えれば、創造的な考えが必要です。
どこに向かってプラスを創造するかということが、いちばん大事なことです。
子供の教育については、苦手なところに目を向けるのではなく、得意なものを創造的に伸ばす方向に目を向けることです。
では、苦手なところはどうするかというと、それをそのまま放置しておくのではありません。
創造性を重視する人の多くは、苦手なところを素通りしているように見えます。
そうではなく、苦手なところは、もともと作らないことなのです。
日本のかつての寺子屋教育は、苦手をもともと作らない教育でした。
苦手は直すものではなく、最初から作らないことが大事なのです。
これは、子供の育て方についても言えます。
子供に何かだめなところがあるとしたら、それは叱って直すのでも、うまく褒めて直すのでもありません。
もともとだめなところを作らないことがいちばん大事なのです。
苦手なところをもともと作らない教育とは、具体的に言えば、幼長や小1から勉強の習慣を作ることです。
今の学校教育は、厳しい言い方ですが、あてになりません。
30人も40人もの生徒を一斉に教える教育方法が、既に破綻しています。
勉強ができる子は、学校で真面目に授業を聞いている子ではありません。
家庭で毎日の勉強習慣を持っている子です。
するべきことは、簡単です。
幼長や小1から、読書、暗唱、算数、対話の勉強時間を確保しておくことです。
そして、小学校高学年から、中学生、高校生にかけては、数学と英語の1冊の問題集又は参考書を5回繰り返して、その内容を完璧に自分のものにしていくことです。
今後、英語の重要性は低下しますが、数学の重要性は変わりません。
国語と理科と社会は、説明文の読書をしていれば十分です。
国語の本質は、ものの見方や考え方を作るための広い意味での哲学です。
理科は、物理、化学、生物学、地学の基本的な知識です。
大事なことは、因果関係や法則性を理解することです。
社会で重要なのは、歴史で、特に日本の歴史です。
歴史は、教科書の断片的な知識で学ぶのではなく、歴史観のある書物で学ぶことです。
こういう勉強のやり方であれば、子供たちの生活時間に余裕が生まれます。
その余裕時間を活用して、創造的な勉強に取り組みます。
創造的な勉強は、同じような仲間がいることと、自分の創造を発表する場があることで続けやすくなります。
これが、苦手をなくし、得意を伸ばす教育です。
勉強の大きな方向性は、個性を学問に、学問を創造に高めていくことです。
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欠点を指摘し直そうとすることは、誰でも思いつきます。
マイナスをゼロに戻すことだからです。
しかし、大事なのは今あるゼロをプラスにすることです。
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12月29日から、作文講座は新学期扱いになります。
作文の丘から作文を送信する際、「山が違います」などの表示が出ることがありますが、こちらであとで修正しますので、そのまま送信してください。
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https://youtu.be/GW2jwjFIEtU
保護者懇談会で、低学年の子のお母さんから、「集中して勉強しない」という相談がありました。
これは、いろいろな事情があると思うので、それぞれの家庭のケースによって対策は違ってきますが、大きく言えば、次のようなことが大事になります。
第一に、勉強の量を多くしないということです。
また、勉強が早めに終わったときに、新しい勉強を追加しないということです。
低学年は、勉強をする習慣をつけることだけが大事なので、長い時間やる必要はないのです。
