ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 464番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/5
読む学力、書く学力。解く学力、作る学力(その1) as/464.html
森川林 2009/04/23 09:03 
 現在の社会では、学力を上げるためにテストを課すというような勉強が行われています。しかし、そのテストで十分に正しい学力が測れないと考えられる場合は、さらに正しい学力を評価できるようにテストを工夫するというようなことが行われています。しかし、もともとテストのための学力は、本質的に問題を解くための学力です。これに対して将来求められてくるのは、解く学力ではなく、作る学力ではないのかというのが今回の話です。
 学校制度が今のように整ってはいない過去の時代の勉強は、作る学力が中心でした。第三者が学力を評価するという仕組みが社会的に広がっていなかったからです。
 しかし、やがて社会が安定し、学校制度や評価制度が整うようになると、テストで評価するための学力観が登場します。そしてこの評価のための学力で高得点を上げる人、つまり受験秀才がだんだんと組織のトップに立つようになっていきます。しかし、受験秀才は必ずしも作る学力に優れているわけではないので、その組織や社会が衰退するというケースも生まれてきました。
 この解く学力、作る学力は、言葉を換えると、読む学力、書く学力ということもできます。もともと、読む学力は、書く学力のためにあるものでした。しかし今は、読む学力そのものが自己目的化しています。そのために、国語の問題では、消去法で選択問題の正解を選ぶというような問題作りが一般的になっているのです。
 解く学力、作る学力は、テストのための学力、向上のための学力と言い換えることもできます。
 テストのための学力では、勉強の動機が他人からの評価や志望校への合格になります。そのため、与えられたゴールを目指して能率よく学習を組み立てていくというのが勉強の中心的なスタイルになっていきます。そこでは、勉強は、ゴールに向かってできるだけ苦手をなくすという方向に向かいがちです。
 それに対して、向上のための学力では、その動機が自己の向上や、社会への貢献や、学問的な創造になっています。ここでのゴールは、他人から与えられたものではなく、自分で作ったゴールです。従って、ゴールに向かって自分の得意を生かすというような発想で勉強が行われる傾向があります。
 実は、このゴールに向かって苦手をなくす勉強と、ゴールに向かって得意を生かす勉強のバランスが重要です。つまり、幅広い知識を土台に、個性と得意と夢を生かすというような勉強がこれから求められてくるのです。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)


この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

記事 463番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/5
暗唱が難しいという場合 as/463.html
森川林 2009/04/22 11:40 
 保護者の方から、自習の暗唱がなかなか進まないという相談を受けました。
 3.4週と4.1週の低学年の長文に関しては、文章が難しかったので、読みにくかった面もあります。難しくてなかなか読めない場合は、1週間で300字という字数の目標をもっと短くしてもかまいません。
 暗唱ができない理由の一つに、家族の協力がない、意義がわからない、などもあるようです。
 お母さんが毎日子供たちに暗唱させようとしても、お父さんがあまり協力的でないと、毎日続けるのが難しくなることもあります。また、お父さんが熱心でもお母さんがあまり熱心でないという逆の場合もあります。今のお父さんお母さんの世代は、子供時代に暗唱という形の勉強をあまりしていないので、子供が同じ文章繰り返し読むというスタイルの勉強していると、違和感を感じることもあると思います。
 そこで大事なことは、暗唱の形にあまりとらわれず、やりやすい方法で暗唱できるようにしていくということです。そのためには、お父さんやお母さん自身も、自分で何度か100字10分間、又は1週間で300字の暗唱の練習をしてみるといいと思います。そうすると、暗唱の練習でどこか難しくどこか面白いのかということが実感として分かってきます。そうすれば、子供に対する働きかけも、実態に合ったものになっていくと思います。

 暗唱の仕方は、多少弾力性があっても構いません。毎日暗唱するのが原則ですが、土日は遅く起きてくるので暗唱ができないということであれば、あらかじめ土日は暗唱ではなく読書をすると決めておいてもいいのです。また、子供によっては、100字を10分間暗唱するよりも、最初から300字を全部暗唱する方がやりやすいという子もいると思います。そのようにある程度臨機応変に取り組んでいってください。
 暗唱はゆっくり読むよりも早口で読んだ方が回数が増えるので覚えやすくなります。極端に言うと、聞き取れないような早口で読んでもかまいません。そして、そのような早口で読んでいても、その結果すっかり覚えてしまえば、それからは普通の速度で読んでいけばいいのです。このように、形にとらわれず内容本位の暗唱をするためにも、お父さんやお母さんが何度か自分で暗唱の経験をしてみるといいと思います。

