テッポウユリ
読書には、大きく分けて、物語文の読書と説明文(意見文も含む)の読書があります。
物語文の読書のひとつの役割は、感受性を育てることです。
本を読んで感動するとか、本に夢中になるとかいうときの読書が、感受性を育てる読書です。
本の内容に感動するためには、ある程度の長さの本であることが必要です。
子供たちの読書記録を見て少し気になるのは、最近、短い文章を集めた本が多いことです。
「5分後に意外な結末」とか、「10分で読める名作 ○年生」のような本です。
もちろん、こういう本も読んでいいのです。
しかし、読書好きな子は、こういう本を物足りなく感じるはずです。
今の社会風潮で、手軽にあらすじがわかるようなものが求められているので、こういう本が出てくるのだと思います。
子供に薦める物語文の本は、じっくり読めるものにする必要があります。
低学年の生徒が読む本には、絵本と字の多い本があります。
本を読んで感動するという点では、絵の多い本も字の多い本も同じです。
しかし、絵本では、読む力は育ちません。
読む力が育たないと、本を読む楽しさがわかりません。
絵本ばかり読んでいると、絵本の次に続く字の多い本が出てきません。
親の読み聞かせも含めて、低学年のうちから、字の多い本の面白さがわかるようにする必要があります。
字の多い本で、低中学年の子に薦めたいのは、「かいけつゾロリ」のような、面白いがそれなりに文章がしっかりしている本です。
こういう本で字の多い本の面白さに目覚めたあとに、本格的な物語文の本に進んでいくといいのです。
講談社の青い鳥文庫は、漢字にすべてふりがなが振ってあります。
低学年の子でも、ふりがながあれば読み進められます。
ただし、本選びは、内容的に面白いものであることが必要なので、親が中身に必ず目を通しておくことが大切です。
有名な本だから読ませるというのは、あまりよくありません。
本の中には、子供が成長してから読んだほうがいいものもあります。
それを、有名だからという理由で低中学年のうちに読ませると、その本の本当の価値がわからないまま、読み終えたということになります。
こういうことを理解するためには、親自身が本好きであることが必要です。
小学生の間は、絵の多い本よりも字の多い本、短い文章が集まった本よりも長いひとつづきの本ということを基準に本選びをしていくといいと思います。
小学校高学年や中学生以上の生徒の読書については、物語文よりも説明文の本ということが基準になります。
問題集読書で、子供に問題集の問題文を音読させてみると、ほとんどの生徒が、一つの文章で1か所か2か所読み間違いがあります。
なぜ読み間違いがあるかというと、そういう語彙にそれまで接したことがなかったからです。
1か所も読み違いなく問題集の問題文を音読できる生徒は、それだけで国語の力があることがわかります。
そういう生徒は、読解問題の解き方のコツを理解するだけで、すぐに国語の成績が上がります。
読み違いのある生徒は、解き方のコツを理解しても、少し難しい文章になると読み取れなくなります。
この差は、説明文の読書をしているかどうか、又は、問題集読書を毎日しっかりしているかどうかの差です。
説明文を読む力は、国語の力にとどまりません。
日本語の説明や意見という抽象的な語彙を読み取る力は、実は思考力なのです。
川島隆太さんの記事が参考になります。
▽「読書をする子は楽々と平均点を超える」
https://magazine.chichi.co.jp/articles/5698366208/
勉強は、成績を上げますが、頭をよくするわけではありません。
読書は、成績を上げませんが、頭をよくします。
だから、小学生時代に本をよく読んでいる人は、中学生、高校生になるにつれて、国語だけでなく全教科の成績がよくなります。
反対に、小学生時代に本をあまり読まずに勉強ばかりしている人は、しばらくは成績がいいとしても、中学生、高校生になるにつれて、成績が低迷していきます。
現在、オンラインクラスでも行っている読書紹介は、子供たちの読書量を増やす上で大きく役立っています。
友達の読んでいる本を見て、読書の質を高める面もあります。
しかし、本の内容が、まだ不充分だと感じることはよくあります。
そこで、今後、読書紹介としてみんなに紹介するような本は、小学生の場合は、字の多い本、中学生の場合は、説明文の本ということを基準にしたいと思います。
もちろん、読書は、いろいろな本を並行して読むものですから、絵本を読んだり、短い話の集まった本を読んだり、面白い物語を読んだりすることは、いいことです。
しかし、それと並行して、娯楽の読書だけでなく、学問の読書をしていくということを意識していくことが大事なのです。
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東京学芸大学附属国際中(編入試験) I.Hさん
<担当講師より>
とても吸収力のある生徒さんでした。受験コースに取り組んだのは短い期間でしたが、ぐんぐんと書く力をつけていってくれました。引き続き、作文クラスを受講してくださるとのこと。さらなる成長が楽しみです。
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ミニトマト
次のような記事がありました。
「大学進学者の8人に1人が辞めている衝撃の事実。指定校入学者8割、一般入試10割という中退例も…大学側が伏せる不都合な真実とは」