第二に、学校の宿題を勉強の中心にしないということです。
宿題の多くは、無駄なものです。
家庭で決めた毎日の勉強が家庭学習の中心です。
宿題があると、勉強をさせやすくなる気がしますが、逆に言うと、宿題がないときは勉強しないという癖がつくことになります。
進んでいる学校では、宿題を出さないという方針を決めているところもあります。
第三は、親の指示で勉強させることをできるだけ少なくし、子供が、毎日決まったことを決まったようにやる習慣をつけることです。
勉強する内容を決めておけば、子供は何をやるか迷わずに取り組めます。
親がそのつど、何をやるか決めるような勉強の仕方をすると、勉強の習慣はつきません。
第四に、勉強の中で何を重点にするかというと、低学年に必要なのは、読書、暗唱、算数、対話です。
ただし、家庭学習の最初に読書をすると、そのまま読書で終わってしまうので、読書は学習の最後に行うという時間設定も必要です。
読書は、できるだけ説明的な文章の本を読む必要があるので、親の読み聞かせも並行して進めていきます。
暗唱は、毎日やっていく方が定着します。
朝ごはんの前に、暗唱や音読という10分か15分の時間を取ると、続けやすくなります。
算数は、将来の数学力の基礎になるので、算数が苦手にならないように毎日の習慣としてやっていきます。
ただし、将来の数学力の中心になるのは考える力ですから、算数よりも読書の方が優先です。
優先順位は読書が一番ですから、忙しくて家庭学習の時間が取れないときは、「今日は読書○ページだけ」というやり方でいいのです。
対話は、親子で楽しくお喋りをすることですが、浅い表面的な対話をするのではなく、深い思索的な、しかし面白い対話をする必要があります。
浅い対話が多すぎると、かえって子供の考える力は低下します。
同じように、軽い読書が多すぎると、かえって子供の読む力は低下します。
量も大事ですが、質も大事です。
軽い対話が多すぎると、子供は人の話を注意して聞かなくなります。
中身のある楽しい会話をすると、人の話を注意して聞く子に育ち、考える力がつきます。
第五に、習慣はすぐに崩れるものと考えることです。
何かの用事があったために、1日でも毎日の決まったことをやらない日があると、そのままやらないようになる、ということはよくあります。
それをそのつど軌道修正するのが、親の役割です。
そのきっかけとしては、「来週から、またやろうね」とか、「来月からまたがんばろうね」という言葉かけが有効です。
「言わなければやらない」というのは、子供の普通の状態です。
逆に、一度言っただけで、それをやり続けるという子は、むしろ問題があります。
「すぐさぼる」というのは、その子が人間らしく成長している証拠でもあると考えることです。
第六に、親はいつも明るく楽しく子供に接する必要があります。
親の明るさは、子供の成長の基盤です。
時々鏡を見て、自分が笑顔でいるかどうか確かめて子供に接するようにするといいと思います。
この親の笑顔も、習慣になります。
子供の教育の目的は、成績をよくすることや、いい学校に合格することではありません。
将来、立派な社会人として仕事をしていける子にすることです。
与えられた場所で、世の中をよくすることに貢献できる子に育てることが大事なのです。
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子供の学力の土台となるものは、勉強ではなく読書と対話です。
しかし、浅い読書や浅い対話はかえって学力を低下させます。
深い読書と深い対話を楽しく進めていくことが大事です。
思索的な深い会話とは、どのような会話をすればよいのか参考に教えて下さい。
どういう情報から得ていけばよいでしょうか?
