キンモクセイ
●動画:https://youtu.be/fcoU-5tgbf0
昔、言葉の森が通学教室をやっていたころ、子供たちの中に、「書くことがない」とか「書けない」とか言う子がたまにいました。
そういう子に共通するのは、本を読んでいないことでした。
ちょうど、お腹がすいているので、動く力が出ないという関係に似ています。
逆に、本を読んでいる子は、自然に書きたいことが次々と出てきます。
作文の上手な子に共通するのは、読んでいる本のリズム感が作文に出てくるということでした。
熱中して、本を読んでいると、その本の文体が、子供の書く作文の中に自然に出てくるのです。だから、書きやすくなります。
しかし、現在、人気のある本は、ビジュアルが優先されているのか、文章が少なくなっています。
文章は付け足しで、図や絵を見せるような形になっている本が増えています。
そういう本ばかりを読んでいると、知識はつくけれども、文章は書けないというようになってきます。
文章が書けなくても、日常生活は十分にやっていけます。
話をするだけなら、作文は書けなくても、誰でも同じように達者に話をすることができます。
しかし、話だけはうまくできるが、書く力がないということでは、リーダーの役を果たすことはできません。
みんなに説得力のある話をしたり、新しい提案をしたりするというのは、書く力がないとできないからです。
書く力とは、考える力と考えをまとめる力だからです。
これからは、みんながリーダーになる時代です。
だから、誰もが文章を読めるし、書けるという力を持つことが大切なのです。
従来の作文の指導法は、赤ペン添削が中心でした。
赤ペン添削というのは、対症療法的な勉強の教え方です。
大事なことは、根本原因から作文力をつけることであって、書いたあとの作文の誤字を直すことではありません。
では、なぜ対症療法の赤ペン添削が作文指導の中心になったかというと、それは、これまでの作文指導には、事前指導という方法がなかったからです。
事前指導を行うためには、子供の事前の準備、親の事前の協力、項目指導という方法、少人数クラス、個別指導の時間というものが必要です。
ところが、通常の学校教育や通信教育では、子供たちに一斉に作文を書かせて、あとで先生が一人ひとりに赤ペン添削をするという方法しか取れません。
だから、赤ペン添削は、先生が大変なわりに、それで力をつける子がほとんどいなかったのです。
これからの作文指導で最も大切なのは、読む力をつけることです。
作文を直すのではなくて、読む力をつけることによって、作文を自然に上手にしていくという指導法が求められています。
言葉の森では、毎週、子供たちに読書記録をつけるようにしています。
https://www.mori7.com/teraon/ds.php
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読書記録によって、子供たちの本を読む習慣がつくばかりでなく、互いにレベルの高い本を読むようになっています。
この読書記録をさらに充実させていきたいと思っています。
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作文の勉強というと、赤ペン添削というのが普通でした。
しかし、それは、対症療法です。
大事なことは、根本原因を見ることです。
作文の根本は、読書です。
読む力をつけることが、作文力をつけるいちばんの要因なのです。
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ピラカンサ(タチバナモドキ、トキワサンザシ)
●動画:https://youtu.be/jeluem0Q1Vo
1.世の中の大きい変化
大学の総合選抜入試が増えている。今後は総合選抜が主流に。
「しかし、総合選抜と一般入試のどちらが……」という問いは、もう時代遅れ。
大事なことは、大学入試をゴールにすることではなく、社会に出てからの仕事をゴールにすること。
2.社会に出てからの仕事も、今は大きく変わっている。
昔、大企業、銀行、マスコミ、公務員、医師、弁護士などは人気の仕事だった。
それは、日本の社会全体が右肩上がりで成長している時代だったから。
今、社会は新しい成長の方向を模索している。
東大でも、トップクラスの学生は起業を目指し、大学もそれを授業や融資制度でバックアップしている。
それが可能になったのは、資金調達が容易になった、失敗してもやり直しが効くようになった、ネット環境と新しいツールで大きな組織や設備が必要なくなった、ことなどによる。