https://news.yahoo.co.jp/articles/27c40b20b97317e8b978a155acc74cd98d6edf57?page=1
私がこの記事を見て思ったのは、そもそも「大学に入ることがゴール」になっていることが問題なのではないかということです。
今の保護者と保護者の両親、つまり子供にとっての父母と祖父母は、過酷な受験競争を経てきた世代です。
父母と祖父母の若いころは、多くの人にとって大学に入ることが勉強のゴールでした。
大学の先は、どこか適当なところに就職すればいいので、何しろいい学校に入っておきさえすれば、あとは何とかなるという考えでよかったのです。
だから、今の子供たちの教育の目標も、多くは、「いい大学に入ること」になっています。
そのために、いい高校に入ること、いい中学に入ること、いい成績を上げることが勉強の目的なのです。
そして、受験勉強のノウハウは、学習塾や予備校によって、現在はかなり完成度が高くなっています。
だから、塾や予備校で先生の教えたとおりのやり方でやれば、成績が上がるという仕組みになっています。
しかし、そのノウハウの基本は、よく出る問題の解法の詰め込みです。
大人の敷いた完成度の高いレールに沿って、ただひたすら時間をかけて詰め込めば、その詰め込み度に応じて成績が上がります。
だから、今の受験勉強は、かつての中国の科挙に似てきています。
科挙に合格した人は、中国全土の最も優秀と言われた人たちです。
合格すれば、本人だけでなく、一族も一生安泰でした。
しかし、その最も優秀な科挙の合格者によって支えられた清朝政府は、西欧の侵略に為すすべもなく屈服しました。
おおまかに言えば、科挙の合格をゴールにした人たちに、国を支える力はなかったのです。
今の受験勉強の勝者も似ています。
小学生のころから、ひたすら受験を目標にした勉強生活を続け、中学、高校と勉強中心の生活を続け、念願の大学にゴールインしたあと、大学から先の目標がなくなってしまう人が多いのです。
それは、実は、大学はゴールではなかったからです。
社会に出て、自分らしい仕事をすることこそが、永続するゴールです。
社会に出て、仕事をし、リーダーになり、自分が理想とする社会を目指して日々努力することがゴールなのです。
その大きいゴールから考えれば、途中の過程は、多少省略してもいいものです。
小学生のときに遊んでばかりいて勉強しなかったなどというのは、将来のゴールにとっては何のマイナスにもなりません。
苦手な科目があるとか、勉強があまり得意でないとか、自分の好きなことばかりしているとかいうのも、何のマイナスでもありません。
大事なことは、マイナスをなくすことではなく、プラスを伸ばすことです。
小学校、中学校、高校と、自分の好きなことをして(勉強も、もちろんしていいのですが)、大学に入った人は、大学では更に自分の好きなことに磨きをかけ、そのまま社会に出ていきます。
社会に出てから活躍することが、本当の目標なのです。
今の子供たちの両親と祖父母の世代は、子供の教育に対する考え方を軌道修正する必要があります。
現在の多くの人の教育観のもとになっているものは、一部は高度経済成長時代の価値観で、もう一部は停滞した安定社会を前提とした価値観です。
しかし、これからは、そういう時代ではありません。
新しい時代は、すべての人に創造性が求められる時代です。
新しい時代の教育の目標は、簡単に言えば、ゴールが大学に入ることではなく、社会に出て社長になることと思えばいいのです
大学の中退者が多いという問題の対策も、中退者を減らすことではなく、大学の先のゴールを作ることこそが本当の対策です。
ところで、自分の好きなことをして社会に出て活躍するというのは、ユーチューバーになったり、タレントになったり、スポーツ選手になったりすることではありません。
それは、今の社会の既成の枠に乗って勝者を目指すだけの生き方です。
他人につけられる順位は、一時的にしか自分の生きる目標になりません。
社会に出てさまざまな生活をしたり仕事をしたりする中で、その経験を通して感じた矛盾を自分らしく解決することが創造性のある新しい仕事の出発点です。
だから、学生時代は、さまざまな本を読み、さまざまな経験をし、自分を高めていくことが目標で、そのさまざまな経験の中に勉強することも入っているということです。
勉強は、いい学校に入るための手段ではなく、自分を向上させるための手段なのです。
私は、言葉の森で勉強する子供たちを、将来どんな大学に入るかということで見ていません。
子供たちがそれぞれ、将来、どんな社長になるかということで見ています。
今、成績がいい子も、成績が悪い子も、それぞれ個性を生かして、自分の得意分野で社会のリーダーになっていけばいいのです。
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ただ、環境を選ぶことは学友や学校生活の質、という意味もありますし、そもそも仕事ができる人って一様に相当タフなので、フォームの決まった受験勉強くらいはこなせているのがボトムラインという気もします。
匿名さん、確かにそのとおりです。
そのボトムラインがゴールになってはならないのです。
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ブルーサルビア?