お返事遅くなって失礼しました。
思索的な深い会話をする前提は、読書です。
今は、子供だけでなく大人も、スマホでYouTubeのようなビジュアルなものを見る時間が多くなっているので、本を読む時間を確保することが大事です。
そうすると、日常会話の中に、本を読んで考えたことが出てくることが多くなります。
本は、物語文でなく、できるだけ説明文や意見文のものがいいと思います。
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未来は大きく変わります。
そして、子供たちは、未来に生きています。
その子供たちの教育を考える場合、今の基準ではなく、未来の基準で考える必要があります。
最近のニュースで、多くの新しい話題が出ています。
ひとつは、チャットボットの登場です。
これからは、検索エンジンで情報を探すよりも、チャットボットに聞いてみるというやり方が広がると思います。
画像生成AIも、新しい技術です。
この技術を利用すれば、文章を書くだけでなく、その文章を四コマ漫画でも説明するということが誰にでもできるようになります。
これは、文章表現の新しいジャンルになります。
もうひとつ、これは既に多くの人に知られていますが、自動翻訳が既に英検2級のレベルになり、スマートグラスとセットにする形で、ヒアリング、スピーキングも日常的にできるようになる技術が開発されつつあります。
もっと大きな社会的影響のある技術としては、フリーエネルギーと元素転換の技術です。
地球は太陽の周りを時速11万キロメートルで回っています。
また、地球自身も時速1500キロメートルで自転しています。
これらのエネルギーの一部でも生かせれば、地球での人類の生活に必要なエネルギーはすべてまかなえます。
牛や馬が草しか食べていないのに、あれだけ大きな体を作り上げているのは、体内で元素の転換が起こっているからですが、そういう元素転換がこれから技術的に再現されようとしています。
そういう技術が開発されれば、レアメタルも必要に応じて作られるものになります。
これらのフリーエネルギーや元素転換の技術が開花すると、資源とエネルギーの問題は解決します。
すると、そのあとに来るのは、ベーシックインカムが個人の所得の大部分になる社会です。
ベーシックインカムの時代に必要なのは、「メシの食える大人になる」ことではなく、そこから更に進んで「創造を楽しむ大人になる」ことです。
子供たちは、皆それぞれの個性を持っています。
成績という面からだけ見れば、平面的な序列しか見えません。
しかし、個性という面から見れば、それぞれの子供が立体的に生きていることがわかります。
その個性的な興味関心を学問に高め、その学問を創造に発展させることが、これからの教育の目標になります。
個人的な話ですが、今度、中根が創造発表クラスを土曜日の10:00と水曜日の19:00に開講します。
本当はもっとたくさんのクラスを作りたいのですが、時間的に難しいので今はできません。
このクラスでは、自分の好きなことを創造的に研究し、それを互いに発表します。
分野は主に理科や社会になると思いますが、文学や音楽や体育や美術も含めてあらゆるジャンルが対象です。
「個性を学問に、学問を創造に」という基本だけが根底にあればいいということです。
現在、東大の推薦入試、京大の特色入試など、さまざまな大学のAO入試が広がりつつありますが、それは、世の中の教育全体が、知識の詰め込みから、個性と創造の開発へと動いているからです。
ペーパーテスト中心の日本の大学入試は、世界から見れば遅れています。
ある大学の合格者のほとんどが、ある学校の生徒で、その学校の合格者のほとんどがある学習塾の生徒だというのは、大きく見れば、今の日本の大学入試が科挙の歴史をなぞっているということです。
日本の社会が停滞しているのは、科挙の基準で生きようとしている人が多いからです。
しかし、世の中は、これからもっと自由な社会に変わります。
その未来の社会を基準にして生きていく時期になったのです。
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講師募集:理科系の勉強が好きな人。平日17:00~、18:00~、19:00~。又は、土曜8:00~、9:00~、10:00のいずれか、週1コマから可。
教育の世界は、これから大きく変わります。
どう変わるかというと、科挙の教育から、創造の教育に変わるということです。