学力は、とりあえず全教科オール4(と5が少し)を目指していれば十分。
重箱の隅をつつくような試験で、必要以上の高得点を取る必要はない。
そのかわり、空いた時間で、説明文意見文の読書に力を入れる。
勉強は頭をよくしないが、読書は頭をよくする。
3.子供の生活の重点は、読書、数学、興味関心を伸ばすこと。
数学の感覚は、文系でも必要になる。
数学は得意になるまで時間がかかるので、小中学生のころに少なくとも苦手にしないこと。
思考力の土台は、日本語力。
低学年からの英語のやりすぎには弊害がある。
英語・中国語などの外国語の習得は、今後のAIの発達で重要度が低下する。
やがて、日本語力だけで世界に進出できるようになる。
4.小中高生の読書は、学年相応の本を読むことが大事。
低中学年のころに、絵本や漫画は娯楽として読むのはもちろんよいが、毎日の読書としては、必ず字の多い本を読む必要がある。
読書の習慣は勉強よりも大事なので、
子供が自分で読むのを嫌がるときは、保護者が読み聞かせをする(小学生になっても読み聞かせは有効)
幼児低学年の子供の問題行動(言うことをきかない、騒ぐ、暴れるなど)は、読書によって日本語が入ると自然に改善する。
低中学年の読書は、質よりも量が大事なので、面白い本をふんだんに読むようにする。
真面目な本、勉強的な本だけでは、読書に熱中する習慣が育たないから、物語文の面白い
本を読むようにするとよい。
小学校高学年、中学生、高校生は、物語文はもちろん読んでもいいが、物語文だけでは思考力がつかない。
今後の国語の入試は、物語文の読解から、説明文意見文の読解に比重が移る。
説明文意見文の本は、ちくまプリマー新書、岩波ジュニア新書などを参考にするとよい。
読書は、読んでいてあまりおもしろく感じなかった場合は、目次をもとに必要なところだけ読んで次の本に移るとよい。
読書は、2冊以上を並行して読んでよい。1冊を読み終えるまで次の本を読まないということのないように。
5.これから重要になる、コミュニケーション力、プレゼンテーション力。
日本の教育文化では、発表力は軽視されているが、今後の大学入試では、面接、口頭試問、集団討論などに対応できる力が必要になる。
そのため、オンラインクラスでは、読書紹介、一人一言など、生徒が自分から話す時間を取るようにしている。
一見雑談の時間のように見えるが、短い時間で的確なことを簡潔に面白く言える力は、将来役に立つ。
6.学年別・教科別のまとめ
・低学年の重点は、読書(字の多い本)と暗唱と親子の対話といろいろな体験。
・国語の勉強は、読書と問題集読書と読検の解説(問題集読書は、毎日1~2編音読で読み、1冊の問題集を年間を通して5巡繰り返す)。
中学生の定期テスト対策としては、テスト前に文法と古文を問題集でやっておく。
・算数数学の勉強は、問題集を1冊決めて、できなかった問題を解法を見て理解し、できなかった問題だけを反復して、全部の問題が完璧にできるまで繰り返す(5巡が目安)。
中学生の発展新演習の演習問題Bやまとめの難問は飛ばしてもよい。最低限、例題と確認問題だけは完璧に仕上げる。
算数数学の勉強は、毎日1ページが目安。
苦手な人は、学年を下げて、毎日2ページを目標に。
算数数学が得意な人は、学年を上げて進む。
・英語の勉強の基本は、英文の暗唱、問題集の文法のページの理解。
英文の暗唱は、教科書の1ページを20回音読して、暗唱、暗写ができるようにする。
教科書の暗唱ではなく、下記のテキストの暗唱でもよい。(今の教科書は、会話文が多いので、役に立たない面があるから)
「英語好きな子に育つ たのしいお話365」
https://www.mori7.com/teraon/tanngenn_eiann.php
「英会話・ぜったい・音読 【入門編】」
https://www.amazon.co.jp/dp/477002746X/
・受験生は、志望校の過去問対策を勉強の基準にする。
過去問で7割取れるようになることを目標に、勉強の重点を決める。
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ムラサキシキブ
●動画:https://youtu.be/5fDk4J9MoRI
7月の森リン大賞をアップロードしました。
https://www.mori7.com/oka/moririn_seisyo.php
7月の集計をする予定の8月が、教室の移転のために時間が取れず、森リン大賞の選定が遅れてしまいました。