●動画:https://youtu.be/cg-ppNTnJRI
7.4週は、オンラインクラスで保護者懇談会を行います。
作文個別で受講されている方は、クラス懇談会はありませんが、懇談会への参加を希望される方は、中根が担当しているクラスにご参加ください。
時間は、17:00、18:00、19:00のそれぞれのクラスの30分か45分ごろから行う予定です。
会場には、早めに入っていただいてもかまいません。
●作文講座、9月より9,900円に値上げ
すでにお知らせしましたが、作文講座の受講料を9月から9,900円に値上げさせていただきます。
言葉の森の今後の運営上どうしても必要な値上げになりますので、誠に申し訳ありませんが、ご理解いたただきたくお願い申し上げます。
この値上げに対応して、今後、講師からの連絡や言葉の森事務局からのこまめの連絡に更に力を入れていきます。
そして、すべての生徒が高校生まで作文の勉強を続け、立派な小論文を書く力をつけていかれるようにしていきたいと思います。
【重要】作文講座の受講料値上げと自習室活用のお知らせ(2023年9月より)
https://www.mori7.com/as/4789.html
●自習室の活用を
自習室は、言葉の森の生徒であれば、どなたでも利用できます。
自習記録に、その日に勉強する予定の時間と内容を入れ送信し、そのあとZoom会場にお入りください。
https://www.mori7.com/teraon/js.php
夏休みに入り、朝から、何人かの生徒が自習室で自習を行っています。
カメラはオンにして、机上に向けて取り組むようにしてください。 みんなの勉強の雰囲気がわかると、やる気が出ると思います。
自習室に先生がいる時間は、朝8時から夜8時までですが、それ以外の時間も自由に入っていただいて結構です。
●4週目は発表室の利用も
作文、創造発表、プログラミングは、これまではそのクラスの中での発表しかありませんでした。
今後は、みんなが見られるようなオープンな発表の週にしていきたいと思います。
プレゼン発表室には、試験運用中の発表作品がいくつか入っています。
https://www.mori7.com/pre/
特に、作文のパソコン入力をしている生徒は、発表作品はすぐに作れますから、4週目は、できるだけ発表室にも作品を入れておいてください。
創造発表クラスの作品は、夏休みの自由研究コンテストなどに出品する目標を持って発表していくといいと思います。
プログラミングクラスの作品は、まだそこまでのレベルに行っている人は少ないかもしれませんが、実力をつけてコンテストに出品するという目標を持って勉強をしていってください。
●読書記録が1500件以上に
読書記録が、すでに1500件以上になっています。
https://www.mori7.com/teraon/ds.php
同じ学年の人の読んでいる本を見ると、自分の読書を発展させるきっかけになります。
特に、同じ学年の生徒が読んでいる説明文の本を参考に、本選びをしていくといいと思います。
読書力は、学力の最も確実な土台です。
読書によって理解力が進み、表現力が豊かになります。
読書は、勉強と同じかそれ以上のものとして、家庭で毎日取り組んでいきましょう。
●確認テストで実力が客観的にわかる
6月から、国語読解クラス、算数数学クラス、英語クラスで、それぞれの教科の確認テストを行うようにしました。
確認テストは、今後毎月行います。
一部に、送信しても入力できないという問題があるようでしたが、コード・パスワードが入っていないのが原因というケースもありました。
もし、送信しても答えが入力できないようでしたら、事務局にお電話ください。
一緒に画面を見ながら原因を考えていきます。
この確認テストによって、生徒の実力が客観的にわかるようになりました。
特に、算数数学と英語は、問題集に対応した確認テストですので、真面目に勉強していれば必ずできるようになる問題です。
答えは2回送信できるので、2回目までに100点になるようにがんばっていきましょう。
確認テストで、現在の実力がわかるようになったので、これまで育伸社で行っていた学力テストは、今後行わないことにしました。
しかし、小6、中3、高3の受験生は、全国模試を受ける必要がありますから、8月以降は、それぞれの家庭で全国模試を探して毎月受検していってくださるようお願いします。
●作文ノートの利用と字数の数え方
7月から作文用紙を廃止しました。
作文ノートは、作文用紙のように散逸することはないので、保存しやすくなります。
作文ノートには、200字詰め(20マス10行)、120字詰め(15マス8行)、150字詰め(15マス10行)などさまざまな規格があります。
中には、162字詰め(18マス9行)など、意味不明のものもあります(笑)。
この作文ノートを使うときに、最初の1ページ目から書くと、最初のページは、片面になってしまいます。
次のページからは見開きになりますが、最初だけ片面だと、写真を撮るときに体裁が悪くなります。