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●動画:
https://youtu.be/sGOb09YFnU8
■オンライン4人クラスは反転学習
これからの学習は、反転学習が中心になります。
従来の学習は、生徒が学校や塾に行き、そこで教えてもらい、家に帰って宿題をする形の学習スタイルでした。
これは、能率の悪いやり方で、特に学力の高い子にとっては無駄な時間の多い勉強の仕方でした。
つまり、聞く必要のない講義を聴く時間があるとともに、家に帰ってわからないことがあっても質問する機会がないという二重の非能率があったということです。
反転学習では、生徒が自宅で勉強を進め、授業の中では先生がその勉強をチェックするとともに、生徒の質問を聞き、クラスによっては生徒が自分のしてきたことを発表する時間があります。
これは、能率のよい勉強法で、高学年の生徒や学力の高い生徒ほど、反転学習の勉強の仕方を好みます。
この反転学習を進めるためには、第一は、講師が生徒の学習状況を毎回チェックする必要があります。
第二は、生徒又は保護者が、毎回学習記録をつける必要があります。
12月から学習記録に、ページ数だけでなく繰り返しの回数を入れられるようにしました。
学習記録で1冊の問題集を繰り返し勉強している生徒は、確実に学力がついています。
その反対に、問題集の繰り返しの少ない生徒や、授業のあるときだけしか勉強していない生徒は学力がなかなかつきません。
今後、教室から生徒の学習状況を連絡するようにしますので、保護者の方は、ときどき生徒の勉強の進み具合を確認してください。
■できるだけパソコンで参加を
オンラインクラスは、生徒の参加と生徒どうしの対話を中心にした授業を行っています。
スマホやタブレットでは、画面が小さかったり、文字入力の操作がしにくかったりするという問題があります。
今後、生徒がプログラミングの勉強などをすることを考え、できるだけパソコンで参加するようにしてください。
慣れてきたら、生徒専用のパソコンを買ってあげるといいと思います。
これからの学習には、パソコンは、ノートや教科書と同じ必需品になります。
■新年度の改訂版の教材が注文できます
新年度から、国語、算数数学、英語で教材を大幅に入れ替えました。
理由は、難しい問題もある問題集にすることと、確認テストができるようにすることの2つです。
小6の国語・算数と高2の国語の改訂版は、12月27日ごろから発送できますので、教材注文フォームから注文してください。
上巻と下巻の両方がある場合は、当面上巻だけを注文しておくといいです。
■新年度の教材は、各学年1教科1種類に統一する予定
新年度の教材の入れ替えに伴い、旧年度の教材と、改定前の教材と、改定後の教材がしばらく混在するようになります。
これは、
2月を目処に、新年度の改定後の教材に統一したいと思います。
旧年度の教材や改定前の教材は、内容的には充実しているので、そのまま自宅での学習に使っていただくといいのですが、授業の中では新年度の改定後の教材で授業を進めていきます。
一時的に教材が2種類になる方もいると思いますが、授業の能率を上げるためということでご了解くださるようお願いします。
■自習室を活用できるようにします(計画中)
オンラインクラスには、自習室がありますが、この自習室をもっと活用できるようにします。
具体的には、自習室の生徒の入退室を管理し、生徒がどういう勉強をしたかを記録し、保護者に連絡するようにします。
「何時に入室し、何の勉強を行い、何時に退室した」という記録です。
勉強の内容に関する質問は取り扱いません。
参加できるのは、言葉の森の生徒だけです。
管理できる時間帯は、夕方15時ごろから20時ごろまでと考えていますが、管理時間外でも自習室は自由に利用できます。
ただし、安全のために、パスコードを設定する予定です。
実施できるようになりましたら、改めてご連絡します。
■低学年の読書紹介は、保護者も協力して準備を
読書紹介は、子供たちの読書習慣を定着させ、読書の幅を広げるのに役立っています。
読書紹介は1人2分以内としているので、本のあらすじを紹介するのではなく、自分がいちばん印象に残ったところを紹介してもらうようにしています。
低学年の生徒の場合は、本のあらすじを説明してしまいがちになるので、保護者が紹介の仕方をアドバイスし、必要なところに付箋を貼っておくなどの準備をしておいてください。
■冬期講習
