日経DUALに、言葉の森の中根へのインタビュー記事が載りました。
これは、主に小学4・5・6年生の保護者の方に、参考になる話です。
記事の全文は有料会員限定ですが、日経DUALは、いい記事が多いので、ぜひごらんください。
私は、小学4・5・6年生で、いちばん役に立つ勉強は、オンライン5人クラスで行う作文だと思います。
オンライン5人クラスでの授業は、毎週全員の読書紹介があるので、子供たちの読書が進みます。
また、言葉の森では、中学生以上の生徒には、物語文の読書だけでなく、できるだけ説明文の読書をするように言っているので、説明文の読書によって読解力だけでなく思考力も育ちます。
小学生のときの作文課題では、作文に書く実例を保護者にもインタビューするようにしています。
すると、お父さんやお母さんが、とてもいい話をしてくれることが多いのです。
この親子の対話によって、子供の語彙力が伸びます。
特に、小学5・6年生の課題は、人生や社会に関する話題が中心になりますから、親子で深い知的な話まで進むことが多いです。
今の中学受験の作文では、結びの感想の部分でどれだけ深いことが書けるかが大きな差になります。
そのときに、感想を書くための語彙力があることが重要になります。
こういう親子の対話は、子供が中学生になると反抗期になることもあって、なかなかできなくなります。
だから、小学校高学年の時期の作文は、親子の対話という点で、ほかでは得られない貴重な機会になるのです。
「将来の学力にも影響 小学校最後の3年間で学ぶべきことは」
https://woman.nikkei.com/atcl/column/23/101900012/083100020/
====引用ここから====
心身の成長が気がかりな未就学の時期、学習面のサポートが必要となる小学校低学年を過ぎ、わが子が「あっという間に小学校高学年になってしまった」と感じているママ・パパも多いのではないでしょうか。高学年になった子と向き合う上で親が心掛けたいこと、中学受験をするにしても、しないにしても小学校最後の3年間に家庭で取り組みたい学びなどについて、オンラインスクール「言葉の森」代表の中根克明さんに聞きました。
■新たな親子関係の構築を
まだ幼さの残る小学3年生までとは違い、小4以降は親に対する反発心から口答えをするようになったり、親の言うことを聞かず、素直に机に向かわなくなったりするかもしれません。小学校最後の3年間、親はどのようにわが子に向き合えばいいのでしょうか。また、この時期の過ごし方は将来にどう影響するのでしょうか。
オンラインスクール「言葉の森」代表の中根克明さんは「この時期は親子の対等な関係を築くチャンス」と言います。
「よく『10歳からは親の言うことを聞かなくなる』といわれますが、小学4年生以降になると親への反発心が生まれたり、嘘や隠し事、いじめが出てきたりします。わが子の急な変化に驚くかもしれませんが、それで親子関係が破綻するわけではなく、この時期に子どもとしっかり向き合い、信頼関係を築くことができれば、中学生以降に反抗期が来ても乗り越えることができます。
反対に言うことを聞かせようと親が抑えつけたり、勉強や行動を厳しく管理したりすると、将来必要となる自立心が育たないので要注意です」
中学受験をする家庭では、子どもが塾で過ごす時間がだんだんと長くなってきます。
「塾通いをしていたとしても小学校最後の3年間は中学入学前で、まだ時間的に余裕のある時期です。ぜひ、この時期にわが子の好きを伸ばし、親子で人生について話す時間をつくってください。その経験が将来の学力、経験にも生きてきます」
具体的には何をすればいいのでしょうか。詳しく聞いていきましょう。
■詳しくチェック!
・わが子が急に反発するようになったら?