【5ページの作文を書いた場合】
┏━━━━┓
┃ ┃1ページ目
┃ ┃(文字が横になることが多い)
┗━━━━┛
┏━━┳━━┓
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃2、3ページ目
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃
┗━━┻━━┛
┏━━┳━━┓
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃4、5ページ目
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃
┗━━┻━━┛
これを最初からこのようにすると、体裁がよくなります。
┏━━┳━━┓
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃1、2ページ目
┃ ┃ ┃(前のページは空のこともある)
┃ ┃ ┃
┗━━┻━━┛
┏━━┳━━┓
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃3、4ページ目
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃
┗━━┻━━┛
┏━━┳━━┓
┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃5ページ目
┃ ┃ ┃(6ページ目は空になることもある)
┃ ┃ ┃(空ページには絵などをかいてもいい)
┗━━┻━━┛
撮影は、ぜひこのように工夫してみてください。
●作文ノートの字数の数え方
作文ノートの使い方と字数の数え方は、次のようにします。
ただし、これは一応の基準ですから、全員がそうしなければいけないというものではありません。
標準の書き方として参考にしてください。
1行目に、3マス空けて題名を書きます。
2行目に、下から1マス空けて名前を書きます。
名前は、できるだけニックネーム(ペンネーム)にしてください。 3行目から、本文を書き出します。
★
字数は、1行目の題名、2行目の名前も、それぞれ1行分の字数として数えます。
全体の字数を数えやすいことを優先します。
★
200字詰め(20×10行)の作文ノートを使っている人以外、つまり、小学校低学年の人は、できれば、作文の末尾に、カッコ書きで字数を書いておいてください。
いろいろな字数と行数のノートを見ると、先生が字数を数えるときに苦労するからです。
申し訳ありませんが、できるだけ末尾に字数記録ということをお願いします。
●個人面談は、いつでも受け付けます
個人面談を希望される方は、そのつど講師にご連絡ください。
授業のあと10分程度の時間を取って面談に対応します。
●総合学力クラスの暗唱ミニ検定
総合学力クラスは、3週目に暗唱ミニ検定を行います。
これは、5級の途中までも、できたところまでをミニ検定として評価するものです。
小学校低学年のうちに暗唱力をつけておくと、あとで大いに役立ちますから、総合学力クラスの生徒は、暗唱ミニ検定を目標に毎日暗唱の家庭学習に取り組んでください。
https://www.mori7.com/askt/
●プログラミングクラスは、HTMLにも取り組みます
プログラミングクラスは、昨年は、Scratch→Micro:bit→JavaScript→Pythonで取り組んでいました。
今年は、Scratch→JavaScript→Pythonとしていますが、今度、ScratchのあとにHTMLも取り組むことにしました。
Scratchが終わった小学校高学年、中学生、高校生の方は、次のHTMLの本を用意して、取り組んでいってください。
HTMLは、ウェブページの基本で、自己紹介のページなどを楽しく作れるので、やりがいがあると思います。
今やっているものがあれば、それが終わってからで結構です。
改訂版高校生からはじめるプログラミング(KADOKAWA)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046052228/
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ポーチュラカ(ハナスベリヒユ)
6月の学年別の森リン大賞を紹介しています。
https://www.mori7.com/oka/moririn_seisyo.php
今回は、中3の6月の課題です。
1位の作品は、意見と説明中心の文章で、構成が伴っていなかったので代表作品となりませんでした。
2位の作品は、最初、代表作品に選ばれましたが、第一段落が要約になっていたため、代表作品になりませんでした。
清書の場合は、要約が入ると森リン点が高くなってしまうからです。
ゆうゆうさんの作品は、専門知識と一般教養の比較を身近な実例でわかりやすく説明しています。
