ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 4692番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
春期講習の創造発表クラスの説明 as/4692.html
森川林 2023/03/22 13:13 


 春期講習は、それぞれのクラスの発表室に、授業の内容を入れる予定です。

 中根が担当する10:00の「春講創造発表(小学生の図工理科)」、11:00の「春講創造発表(中学生のディスカッション)」は、新しい試みなので、先に説明します。

●小学生の図工理科

 「小学生の図工理科」は、図工理科掲示板などを参考に、自由に、図工、理科実験、調査研究をして、その結果を発表してください。
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=122
(図工理科掲示板はオンラインクラス一覧表の「春講創造発表クラス」のタイトルから行けます)

 創造発表は、チャレンジすることが大事ですから、結果がうまくいかなかったり失敗したりしても、それ自体が発表になります。

 今年の夏休みに、たぶん自由研究コンテストなどがあります。
https://kids.gakken.co.jp/jiyuu/contest2022/

 発表は、自由研究コンテストなどの練習として行っていくといいと思います。

 発表の方法は、次のような形でお願いします。
1)ノート見開き2ページぐらいにまとめて写真を撮り、発表室にアップロードする(ページ数は多くてもいいです)
2)パワーポイントを作り画面共有でみんなに見せる
3)写真や動画をGoogleフォトにアップロードする
4)動画をYouTubeにアップロードする
 動画は、スマホでも撮れますが、Zoomの個人アカウントを取得しレコーディング昨日を使って作成することもできます。

●中学生のディスカッション

 主に時事的なテーマを中心に、2000字程度の文章を2本から3本読みます。
 それぞれの文章を読んだあと、1人2分程度意見を述べ、そのあとディスカッションをします。

 テーマの文章は、言葉の森の課題長文や、「2023年の論点100」(文藝春秋社)などから選びます。
 高校入試、大学入試レベルの文章が多くなります。

 課題の文章は、随時「創造発表掲示板」及び、そのクラスの発表室にアップロードします。
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=sh

 「創造発表掲示板」は、オンラインクラス一覧表の「春講創造発表クラス」のタイトルから行けます。

【課題の文章の例】

■わずか一粒の種から(me2-1.4週の長文から)