7月の作品は、いずれも力作でした。
小5のあかるほ君の作品は、嬉しさが伝わってくるような文章です。
読んでいると、こちらまでが思わずにこにことしてしまいます。
実例が生き生きとしているだけでなく、感想も小学5年生らしい大きい感想で書いています。
こういう作文は、小学生時代の記念になると思います。
ぼくの新しい家族
あかるほ
「かわいい!」
ぼくは叫んた。ぼくは少し前にペットとしてメダカを買ってもらった。ちょうど5年生の理科でメダカのことについて学んでいて、学校でも飼っている。学校で飼っているメダカを見たぼくは、ぼくもメダカを飼ってみたいなと思っていた。だから、買ってもらうことになったときには、まるで兄弟ができたかのようにうれしい気持ちになった。今ではメダカを7匹飼っている。学校でも飼っているメダカであるヒメダカを4匹、少し品種改良をした黒メダカを三匹飼っている。最初は水草しかなかったけれど、説明書などを見ると岩を入れた方がいいと書いてあったので、岩も追加した。岩は中にもぐれるようにした。そしたらさっそく岩にもぐってくれた。そのときは、岩を追加したかいがあってよかったなと思った。
ぼくはお父さんとお母さんと一緒に、買った日の夜にエサをやった。最初はぼくがやってみたかったけど、お父さんがやりたそうだったのでやってもらった。しかし、お父さんは誤ってエサを「どばー」と勢いよく、まるでダムが川に水を放流しているかのように入れてしまった。ぼくとお母さんが実は最初に、
「たくさんエサをやりすぎたらダメだよ。」
と注意したばかりだったのに、やはりやってくれた。ぼくたちはカンカンに怒った。次の日起きたら水草にフンがたっぷりついていたので水槽ごと洗った。最近では、エサはぼくがやっている。エサを食べている姿はとてもかわいい。特に手前にあるエサをこっちを見ながら食べているときだ。週一回は水替えをしている。そのときには、お父さんが熱心に取り組んでくれたのでうれしかった。
買ってから2週間ほど経つと、エサをやろうとしているときにエサをやる場所に来て、きちんとわかってくれていることが分かった。少しなついてくれていることに気づくことができた。意外とメダカは賢かったのでびっくりした。ぼくはお父さんとお母さんに、
「きちんと責任をもって育てるんだよ。」
と少し心配した感じで言われたので、頑張って育てようという気持ちが高まった。ただ、飼ってから1週間程度でフィルターの後ろに入ってしまって1匹が死んでしまった。その後も一週間に一回のペースで死んでいってしまった。水草に不注意にからまってしまったり、弱ってしまって力尽きてしまったメダカもあった。なので少し責任感が強くなったことと、もう死なせないという緊張感が高まった。もう死なせないために、フィルターを水槽にしっかりくっつけたり、水草を広げたり、弱ってしまっているメダカを見つけたら、他の水槽に移したりしていきたい。この間、新しくメダカを買いに、ホームセンターに行った。飼育員さんに、メダカを育てるコツなどを教えてもらった。新たに自然の水草や、水をきれいにしてくれる石巻貝も買ってもらった。これで水槽がもっときれいになってほしい。メダカは前よりも活発に動き、生き生きとしている様子だった。つい最近、家族で静岡に旅行へ行った。神社に行ったときに、住職さんが、ぼくたちにカブトムシを見せてくれた。そしたらそのまま、
「これよかったらもっていきますか?」
と、優しく言ってくれたので、ぼくとお父さんは、
「いいんですか?」
と、お礼を言いながらもらって、カブトムシも育てることになった。とてもうれしくて、今では昆虫ゼリーや登り木を置いてカブトムシが住みやすい環境を作っている。
ぼくは、ペットを育てるためには、きちんと責任をもつことが大事だとわかった。命は一匹に1つしかないので、1匹1匹を大切に扱っていきたいと思う。これからもエサを計画的にやって、死なせないようにきちんと対策をしたり、水槽も定期的に洗いたい。これから一年も何年も生き延びてほしいし、卵を産んでもらって、次世代のメダカもにもつないでいきたいなと思った。新たなペットとして、カブトムシも増えたので、エサの交換や観察もしっかりしていきたい。
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滑り台に登るゼルダ
●動画:https://youtu.be/oZlzusQydpY
30年ぐらい前のことです。私のうちの子供を連れて、海に行ったとき、波打ち際で裸ん坊になって遊ぶ子を見て、ふと思ったことがあります。