複数の方法の第一は、自分のための方法で、第二の方法は、社会のあり方の方法になっています。
このようにバランスの取れた構成は大事です。
結びの第四段落は、もう少し長く書いてもいいと思います。
名言の引用は、「という名言があるように」という書き方でもいいですが、「という言葉があるように」と書くか、または、地の文の中に入れて書いていくといいです。
ゆうゆうさんが第二の方法で書いているように、確かに、今の中学の教育は、生徒に必要なことを学ばせるよりも、生徒に点数の差をつけることを目的にしているように見えます。
こういう問題意識を持ち続けて、これからも本当に必要な勉強していってください。
6月の森リン大賞と上位入賞者(中3の部132人中)
知識の付け方
ゆうゆう
「フォースプレイ」「インフィールドフライ」という言葉を知っているだろうか。野球選手の中ではこの言葉を知らないという人はいないだろう。このような、初心者には関係ないように思われる難しい単語。実は中学生の教科書に載っているのである。近年、私達の社会では専門化が進んできたように思う。そこには数え切れないほど多くの専門家たちが存在するし、それぞれの分野で社会を担ってきた。専門家とはその道を極めた人物であり、我々一般人には到底理解ができないほどの知識を持っている。しかし、彼らは自分の道を外れた途端にただの大衆のうちの一人へと化す。つまりどんなに専門的な知識を持ったところで、世界の中心にはなれないということである。
第一の方法として、色々なことに興味を持つことだ。自分の好きなものだけ、興味のあることだけを追求してしまうと、周りを見ようともせずに突っ走ってしまう事が多い。自分の好きなものにとらわれ、それを追いかけている途中にだって、魅力的なものはたくさんあるはずだ。だからこそ、自分だけの考えばかりに気を取られるのではなく、他人の意見に耳を傾けてはどうだろうか。私はチョコレートが好きだが、「この会社のこの味だけが好き」というわけではない。ミルクチョコレートもビターチョコレートも、中にナッツが入っていてもフルーツ味でも、チョコレートが好きなことには変わりない。むしろ色んな味を知っていることで、チョコレートの世界の奥深さを体感することができる。自分だけの小さな世界の中にいるより、もっと大きな自分の知らない世界に行ってみたくはないだろうか。そこにはきっと自分の知らない新たな発見が見つかるだろう。
第二の方法として学校教育が、もっと幅広い知識を身につけることに重点を置くことだ。現代の学校は一つ一つの授業が難しい内容を扱っており、全体的に授業の難易度が高いように感じる。学校というのは本来、私達が生きていく上で必要なことを学ぶ場所だろう。社会では今、より難しい知識を持っている人材が求められているかもしれない。しかし、本来の教育とはより良い社会の形成者を育むためのものだ。それなのに、体育の野球の授業では、ポジションの名前やゲームの流れを覚えなければならない。しかし私は、将来大谷翔平になる予定はないのである。いくら野球の歴史を学んだところで、その知識の使い道が見つからない。つまりこのような専門的な知識より、スポーツの歴史などの幅広い分野を学ぶべきではないだろうか。私達が学ぶべきものは、もっと大きなものである。
確かに自分の好きなことを追求することは良い。それだけ夢中になれる物があることは、幸せである。しかし、「辞書のような人間になることではなく、辞書をうまく使えるような人間になることが真の目的である。」という名言があるように、私は狭い専門的な知識ではなく幅広い教養のある人間になりたい。
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●悪いのは言葉の森か筆者か(清書) | Arsene Lupin | 90 | 1453 | 63 | 79 | 88 | 89 |
2位 | ●教育と教養は | わてひ | 89 | 1464 | 63 | 95 | 86 | 93 |
3位 | ●知識の付け方 | ゆうゆう | 89 | 1202 | 62 | 82 | 80 | 87 |
4位 | ●国際感覚を持つということ 清書 | あえはた | 88 | 1257 | 71 | 71 | 72 | 96 |
5位 | ●広い視野 | かずま | 86 | 1080 | 59 | 77 | 79 | 87 |
6位 | ●物事の見方と考え方 | ゆみ | 86 | 2084 | 67 | 60 | 69 | 93 |
7位 | ●比喩について | ゆい | 81 | 1009 | 49 | 74 | 75 | 87 |
8位 | ●現代では学術研究の場において | ああまや | 79 | 805 | 52 | 69 | 70 | 100 |
9位 | ●沢山の利益 | ああはや | 79 | 1037 | 74 | 59 | 69 | 90 |
10位 | ●諦めない精神 | たいせい | 77 | 819 | 51 | 67 | 65 | 97 |