・親は「損得勘定」で話さない
・小学校最後の3年間に必須の学びは〇〇と〇〇
・これからの子どもに学力よりも必要なことは
■次ページから読める内容
幼さが抜ける小4からの過ごし方は
高学年に必須の学びは
「経験」は親がさせるものではない
自分は何が好きで、何が得意かを分かっている子は強い
続きは、日経xwoman有料会員の方がご覧いただけます。
====引用ここまで====
※言葉の森の電話番号が変わりました。
これまでのフリーダイヤルは使えません。
お電話は、
045-353-9061(平日9:00~19:30)にお願いします。
(電話会社の対応が遅れているために、フリーダイヤルに電話をすると9月10日まで間違った転送情報が流れます。)
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言葉の森の山椒(さんしょう)の木とキアゲハ
日本の教育の問題点は、3つあります。
第一は、相変わらずの詰め込み受験教育が、学校でも、塾でも、保護者の意識の中でも続いていることです。
第二は、集団一斉指導というスタイルから抜けられない学校教育の仕組みが根強く残っていることです。
第三は、家庭教育の不在と、読書教育の不足が広がっていることです。
現在の教育の問題点から生まれている現象としては、不登校の増加、受験後の燃え尽き症候群の増加、指示待ち世代の増加などがあります。
新しく生まれているよい面は、次のようなものです。
第一は、総合選抜型入試の広がりです。
第二は、先進的な大学で行われつつある起業志向の教育です。
第三は、ネット端末の普及です。
今後必要な取り組みは、次のとおりです。
第一は、オンラインの少人数の対話型教育を進めることです。
この場合の少人数とは、5人程度の全員が交流し、全員が個別指導を受けられる人数のことです。
第二は、国語・数学・英語などの知識や技能を吸収する教育だけでなく、創造発表型の教育を行うことです。
具体的には、対話型の作文教育と読書教育、探究学習とも呼ばれている創造発表教育、そして、多様な個性を生かすプログラミング教育です。
第三は、このような教育に対応できる講師の研修です。
具体的には、評価のための講師でも、指導のための講師でもなく、多様な生徒の個性と意欲を促進するファシリテーター型の講師を養成する研修です。
このような教育の結果として、日本に多様な創造教育文化が生まれることが、これからの日本の復活につながります。
今後の経済の中心は、工業製品の需要から教育や文化の需要に移っていきます。
その場合の文化とは、音楽を聴いたり映画を見たりするような消費型の文化ではなく、一人ひとりが自分の個性を活かす創造型の文化です。
かつて、江戸時代の長い安定期を通して、茶道や俳句をはじめとする新しい文化が数多く生まれました。
それと同じようなことがこれから起こります。
そのひとつの象徴的な例は、「さかなクン」が行っている趣味とも仕事とも社会貢献のボランティアともつかない新しい「仕事」です。
言葉の森、このような展望のもとに、これからの教育を進めていきます。
具体的には、5人以内の対話型の作文オンラインクラスを広げることです。
生徒が増えれば、同学年、同レベルの生徒どうしの密度の濃い交流のもとに作文学習を進めることができます。
また、創造型の教育として、創造発表クラスとプログラミングクラスを広げていきます。
創造発表クラスは、集団型の探究学習ではなく、一人ひとりの個性を生かす新しい探究学習を行います。
プログラミングクラスは、今後ウェブ作成も取り入れ、女子も楽しめるプログラミング学習、自分の生活に活かせるプログラミング学習を行っていきます。
教科型の教育としては、国語読解クラス、算数数学クラス、英語クラスを広げます。
教科学習は、家庭での毎日の自主学習と、教室での毎週の個別指導と毎月の確認テストをセットにして学習を進めていきます。
教科型の学習によって、すべての生徒が、その実力に応じて、十分な全教科の学力をつけることを目指します。
また、今後、主に小1から小3を対象にした、国語・算数・暗唱・発表の総合学力クラス(基礎学力クラス)を発展させ、小4から小6を対象にした、国語・算数・英語・発表の新しい総合学力クラスを開始します。
更に、中1から中3を対象にした、国語・数学・英語・理科社会の全科学力クラスも開設する予定です。
これらの総合学力型のクラスは、週1回の授業と毎日の自主学習を組み合わせ、1クラスの受講で全教科がカバーできるようにします。
私は、ちょうど10年ほど前に、今後の教育の方向は、受験から実力へ、学校から家庭へ、点数から発表(文化)へ、競争から創造へとなると考えました。
この方向を発展させて、今後、オンライン少人数クラスの創造発表対話型の教育を進めていきたいと思います。
世界の変革に合わせて教育も大きく変わる 1 2013年9月11日
世界の変革に合わせて教育も大きく変わる 2 2013年9月11日
世界の変革に合わせて教育も大きく変わる 3 2013年9月12日
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8月末に言葉の森を移転しました。
フリーダイヤルは、使わなくなりました。
新しい電話番号は、