 【1】わずか一つぶの種から一万個以上もの実をつけたトマトの巨木きょぼくがある。遺伝子組み換えく か などの新しい技術により、このようなトマトができたのかと想像されるかもしれないが、そうではない。
 このトマトは、一本の根幹から何千もの枝が分かれて、トマトの実を結ぶ。【2】最も多いときで、一万個以上が実るというから確かにすごい。その秘密は、太陽の光と、水と空気の恵みめぐ 充分じゅうぶんに受けて土なしで育てるところにある。水中の養分を補えば、根の部分は水中に浸しひた ておくだけで栽培さいばいできるのである。
 【3】つまり、植物がその成長能力を最大限に発揮する上で、土は不要ということなのだ。
 むしろ、土に根を生やしているがために、潜在せんざい的な成長能力は一定に押さえつけお    られている。一万個も実をつけるトマトは、実際、土とは無縁むえんである。【4】これが、植物の成長にとって理想的な環境かんきょうだというのである。
 将来、人類が地球を出て、宇宙で生活するためには、このような栽培さいばい法が、どうしても必要となる。この巨大きょだいなトマトの木は、生き物にはまだまだ私たちの知らない、無限とも言える可能性が秘められていることを、見事に示した。
 【5】一方、科学用語のひとつに、「最適規模・最適値」という言葉がある。ある環境かんきょうの中の最適な数や量のことで、自然界は、非常にうまくこの最適規模を守っている。(中略)
 この観点からすると、一つぶの種から一万個も実をつけるのは本当に良いことなのか。
 【6】個別にその植物だけを取り出して考えると、問題は解きほぐせない。大地、植物、光、水、大気という自然界全体の成り立ちを視野におさめて、初めてひとつの答えが導き出される。
 【7】植物は、大地に根を生やし、成長して実をつける。その樹液や花のみつ、木の実などを食べて生きる虫や小動物がいる。それを食べる動物もいる。死んだ動物は土にもどり、微生物びせいぶつによって分解され、植物の養分となる。【8】こうして巧みたく 循環じゅんかんがなされているからこそ、自然界は過不足なく成り立つのであって、何処かの連鎖れんさが断たれると、問題が生じる。
 木を切りすぎると動物もいなくなり、大地は枯渇こかつして砂漠さばく化す∵る。一つぶの種だけが無際限に繁殖はんしょくすると、全体が危機に瀕するひん  
 【9】このように見てくると、普通ふつうのトマトが、一つぶの種から一万個も実をつけないのは、土によって本来の成長をじゃまされているのではなく、生態系全体の中での適正な成長規模を守っているからだとも考えられよう。【0】
 遺伝子情報としては、一万個を実らせる能力を書き込まか こ れているのだろうが、ぎりぎりまで発現させることは通常ないのである。
 複雑な生命体は、私たちの想像を超えるこ  潜在せんざい能力を持っているとみてよい。しかし、生物相互そうごのかかわり合い、生物と自然とのかかわり合いの中で、能力の発現は一定に保たれる。つまり、生態系という高いレベルの有機的な秩序ちつじょが保たれていくために、最適値がある。
 この生物の中に人類も含まふく れる。科学・技術を発達させ、際限なく生産の拡大を図るだけでは、人類はいつか行き詰るい づま 。そして、次の世代に大きな負の遺産を残すことになる。
 人間は、限度を超えこ て物が増えた分だけ、心が貧しくなり、寂しくさび  なっていくのではないか。それを解決するには、人間の慎みつつし が必要である。
 先ごろ、ノーベル平和賞を受賞したケニアの女性環境かんきょう保護活動家ワンガリ・マータイさんが、日本語の「もったいない」をエコロジーの言葉「モッタイナイ」として世界に紹介しょうかいしたように、「慎みつつし 」も新時代の人間の生き方を表す世界の共通語「ツツシミ」となるよう広く伝えていきたいものである。
 「モッタイナイ」は単に物を節約することではないし、「ツツシミ」は欲望を消極的に抑えるおさ  ことではないだろう。
 この言葉の背後には、人類を含めふく た生物が、大自然の偉大いだいな力「サムシング・グレート」により生かされているということに対する感謝の気持ちが込めこ られている。

村上むらかみ和雄かずおの文章による)


■メタバースは脳化社会の到達点 養老孟司(文藝春秋オピニオン 2023年の論点100から)