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グミ
6月の学年別の森リン大賞を紹介しています。
https://www.mori7.com/oka/moririn_seisyo.php
今回は、中2の6月の課題です。
中2の森リン点の高得点1位はヨーヨ君の「フィクションの功罪」でしたが、思考語彙の点数がかなり高く、硬すぎる文章になっていたため、代表作品になりませんでした。
しかし、とてもよく考えて書いていることがわかりました。
あえてりさんの文章は、説明と実例がバランスよく書けているので、難しい内容でありながら読みやすい文章になっています。
総合化の主題は、直感と論理の二つの選択を超えた熱意という点でよくまとめています。
総合化の主題は、折衷案になりやすいものですが、複数の意見の比較を超えた新しい意見として提案しているところがよく考えられています。
名言は、「という名言があるように」と書くよりも、文章中にそのまま地の文と同じ流れで入れていっていいですよ。
6月の森リン大賞と上位入賞者(中2の部161人中)
直感か、論理的な思考か
あえてり
社会には直感で動いてしまう人間と何事にもしっかり考える人間がいる。人が答えを導き出すまでの過程を大きく二つに分けた時、それは直感的思考と論理的思考に分けられる。直感は、感覚的なもので、考えずにピンとくる、なんだかこんな気がするというような説明がつかないひらめきのことを指す。論理的思考は、物事を筋道立てて整理し、矛盾や飛躍のないように考えることを指す。考えるものと、考えていないもの。一見まるで真反対なようにも見えるが、細かく見ていくと直感と論理的な思考は案外紙一重なのかもしれない。
理屈に縛られない直感は良い。世の中の偉大な発明や発見は主にひらめきから生まれたということを忘れてはいけない。詩を書くときは論理的に考えるより、閃いた感情をありのまま書いた方が深みのある詩になり、人々に影響を与えられるだろう。スポーツでも、どのルートを通ってシュートするのかを周りにいる敵も計算に入れながら順に求めるのではなく、直感で誰が一番入りそうかなどといった明確な根拠に欠ける自信で出た答えを使った方が結果が出ることがある。直感は時にとても役立つ。例えば私は前クラスでクイズ大会をしていた時に究極の二択からの選択を迫られた。そこで答えなんか知る由もなかったので、当てずっぽうで当てたら会っていた時があった。それに、理科の勉強をしていた時も、天気図を見てどこから風が吹いているか当てないといけなかったのだが、分からなかったのでそれっぽいのを選んでみたらなんと合っていた。世間ではよく直感で考えるのは良くないと言われているが私たちは案外日常生活で知らないうちに活用しているのかもしれない。
一方、論理的な思考も大切である。当たり前のことだが、直感だけに頼っていたらいつか大きな失敗をしたり事故に巻き込まれるだろう。物事を論理的に考え、本能ではなく現実的に考えるのが賢く生きる基本だ。数学でも、答えだけあっていても意味がない。その答えをどう導き出したのかを証明できないと本当に合っているとは言えない。論理的に考えた方が物事を正確にできるだろう。例えば私は最近本の分析の論文を書いているのだが、もし作中に窓が使われていたらなぜ筆者はドアではなく窓を使ったのか。窓は出入りはできず、もどかしく見ていることしかできないからここで筆者は主人公の不自由さを表したかったのではないか。といった感じに論理的に考えないと先生から高い評価をもらえない。それに加え、論理的に説明した方が相手によりよく伝わる。例えば私が三年生だった時、「なぜなら」を使いましょうと授業で教わった。せっかくなので、家に帰ってお母さんにスマホを買って欲しい理由をなぜならの理由付きで説明したらなんと待望のスマホを買ってもらえた。このように、利益を得るには根拠を示して論理的に説明することが効果的である。
確かに、直感にも論理的思考にもどちらにも良さがある。片方が一方的に悪いというわけではなく、用途によって相応なものとそうでないものがあるだけだ。だから、『知識がはしごを作ったのではなく、二階にあがりたいという熱意がはしごを作ったのだ。』という名言があるように、良い作品を作る上で重要なのは辿り着くまでに用いた思考法ではなく、物事を達成したいという熱意である。熱い気持ちがあってこそ、直感や論理などの思考を駆使して行動ができるのである。
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●フィクションの功罪 | ヨーヨ | 90 | 1673 | 79 | 75 | 82 | 87 |
2位 | ●直感か、論理的な思考か | あえてり | 87 | 1396 | 69 | 72 | 84 | 81 |
3位 | ●偶然と必然 | あうては | 85 | 1275 | 53 | 91 | 91 | 92 |