大きな暗黒の宇宙の中で、地球という星が一つ回っていて、その地球の光る側の海の波打ち際に、小さい子供が遊んでいると。
それが自分の世界観の一つの転換点だったように思います。
それから、道を歩いていても、平坦な道ではなく、丸い地球の上を歩いている感覚を、時々持つようになりました。
言葉の森の庭に、コスモスを植えたら、毎日のように、蝶が飛んできます。
時々、蝶以外の虫も来ます。
それらを見ていると、この地球の上で、日常的に奇跡が起きているのだと感じます。
また、庭に、小さな水槽を置いて、中にメダカと水草を入れました。
眺めていると、1センチほどの小さなメダカが、小さいなりに、懸命に泳いでいます。
それを見ていると、なぜか幸福な気持ちになります。
この幸福感は、多分、自分が小さい頃から、家に犬やチャボやアヒルがいたことと繋がっています。
私自身も中学生の時に、ジュウシマツを買ったり、近所の野良犬に餌をやったり、近くの川でカニを捕まえたりバッタを捕まえたりという経験を数多くしてきました。
それらが、自分の世界観や幸福感の土台になっているのです。
こういう子供時代の経験ができたことが、自分にとって一番の宝物です。
この経験から、私の子供がまだ小さい頃、なるべく早い時期に犬を飼おうと思いました。
近くでブリーダーを見つけたので、子供が小学1年生になるかならないうちに、1匹の犬を飼いました。
当時流行っていた「ゼルダの伝説」が、面白かったので、メスなのにゼルダという名前にしました。
それからは、どこに行くにも、犬と一緒です。
だから、犬が泊まれない宿泊施設には行けません。
それから、約15年間、ゼルダの思い出は自分の子供の思い出以上に、懐かしく思い出されます。
ゼルダは、キャンプに連れていくと、必ずテントの外の入口で寝ていました。
海に行って、沖で自分が潜ると、浜辺にいたゼルダが急いで飛び込み、自分を助けようとしたのか、潜ろうとした自分をひっかきました。
帰りの車の中では、日産のキャラバンの後ろにマットレスを敷いていたので、子供たちは、ケンタッキーフライドチキンを食べて、ゼルダと一緒に寝ながら帰るというパターンでした。
人間の幸福というものを考えるとき、何かを得る幸福というのも確かにありますが、それとともに、今いることの幸福というのもあると思います。
そのいることの中に、生き物と一緒にいるということがあります。
さらに言えば、自然の中にいるという幸福です。
翻って、今の子供たちを見ると、自然との接触が少なくなっているのいではないかと思います。
虫を見て、「わあ怖い」とか「気持ち悪い」とかいう子と、「わあかわいい」とか「面白い」とかいう子とでは、虫に対する幸福感が違います。
この感覚ができるのは、人間がかなり小さい頃です。
大人になると、虫嫌い、犬嫌いは固定化します。
周囲に好きなものがたくさんあるのが幸福な人生です。
そのためには、子供が小さい頃から、できるだけ自然の中で遊ばせることが大事ではないか思います。
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水草とメダカ
●動画:https://youtu.be/QcbLOc8qoCc
文章力と字数の間には、高い相関があります。
もちろん短くても、良い文章というものはあります。例えば、詩の文章、俳句や短歌の文章などがそうです。そういう例外はありますが、文章力と字数の間には、高い相関があるのです。
子供の作文の字数が、どういうふうに進歩しているかを見れば、その子の作文力が上達しているかどうかということが客観的によくわかります。
例えば600字を書いている子は、いつも600字の文章を書いています。
その子に800字まで書いてみようと言っても、なかなかできないことが多いのです。
つまり、普通に書くと600字までしか書けないというのが、その子の実力ということになります。
ある会社の入社試験で、字数を2000字だか3000字だかの作文を書くことが試験の内容というものがありました。
これは、ある意味でとても妥当な試験です。文章の内容よりも、まず何かテーマを与えられて、2000字、又は3000字書けるというのは、それだけ考える力、または題材の力、それから表現の力、主題の力があるということだからです。
最近の高校入試などで、作文の試験とは言っても、せいぜい200字程度の文章の試験が出されることがあります。
これは、全くと言っていいほど意味がありません。