 メタバースと聞くと革命的な未来世界を想い描く人が多いらしい。でもテレビからパソコンやスマホへと移り変わったのと似たようなことで、とくに革命的な変化が生じるわけではなく、その意味では過去の延長になる。
 テレビが徹底的に普及して日常生活がテレビ漬けになった時代に育った子どもたちが大学生となり、その連中を教えていた私は、「しらけ世代」という言葉を知って、なるほどと思ったものである。子どもたちが夢中になって見ているテレビの中の世界は、脚本の都合によってのみ進行してしまう。主人公が危険な目に遭っていても、そこにはどうにも手が出せない。自分のすることは、どんなに頑張っても、その世界になんの影響も与えない。つまり自分には関係のないこととして、「しらける」しかない。次の世代でゲームが大流行したときに、そりゃ当然だと感じた。テレビでただ見ていた世界にやっと「自分の手が出せる」状況が来たからである。
 メタバースはいわばその完成形で「手を出す」どころか、丸ごとテレビの世界に入ってしまうんだから、完成形というしかあるまい。これこそ脳化社会の到達点であろう。
 私が研究者になりたてのころ、大学に動物実験棟ができた。私の研究室にはまだエアコンがないのに、動物実験棟は冷暖房完備、餌と水は常時供給される。私はへそ曲がりだから、そんなところに飼われているものは動物じゃないと真剣に思って、自分の研究対象を野生の動物に変えた。現代の実験研究者として挫折のはじまりである。
 テレビがテレビゲームになり、次にメタバースになるのは必然であろう。なにをいまさら、という感がないではない。いわゆる現実の世界とメタバース世界の違いはなにか。落合陽一流に言えば、質量のある世界とない世界であろう。質量による制限を取っ払った世界、それは意識が理想とする世界である。
 そこに入ったヒトは動物実験棟の実験動物と同じである。意識的にコントロールされた環境で、「自由に」さまざまな行動をする。メタバースの世界は行動心理学者の理想の世界でもある。頭の中でなにを考えていようが、特定の条件下で特定の行動が起きるとわかればいいからである。メタバースは、ヒトの世界をコントロールしようとする人たちにとって、最高のデータを供給することになろう。いまのビッグ・データも使えないではないないが、厳密性が不十分なのである。ただしこれはメタバースの悪用の典型だと私は思う。メタバースは実用に使ってはいけないのである。文学や芸術と同じジャンルに属するものだと私は信じるからである。
 質量のある世界にはたとえば重力定数のような制限が存在する。メタバースであれば、定数の値をどうにでも定められる。簡単に月世界に行けるのである。
 現在メタバースを制約しているのは、質量のある世界、つまりハードである。現在の機械はまだ無細工で重いし、扱いにくい。これが軽量化して、現在のスマホ程度のものになるなら、メタバースは世界を席巻するはずである。好むと好まざるとにかかわらず、世界がメタバースに向かっていくのは、さまざまな意味で必然であろう。人類の歴史観を変える
 私自身がメタバースに関わろうと思ったのは、未来と同時に過去を考えたからである。老人なら当然のことである。十月にはラオスの森を取材したが、現在の自然破壊はとどまる所を知らない。ラオスの森もいつ消えてなくなるか、知れたものではない。その保全を叫んだところで、だれも聞いてくれるはずがない。自然破壊の根源はもっと深い所にあるからである。それならその記録を一部なりとも後世に残したい。百年後にラオスの森を散策出来たら、後世に対するよい贈り物にならないか。
 メタバースでお爺ちゃんが孫と一緒に近所を散歩する。二人が見る風景は、お爺ちゃんがかつて見たものである。いまはすっかり変わってしまったとしても。こうした試みが進めば、人類の歴史観がやがて変わるであろう。歴史を作っていくのは、常人の日常であり、政治家や大先生の作為ではない。日常の積み重なりが歴史の必然を作る。
 このようにメタバースは単に未来を拓く存在というだけではない。現に我々がやっていることを、違う視点から見直させてくれる。私は世界をより深く理解させてくれるものとして、哲学や科学ではなくメタバースに期待している。したがって、これがなんらかの「実用」に使われることを警戒している。当初は金になるからやる、という傾向が出ることは当然予期できる。やがて問題点が頻出するであろうという予測もできる。その意味で現在の文学や芸術と似たような地位に置かれることが望ましい。どちらも人と世界を変える力をもってきたが、それが本来ではなかった。むしろただひたすら人生を豊かにしてきたのである。どの分野もそこに集中して生きる人がいるが、やがてメタバースもそうなるに違いない。
 スマホのように使える簡易なハードの実用化はここ二、三年のうちだと言われている。とはいえそれは私にはわからない分野である。どうせそうなるだろうと勝手に考えている。これは期待というより必然であって、いうなれば、そうなるに決まっているからである。
 文学も芸術も、金にならないわけではない。しかしそれはあくまでも結果としてであって、本来はお金が目的ではないのは当然のことである。メタバースに関して、いまなにか言うとしたら、言いたいことはそれだけである。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
春期講習(0) 

記事 4691番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
読解検定高2の2月の問6の解説 as/4691.html
森川林 2023/03/22 11:42 
 読解検定高2の2月の問6の解説です。

○ A 藤子不二雄は、少年のころ、マンガ雑誌が簡単に手に入らないので、自分たちでマンガを書いた。
× B 人間は、退屈を克服しようとして社会と自分自身を進歩させてきた。

 なぜ、Bが×なのかというと、

1)ラッセルの言葉「退屈は、有史時代を通じて大きな原動力の一つであったし、とりわけ現代においてそうである」は、原動力ということだけであって、進歩の原動力ということではないからです。

 そして、ラッセルは、今は、むしろ子供たちに、「ショーだの、おいしい食物だのといった消極的な娯楽をたくさん与えすぎている」と述べているように、退屈は退歩の原動力になってさえいるということだからです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読解力・読解検定(0) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習