4位 | ●清書★「ガッツがある」とか | ななちき | 85 | 1173 | 53 | 82 | 83 | 84 |
5位 | ●ノンフィクションの書き手は改 | あかたか | 81 | 1212 | 48 | 78 | 87 | 86 |
6位 | ●論理と直感 | 瑞風 | 81 | 1020 | 48 | 79 | 77 | 87 |
7位 | ●直感と論理 | あえたき | 81 | 1060 | 54 | 69 | 69 | 80 |
8位 | ●見て知りそ知りてな見そ | あきいの | 77 | 901 | 52 | 59 | 63 | 89 |
9位 | ●古い物or新しい物 | あおのと | 65 | 422 | 42 | 54 | 57 | 79 |
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ホオノキ
6月の学年別の森リン大賞を紹介しています。
https://www.mori7.com/oka/moririn_seisyo.php
今回は、中1の6月の課題です。
蜩(ひぐらし・かなかな)さんは、ニックネームからもわかるように、動物や植物が好きなのでしょうね。
ベニテングダケについての体験実例が個性的なので、ここで表現語彙の点数が高くなっています。
構成は、複数の理由をしっかり書き、そのあとに具体的な実例を書いています。
中学生の作文は、理由を書かずにすぐに実例を書いてしまう人が多いので、この構成の仕方をよく覚えておきましょう。
結びの「……という名言がある」という表現は、「……という言葉がある」と書くほうが一般的です。
無知であることのよい面というのは、面白い見方ですね。
6月の森リン大賞と上位入賞者(中1の部253人中)
捉われない発想(清書)
蜩
ひとつの美術作品にむかいあうときに、知識が頭の中にたくさんあればあるほど、一点の美術品をすなおに、自分の心のおもむくままに、見ることが困難になってくる。では、われわれは知る必要がないのか、勉強する必要もなく、知識をうる必要もないのか、というふうに問われそうだが、これもまたちがう。そのへんが非常に微妙なのだが、柳宗悦が戒めているのは、知識にがんじがらめにされ、自由で柔軟な感覚を失うな、ということだろう。私は余計な知識があると先入観を持ってしまい、自分の素直な気持ちで、ものを捉えられなくなると思う。
第一の理由に知識のせいで先入観を持ってしまうかもしれないからだ。 私は自然が好きだ。自然であれば、ほとんどのものが好きである。したがって、自然についてはそれなりに知識がついているつもりだ。しかし、その知識が覆ってしまう時もよくある。例えばキノコだ。キノコも、もちろん好きだ。しかし、毒キノコを絶対に生きものは食べないという先入観があった。ある日、テレビでキノコ特集の番組を見ていたときだ。そこにベニテングタケというキノコが出てきた。ベニテングタケはカサが赤色で白い点々があり、いかにも毒キノコというキノコだ。昔からハエトリタケとして利用されてきた猛毒キノコでもある。もちろんどんな動物も食べられない。それが私の先入観だった。しかし、ベニテングタケを食べる動物がいたのである。その動物は鹿だ。私はこれを知ったときは天と地がひっくり返った気分だった。この時、先入観に捉われているのだということを実感した。このように先入観で物事を見ていると、思わぬ事が起きた時に頭が混乱してしまうことがあるのだと思う。
第二の理由に、余計な知識を持たずに先入観を持たないほうが、新しい発想や発見があるからだ。なぜなら、昔は太陽は地球の周りを回っていると思われていた。しかしその常識にとらわれずに研究をした結果、地球が太陽の周りを回っていることが分かったのだ。最近では、高校生の自由研究でセミは大人になって数ヶ月生きているなど、世の中の常識がいつでも覆されているのである。先入観がなければ新しい発想が生まれてくる。私が小さい頃、仲間を線でつなごうというゲームをやっていた時だ。その中で魚とカニを結ばなかったらしい。なぜなら、魚は水の中にいるけれど、カニは陸にもいるからだったそうだ。このように先入観がなければ、さまざまな発想が生まれるのだと思う。
たしかに危険なことや、テストや授業の内容を理解してから取り組んだり、絵や作品などを作者の表現したかったことを予め知っておいてから先入観を持って見るのも、楽しいかもしれない。しかし「行動するためには、多くのことに無知でならなければならない。」という名言があるように、新しい発想を得たかったり、自分の思ったことで感じたい時には一度裸の心で向き合ってみるべきである。したがって余計な知識をつけずにものと向き合うことが大切である。先入観のない柔軟な人間になりたいものである。
知識語彙
69点
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●捉われない発想(清書) | 蜩 | 88 | 1250 | 68 | 69 | 79 | 89 |