 俳優がセリフ覚えるときは、声を出さずに覚えると言われています。しかしそれは、セリフの内容を覚えて場面に合ったセリフを言うことが目的だからです。暗唱は、内容を覚えるものではなく表現を覚えるものですから、音読で覚えていくのが原則です。
 文章を数回読むだけの音読の勉強は、一般につまらない勉強になりがちで、どうしても反復する回数が減ります。それに対して、暗唱の勉強は、暗唱ができたときに達成感があるので、反復の回数が増えます。ここで、大事なことは、暗唱は覚えることだけが目的ではないということです。覚えることを目標にして反復して読むということで、実は反復することが本当の目的です。ですから覚えたらおしまいというのではなく、覚えても10分間は読み続けて、覚えたものをさらに楽々と空で読めるようにしてください。

 暗唱によって右脳が開発されるという理論があります。短い文章は左脳で理解しながら読むのに対し、長い文章は大量に読むと左脳では処理しきれなくなるので右脳の方に直接入るというのです。しかしこの理論は、実際に確かめられているわけではありません。私は、この考え方よりももっと単純に、長い文章を何度も読むことによって、処理できる文章の単位自体が大きくなるのではないかと考えています。つまり、短い文章をつなげて理解するのではなく、長い文章を長い文章のまま理解する力がついてくるのだと思います。

 そろばんなどは慣れてくると、超人的なスピードで計算することができるようになります。暗唱も同じです。最初は、誰が読んでも同じぐらいの量を同じぐらいの時間でしか暗唱できませんが、暗唱の勉強を重ねるにつれて、数回読めば数十ページ暗唱できるというような力が育ってくるようです。
 現在、記憶術という方法がはやっています。これは、記憶する技術を利用して物を覚える方法です。しかし、記憶術で記憶力がよくなるのではありません。暗唱の勉強はこの記憶術のような勉強ではなく、記憶力を育てる勉強です。逆説的ですが、記憶力を育てるためには、覚えることを目的にするのではなく、何度も繰り返して読んで、読み取る文章のひとまとまりを長くすることに慣れていくことです。
 暗唱がなかなかできないという子は、覚えることを目的にしているために、かえって読む回数が少なくなっていると思います。覚えようと思わずに、100字の文章をただ10分間、又は30回繰り返して読めば、ほとんどの子はいつの間にかその文章を覚えてしまいます。暗唱は、そのような単純な勉強として取り組んでいってください。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 
コメント431~440件
……前のコメント
読解検定12月 森川林
 1月の読解検定の締め切りは2月4日になります。  昨日お 1/27
記事 4161番
読解検定12月 森川林
 ホームページの「読解検定12月」のリンク先の「試験問題」の 1/27
記事 4161番
読解検定12月 yuri
1月の読解検定(2/13・14実施分)の申し込み締切はいつで 1/27
記事 4161番
読解検定12月 aora
読解検定の日時を過ぎてしまった場合。解答はどこから送信すれば 1/24
記事 4161番
【合格速報】開 A.K
受験勉強で大変困難な状況だと思います。2月の受験で全力を尽く 1/18
記事 4165番
新年の挨拶―― 森川林
 国語力をつける方法は簡単です。それは、難しい文章を繰り返し 1/1
記事 4159番
新年の挨拶―― 森川林
 約3か月ぶりの投稿です。長い休養期間の間に、言葉の森の今後 1/1
記事 4159番
読み書きによっ
こんにちは 10/17
記事 1139番
読解検定9月説 くるみ
小学校高学年から読書しなくなった高校生。どんなアプローチで読 10/13
記事 4137番
コロナ後に来る 森川林
 今大事なのは、これからの世の中の大きな流れを考えておくこと 10/7
記事 4141番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
WinSCPの 森川林
ダウンロードとインストールは、特に問題なく、次々と進めて 12/4
プログラミング掲示板
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習