●動画:
https://youtu.be/LPsAy3hhz00
教育の本質は、人間の関わりの中で学ぶ学問と創造です。
勉強の力をつけるだけであれば、能率のよい教材はいくらでもあります。また、勉強法も優れたものが数多くあります。
しかし、大事なのは、その教育の周りの環境である身近な人間と社会です。
それは、人間が身体を持つ存在で、特定の空間と時間の中で生きているからです。
一緒に勉強する友達や先生との関わりの中で学び、現在の社会に対する問題意識を持ち、新しい何かを創造しようとすることが、人間の人間らしい学び方です。
そこが、AIの学び方と人間の学び方の違う点です。
言葉の森のオンラインクラスの特徴は、全員が対話に参加できる少人数であることです。
勉強する時間が中心なので、対話の時間は限られていますが、クラスの中で生徒どうしや先生と生徒との関わりがあることが、勉強そのものと同じぐらい大事なものだと考えています。
しかし、これまでは、生徒どうしや生徒と先生の間のコミュニケーションはあっても、保護者とのコミュニケーションは、必ずしも十分とは言えませんでした。
そこで、今度、個別れんらくのほかに、発表室連絡という形で、そのクラスの生徒保護者全員に対して、クラスごとの連絡をできるようにしました。
いわゆる「クラス通信」のようなものです。
オンラインクラス一覧表にある「発」の発表室に、講師が投稿した場合、その連絡がそのクラスの参加者にメールで届きます。
保護者の方は、それを見て、今、そのクラスでどんなことが行われているかを知ることができます。
また、それに対して、個別れんらくやその発表室で返信することもできます。
言葉の森が考えているのは、昔の寺子屋教育を現代のオンライン環境とネットワーク技術で新たに復活させ、更に創造性のある教育を行うことです。
そのために、今後、コミュニケーションを生かす教室作りをしていきたいと思っています。
今、熱心に受験勉強に取り組んでいる方の感覚とは少しずれると思いますが、私(森川林)の勉強に対する基本的な考え方です。
言葉の森で作文教室を始めたとき、ごく自然に、「国語の勉強を教える学習塾のような教室にはしない」と思っていました。
できない子をできるようにするというのは、誰でも思いつきます。
そして、そういう教室はいくらでもあると思っていたのです。
作文は、できない子をできるようにする教室ではなく、できる子をそれ以上の創造的な子にする教室にしたいと考えていたからです。
しかし、実際に作文教室を運営していると、国語の苦手な子が多いわりに、国語を教える教室というものはないことがわかりました。
作文を教える教室も、もちろん当時はひとつもありません。
だから、始めたばかりの作文教室で、生徒はほとんど集まりませんでした。
しかし、当時作文教室に来る少数の生徒は、みんな優秀な子ばかりでした。
この傾向は、今も続いていて、低学年で作文の勉強を始める子は、どの子もかなり優秀です。
ところで、作文の勉強に比べると、国語の勉強は実は簡単です。
難しい本をばりばり読むことが基本で、あとは、問題の解き方のコツを理解するだけです。
問題の解き方のコツは、1、2時間じっくり説明すればだれでもわかり、それから成績が急上昇します。
こういうことを教えられる先生が学校にいないだけです。
数学の勉強は、1冊の問題集を完璧に仕上げることと、解法を理解することです。
時間をかければ、誰でもできます。
英語の勉強は、1冊の問題集を完璧に、ということは5回以上繰り返して仕上げ、英文を丸ごと暗唱することです。
こういう勉強的なことは、本人がやる気になればすぐできることで、わざわざ他人が教えるようなことではないと思います。
答えのある勉強は、やり方がわかれば誰でもできるのですから、わざわざ人に教えてもらう必要はありません。
では、何が大事かというと、それは、出会いと挑戦です。
自分が知らなかったことや考えていなかったことを、知っていたり考えていたりする人に出会うことが自分を成長させます。
また、自分がやったことのないことを勇気を持って挑戦するときに、人間は成長します。
答えのある勉強をできるようにすることは、やれば誰でもできることなので、人生の主要なテーマではありません。
やる気になったときに時間をかけてやればいいだけです。
大事なことは出会いと挑戦で、特に挑戦です。
しかし、真に価値ある挑戦をするためには、学力の土台が必要になるということです。
言葉の森のオンラインクラスには、勉強の時間以外に、読書紹介や一人一言の時間があります。
これらの時間は、一見雑談の時間のように見えますが、子供たちの中に残るのは、そこで勉強した中身よりも、こういう交流と発表の時間の方です。
人間は、受け身で参加する授業によって成長するのではなく、自分から進んで発表したり行動したりする授業によって成長します。
こういう創造発表型の教育の主なものが、作文と創造発表とプログラミングです。
しかし、今後、国語読解、算数数学、英語の授業も、創造と発表の面を生かせるようにしていきたいと思っています。