表記のミスがわかるけれども、そこで、その生徒の文章を書く実力や考える力の実力がわかるということはまずありません。
かつて、大学入試の共通テストで150字の文章を評価するというような試みがなされたこともありますが、それも同じです。
150文章で、その生徒の文章力を評価するということは、まずあり得ないと思います。
せいぜい表記のミスがわかる程度で、短い作文の課題は何の意味もありません。
なぜ短い作文の課題が出されるかというと、採点が大変だからという、全く評価の本質に関係ない理由からです。
文章は、1200字以上書かなければ評価の意味が出てきません。
逆に1200字の文章を何本か書かせれば、その人の考える力は、かなりよくわかります。
字数力が1200字をコンスタントに超えるようになったら、次は森リン点を評価の基準にしていくということが考えられます。
森リン点の推移を見ると、その作文の長所や弱点がよくわかります。
例えば、長く書いているけれども、ほとんどが自分の身近な体験という実例で、主題の部分が短いというのは、小学生のころの作文としては上手だったとしても、中学生高校生の考える作文の力がまだないということです。
そういう人は、まず読書に力を入れることです。特に、説明文の読書です。
そして、常に1200字以上の文章を書くということを心がけていくといいと思います。
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ICレコーダ
●動画:https://youtu.be/kqnT-oKMx1s
今日は、「nottaで書く作文」ということで、作文の新しい書き方を説明したいと思います。
作文の本質というのは、考えることであって、文章を書くということは決して本質的なことではありません。
ただ、これまでの歴史の中で、ペンや鉛筆を持って文章を書くという期間が非常に長かったので、まるで作文というのは、「書くこと」と同じだというふうに思われてきたのです。
しかし、作文の本質は考えることです。さらに言うと、書くことによって新しいものを創造することです。
文章の要素として、構成、題材、表現、主題、表記というものがあります。
創造は、主に、題材、表現、主題の分野で生まれます。
第一に、題材を創造するとは、他の人がまだ経験していないような話を実例として述べることです。これが、一つ創造です。
第二に、表現の創造です。
新しいたとえの表現を使ったり、新しい自作名言を使ったりというようなことも含めて、まだ他の人が使っていないような表現で物事を表すことが創造です。
第三に、主題の創造です。
新しい考えを述べるということが主題の創造です。
題材の創造、表現の創造、主題の創造というのが、文章を書くことの本質的な価値です。
ここまでが、前提となる話で、次に、実際に作文を書くときに、この考え方をどう活かすかということを説明します。
中学生や高校生になると、文章書くことに、なかなか時間が取れないということがあります。
時間的に忙しいから書けないということが時々出てきます。
1200字の文章を書くときの時間は、大体60分から90分です。
しかし、単なる作業としての60分から90分ではなく、新しいものを創造しながらの60分から90分ですから、かなり大変です。
そこで、考えたのが、考える作業だけを作文の中心にして、書く作業は機械に任せるという方法です。
しかし、これは、ChatGPTに、「こんなことを書いて」という指示を出して書いてもらうというやり方ではありません。
考える作業は、人間の喜びですから、それを機械に任せてしまうというのは、方法を目的と取り違えていることになります。
では、どうしたらいいかというと、まず、構想図を書くのです。
構想図を書いてる時間というのは、自分が考えている時間ですから、時間はかかっても楽しい時間です。
1200字の文章を書くための構想図の時間は、大体15分ぐらいです。
そのあと、その構想図を見ながら、
ICレコーダに向けて内容を喋ります。
その音声を、テキスト化のソフトで文章にしてもらいます。
喋ることは、書くことよりもずっと負担が少なく、時間もかかりません。
テキスト化するためのソフトやウェブサービスは、いろいろあります。
今回使ったのは、
nottaという新しいウェブサービスです。
以前は、Googleドキュメントを使っていましたが、Googleドキュメントが、ICレコーダからの読み込みができなくなってしまったので、新しいサービスを使うことにしました。