今回の冬期講習は、講座数が少ないため、満員になってしまうところが多くなりました。
希望した講座に入れなかった方には、申し訳ありませんでした。
次回の春期講習は、講座数を増やすようにしていきます。
■休講時の分散振替
講師の急な休講があった場合、代講の講師が代わりに入れないことがあります。
その場合、同じ時間帯の同じ講座のクラスに分散して振替で参加していただくことがあります。
そういうケースは、ほとんどないと思いますが、やむを得ない場合は分散振替になることがあるとご了解ください。
もとの講師の会場には、事務局が待機していて、生徒に会場の変更先を連絡するようにします。
■小学生の作文を上達させるポイントは親子の対話
小学生で作文が上達する子は、保護者への取材を毎回よく行っています。
子供に似た話を聞かれた場合、お父さん、お母さんは、自分の子供時代を思い出して、面白い話をたっぷりしてあげてください。
できれば、子供の課題を見て、事前に似た話の準備をしておくといいと思います。
また、小学生は、上手に書けた作文があったら、新聞社などに投稿してください。
その際、言葉の森の作文用紙は使わないこと、お父さんの会社の封筒などは使わないこと、複数の媒体に同じものを送らないことなどに注意してください。
■中学生、高校生は、パソコンで作文を書き、字数と森リン点を基準に
小学校高学年、中学生、高校生は、パソコンで作文を書くようにしてください。
字数と森リン点を基準にして勉強に取り組むと毎回の学習の目標ができます。
今後、大学入試でも、就職試験でも、文章力が問われることがますます多くなります。
学校では作文の勉強はほとんどないので、言葉の森の勉強で独自に作文力をつけていってください。
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反転学習の前提は、家庭で学習する習慣があることです。
しかし、両親の帰りが遅いと、子供は自分だけではなかなか家庭学習ができないことがあります。
そこで、オンライン自習室で、子供の入退室を管理し学習内容を記録する仕組みを作る予定です。
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https://youtu.be/9Zp0ujArVck
総合学力クラスでは、毎月第3週に暗唱の時間を取っています。
総合学力クラスは、学年が小1~小3の生徒が多いので、年齢的に暗唱がいちばん得意になる時期です。
暗唱が得意になる時期は、幼長から小2までです。
この時期は、模倣の時期なので、あらゆるものをすべてそのまま自分のものにすることができます。
だから、この時期のお父さん、お母さんの接し方はとても大事です。
子供は、お父さんやお母さんの生き方を模倣して成長していくからです。
お父さん、お母さんが毎日楽しそうに本を読んでいる姿を見せると、子供は自然に本好きになります。
この模倣の時期は小3まで続きますが、小4になると、今度は模倣から離れて自立の時期に入ります。
小3までは、親の言うことをよく聞いて言われたとおりに勉強していた子が、小4になると、親の指示に従わないときが出てきます。
実は、これが子供の正しい成長の姿です。
子供が反発するようになったら、それは子供がたくましく成長しているという証拠です。
逆に、子供がいくつになっても素直に親の言うことに従っていたら、その子は、大きくなっても頼りになりません。
親が将来話し相手になれるような一人前の子は、親に反発できる子なのです。
と、話が脱線しましたが、この小2か小3までの模倣の時期に最もやっておきたい勉強が暗唱です。
暗唱ができるようになると、読解力、表現力、思考力、語彙力、記憶力が育ちます。
こういう多くの効果がある勉強法は、ほかにはありません。
しかし、暗唱の勉強というのは、親自身が子供時代に暗唱をした経験がないので、子供にさせにくい面があります。
掛け算の九九などは、親がしたことがあるので、子供にさせることも無理なくできますが、暗唱は、プログラミングと同じように親がさせにくい勉強なのです。
ところが、総合学力クラスで、みんなが暗唱の発表をする機会があると、ほとんどの子が自分から進んで暗唱の練習をするようになります。
子供は、友達と一緒に暗唱したところを発表し合うのが楽しいのです。
総合学力クラスでは、毎月1週から4週まで、国語、算数、暗唱、発表という順序で週ごとに勉強をしていきますが、国語と算数は、勉強習慣をつけるというような意味なので、他の塾での勉強と内容的に大差はありません。