045-353-9061です。
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9月1日に、言葉の森事務局が移転しました。
新しい住所と電話番号は、下記のとおりです
住所 233-0015 神奈川県横浜市港南区日限山4-4-9
電話 045-353-9061
FAX 045-353-9063
これまでの教室は、2020年まで通学生の皆様が在籍していたので、駅の近くで場所もかなり広いところでした。
しかし、20年のコロナ騒動の際、通学生の方には、オンラインクラスに切り替えていただきましたので、駅近くの広いスペースの教室は必要なくなりました。
そこで、自然の多い日限山4丁目に事務局を移転することにしました。
移転の日程が、8月29・30・31日でしたので、この3日間は、皆様からの電話やメールにほとんど対応することができませんでした。m(_ _)m
広い場所からの移転でしたので、廃棄した主なものは蔵書類約5,000冊で、毎日のように梱包作業をしていました。
しかし、今でもまだ蔵書が約2,000冊あるので、部屋がひとつ本だけで埋まっています(笑)。
新しい事務所は、駅から徒歩で30分ほどのところなので交通の便はあまりよくありません。
しかし、全員オンラインで勉強をしているので、ネット環境と郵便と宅急便さえあれば、場所の制約はありません。
移転作業が一段落しましたので、9月から新しい企画をいろいろ打ち出していきたいと思います。
ご期待ください。
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●動画 https://youtu.be/ORUZ1RJMa_0
8.4週は、オンラインクラスで保護者懇談会を行います。
作文個別で受講されている方は、クラス懇談会はありませんが、懇談会への参加を希望される方は、中根が担当しているクラスにご参加ください。
時間は、17:00、18:00、19:00のそれぞれのクラスの30分か45分ごろから行う予定です。
会場には、早めに入っていただいてもかまいません。
※会場に入りましたら、どなたかがわかるように、名前を「お子様の名前のひらがな」に変えておいてください。
●言葉の森の移転
9月1日から、言葉の森が移転し新住所になります。
233-0015 横浜市港南区港南台日限山4-4-9
それに伴い、電話番号も変わります。
これまでのフリーダイヤルは廃止し、電話は045-353-9061になります。
フリーダイヤル廃止の理由は、電話が今後時代遅れになるからです。
基本は、ネットで対応できるようにしていきます。
10月までは、これまでの電話番号に電話されても、転送先の電話の案内が入ります。
●夏期講習について
中根が9月からの移転作業という個人的な理由のために、夏期講習の体制が十分にできませんでした。m(_ _)m
特に、夏期講習の作文については、まだ作文クラスを受講されていない方のニーズがかなりあるはずでしたが、十分に広報活動ができませんでした。
9月以降、新しい企画で対応してきたいと思います。
●読書記録に対する提案
夏期講習の「中学生の国語読解とディスカッション」は、毎回、かなり充実した議論をしていました。
しかし、そこで感じたのは、問題集の問題文の文章を読み取れる生徒と、あまり読み取れない生徒がいることでした。
問題文が読み取れない理由は、普段の読書で、説明文や意見文の本を読んでいないことです。
これは、国語の勉強以前の問題です。
そこで、今後、中学生以上の生徒は、読書記録を行う場合、説明文の本を基準とするとしたいと思います。
もちろん物語文の本も、感受性を育てる面がありますから、普段の読書は、物語文と説明文の二本立てで2冊以上を並行して読んでいくといいと思います。
物語文の読書は娯楽の読書、説明文の読書は学問の読書と考えておくといいです。
小学校高学年の生徒も、できるだけ物語文の読書と説明文の読書を並行して読んでいってください。
●自習室の活用状況
毎日朝から夜まで、数人の生徒が参加していました。
家庭でひとりで勉強するときは、自習室でやるということが習慣になるといいと思います。
●プレゼン発表室
プレゼン発表室は、月を選択しないと送信できないなど、操作しにくいところがありました。
今後改善し、作文、創造発表、プログラミングのクラスは、発表が学習の目標になるようにしていきたいと思います。
●読書記録
読書記録が定着してきました。
学習記録から送信した分は、クラス名が表示されますが、読書記録から直接送信した場合、クラス名や講師名が表示されないので、今後改良したいと思います。
●確認テスト
確認テストで、生徒の学習度がかなりはっきりわかるようになりました。
毎回高得点を取れる生徒は、学習を進め先の学年まで勉強をするようにしてください。
毎回低得点の生徒は、今後、学年を下げて学習することも考えていきます。
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テッポウユリ
読書には、大きく分けて、物語文の読書と説明文(意見文も含む)の読書があります。
物語文の読書のひとつの役割は、感受性を育てることです。
本を読んで感動するとか、本に夢中になるとかいうときの読書が、感受性を育てる読書です。