notta(無料版もあるが、自分が使ったのは有料版)は、かなり高性能で、録音したMP3ファイルも読めるし、句読点も適度に打ってくれます。(Googleドキュメントは、句読点がつきません。)
ワードのディクテーションという機能でも、音声のテキスト化ができるようなのですが、やってみたところ、句点や「?」マークがあちこちについて、全く使えませんでした。(使い方が悪かったのかもしれませんが。)
今後、たぶんもっといいウェブサービスも出てくると思います。
しかし、今のところ、nottaというサービスがいちばん使えます。
nottaで音声入力をテキスト化したあと、ChatGPTで250字ぐらいに要約したもらえば、読み手の助けになります。
近い将来の作文の授業は、次のような流れになると思います。
課題のテーマ
↓
生徒どうしのディスカッション
↓
構想図を書く
↓
音声入力
↓
テキスト化
↓
要約
↓
発表して質問や感想を言い合う
このやり方なら、書く負担は少なくなり、考える楽しさと話し合う楽しさだけが残ります。
現在、中学生や高校生の人で、作文の勉強は続けたいが、時間がかかるのが負担だという人は、時代を先取りして、この方法で作文を書いてみてください。
▼参考までに、上の文章のChatGPTによる要約は下記のようになります。
(読みやすくするために、改行はこちらで入れました。)
====
作文の本質は考えることであり、新しいものを創造することにあります。
考え方を中心にし、書く作業はテクノロジーを利用して効率化する新しいアプローチを提案します。
まず、15分程度で構想図を作成し、それを基に文章を喋って録音します。
その録音を「notta」などのテキスト化ソフトで文章化し、ChatGPTを使用して要約を作成します。
この方法により、中学生や高校生でも時間を効率的に使いながら、作文の本質である「考える楽しさ」を追求することが可能となります。
近未来の作文はテーマ選定からテキスト化、要約までのプロセスが一連となり、よりアクセスしやすくなるでしょう。
====
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ニチニチソウとアゲハチョウ
●動画:https://youtu.be/CnDsgUYOlCo
国語読解の成績が上がる生徒は、読書傾向が違います。それがはっきりわかったのは、夏期講習の国語読解ディスカッションクラスの授業のときです。
ある文章を読んで、その文章について、自分の感想や意見を順に言ってもらうのですが、そのときに、読み間違いのある生徒が多いのです。
それは、もちろんやむを得ないことです。日常生活では見たり聞いたり話したりしたことのない語彙が、問題集の説明文では、次々と出てくるからです。
物語文は、難しい文章と言っても、日常生活の延長の語彙で書かれています。読む力の差が出てくるのは、物語文ではなく、説明文なのです。
ところが、説明文の読みで、読み間違いのほとんどない生徒もいました。
その生徒は、日常の読書生活の中で、そういう説明文の語彙のある文章を読んだ経験があるからです。これが読書力の差です。
国語の成績を上げるコツは二つあります。一つは、読解問題の理詰めの分析です。この理詰めに解くという方法がわかるだけで、国語の成績が急上昇する生徒が毎年何人もいます。
しかし、もう一つのコツは、問題の分析以前の文章を読む力で、この文章を読む力という前提が不十分だと解き方のこつを理解していても、成績は途中までしか伸びないのです。
だから、優しい文章では、高得点を取れるのに、難しい文章では得点が低くなる生徒というのは、解き方のコツ以前の、文章を読み取る力がまだないということなのです。
文章を読み取る力をつける一番の方法は、問題集読書を続けることです。
しかし、問題集読書を続けるというのは、実はあんまり張り合いのある勉強ではありません。もともと、読む力のある生徒は、問題集の1500字ぐらいの文章を楽しく読めるのですが、読む力のない生徒は、1500字程度の難しい文章を読むのに、飽きてしまうことが多いのです。
そこで、言葉の森のオンラインクラスが毎週行っている読書紹介で、中学生の場合は、毎週説明文の本も必ず読むことということを提案しました。
物語文の方はもちろん、いくら読んでもいいのです。物語文を通して、感動する気持ちを育て、感受性を豊かにすることがあるからです。
読書は、楽しい知的な娯楽ですから、物語文を読むということ自体はもちろんよいことです。
しかし、物語文しか読まず、説明文の本を読んでいないと、読書を通しての考える力がつかないのです。