2位 | ●知識にとらわれず | あおはす | 87 | 1286 | 64 | 72 | 78 | 84 |
3位 | ●比喩の使い道 | あうさの | 85 | 1136 | 57 | 64 | 78 | 84 |
4位 | ●面~見テ 知リソ 知リテ ナ見ソ~ | あおふね | 85 | 1100 | 51 | 76 | 73 | 89 |
5位 | ●学習の仕方 | りんたろう | 84 | 1186 | 56 | 68 | 67 | 87 |
6位 | ●比喩の大切さ | かののん | 83 | 1016 | 52 | 67 | 75 | 90 |
7位 | ●とらわれないで! | あおさみ | 83 | 1461 | 52 | 58 | 71 | 83 |
8位 | ●比喩を使って表現する | あかさと | 82 | 1047 | 61 | 59 | 72 | 90 |
9位 | ●比喩って面白い? | あうるか | 79 | 915 | 44 | 66 | 65 | 96 |
10位 | ●先生という存在について | らーゆ | 78 | 1430 | 42 | 69 | 77 | 90 |
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ハギ
2016年に発行された「小学校最初の3年間で本当にさせたい『勉強』」が第9刷になりました。
また、2020年に発行された「小学校最後の3年間で本当に教えたいこと、させておきたいこと」が第6刷になりました。
みなさん、ありがとうございました。
いずれの本も、今見ても内容的に古いところはありません。
子育ての基本は、昔から変わっていません。
さかのぼれば、貝原益軒の「和俗童子訓」のころから、子育ての基本は共通しています。
「
中学生になる前に、勉強に取り組む姿勢を作る」
(2015/11/04の記事)より引用
====
貝原益軒が81歳のときに著した教育論「和俗童子訓」では、「予(あらかじ)め」という考え方が中心になっています。問題が生まれてから対策を考えるのではなく、問題が生まれる前に対策を立てて実行しておくという考えです。
これは、中学生の勉強にもあてはまります。
中学生になる前、つまり小学生のまだ親の言うことをよく聞く時期に、親が指図して勉強をさせることだけに力を入れるのではなく、子供の自覚を促す勉強の仕方に力を入れるのです。
小中学生の勉強は、難しいと言ってもたかが知れています。特に小4までの勉強は、やれば誰でもできるようになる簡単な勉強です。この時期の勉強でよい点を取るようなことはどうでもいいことです。
だから、よい点を取ることに力を入れるのではなく、何のために勉強するのかという勉強に取り組む姿勢を伝えることに力を入れていくのです。
そのためには,例えばテストなどでも、点数を見るのではなく、その点数の中身を見ることです。
ひとつの例として言えば、次のようなことです。
子供がテストを見せて、「このテストの最後の方は、時間がないから適当に選んだら○になって百点になった」などと言ったとき(まれな例ですが)、親は、「それは、よかったね」などと言うのではなく、穏やかに次のように言うのです。
「勉強は、自分自身を向上させるためにやるのだから、時間がなかったりわからなかったりしたら、答えを適当に書かずに、ちゃんと×にしてもらうんだよ。悪い点数を取った方が自分のためになるんだからね」
こういう一言が、子供が中学生になったときに生きてくるのです。
====
今、言葉の森は、オンライン小人数クラスという新しい教育に取り組んでいます。
これが、言葉の森の「予め」の教育です。
オンライン小人数クラスの教育の中身は、作文、創造発表、プログラミングという、従来の教育では見落とされていた主体的・創造的な学力を伸ばす学習が中心です。
国語読解、算数数学、英語の教育は、自主学習の力を伸ばす教育です。
最近、探究学習という言葉が盛んになりましたが、言葉の森が昔から作文教育や創造発表教育で行っていたことは、その探究学習の先取りだったと言ってもいいと思います。
しかし、言葉の森の教育は、単なる探究学習ではありません。
オンライン少人数クラスの教育は、対面式の集団指導教育とも、単なる個別指導教育とも、動画配信の教育とも違います。
これからの教育で大事なことは、少人数の友達や先生とのコミュニティの中で学ぶということです。
だから、オンラインクラスでは、発表と対話の時間を授業の中に取り入れています。
こういう教育は、5人以内の少人数のクラスでなければできません。
単に知識を能率よく詰め込む教育ではなく、また、単に思考力と創造力を伸ばすだけの教育ではなく、そこにもうひとつ共感力を育てる教育ということが大事になってきます。
それは、なぜかというと、人間の生きる目的は、幸福、向上、創造、貢献だからです。
教育も、大きくは、その人間の生きる目的に沿ったものとして考えていく必要があるのです。
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