しかし、暗唱と発表は、ほかではまずやる機会のない勉強です。
国語と算数の週は、自由になにをしてもいいので、この週のときも暗唱を選ぶ子もよくいます。
このあたりは、自由選択になっています。
小2の終わりまでに暗唱の力をつけ、暗唱のコツを身につけておくと、それは高学年になっても、中学生になっても、高校生になっても、更には社会人になっても役に立ちます。
今、オンラインの英語クラスでは、英文の暗唱を勉強の中に取り入れていますが、日本語の暗唱のコツをつかんでいる子は、この英文の暗唱もすぐにできるようになります。
この英文の暗唱が、英語の学力の土台として最も役に立ちます。
野口悠紀雄さんの「
図解超英語法」の本に、英語と暗唱の話がわかりやすく載っています。
https://www.mori7.com/izumi/gazou/2022/7201500140.jpg
「教科書を全部覚えていれば、試験はほぼ完全にできる。単語の意味がそれが含まれる文章を思い出せば、前後関係からわかる。穴埋め問題もすぐにわかる。英作文は、覚えている文章を基本にして単語を適宜入れ替えるだけだから、簡単だ。あまりに簡単なので、まるでルール違反をしているような後ろめたささえ覚えた。」
野口さんは、大学生になると、ケネディ大統領の就任演説を全文暗唱したそうです。
卒業して役所に入り、アメリカに留学する機会がありましたが、英語で苦労した思い出はなかったということです。
先日聞いた話ですが、言葉の森の高校生で、「英語好きな子に育つたのしいお話365」の「桃太郎」「かぐや姫」「赤ずきん」「ガリバー」「ヘンゼルとグレーテル」「ジャックと豆の木」の文章を暗唱した生徒が、英語が超得意になったいうことでした。
https://www.amazon.co.jp/dp/4416716311/
「暗唱って何の役に立つのですか」と聞かれる方がよくいますが、やってみなければわからないというのが正直なところです。
だから、小学2年生までのうちに、何しろ日本語の暗唱に慣れておくといいのです。
英語の暗唱は、今後AI翻訳の実用化によって、暗唱学習の意義は薄れるかもしれませんが、日本語は日本人にとっては、伝達の手段であるとともに思考の手段です。
日本語の暗唱力をつけておくことは、子供たちの将来の学力の土台になります。
私がこれまで子供たちの暗唱を見ていて思うのは、暗唱力と頭のよさは関係が深いということです。
中学生や高校生でも、成績のいい子は、暗唱がすぐにできます。
逆に、暗唱のできる子は、成績もよくなります。
林学博士の本多静六氏は、大学生時代、赤点を取った数学を暗唱の勉強で一気に学年一番の成績にまで引き上げ、卒業時には恩賜の銀時計を賜るまでになりました。
何を暗唱したかというと、数学の問題集の例題をすべて暗唱できるようにしたということです。
この勉強法は、「
数学は暗記科目である」を書いた渡部由輝さんや、「
数学は暗記だ!」を書いた和田秀樹さんと、本質的には同じ勉強法です。
暗唱をするから頭がよくなるのか、頭がいいから暗唱が得意になるのかと言えば、どちらもあると思います。
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言葉の森が、なぜ暗唱の勉強を始めるようになったかというと、音読の勉強は徹底させにくかったからです。
言葉の森の長文を毎日音読できる子は、かなり限られています。
数少ない長文を何度も繰り返し音読すれば、作文力も読解力もつきます。しかし、それがなかなか続かないのです。
小学校低学年のうちは何とかできても、高学年や中学生になっても音読を続けられる子はほとんどいません。
今は学校でも音読の勉強をするようになったので、更に音読は続けにくい勉強になりました。
「速音読」などという本も出ていますが、これも続けられる子はまずいません。
音読は繰り返すことに意味があるので、1回や2回読んでも効果はありません。
音読の勉強が続かない最も大きな原因は、結果が見えないことです。
しかし、暗唱の勉強は結果が見えます。そして、最初は無理だと思っていたことができるようになると、達成感があります。
そこで、言葉の森では、暗唱検定を作り、暗唱文集を作り、子供たちの暗唱が続けやすくなるようにしたのです。
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