本の内容に感動するためには、ある程度の長さの本であることが必要です。
子供たちの読書記録を見て少し気になるのは、最近、短い文章を集めた本が多いことです。
「5分後に意外な結末」とか、「10分で読める名作 ○年生」のような本です。
もちろん、こういう本も読んでいいのです。
しかし、読書好きな子は、こういう本を物足りなく感じるはずです。
今の社会風潮で、手軽にあらすじがわかるようなものが求められているので、こういう本が出てくるのだと思います。
子供に薦める物語文の本は、じっくり読めるものにする必要があります。
低学年の生徒が読む本には、絵本と字の多い本があります。
本を読んで感動するという点では、絵の多い本も字の多い本も同じです。
しかし、絵本では、読む力は育ちません。
読む力が育たないと、本を読む楽しさがわかりません。
絵本ばかり読んでいると、絵本の次に続く字の多い本が出てきません。
親の読み聞かせも含めて、低学年のうちから、字の多い本の面白さがわかるようにする必要があります。
字の多い本で、低中学年の子に薦めたいのは、「かいけつゾロリ」のような、面白いがそれなりに文章がしっかりしている本です。
こういう本で字の多い本の面白さに目覚めたあとに、本格的な物語文の本に進んでいくといいのです。
講談社の青い鳥文庫は、漢字にすべてふりがなが振ってあります。
低学年の子でも、ふりがながあれば読み進められます。
ただし、本選びは、内容的に面白いものであることが必要なので、親が中身に必ず目を通しておくことが大切です。
有名な本だから読ませるというのは、あまりよくありません。
本の中には、子供が成長してから読んだほうがいいものもあります。
それを、有名だからという理由で低中学年のうちに読ませると、その本の本当の価値がわからないまま、読み終えたということになります。
こういうことを理解するためには、親自身が本好きであることが必要です。
小学生の間は、絵の多い本よりも字の多い本、短い文章が集まった本よりも長いひとつづきの本ということを基準に本選びをしていくといいと思います。
小学校高学年や中学生以上の生徒の読書については、物語文よりも説明文の本ということが基準になります。
問題集読書で、子供に問題集の問題文を音読させてみると、ほとんどの生徒が、一つの文章で1か所か2か所読み間違いがあります。
なぜ読み間違いがあるかというと、そういう語彙にそれまで接したことがなかったからです。
1か所も読み違いなく問題集の問題文を音読できる生徒は、それだけで国語の力があることがわかります。
そういう生徒は、読解問題の解き方のコツを理解するだけで、すぐに国語の成績が上がります。
読み違いのある生徒は、解き方のコツを理解しても、少し難しい文章になると読み取れなくなります。
この差は、説明文の読書をしているかどうか、又は、問題集読書を毎日しっかりしているかどうかの差です。
説明文を読む力は、国語の力にとどまりません。
日本語の説明や意見という抽象的な語彙を読み取る力は、実は思考力なのです。
川島隆太さんの記事が参考になります。
▽「読書をする子は楽々と平均点を超える」
https://magazine.chichi.co.jp/articles/5698366208/
勉強は、成績を上げますが、頭をよくするわけではありません。
読書は、成績を上げませんが、頭をよくします。
だから、小学生時代に本をよく読んでいる人は、中学生、高校生になるにつれて、国語だけでなく全教科の成績がよくなります。
反対に、小学生時代に本をあまり読まずに勉強ばかりしている人は、しばらくは成績がいいとしても、中学生、高校生になるにつれて、成績が低迷していきます。
現在、オンラインクラスでも行っている読書紹介は、子供たちの読書量を増やす上で大きく役立っています。
友達の読んでいる本を見て、読書の質を高める面もあります。
しかし、本の内容が、まだ不充分だと感じることはよくあります。
そこで、今後、読書紹介としてみんなに紹介するような本は、小学生の場合は、字の多い本、中学生の場合は、説明文の本ということを基準にしたいと思います。
もちろん、読書は、いろいろな本を並行して読むものですから、絵本を読んだり、短い話の集まった本を読んだり、面白い物語を読んだりすることは、いいことです。
しかし、それと並行して、娯楽の読書だけでなく、学問の読書をしていくということを意識していくことが大事なのです。
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東京学芸大学附属国際中(編入試験) I.Hさん
<担当講師より>
とても吸収力のある生徒さんでした。受験コースに取り組んだのは短い期間でしたが、ぐんぐんと書く力をつけていってくれました。引き続き、作文クラスを受講してくださるとのこと。さらなる成長が楽しみです。
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ミニトマト
次のような記事がありました。
「大学進学者の8人に1人が辞めている衝撃の事実。指定校入学者8割、一般入試10割という中退例も…大学側が伏せる不都合な真実とは」