説明文の本の選び方は簡単です。
一つは、図書館の児童書のノンフィクションコーナーに行って、自分の関心のある本を見つけてくることです。
しかし、図書館が近くにないと利用しにくいものです。
学校の図書室で、説明的な文章の本を選ぶ、ということもありますが、学校の図書室では、数が多いと言っても、読みたい本は限られています。
そこで、もう一つは、今のネット環境を利用するのです。
Amazonなどのネット書店で、説明文の中学生高校生向けの本を探すことです。
今のところ、ちくまプリマー新書や、岩波ジュニア新書というシリーズが、中学生高校生向けの本として出版されています。
これらの本を検索して、自分の関心のある分野の本を読むと、本の傾向に応じてさらにおすすめの本を探していくことができます。
読書については、かかる費用はもったいないと思わないことが大事です。
読書によって得た影響は、その読書が終わったあともずっと残ります。
だから、勉強のために費やす費用と時間以上に、読書のために費やす時間と費用を惜しまないことが大事です。
中学生、高校生の説明文読書は、今かなり効果を生み出しています。
言葉の森の
読書記録のページに行くと、同じ学年の生徒が読んでいる本のリストが出てきます。
その中で、自分も読んでみたい本があったら、それを購入して手に入れて、ぜひ読んでみてください。
読書を通して、みんなの思考力、読解力、作文力が向上していくことを期待しています。
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アメリカンブルー
10月から、新総合クラスを開設することにしました。
これは、小456年生対象で、
1週目、国語
2週目、算数
3週目、英語(主に英文暗唱)
4週目、発表
を行うものです。
理由は、
第一に、現在の小1234年の総合学力クラスの生徒で小4の生徒がいること、
第二に、現在の小123の生徒で学年が上がっても続けたいという要望を持っている生徒がいること、
第三に、小456年生も週1回ごとの国語・算数・英語・発表の科目別の授業で十分に対応できること、です。
同様に、今後、中学123年生対象の、全科学力クラス(国語・数学・英語・理科社会)も予定していますが、これはまだ少し先の話になります。
勉強は、家庭での自主学習が基本で、家庭で毎日決まったことをやっていくのが最も能率がよいのですが、家庭だけですと、けじめがなくなるとか、めりはりがなくなるとか、張り合いがなくなるとかいった問題が出てきます。
また、ひとりではどうしてもわからないところを質問したいときも、家庭では十分な対応ができません。
また、自己流で勉強しているスタイルが能率の悪いものであった場合も、それを指摘してくれる人がいないと、その能率の悪い自己流の勉強法が続いてしまいます。
言葉の森のオンライン少人数クラスは、生徒どうしが発表と対話をしながら、先生が確認テストや問題集のページ数などで学習状況をチェックし、必要に応じて生徒の質問や相談に答えアドバイスをするという新しい教育法です。
基本は家庭での自主学習ですが、それを側面から支えるものとしてオンラインクラスがあるという形の教育です
ですから、授業では、先生が全員に一斉に講義をするのではありません。
生徒の自主的な学習の進捗状況に応じて、その生徒に応じたチェックとアドバイスをするのが毎週の授業における先生の役割です。
また、その授業を活かすために、必要に応じて家庭との連絡を取り、保護者とのコミュニケーションを図るのも先生の役割です。
小456年生対象の新総合クラスの授業では、1週目の国語は問題集と確認テストと読解検定、2週目の算数は問題集と確認テスト、3週目の英語は問題集と確認テストと英文暗唱、4週目は自由な創造発表という形で進めていきます。
英語の暗唱教材は、小4は、「英語好きな子に育つ たのしいお話365」の英文
https://www.amazon.co.jp/dp/4416716311/
小5以上は、「英会話・ぜったい・音読 【入門編】の英文
https://www.amazon.co.jp/dp/477002746X/
で進めていきます。
小学生は、中学受験に対応した勉強というよりも、真の実力をつけるための勉強という位置づけで進めていきます。
中学受験をしてもいいし、公立中学に進んでもいいのですが、いずれにしても本当の実力をつける勉強ということでやっていきます。
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