https://news.yahoo.co.jp/articles/27c40b20b97317e8b978a155acc74cd98d6edf57?page=1
私がこの記事を見て思ったのは、そもそも「大学に入ることがゴール」になっていることが問題なのではないかということです。
今の保護者と保護者の両親、つまり子供にとっての父母と祖父母は、過酷な受験競争を経てきた世代です。
父母と祖父母の若いころは、多くの人にとって大学に入ることが勉強のゴールでした。
大学の先は、どこか適当なところに就職すればいいので、何しろいい学校に入っておきさえすれば、あとは何とかなるという考えでよかったのです。
だから、今の子供たちの教育の目標も、多くは、「いい大学に入ること」になっています。
そのために、いい高校に入ること、いい中学に入ること、いい成績を上げることが勉強の目的なのです。
そして、受験勉強のノウハウは、学習塾や予備校によって、現在はかなり完成度が高くなっています。
だから、塾や予備校で先生の教えたとおりのやり方でやれば、成績が上がるという仕組みになっています。
しかし、そのノウハウの基本は、よく出る問題の解法の詰め込みです。
大人の敷いた完成度の高いレールに沿って、ただひたすら時間をかけて詰め込めば、その詰め込み度に応じて成績が上がります。
だから、今の受験勉強は、かつての中国の科挙に似てきています。
科挙に合格した人は、中国全土の最も優秀と言われた人たちです。
合格すれば、本人だけでなく、一族も一生安泰でした。
しかし、その最も優秀な科挙の合格者によって支えられた清朝政府は、西欧の侵略に為すすべもなく屈服しました。
おおまかに言えば、科挙の合格をゴールにした人たちに、国を支える力はなかったのです。
今の受験勉強の勝者も似ています。
小学生のころから、ひたすら受験を目標にした勉強生活を続け、中学、高校と勉強中心の生活を続け、念願の大学にゴールインしたあと、大学から先の目標がなくなってしまう人が多いのです。
それは、実は、大学はゴールではなかったからです。
社会に出て、自分らしい仕事をすることこそが、永続するゴールです。
社会に出て、仕事をし、リーダーになり、自分が理想とする社会を目指して日々努力することがゴールなのです。
その大きいゴールから考えれば、途中の過程は、多少省略してもいいものです。
小学生のときに遊んでばかりいて勉強しなかったなどというのは、将来のゴールにとっては何のマイナスにもなりません。
苦手な科目があるとか、勉強があまり得意でないとか、自分の好きなことばかりしているとかいうのも、何のマイナスでもありません。
大事なことは、マイナスをなくすことではなく、プラスを伸ばすことです。
小学校、中学校、高校と、自分の好きなことをして(勉強も、もちろんしていいのですが)、大学に入った人は、大学では更に自分の好きなことに磨きをかけ、そのまま社会に出ていきます。
社会に出てから活躍することが、本当の目標なのです。
今の子供たちの両親と祖父母の世代は、子供の教育に対する考え方を軌道修正する必要があります。
現在の多くの人の教育観のもとになっているものは、一部は高度経済成長時代の価値観で、もう一部は停滞した安定社会を前提とした価値観です。
しかし、これからは、そういう時代ではありません。
新しい時代は、すべての人に創造性が求められる時代です。
新しい時代の教育の目標は、簡単に言えば、ゴールが大学に入ることではなく、社会に出て社長になることと思えばいいのです
大学の中退者が多いという問題の対策も、中退者を減らすことではなく、大学の先のゴールを作ることこそが本当の対策です。
ところで、自分の好きなことをして社会に出て活躍するというのは、ユーチューバーになったり、タレントになったり、スポーツ選手になったりすることではありません。
それは、今の社会の既成の枠に乗って勝者を目指すだけの生き方です。
他人につけられる順位は、一時的にしか自分の生きる目標になりません。
社会に出てさまざまな生活をしたり仕事をしたりする中で、その経験を通して感じた矛盾を自分らしく解決することが創造性のある新しい仕事の出発点です。
だから、学生時代は、さまざまな本を読み、さまざまな経験をし、自分を高めていくことが目標で、そのさまざまな経験の中に勉強することも入っているということです。
勉強は、いい学校に入るための手段ではなく、自分を向上させるための手段なのです。
私は、言葉の森で勉強する子供たちを、将来どんな大学に入るかということで見ていません。
子供たちがそれぞれ、将来、どんな社長になるかということで見ています。
今、成績がいい子も、成績が悪い子も、それぞれ個性を生かして、自分の得意分野で社会のリーダーになっていけばいいのです。
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ただ、環境を選ぶことは学友や学校生活の質、という意味もありますし、そもそも仕事ができる人って一様に相当タフなので、フォームの決まった受験勉強くらいはこなせているのがボトムラインという気もします。
匿名さん、確かにそのとおりです。
そのボトムラインがゴールになってはならないのです。
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